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特定商取引法・割賦販売法の改正について 

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最終更新日:平成21年9月29日
 ページの目次

はじめに
現行法の概要
法改正の概要
民事ルールの改正
行政規制および罰則の改正
おわりに

 はじめに

   最近の悪質商法による消費者トラブルは、度重なる法制度改正にもかかわらず多様化・複雑化しており、特に、独居高齢者の判断力不足に付け込む事例や、団塊の世代の退職者の資産をターゲットにする事例が後を絶ちません。また、悪質な販売方法のみならず、それを結果的に後押しすることになるクレジット契約に対しても、適切な規制を加える必要性が高まっていました。

   このような状況を改善するため、平成20年6月、特定商取引法および割賦販売法が大幅に改正されました。特定商取引法(正式名称は、「特定商取引に関する法律」)は、消費者トラブルの多い取引類型を定め、その特徴に応じた民事ルールや行政対応を規定した法律であり、また割賦販売法は、クレジット取引のうち一定の分割払いに関する民事ルールや行政対応の規定を含む法律で、いずれも悪質商法に対処する有力なツールとなっています。

 現在電子メール広告に関する規制等一部の内容を除き、政省令の改正作業中のため、法律運用の詳細はまだ定まっていませんが、消費者自ら悪質商法に対処する術としての民事ルール部分をメインに、事業者の義務や禁止行為などにも触れ、今回の改正内容を紹介します。  

 現行法の概要 

   はじめに、改正内容をご理解いただくための予備知識として、現行法(今回の改正前)の概要を説明します。

   特定商取引法は、訪問販売(いわゆる訪問販売のほかキャッチセールスやアポイントメントセールスなど)、通信販売、電話勧誘販売(電話での勧誘による通信販売)、連鎖販売取引(いわゆるマルチ商法、ネットワークビジネス)、特定継続的役務提供(エステティックサロン、語学教室、学習塾、家庭教師、パソコン教室、結婚相手紹介サービスであって、所定期間以上かつ所定金額以上のもの)、業務提供誘引販売取引(いわゆる内職商法)の6類型を定め、このうち前3者(訪問販売、通信販売、電話勧誘販売)については、法対象となる商品、権利、及び役務について、政令で指定したものに限定しています(指定商品制)。

 また、消費者保護という法律の主旨や各取引類型の特徴に応じ適用除外を定めており、訪問販売の場合を例にとれば、営業目的で商品を購入する場合や、いわゆるご用聞きのようにすでに相手方と信頼関係がある場合などが適用除外になります。
 同法においては、通信販売を除く各類型について、いわゆるクーリング・オフと呼ばれる消費者から行う無条件での契約解除、不実告知を受けて契約した場合の契約取消と、クーリング・オフ期間経過後に消費者から契約解除する場合に事業者が定める損害賠償額の制限などの民事ルールを定めています。
 事業者に対しては、罰則や行政処分を担保として、書面交付や広告表示に係る義務、勧誘に際して消費者を困惑させる行為や不実告知の禁止などを課しています。

   割賦販売法は、法律全体としては、消費者が2ヶ月以上の期間にわたり、かつ、支払回数が3回以上の分割払いをする場合の取引ルールや行政対応を定めたものです。 今回の改正に関係するのは、割賦販売(商品等販売者自ら信用供与)、ローン提携販売(金融機関が信用供与)、及び割賦購入あっせん(信販会社が信用供与)の3つがあり、現行では指定商品制を採用しています。
 ただし、指定されている商品等は特定商取引法のものとは完全には一致していません。また、消費者保護という法律の主旨等から、営業目的など適用除外の場合を定めています。

  同法の民事ルールでは、例えば、契約期間の途中で語学教室やエステティックサロンが倒産した場合、割賦購入あっせん(信販会社等)を利用した分割払いで返済している途中であれば、その支払を一時的に停止するよう求めることができる規定があります(支払の免除を認めるものではありません)。

 また、事業者に対し、罰則を担保として、書面交付や取引条件表示に係る義務を課すとともに、割賦購入あっせんのうち、総合方式(クレジットカード等を利用し商品購入毎に支払回数を決めるもの)とリボルビング方式(クレジットカード等を利用し購入総額に対し各支払回において一定割合又は一定金額を支払うもの)については、割賦購入あっせん業者(信販会社)に開業規制(事前登録制)があります。

