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「近畿のイケテル商店街」レポート 1

最終更新日:平成28年5月13日

奥越前の冬の風物詩「勝山年の市」で賑わう商店街【本町通り商店街振興組合】(福井県勝山市)

訪問日:平成27年9月30日
協力AD:中辻 一浩 

江戸時代の面影を今に伝える商店街

 福井市から約1時間、情緒ある「えちぜん鉄道」の終着駅「勝山駅」を降車して、北に歩くこと約5分、雄大な「九頭竜川」にかかる「勝山橋」を超えると、古い町並みが残る勝山市内の中心市街地に入ります。そこから更に北に行くと大通りを挟んで東西に延びるアーケードの無い古風な商店街が視界に飛び込んできます。これが「勝山本町通り商店街」で、現在も古くから続く店舗が多数残っています。
 当商店街は、勝山市の中心市街地エリア内でも重要な位置を占めており、「勝山左義長まつり」などの市内の大きなイベント開催に当たっての核となる位置にある近隣型の商店街ですが、近隣住民の高齢化や若年層の都会への流出により、このところ近隣商圏が縮小しつつあることから、より広域的な集客が課題となっています。

勝山年の市の開催

 勝山市は、城下町として栄えた古い街並みが残り、四季折々の祭りやイベントを実施していますが、中でも、毎年1月末に本町通り商店街で実施されている「勝山年の市」は、奥越前の冬の風物詩として来場者数は1万人を超える集客効果があり、近隣住民を始め、普段は買い物に訪れない若い世代や、市外・県外からのお客さんも多く訪れており、商店街の認知度向上に大きく寄与しています。このイベントは、かつては、毎年末に開催されており、年末の諸用品を取り揃えるために近隣の住民が商店街に買い物のために訪れていたものですが、その後、「市」の内容も単なる商店街の個店の商品の販売に止まらず、地域の人々の手作り品や「鯖の熟れ鮨し」等特色ある地元産品を販売する露天が商店街に並ぶなど、益々繁栄して、開催時期が1月の最終日曜日に恒例行事化した珍しい物産展となったものです。実施に当たりましては、商店街が中心となり、勝山市や商工会議所も支援するなど、勝山市の一大イベントとなっていることから、このイベントを介した人の繋がりが地域の活性化にも繋がっているところです。

商店街の更なる発展を目指して

 こうした取組以外に、商店街では、勝山市の古い町並みに調和する景観の維持や商店街の更なる魅力付けを行うため、「歴史薫る街」としての商店のファサード整備を実施、店舗を町屋風の外観で統一し街歩きの楽しさを提供するとともに、商店街内の一体感を醸成する試みを実施しています。商店街のファサードを整備したことを契機に、集客イベントによる商店街の認知度上昇もあって、勝山市を代表する集客施設であります「福井県立恐竜博物館」等を訪れる観光客が商店街を回遊するという効果も現れ始めています。このような取組を行うに当たりましては、玉木理事長を中心として商店街が一丸となって事業を行ったことから、振興組合の組織率は100%を維持しており、また、商店街の取組に対しては、勝山市も景観維持のためのハード整備に対する補助等の大きな支援を実施するなど官民一体となった商店街創りとなっています。


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商店街データ

 商店街名:勝山本町通り商店街振興組合

 所在地:福井県勝山市本町2-5-15

 対応者:理事長 玉木 弘夫

 連絡先:0779-88-0295(理事長店舗)

 

「まちセリ」で個店の魅力も競り上がり!【堅田商業連合協同組合】(滋賀県大津市)

訪問日:平成27年9月11日

協力AD:中辻 一浩

点在する個店を総合プロモーション

 JR堅田駅から堅田本通りへ10分ほど歩くと、「朝市」と書かれた黄色い看板が目に飛び込んできます。ここが堅田商業連合協同組合メンバーご自慢の品物が並ぶ「商連の朝市」。
 毎週水~土曜日の午前9時30分~13時、地元の新鮮な野菜やお花、お米・お弁当・お寿司・パン・和菓子・お惣菜に琵琶湖名産の鮒寿司、日用雑貨までが幅広く取りそろえています。朝早く来ないとどんどん売り切れてしまう人気ぶり。近所にお住まいの主婦や年配の方々が多く集まるこの朝市、誕生のきっかけは、チェーン店の進出などによる売上げ減に危機感を抱いた組合メンバーの問題意識でした。
 堅田商業連合協同組合は、JR堅田駅を中心に、出町・堅田中央・浜通り・堅田本通り・JR駅前・仰木・琵琶湖大橋の7商店街をカバーする超広域の商店街組合です。周辺には小・中学校や大津市の支所、堅田病院など公共施設があり住みやすい環境のため、周辺人口が増え、若年層、ファミリー層も多い地域です。
 そのような中、全国チェーンの店舗が駅前に出店。来街者が流れ、売上げも減少していきました。そこで危機意識を抱いたメンバーが、「店が離れているなら商品を持ち寄ろう」と始まったのが、「商連の朝市」の取り組みです。

 