 法改正の概要

 続いて、法改正の内容を説明します。
 なお、現在電子メール広告に関する規制等一部内容が平成20年12月1日をもってすでに施行(実施)されていますが、改正内容の大部分は、法律公布(平成20年6月18日)後1年6ヶ月および2年6ヶ月以内に施行(実施)時期を迎えるものであり、全体としては段階的に実施されることになります。

○指定商品・指定役務の廃止、及び法対象外商品の整理・明確化
 前述しました指定商品制では、これまで、法対象外の商品等で消費者トラブルが発生するたびにそれが法対象に追加されてきましたが、追加された時にはすでにその制度の「隙間」を狙って、また別の法対象外の商品等のトラブルが発生する、といったことが繰り返されてきました。いわば、法の手当てがトラブルの後追いの形になり消費者被害が絶えませんでした。

 今回の改正では、この考え方を180度転換し、両法とも、指定商品及び指定役務を廃止し、原則すべての商品・役務を法対象としたうえで改めて対象外となる商品等を整理・明確化することにしました。ただ、指定権利については、あまりトラブルが発生していないこともあり従来どおりとなっています。 結果として、法対象外とする商品・役務については、次のような整理となります。
 なお、営業目的の場合の適用除外など、取引の性質による適用除外規定については、今回は変更ありません。

 @  全面的に適用除外とするもの ・金融商品取引法、旅行業法、宅地建物取引業法など、すでに他の法律によって消費者保護が図られているもの
 Aその商品等の性質からクーリング・オフ規定のみのような一部を適用除外とするもの ・乗用自動車、葬儀、化粧品などのいわゆる消耗品、3000円未満の現金取引
 Bその他の理由で適用除外とするもの ・弁護士の職務、株式会社以外が発行する新聞

○「割賦購入あっせん」における用語の見直し
  前述のとおり、割賦販売法におけるクレジット(割賦購入あっせん)規制の対象は、これまで「2ヶ月以上かつ3回払い以上」の分割払いに限定されていましたが、最近の消費者被害事例での支払方法を見てみると、ボーナスを含む2回払いや一括払いのケースも少なくありません。
 そこで、今回の改正で、商品等の購入契約から支払まで2ヶ月を超える場合すべてを、法規制の対象とします。なお、購入した翌月の一括払いについては、単なる決済手段としての性格が強いため、規制対象には入りません。

  この結果、規制対象として一括払いも含まれることになったため、これまでの「割賦購入あっせん」を「信用購入あっせん」とし、クレジットカード等を使用し総合方式やリボルビング方式で支払うものは、クレジットカード契約時など事前に信用調査が行われ包括的に与信限度額などが設定されるため、「包括信用購入あっせん」と呼ぶことになりました。
 一方、クレジットカード等を使用しない場合は、商品等の個別の購入契約ごとに与信が行われるため、「個別信用購入あっせん」と呼ぶことになりました。

 なお、いわゆる自社割賦(割賦販売)およびローン提携販売については、現在までのところ消費者トラブルが多く発生していないため、従来どおり、「2ヶ月以上かつ3回払い以上」の分割払いを規制対象とします。
 民事ルールの改正
 ここでいう「民事ルール」とは、法律の規定のうち契約締結や紛争解決など私人間の法律行為に適用されるルールのことで、民法・商法がベースとなっています。本来は裁判において基準とされるルールですが、予めこのようなルールを示すことで、法律行為の当事者となる消費者や事業者の行為を事前に律し、紛争を未然に防止する役割も担っています。

 現行の特定商取引法および割賦販売法の民事ルールでは、訪問販売等におけるクーリング・オフ(無条件の契約解除)やクレジット契約での支払停止の抗弁など、民法・商法に優先して適用される特別な規定を設けており、消費者の利益を保護しています。 以下では、今回改正された主なものを説明します。

1.訪問販売の契約解除ほか(特定商取引法)

 ○訪問販売での過量販売の契約解除
  最近の被害事例として多いのが、いわゆる「過量販売」あるいは「次々販売」といわれるもので、一度不用意に買ってしまうと、特に、判断力の低下した高齢者や気の弱い消費者の場合、巧みなセールストークや強引な勧誘により次々に不必要な商品等を買わされたり、また別の事業者が入れ替わりやってきて被害がさらに拡大するケースも少なくありません。
 その結果として、通常では考えられない大量の商品を購入し、気がつくと生活を圧迫する高額な支払を迫られることになる被害が増えています。

  そこで、今回の改正では、訪問販売において通常必要とされる量を著しく超える商品等を購入した場合、消費者にその契約を結ぶ特別の事情があった場合を除き、契約後1年間は契約を解除できることとしました。
  契約解除ができる過量販売には、次の2つのパターンが考えられます。  

*ある事業者の1回の販売量が過量である場合
 例えば消費者が「親戚に配る」といったような過量な契約を必要とする特別な事情がない限り、過量という外形的な要件で決まります。なお、この「過量な契約を必要とする特別な事情」の存在については、事業者に立証責任があります。

*過去の購入の累積があり、さらなる販売行為によって過量になる場合
 この場合、過量であるという外形的な要件に加え、事業者の悪意性、つまり当該販売により過量になることを事業者が知っていたことが必要になります。

   なお、契約解除後の精算ルールについては、特定商取引法の訪問販売のクーリング・オフ制度の精算ルール(当事者双方の原状回復義務など)によることとされます。 また、併せて、過量販売に対する行政規制も導入されますが、これについては以降で説明します。

○クーリング・オフまでに使用していた商品の事業者による対価請求を原則不可に
  特定商取引法の訪問販売のクーリング・オフ制度において、クーリング・オフ期間は8日間という短期間を想定していましたが、その後クーリング・オフ妨害に対処する法改正がなされた結果、契約の数ヶ月後にクーリング・オフを認める裁判事例も多くなっています。

 このように長期間経過後にクーリング・オフが認められた場合、その間に商品を使ってしまっているというケースが見受けられるようになりました。この場合、クーリング・オフにより契約が解除されると、事業者及び消費者の双方に原状回復義務が発生しますが、使用による対価を事業者に請求され、結果的にクーリング・オフが無意味化されてしまう問題が発生していました。

  そこで、クーリング・オフの精算ルールを見直し、仮に商品を使用していた場合でも事業者はその使用の対価を請求できないこととすることで、消費者利益を保護することとしました。

2.個別クレジットの契約解除ほか(割賦販売法)
 先ほどの説明で、割賦販売法におけるクレジット取引の種類の定義(分類整理)を説明しましたが、そのなかで実際の消費者トラブルは、クレジットカード等を使用せず商品等の個別の購入契約ごとに与信を行う「個別信用購入あっせん」(以下、「個別クレジット」とする。図1参照)による場合に集中しています。
 というのは、訪問販売業者と提携してクレジットを与える個別クレジット業者は、顧客獲得や与信審査などで購入者の信用状態や勧誘の実態について知り得る立場にあるなど、販売業者と密接な関係を持っており、事実上、販売業者の悪質な勧誘によって得た利益の配分に預かっていると言えるため、消費者被害を拡大させる要因ともなっていました。

 今回の改正で、この部分についての消費者の権利の強化を図りました。特に、クレジット取引では、これまで既払金の返還については割賦販売法の規定がありませんでしたが、今回の改正で、一定の条件において、個別クレジット契約を解除または取り消して既払金を返還できることとしました。主な改正内容は以下のとおりです。

   なお、これら民事ルールと併せて、個別クレジット事業への登録制度の導入、加盟店(販売業者)管理の強化、購入者(消費者)の信用状態のチェック体制の強化など、行政規制も強化されましたが、これらについては以降で説明します。
図-1
○訪問販売での虚偽説明に伴うクレジット契約の取消し
 
 これまでは、訪問販売業者の不実告知(勧誘の際に嘘を言うことなど)を理由に売買契約を取り消した場合、クレジットの支払についてその事由(売買契約取消し)をもとに以後の支払は中断できましたが、既払金の返還を求めることはできませんでした。その結果、悪質な勧誘を行った販売業者の倒産や行方不明等により、消費者は既払金部分の救済は受けられませんでした。

  そこで、今回の改正では、販売業者がクレジット契約の勧誘を行うに際し、支払総額・支払回数等のクレジット契約の内容や、商品の品質・性能等の販売契約に関する重要事項について、不実の告知などの不適正な行為を行った場合、クレジット契約を取り消すことができることとしました。
  また、この場合の精算関係を明確にするため、クレジット契約が割賦販売法により取り消され、かつ、販売契約が特定商取引法の取消権等により無効となった場合、以下の精算ルールが定められました。
 ・個別クレジット業者は、立替払相当額を消費者に請求できない。
 ・販売業者は、立替金を個別クレジット業者に返還しなければならない。
 ・購入者及び個別クレジット業者に支払った既払金については、返還請求できる。  