「まちセリ」で新たな気づきが。個店の魅力再発見

 滋賀県の支援を得て朝市の建屋を整備し、朝市の活動を続けながら、新しい取り組みとして平成24年10月に「堅田100円商店街」を開催。91店舗が参加し、11,000人の人出となりました。
 その後も回数を重ね、規模を拡大して27年3月には第7回100円商店街を実施。生憎の雨となりましたが、それでも来街者数は10,000人越えと、地元に定着した集客イベントとなりました。
 さらなる発展のため、組合は専門家((株)全国商店街支援センター 商店街よろず相談アドバイザー 中辻一浩氏)を招聘し、商店街活性化策のノウハウを取得していく中で、「まちセリ」への取り組みに歩を進めます。
「まちセリ」とは、商店街の各店がそれぞれ自慢の逸品をセリ形式で販売するもの。セリでの掛け合いを楽しみつつ、店のこだわり、商品の魅力、店主の人柄をたっぷりお客さんに伝えることができるという仕掛けです。平成26年12月、集客力の高い100円商店街イベントに合わせて第1回まちセリを実施することになり、組合はまちセリに向けて勉強会を実施します。まちセリ出店者は、セリでの商品紹介、個店PRを考える中で、自分達の店の魅力を今一度掘り下げ、再発見して行きます。
 勉強会ではプレゼンテーションを互いに聞き合い、「ここは良く分かった」「もっとこう言った方が伝わるんやないか」と試行錯誤する中で、商店主同士の理解も深まって行きました。開催にあたっては「まちセリ」を堅田商業連合協同組合風にアレンジ、通常は各店舗で行うセリを、広域に点在する商店街という特色から一括して「商連の朝市」前で行い、賑わいを生み出しました。

 

チームワークが個店の魅力を引き出す原動力に

 朝市や100円商店街、まちセリなどのイベント等を活用し、個店のプロモーションに取り組んだことで、参加店舗の売上増加など、確かな手応えが返ってきています。
 これらの成果は、各商店主の努力はもちろん、取りまとめ役の商店街幹部の活躍、さらには商店街を支えるサポーターとしての地方自治体、専門家の存在も見逃せません。
 地元大津市は、100円商店街、まちセリ、まちゼミ等のイベント事業や、アーチの改修、街路灯LED化等ハード補助に加え、各事業実施に向けた指導・相談を実施し、組合の取り組みを総合的に支援しています。
 専門家による支援の大切さは、「100円商店街」や「まちセリ」の成果を見れば一目瞭然。これらのサポーターを商店街活動に引き込むのは、やはり堅田商業連合協同組合の山本理事長をはじめとする商店街幹部のチームワークの強さです。商売のプロ集団がお互いにアイデアをぶつけ合える仲の良さ、お互いを認め合う懐の深さ、新しいものに取り組もうとする活きの良さ。これが堅田商業連合協同組合のパワーの源となり、種々のプロモーションで商店街の魅力はますます競り上がっていきます!


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商店街名:堅田商業連合協同組合

所在地:滋賀県大津市本堅田3-7-14

対応者:理事長 山本 伸一

連絡先:077-507-2018

 

地元愛から集う特殊技能集団【京都向日市激辛商店街】(京都府向日市)

訪問日:平成27年9月28日

協力AD:川崎 ますみ

激辛の聖地「京都向日市激辛商店街」

 激辛の聖地として一躍名をはせた向日市は、京都府の西南部に位置し、市域面積は7.72k㎡と全国の市では、埼玉県の蕨市、東京都の狛江市に次いで3番目に小さい市です。阪急電鉄、JRの駅が立地しており、名神高速道路や国道171号線が通るなど交通は大変便利で有り、古くは長岡京が設置されるなど歴史的にも有名な場所となっています。しかし、商業面では衰退が目立ってきており、かつて繁栄した商店街も昔の賑わいは過去のものとなっていました。
 そんな中、不動産業を営むリーダーの提案で発足した「京都向日市激辛商店街」は、メディアにも大きく取り上げられ、世間の激辛ブームとも相まって、マニアには「激辛の聖地」と呼ばれるまでに発展してきました。加盟店舗も設立当初は20店舗程度であったものが、昨年(平成26年度)に大手スーパーのイオンモール京都桂川が加盟するなど現在では81店舗(取材当時)を数えるまでになりました。参加店舗も飲食に限らず、「不動産」「クリーニング」「印判」に驚くなかれ、「向日神社」までが趣旨に賛同し「辛口おみくじ」を作るに至っているのです。ここまで有名になった「京都向日市激辛商店街」ですが、その道のりは必ずしも順風満帆なものではなく、少ない商店街予算の切り盛りや、強い組織作りのための工夫など、強いリーダーシップと優秀な人材、メディアの活用など、個々の優れた戦術の成果の積み重ねによるものなのです。 

誕生のきっかけ「事務局は個性派揃い」

 向日市の地域資源は「唐辛子」なのでしょうか。
 激辛の聖地誕生のきっかけは、ある不動産業を営むリーダーの思いつきであったと、宮脇さんは語ります。地元商業の衰退を憂い、市域全体を繁栄させる方法を考えたとき、発案者がたまたま「カレーライス」が大好きであった、しかしカレーではインパクトに欠けるため、「辛」にしよう、そしてどうせならば「激辛」にしてしまえとなったのです。
 早速、氏は計画を周辺に相談するものの、初めは全く相手にされませんでした。前述しましたように、向日市は古くは長岡京が設置されていたところであり、「由緒正しき土地で何をするのだ」というのが当初の反応でありました。しかし、趣旨に賛同する多くのメンバーが集まりだしました。これまでどこにも存在しない新しい形の商店街という斬新なアイディア。そして、向日市を発展させたいという強い地元愛が仲間を引き入れたのでしょう。
 また、向日市には様々な分野の専門家が居住していました。ITやイベントのプロなどの他、著名な構成作家やエアギターの世界チャンピオンまでもが、口伝えで集まったとのことです。中でも、設立当初より存在した、ITやデザインの専門家の存在が重要で、HPの作成やチラシ、商店街マップ作りを含めた「メディアに取り上げられる仕組作り」が、知名度を一気に上げる要因となったとのことです。また、変わったところでは、メンバーである6名のミュージシャンはライブで必ず激辛ソングを歌うそうです。それぞれが、持ちうる強みを激辛商店街のために惜しみなく発揮し、メディアに取り上げられ、知名度が向上し、お客様が来ることによって、加盟店が増えて、ますます有名になるという良いサイクルを作り出すことが成功のきっかけとなりました。強いリーダーシップと行動力無くしては実現できず、各分野の専門家が、地元愛を持って商店街運営に力を発揮したことが成功の要因なのでしょう。

活動内容「飽きられないために」

 京都向日市激辛商店街が有名になると加盟を希望する店舗が増えてきました。宮脇さんは、「希望するお店を全て受け入れていない。」と言います。目的が重要で、加盟すれば広告効果が上がるというだけではお断りしているそうです。一緒になって商店街を発展させ、さらに向日市の商業活性化に繋げたいという商店街設立の趣旨を理解し、事務局運営に協力するということが条件です。地盤をしっかり固め、10年後、20年後を見据えた商店街運営を実施されているのです。商店街では様々な活動をしています。イベントでは余りにも有名で、向日市の人口を超える8万人もの集客がある「KARA-1グランプリ」のほか、「激辛ビアホール」や「カレーパンフェア」なども実施しています。現在(平成27年10月21日現在)では「最強激辛ハロウィン向日市脱出ゲーム!!!」としたゲームを実施中で、欧米系の外国人がチラシ片手に街中を歩いている姿を見かけられるといいます。
 京都向日市激辛商店街のイベントの特長としては、全てが「収益事業」であることです。これは、商店街の予算が年間1万円の加盟費のみであることが理由です。スポンサーを獲得し、イベントそのもので「儲ける」必要があるのです。商店街ではお客様をがっかりさせないため、飲食顧問によるスパイスの利用方法や調合方法のアドバイスのほか、商品の品質向上、店舗のマナーアップにも力をいれています。

激辛商店街の将来

 京都向日市激辛商店街は実行委員30名、執行部15名で運営されています。8万人を越える「KARA-1グランプリ」や商店街マップやチラシ作り、商品作りなどの全てを30名で実施しているのです。本業をおろそかにせずに商店街を運営することが重要で、委員の負担をどのように減らすか、また、減らしても品質を落とさない組織作りが今後の課題とのことです。向日市は京都、大阪にも近く、阪急とJRの駅が立地することから、集客にはもってこいの条件です。
 今後は、日本料理店など新しい種類の店舗の加盟や、海外からの出店などにも力を入れるほか、「KARA-1世界大会」が大きな目標であるとのことでした。


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商店街名:京都向日市激辛商店街

所在地:京都府向日市寺戸町山手22-1

対応者:事務長補佐 宮脇 繁

連絡先:090-4290-3002

 

バルが繋ぐ、バルから広がる地域のきずな【山科商店会】(京都市山科区)

訪問日:平成27年9月28日

協力AD:川崎 ますみ

飲食店を活かしたイベント「山科バルフェスタ」で知名度アップ!

 山科商店会は、JR山科駅、京都市営地下鉄東西線山科駅、京阪山科駅から南西に徒歩5分の位置にある、飲食店舗を中心に40店舗が集まる商店会です。90年代の山科駅再開発に合わせ、三商店会(京極会、和楽会、商栄会)の連合組織として現在の山科商店会が発足しました。
 かつては物販中心の商店街で、日常の買い回りをする地域住民で賑わいを見せていましたが、次第に物販の店舗が減少し、夜営業の飲食店が増えるなど業態が変化。昼間の賑わいが乏しくなっていきました。
 そこで、昼間の賑わいを取り戻すために、「人を呼び込む何かをしよう」と商店会が立ち上がります。京都の上賀茂神社、百万遍知恩寺などで開催されている手作り市を参考に、人を呼べる出店者には直接声をかけていき、山科で「軒下バザール」を開催。この軒下バザールは山科の集客イベントの一つとして定着します。
 さらに、山科商店会の次の一歩として平成26年春に「山科バルフェスタ」を開催。飲食店が中心という特色を活かしたこの取り組みは、初回から5000人を集める盛況となり、回を重ねるごとに集客人数も増加、翌27年春には2日で1万人を超える人出となりました。27年秋の山科バルフェスタは、10/10、11日に開催されたばかり。10日にバルを覗いてみましたが、見渡す限りの人、人、人で大盛況でした。

 

バルから広がる地域のきずな

 山科商店会の石田会長をはじめ、幹部の店舗は物販であるため、「山科バルフェスタ」イベントには立ち上げ時から飲食店主が関わり、リーダーとしてバルイベントを運営しています。バル出店店舗は約30店。商店会店舗に加え、地元山科の飲食店も加わり屋台が連なります。
 バルの賑わいをさらに高めるため、別々に開催されていた清水焼ゆかりのイベント「やましな駅前  陶灯路(とうとうろ)」とバルを同時開催とし、集客面、さらにはコスト面でも相乗効果を生み出すことに成功しました。
 また、バルイベントやその他の商店会イベントにおいても、京都薬科大学、京都橘大学、山階児童館、山科青少年活動センター、京都市山科合同福祉センター等と互いに連携し、地域交流の輪が広がっています。例えばバルイベントに大学等のブースを用意して活動の場を提供したり、イベントへの人的支援をしてもらったりと相互連携を図っています。関係者との相互連携にあたっては、石田会長をはじめとする組合幹部が調整力を発揮。幹部と若手とがそれぞれの土俵で戦う、組合組織としての成功要因がここにあるように感じます。
 このように、常に地域の賑わいに貢献する山科商店会の活動は広く評価され、地元自治体である京都市山科区のイベント支援策「“きずな”支援事業」の補助を得られるようになったほか、京都市営地下鉄の駅にバルポスター掲示が認められるようになり、山科商店会の知名度が向上。通行量は前年比2割増と、商店会の取り組みが具体的な成果に繋がりました。