○訪問販売での過量販売に伴うクレジット契約の解除
 先ほども説明しました過量販売による消費者トラブル発生の背景には、手元に現金の持ち合わせがない場合でも、個別クレジットの利用により商品等の購入が可能になるといった要因がありました。
 このため割賦販売法においても、契約後1年間は、訪問販売による場合、通常必要とされる分量を著しく超える商品等の購入に係る個別クレジット契約を解除できることとしました。なお、特定商取引法と同様、消費者が過量な契約を必要とする特別な事情がある場合は除かれます。

  また、契約解除後の精算関係を明確にするため、以下の精算ルールが定められました。
・クレジット契約に関する損害賠償が制限される。
・個別クレジット業者は、立替払相当額を消費者に請求できない。
・販売業者は、立替金を個別クレジット業者に返還しなければならない。
・個別クレジット業者は、消費者の既払金を返還しなければならない。

○クレジット契約のクーリング・オフ
 個別クレジットに該当する場合、クレジット契約にクーリング・オフ制度が導入されました。具体的には、訪問販売、電話勧誘販売、連鎖販売(店舗等を用いず個人間で行われるものに限る)、特定継続的役務提供等契約、および業務提供誘引販売契約でのクレジット契約をクーリング・オフできることとし、同時にもとの販売契約もクーリング・オフされる仕組みを設けました。

 なお、クーリング・オフの適用期間は、前述の訪問販売、電話勧誘販売、特定継続的役務提供等契約に係るクレジット契約は8日間、連鎖販売、業務提供誘引販売契約に係るものは20日間です。乗用自動車、葬儀等、化粧品・健康食品等、生鮮食料品等のクーリング・オフに馴染まないものについては適用除外としています。

 また、以下のとおり、クーリング・オフ後に個別クレジット業者、販売業者、購入者(消費者)の関係を一括で精算できる規定も定められました。
・購入者は、商品を販売業者に返還し、販売業者は頭金などすでに受け取った金額を購入者に返還しなければならない。
・販売業者は、個別クレジット業者から支払われた立替金を返還する。
・購入者は、個別クレジット業者への既払金の返還を受けられる。
・個別クレジット業者は、販売業者に支払った立替金相当分を購入者に請求できない。

3.通信販売の返品ルール(特定商取引法)
 これまでも、通信販売では広告において返品特約(特約がない場合はその旨)を明記することを義務付けてきましたが、インターネットによる取引の増加に伴い、返品・交換に関するトラブルは多発しています。
 とはいえ通信販売は訪問販売と異なり、不意打ちの勧誘を受けるものではなく消費者が商品購入を判断する十分な時間的余裕があるため、クーリング・オフ規定を導入することは適切ではありません。

  そこで通信販売においては、事業者がその広告で返品の可否や条件など返品特約に関する記載を表示していない場合は、消費者からの「商品」または「指定権利」の購入申込みの撤回を原則可能としました。なお、この場合における契約の申込みの撤回や解除は、購入者が商品等を受け取った日から8日間の間にできることとし、返品のための送料は購入者負担となります。
 行政規制および罰則の改正
 
1.訪問販売関係(特定商取引法)

○訪問販売における勧誘継続および再勧誘の禁止
  訪問販売での消費者被害では、その端緒として、執拗で言葉巧みな勧誘が繰り返される結果、心ならずも契約に至るケースが少なからずあり、まず勧誘段階での消費者保護措置を強化する必要がありました。

 このため、勧誘開始の段階で相手方(消費者)に勧誘を受ける意思があるかどうかを確認することを努力義務とし、「契約を締結しない旨の意思」を表示している相手方に対しては勧誘の継続や再度の来訪による勧誘をしてはならないこととしました。
 現行法(改正前)では、電話勧誘販売において同様の規定(断りの意思表示をした消費者に対する勧誘継続および再勧誘の禁止)がありますが、今回の改正で、訪問販売にも導入しました。

○訪問販売における過量販売の禁止
  先ほど説明しましたように、訪問販売において正当な理由なく日常生活において必要とされる分量を著しく超える商品を販売する、いわゆる「過量販売」による消費者被害が問題になっていますが、今回の改正で、この過量販売のほか顧客の財産の状況に照らし不適当と認められる行為について、行政規制の対象としました。

2.クレジット関係(割賦販売法)

○クレジット契約の規制対象の拡大
 先ほどの説明でも触れましたが、信用購入あっせん(以下、「クレジット」という。)を用いた契約は、改正前の法律では「2ヶ月以上かつ3回払い以上」の分割払いが規制の対象となっていました。
 しかし、最近の被害事例において、一括払いや2回払いなど、法律の対象から外れる支払い回数のものが少なくなかったことを受け、支払い回数にかかる規制を拡大し、「2ヶ月以上の与信であれば、一括払いも含めすべて」のクレジット払いを割賦販売法の規制対象としました。