心もお腹も満たされる。暖かい人との出会いが一番の魅力

 バルを見渡すと、焼き鳥の煙の向こうにはビールを片手に笑いの絶えないグループや、美味しそうなおでんを分け合うご家族、ギターの生演奏と歌声に耳を傾ける人など、めいめいが思い思いに楽しい時間を過ごしています。お揃いの緑のジャンパーを着た商店会の皆さんは、バルを楽しむ人達に笑顔で声をかけたり、さりげなくゴミを片付けたりと、お客さんがバルを楽しめるよう心を配っているのが伝わってきます。
 暖かいお料理に暖かい人達。お腹も心も満たされ、帰る頃にはすっかりこの街のファンになっていました。素敵な人達の暖かい笑顔に会いたくてまた来てしまう、それが商店街の魅力なんだなと実感した一日でした。


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商店街名:山科商店会

所在地:京都府京都市山科区竹鼻竹ノ街道町65-1

対応者:会長 石田 伊三雄

連絡先:075-592-2892

 

行けば楽しい何かに出会える商店街【駒川商店街振興組合】(大阪市東住吉区)

訪問日:平成27年9月14日

協力AD:弓場 彬人

徐々に増える空店舗への危機感

 駒川商店街は、大阪市の東住吉区に位置し、約230の店舗が軒を連ねる大きな商店街です。大阪を代表する商店街の一つとしても知られており、連日多くの買い物客で賑わう商店街ですが、その繁盛ぶりは商店街の方々の絶え間ない活動の結果もたらされているものでした。
 一見すると活気溢れる商店街ではありますが、近隣の大型店舗の影響もあり、最近になって少しずつ空き店舗が出るようになってきたことに商店街の方々は危機感を感じるようになりました。これまでは、空き店舗が出てもすぐに次の店舗が決まることがほとんどでしたが、すぐには決まらない場所が少しずつ増えてきただけでなく、空き店舗が、日貸しに出されるところも出てくるなど、これまでとは少し異なる動きが見られるようになってきたからです。
 しかし、状況を劇的に改善できるような特効薬などありません。商店街の方々は、駒川商店街のにぎわいを今後も維持し続けられるように「できることは何でもやろう!」と、工夫を重ねながら積極的な活動を続けられています。

 

景観の整備とイベント実施でにぎわいを

 駒川商店街の取組みの特徴としてあげられるのは、イベントの開催頻度の高さです。回数にすると年間約90回と、およそ4日に1回のペースで開催する徹底ぶり。お笑い芸人による商店街内のお買得生放送や駒川ビッグマンデーと称したセールのほか、無料の寄席や100円商店街などバラエティに富んでいます。
 商店街において頻繁にイベントを実施することで、来街者に対して「あそこに行けば何かおもしろいことしてるんちゃうか」というイメージを持ってもらうこと、ひいては駒川商店街は楽しい場所であるというイメージを持ってもらうことを意識しています。そのために、手を変え品を変え様々な形でイベントを打ち続けているのです。
 しかし、イベントを頻繁に開催するということは、商店街の負担も大きくなってしまいます。そこで、駒川商店街では振興組合内に設けられている様々な部会にイベントの担当者を分け、作業を分担することで負担の軽減を図っています。それだけでなく、この部会での活動は、商店街組織の幹部として活動する際の土台となります。各部会でイベント実施の経験を積むことは商店街内での人材育成の場としても機能しているため、後継者の育成にもつながっているのです。

 また、楽しい商店街という雰囲気を醸成するために、イベントなどのソフト面だけでなく、ハード面の整備にも取り組んでいます。具体的には老朽化したアーケードを改修し、日の光がたくさん入る明るい商店街を実現したり、子育て層を支援するコミュニティ施設を整備し、子育て層にも利用しやすい状況を整えたりとできることから確実に取り組んでいます。
 そして、ソフト面、ハード面の事業実施の際には地域の自治体や国の補助金を活用するなど、資金面での負担を少しでも小さくする工夫も忘れてはいません。

 

地域ぐるみで活気ある商店街に

 このような活動を続けてきた結果、毎年7月に開催する「駒川まつり」では地域内外から多くの人が集まるようになっており、27年度の開催では約4万人の参加がありました。100円商店街の実施にあたっても、売上金額が通常時の約2倍に達するなどその効果が着実に現れてきています。更には街ゼミの開催も予定しており、現在商店街支援センターの制度を活用し、商店街として勉強会を重ねているところです。
 このように様々な活動に積極的に取り組んでいる駒川商店街ですが、この活動を実現出来ている要因として、地域の自治会、地域のプロサッカーチームや近隣の大学など外部の団体と協力して実施していることが挙げられます。
 商店街の苦境を乗り越えて行くには、商店街だけでの活動には限界があります。しかしながら、地域の自治体や団体などと一緒になって取り組むことでその取組みが成功する可能性は飛躍的に高まります。駒川商店街においても、地域ぐるみで取り組むことで、多くのイベントを開催し、にぎわいの創出を実現してきました。商店街の運営体制の構築や地域との連携などの工夫を重ねられてきたことが駒川商店街のにぎわいの実現につながっています。


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商店街名:駒川商店街振興組合

所在地:大阪府大阪市東住吉区駒川4-11-16

対応者:山口 隆二

連絡先:06-6699-3931

 

食の魅力でインバウンド客も地元の客も【黒門市場商店街振興組合】(大阪市中央区)

訪問日:平成27年9月10日

協力AD:藤井 玉夫

きっかけはある疑問

 鮮魚店や食料品店などが建ち並び、「大阪の台所」と言われる黒門市場商店街。今でこそインバウンド客で大変な賑わいをみせていますが、こうなることは6年ほど前には誰も予想だにしませんでした。当時は、相次ぐ食品スーパーの出店、少子高齢化による需要の減少等により、来街者は減少していました。きかっけは、「これからは中華圏の人々が多くなるだろう。その時に組合としては、どう対応されるのか」というある鮮魚店の店主の提言で、商店街としてはその課題に応えるために、先手の対応を行いました。

 

インバウンド増のニーズ対応、課題解決

 まず、大阪市の補助金を活用して提灯をアーケードから吊し、日本的、黒門的な雰囲気づくりを行いました。
 そして、全国商店街振興組合連合会の予算を活用したニーズ調査により、受け入れ体制の整備、対策を練りました。主にアジア系のインバウンド客の増加を想定し、日本語・英語・中国語(繁体字)の市場パンフレットを自前で大量に発行しました。これは好評により、毎年更新しています。
 また、インバウンド客は買った新鮮な魚介類や食品を店先ですぐ味わいたい、そしてその様子をSNSで故郷や世界に発信したいというニーズが強く、個店がイートインコーナー設置し始めると、これが更なる来客増、売上げ増に結びつきました。SNS効果により、最近は日本人の若いカップル客も増えているそうです。また、リピーターが多いのが強みです。

 このように、インバウンド効果でかつての賑わいを取り戻す一方で課題も生じてきました。スーツケースを持って移動するインバウンド客による混雑、食べ歩きによるゴミの増加、トイレの不足等です。そこで商店街は課題解決のために、ある空き店舗を買い取り、無料休憩所とWifi整備を行ったところ、利用者が多く常に満杯で、Wifiの利用も極めて高い状況です。
 こうした商店街としてのインバウンド対応について当初は難色を示す店主もいましたが、目に見える売上げ増で理解と意識が変わってきました。マナーについても組合の方から各店に文化・風習の違いを理解して頂く様に指導を行うことで改善もみられます。商店街の賑わいにより、構成店舗の新陳代謝が生じ、商店街全体の活性化に繋がってきました。来街者は、休日には3万人、平日でも2.3万人に登り、更に増加傾向にあります。
 そして、国等の補助金の活用により、アーケード改修等継続的な対策を講じていることも、現在の賑わい継続に寄与しています。
 また最近は、旅行社、自治体・商工会議所、他の商店街や自治会等から、市場バスツアーや地域特産品の販売、共同イベント等の提案が寄せられ、組合の業務は多忙となっておりますが、個店の更なる売上げ増、地域全体の活性化に繋がるものとして協力を惜しみません

 

地元客も大切に

 インバウンド客増加の負の側面として、混雑等のために元々の顧客である地元客の足が遠のくという問題があります。商店街としては、従来の近隣顧客も大切にしたいところです。
 そのため、日本人向けの売出しセールやイベントなどを定期的に開催するなどの棲み分けを図っています。また、商店街で別会社を設立して独自ブランドの商品開発「なにわのぽんず黒門市場」に取組み、こうした活動を今後も拡充させたいと考えています。

 

風通しの良い組織

 商店街振興組合は、総務部、事業部の下に青年部、アーケード維持管理委員会、観光対策委員会など、多くの下部組織があり、各店主や若手従業員が何らかの役割を担って活発に活動しています。その中で、組合幹部の後継者も順調に育っているとのこと。日頃からの“飲みにケーション”で何でも言いやすい風潮が強みです。それが冒頭のように、店主が疑問を商店街振興組合にぶつけ、一早い対策を取ってチャンスを迎え撃つことにも繋がりました。
 黒門市場商店街は、今後新たな課題が生じても逞しく乗り越えて発展していくことでしょう。


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商店街名:黒門市場商店街振興組合

所在地:大阪府大阪市中央区日本橋2-4-1

対応者:理事長 山本 善規、副理事長 吉田 清純

連絡先:06-6631-0007(國本事務長)

 

話題作りを楽しみながら地域に愛される商店街【水道筋商店街協同組合】(神戸市灘区)

訪問日:平成27年9月17日

協力AD:藤井 玉夫

地域型商業集積の中核

 阪急王子公園駅の南東に位置し、時間帯を問わず多様な年齢層の買物客で賑わい、買い回り系の7つの商店街と生鮮系の3つの小売市場の中核となっているのが、水道筋商店街です。低価格で有名なスーパーの本店があり、地域との協力的な関係を保っているのも強みです。平成7年の阪神・淡路大震災で小売市場が被災した際に生鮮食料品店舗の減少が心配されましたが、この商店街で再建されるなど地域商業集積による賑わいが保たれています。
 とは言え、昭和40年代の賑わいにはほど遠く、郊外の大型店との競合で電気店、文房具店、書店が消え、業種不足による来街者への不便、マンション建設が著しい状況下の駐車場の設置の難しさなど、課題も抱えています。でも、水道筋商店街ではそれらの課題を払拭するような新しい試みが次々と生まれています。

 

アメフトの新拠点を地域資源に

 そのきっかけは、平成15年に西宮市から近所の王子スタジアムに移されたアメリカンフットボールの拠点に着目し、商店街との繋がりを深めようという若手経営者からのアイデでした。「若手えびす会」を組織し、阪急王子公園駅での商店街のインフォメーションセンター設置を皮切りに、西宮えびす神社から開運・商売の神様として、アメフトボールを持った「汗かきえびす」を商店街に分祀しました。アメフト選手と地域交流を深めるイベント等で商店街に活気を与えるとともに、自治会、大学や商工会議所との交流、周辺商店街、小売市場との連携、区役所からの支援体制の構築など現在の商店街活動の基盤形成に繋がりました。

 

新たなネタで人の流れを紡ぐ

 このようなネットワークの中で、商店街として地元密着の様々なイベントを継続的に実施してきました。
 毎月10日のえびすまつりと商店街試食販売(つまみ食いツアー)に加え、夜店、地域の商店街や市場の店主に10分づつ講義してもらう「商店主リレーツアー」などです。最近では、神戸プレミアム商品券に関するイベントとしてアイドルタレントのイベントをもじって「水道筋総選挙」を行うなど、話題づくりには事欠きません。
 常に情報発信し、新しいネタ作りをして、新聞等に記事として取り上げられるのを目指しており、広告には力を割きません。イベントの告知も商店街のブログ等で最小限の負担で済ませ、むしろ参加者の口コミ、SNSによる効果を狙っています。地域の商業集積を含めた昔ながらの路地裏のようなおもしろさを発信する小冊子の作成なども行っています。
 数多いイベントの実施体制や進捗管理などは大変ではないかと懸念されますが、リーダー格のメンバーによると、若手の積極的な参加や地域の理解の深まりなどのお陰であまり苦労したような記憶はないそうです。皆ができる範囲のことを各々受け持ち、楽しんで取り組んでいるので、新しいアイデアも自然と出てくるのかなという感想でした。イベントの後の打ち上げでは、店から5人まで招待するなどにより、コミュニケーションの円滑化が自然と行われています。このような動きの中、最近、若手の新規出店や、2代目、3代目が帰ってきて新陳代謝が見られるようになりました。
 また、商店街としては、次世代の顧客も育てるべく、夜店イベントで子供の店長体験を企画するなど、地域のファミリー層との交流も進めています。国や自治体の補助金の活用は商店街にとっては、リスク回避と経費捻出のためという位置づけです。やってみないとわからない大きめのイベントや、街路灯のLED化による電気代の削減などに有効活用しています。
 もう一つ、商店街の特徴として喫茶店が多いこと挙げられます。全国チェーンの喫茶店は一つもなく、年配のご婦人やご主人、若い子連れママなど、各年代や趣向に合った喫茶店が健在で地域住民のコミュニティの場として機能しています。
 生活を楽しむ軽やかな思考で、地域密着型の商業集積の核としての賑わいが今後も期待される商店街です。


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商店街名:水道筋商店街協同組合

所在地:兵庫県神戸市灘区水道筋4-2-6

対応者:理事長 若井正則、副理事長 津村 正武

連絡先:078-871-1818(西井運営企画部長)

 

変わり始めた城下町商店街【本町五六商店街協同組合】(兵庫県洲本市)

訪問日:平成27年9月29日

協力AD:川崎 ますみ

変わる淡路島のライフスタイルと商環境

 本町五六商店街(通称:コモード56)は、淡路島の中心部に位置する洲本市に古くからあり、約50の店舗からなる商店街です。淡路島を代表する商店街ですが、ここ数年は来街者の減少に歯止めをかけられず苦しんできました。
 高度成長期には近くの紡績工場で働く人々をはじめとした地域住民の買い物の場としてだけでなく、島内全域から買い物客が集まる状況で、商店街は活況を呈していました。
 しかしながら、工場の閉鎖や車の利用が進んだことで住居も郊外に移り、大型店も郊外に立地するなど商環境は大きく変化。さらには明石海峡大橋の開通もあり、これまで島内で買い物をしていた人々が神戸などの都会に向かうようになるなど、本町五六商店街が置かれる状況は厳しくなる一方でした。
 こうした中、本町五六商店街はこうした状況をなんとか変えようと、まず城下町という立地を活かした景観形成を進めるために坂本理事と山本理事を中心とした有志のメンバーが動き始めます

 

外部人材がもたらした変化

 最初に手を付けようとしたのは商店街のファサードです。今は店舗によってバラバラになっているものを城下町風に統一しようと考えました。しかし、ファサードを整備するためには店主が工事費を負担する必要があり、効果が読めない工事に賛同する店主はほとんど現れません。
 そこで、まずは両理事を中心に説明に回り、ファサードの整備には城下町風にすることを検討するとして商店街(五丁目地区)で協定を結ぶことで、商店街のファサードを城下町風にしていくことの第一歩を踏み出しました。そして、翌年度には兵庫県が伝統的・歴史的町並みに係る外観改装に、洲本市が統一的な外観の整備改修に対する助成金を設けたことから助成金を活用できる環境が整います。
 ところが、助成金が活用できる状況になっても、ファサードの工事に着手したのは両理事の他数名の賛同者のみで状況は変わりません。まずは両理事と賛同を得られた少数の協力者とともに小さく始めざるをえない苦しいスタートとなります。
 しかし、商店街の入り口にある空き店舗のリニューアルを行う際に、市外の若手設計士を起用し、コンサルティングとデザイン提案を行ってもらったことが転機となり、商店街に変化をもたらします。
 この若手設計士はリニューアルした空き店舗に入居することとなり、カフェやギャラリーなどこれまでにはない新たな形態の店舗の展開へとつなげていったのです。外部の若手人材を活用したことによって商店街にあらたな流れが生まれ始めました。
 これらの新しい店舗は、若者を対象にしたような旅行雑誌などに取り上げられるなどし、商店街がこれまでになかった形で紹介されるようなケースが少しずつ出てきます。その結果、これらの店舗を目当てにした観光客が少しずつ見られるようになってきたのです。

 

変わりはじめた城下町商店街

 このような活動を続けてきた結果、新規出店者も出てくるようになり、空き店舗も少しずつ解消されてきました。あれほど賛同者の確保に苦労していたファサードの整備についても、こういった変化を目にした店主から「うちもやってみようかと思うんやけど」と相談を受けるまでに状況が変化してきました。
 また、こうした取組みと前後して、「レトロなまち歩き」が平成24年から始まり(主催は商店街とは別の団体)、毎回1万人が集まるイベントに成長しています(半年に1回程度開催)。「レトロこみち」は五丁目・六丁目と交差する通りで映画のロケ地として使用されたこともあり、古民家を活かした小さなショップが多く出店している注目の地域です。
 新たな店舗や観光客の増加によって、本町五六商店街の人通りは変わりつつあります。隣接している駐車場は満車になることが多くなったため、回転率を上げるために値上げするほどに利用率が向上。平成27年度には六丁目でも同様の街づくり協定が結ばれ、改修工事が始まりました。(現在6丁目では5軒ほどの改修希望があります。)
 平成26年度には国の助成を活用し、商業インキュベーション施設(写真)を整備し、新テナント誘致のための環境整備を行いました。また、来年には商店街の舗装を石畳風に修繕される予定であり、城下町風の景観形成がまた一歩進みます。
 当初は賛同者が少なかった取組みですが、信念のある有志のメンバーで小さくながらも一歩を踏み出したことや外部の若手の協力を得たことがそれぞれ転機となり、目に見える変化を生み出すことができました。少しずつながらも結果が目に見える形になったことで、賛同者も少しずつ増えてくるなど、その活動の輪が広がっています。
 厳しい環境であることに変わりはありませんが、歴史ある城下町の商店街は変わり始めています。


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商店街名:本町五六商店街協同組合

所在地:兵庫県洲本市本町5-2-20

対応者:坂本 昌文

連絡先:0799-22-8253

 

「おかげの心」でにぎわい復活【片塩振興協議会】(奈良県大和高田市)

訪問日:平成27年9月25日

協力AD:弓場 彬人

大型店の撤退と空き店舗の増加

 片塩振興協議会は、近鉄南大阪線高田市駅近辺にある4つの商店街(高田市駅前商店街、かたしお遊とおり、サンサン中通り、片塩コスモス通り)にある95店舗からなる団体です。約20年前に結成し、それ以来、各商店街が協力して商店街活性化のために活動を続けてきました。
 この地域は、古くから紡績業が盛んであり、紡績工場も建設されたことから、商店街は多くの工場労働者に利用され、常に多くの人でにぎわっていました。また、商店街の利用者が多かったことを受け、お店がどんどん集まってきたため、非常に活気ある商店街が形成されました。片塩地域は周辺地域における商業の中心地として発展します。
 しかし、その後、工場が閉鎖したことによる工場労働者の減少や郊外型大型店舗の立地の影響を受け、商店街の利用者は徐々に減少。平成22年には地域の核となっていた大型店舗も閉鎖してしまいます。商店街において、この店舗は集客力の面で非常に大きな役割を果たしていたため、撤退により商店街の人通りはますます減少してしまうという苦しい状況に陥ります。
 その影響は非常に大きく、商店街の約2割が空き店舗になってしまうまでに状況は悪化。この状況に片塩振興協議会は危機感を強めます。これまでの活性化策だけではなく、新たな取り組みの必要性を強く感じましたが、状況を打開するためには何が必要であるのか、その方向性が分からず悩みました。
 そのため、まずは方向性を考えるための活動から始めることとしました。

 

高齢者に優しい商店街へ

 まず始めたのは他地域の視察。
 商店街の方向性を考えるために、全国の成功事例とされている商店街まで実際に行き、話を聞いてみることにしました。それぞれの商店街がどのような状況におかれているのか、またその状況を打開するためにどのような取組みを実施しているのかということを考えるため、何度も現地に向かい話を聞きます。
 また、自分たちの商店街でもアンケートやマーケティング調査を行うなどし、その結果をもとに商店街の方向性を考えるということを繰り返しました。
 そうして見えてきた方向性は「やっぱり高齢者に優しい商店街やないとあかん」というもの。
 商店街の利用者は地域の高齢者や子育て層が中心。これからも商店街がにぎわいを維持していくためには、増え続ける高齢者が利用しやすい商店街であることが重要との考えに至ったのです。
 これまでは、方向性を決めることができなかったことで、不安な気持ちになりがちでしたが、自分たちの方向性が定まったことで、やるべきことが明確になり気持ちも前向きになっていきます。
 その後、商店街の土地所有者の有志が出資して「片塩まちづくり株式会社」というまちづくり会社を設立。地域の不動産価値向上につながる活動も始めることとなりました。
 店舗オーナーと出店希望者の間に入り、家賃交渉を補助することで、円滑な出店を手助けしています。オーナーが考えている家賃が地域の相場や出店者の希望額に乖離が見られることがよく見られますが、まちづくり会社が間に入って、家賃を2~3割程度安くしてもらうことや、保証金を下げて貰うようことを交渉するなどしています。オーナーには、高い家賃を設定できていたころのイメージが強く残っており、当初は難色を示されることも多々あるものの、同じように不動産オーナーが出資しているまちづくり会社が間に入って説明することで話をまとめることに成功しています。そして、このような活動を続けていく中で、撤退した大型店の跡地に大型スーパーがオープンします。

 

空き店舗が半減、さらに人が集まる場所へ

 大型スーパーが出店したことで、商店街の人通りが徐々に増え始めます。
 その影響もあり、最近ではサービス業を中心に新しいお店の出店が増えてきました。商店街においても「高齢者に優しい商店街」の実現に向けた活動を具体化するため、国の支援制度を活用し高齢者向け交流施設の「わかがえり~な」を整備します。
 最も状況が悪かった時期には20店舗以上あった空き店舗も今ではその半分以下に減少。状況が少しずつ好転してきました。
 春と秋に開催している「おかげ祭り」、や七夕、3、7、10月に開催している寄席などのイベント開催時には毎回多くの参加者で商店街がいっぱいになるにぎわいぶりです。
 そして今、さらに人が集まる場所へと市も動き始めました。
 大型店跡地の残りのスペースに市民交流センターを建設することが予定されているのです。コミュニティバスの拠点にもされる予定であり、市もこの市民交流センターに人が集う機能を集約することも検討されています。
 今は、さらに人でにぎわう状況とすることができるかどうかの重要な局面。商店街はおかげさまの心を商いのモットーに、高齢者に優しく、来て見て楽しめる商店街を目指して立ち向かっています。


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商店街名:片塩振興協議会

所在地:奈良県大和高田市片塩14-31

対応者:布川 清澄

連絡先:0745-52-4189

 

「しんぐう逸品」は、自らを知ることから【新宮市中心市街地エリア内商店街(会)】(和歌山県新宮市)

訪問日:平成27年9月30日

協力AD:伊津田 崇

「しんぐう逸品」誕生前夜

 新宮市は和歌山県の南部、熊野川の河口に位置する都市で、熊野三山の1つである熊野速玉大社の門前町として栄えてきました。また、熊野川の舟運を利用した木材の集散地でもあり、現在でも、熊野地方(旧牟婁郡)の中心的な都市の1つとなっています。しかし、人口は減り続けており、特に学校を卒業した若者の流出が顕著とのことです。新宮市には市内に9つもの商店街(小規模な商店会も含む)が存在していますが、最近では商店街組織の低下が激しく、イベントなどを実施するにも足並みが揃わないという事態に陥っておりました。また、消費者等をターゲットにしたアンケートを実施したところ、「商店街では買いたい物がない。」との意見が多いことが分かりました。今回、お話をお伺いした「仲之町商店街」は、新宮駅と国道42号線の中間附近に存在し、アーケード整備や各種取組、市内商店街の中では立地条件などにも恵まれていることから、比較的賑わいを維持し続けている商店街の1つに上げられています。しかし、アンケート結果にもあったように、来街者の減少原因が個店の魅力低下によるものと分かった以上、何らかの手を打つ必要を感じていました。仲之町商店街副理事長である、勢子啓子さんをリーダーとした、複数の商店街をまたいだ有志の商業者が集まり一店逸品運動への取組が始まるのでした。

 

「しんぐう逸品」で商店街が団結

 そんな中、新宮商工会議所の商店街担当者から、TMO構想(新宮市中心市街地活性化のためのまちづくり計画)の策定を担った専門家に「一店逸品運動」の講演を聞いてみるようアドバイスがありました。この講演を聴いたことにより、商売の考え方が大きく変わりました。これまでは売ることだけを目的とした商品選択をしておりましたが、多数の品揃えが出来るスーパーと違って、個店では必然的に商品数が限られます。その中でスーパーと同じような品揃えをするのではなく、店の強み(得意分野)を良く理解し、お客様が何を求めているのかを考えて品揃えをしていくことを学んだそうです。孫子の兵法にもいう、「敵を知り己を知れば百戦危うからず」といったところでしょうか。
 「しんぐう逸品」は平成15年の第1回から数えて今年で13回目となります。参加店舗は、多い年で約60店舗、平均して30店舗前後で実施しています。「一店逸品運動」というのは、商店街や共同店舗のそれぞれのお店が、お客様に自信をもって、オススメできる商品を積極的に展開していく活動のことです。まずは参加店舗が自店の「逸品」を持ち寄り、検討会において議論し、お客様の求めている商品であるか、「逸品」として相応しい商品かの検討を重ねる必要があります。
 まず、各商店街の主だった店主は新宮商工会議所を事務局とした準備委員会を設置し、運動への参加店舗の募集を行いました。次に本格的な運動実施に向けて各商店街から委員を選出し「逸品フェア実行委員会」を立ち上げました。実行委員会は、月1回のペースで半年かけて検討を重ね、スケジュール管理や問題点の指摘など、新宮商工会議所の担当者がオブザーバーとして監督をしています。新しい取組のきっかけ作りからイベントの実施まで、商工会議所の担当者が親身になって対応したことが、ここまで続けてこられた理由の1つと言っても過言でありません。

 

「しんぐう逸品」マンネリ化を防ぐために

 逸品フェア実行委員会では、マンネリ化を防ぐため、「一店逸品」に様々な取組を組み合わせてきました。平成17年には、「商店街知恵袋」という冊子を作成。商店街の持っている知識を発掘、お客様に提供することで「モノ」だけではなく「人」をアピールし、大店との差別化を図りました。平成20年には、オークワ仲之町店の協力を得て、各店の逸品を一堂に集めて披露する場を設けるなど、大店との協力関係も築いています。また、全国的にも珍しい試みとして、「しんぐう逸品」期間中に街ゼミである「逸品ゼミナール」を開催。6店舗が持っている専門知識を披露しました。
 このような取組により、商店街の個店としても、他店との情報交換は自店に活かせることが多く、ディスプレイや品揃えの見直しにもつながるほか、お客様の声を聞く機会にもなり、絶えずお客様の目線で商品を見られるようになったと大きな反響があるようです。しかし、イベントの実施には何度も実行委員会における議論が不可欠であるため、なかなか新しく参加する店舗が増えないのも現実です。今後は、「しんぐう逸品」の参加店舗を示す、黄色い幟が新宮一杯に広がることを目指して活動していきたいとのことでした。


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商店街名:新宮市中心市街地エリア内商店街(会)有志店舗(逸品フェア実行委員会)
     振興組合:駅前本通り商店街振興組合・丹鶴商店街振興組合・仲之町商店街振興組合
     任意団体:谷王子商店会・神倉商店会

対応者:新宮商工会議所 経営指導員 山口 允也

連絡先:0735-22-5144

 



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