 なお、「購入した翌月の一括払い(マンスリークリア)」は、単なる決済手段としての性格が強いため、今回の法改正においても規制対象から外れています。また、いわゆる自社割賦(割賦販売)、ローン提携販売についても、被害事例の報告が多くなかったことから、従来通り「2ヶ月以上かつ3回払い以上」の支払い方法が法律の規制対象となります。

○個別クレジットへの登録制導入等
 個別信用購入あっせん(以下、「個別クレジット」という。)は、悪質な訪問販売等を金融面で支える面があるなど、クレジット取引の中でも消費者トラブルが生じやすい取引類型となっています。このような消費者トラブルの未然防止を図るため、今回の改正で登録制を導入するとともに、行政が監督・監視を行うこととしました。

 具体的には、登録要件として、一定の財産的基礎を有していること、貸金業法に違反して罰金を科された法人や暴力団員が介入しているような法人ではないこと、割賦販売法の遵守や苦情処理のための社内体制が整っていることなどが必要となります。また、登録後も、過剰与信防止義務等の実効性を確保するため、行政による立入検査や帳簿・書類の徴求等ができることとなりました。
 一方、現行法ではすでに登録が義務付けられている包括信用購入あっせん業者(いわゆるクレジットカード業者)についても、今回、登録要件の内容が強化されるとともに、各種義務が課され、行政の監督権限が強化されます。

○個別クレジットにおける加盟店管理義務等
  個別クレジットの場合、商品販売等の勧誘そのものは販売業者が行っていますが、個別クレジット業者は立替払契約等を通じ、販売業者の勧誘行為について事前に知り得る立場にあります。
 そこで、今回、個別クレジット業者に対し、販売業者の勧誘行為についての調査を義務付けました。調査の結果、不適正な勧誘があったと認められる場合、個別クレジット業者が消費者への与信を行うことは禁じられます。

  また、これまで個別クレジットを利用する場合は、購入者と直接相対する販売業者に書面交付義務が課せられていました。
 交付書面は、それによって契約内容を確認したり、トラブルがあった場合にそれに基づき事後的な対応をとるなど、消費者トラブルの未然防止や拡大防止に役立ちますが、特定商取引(訪問販売、電話勧誘販売、連鎖販売個人契約、特定継続的役務提供等契約、および業務提供誘引販売個人契約をいう。)においては、書面記載内容に不備が多く、結果的に消費者トラブル増加の原因になっている面が指摘されていました。
 このため、特定商取引の場合、販売業者のみならず個別クレジット業者に対しても書面交付義務を課すこととしました。

○個別クレジットにおける過量販売に際しての確認義務
  先ほど説明しました、いわゆる「過量販売」による消費者被害事例においては、個別クレジットが利用されているケースが多いことから、割賦販売法においても、個別クレジット業者に対し、顧客の財産の状況等を考慮して、過量販売に対する与信をしないよう確認する義務を課すこととしました。

○クレジット業者に対する与信管理規制の強化
 
多重債務問題対策の一環として、今回の改正で、クレジット業者に対して、購入者の支払可能と見込まれる額の調査を義務付け、その額を超える契約締結を禁止することとしました。
 また、その支払可能見込額の調査を行うにあたり、他社のクレジット債務の額や支払状況を調査するために、経済産業大臣の指定する信用情報機関の信用情報を利用することが義務付けられました。

○クレジットカード情報の保護等
  近年、インターネット取引の拡大に伴い、クレジットカード情報の漏えい事件や不正利用が多発しています。このため、今回の改正では、クレジットカードを取り扱う事業者である、カード発行業者、および、いわゆるアクワイアラーと呼ばれる「立替払取次業者」に対して、カード番号の漏えいや不正利用の防止のため必要な措置を講じることを義務付けました。

  一方、不正にカード番号等を流出させたり、あるいは取得した者を処罰の対象とするとともに、漏えいしたカード番号等が売買され転々と流通することを防ぐため、カード番号等を正当な理由なく売買した者はもちろん、有償で提供する目的でカード番号等を保有していた場合も処罰の対象としました。

3.電子メール広告のオプトイン規制導入(特定商取引法)

  現行法(改正前)では、電子メール広告規制に関し、受信を拒否する意思を伝えた消費者に対して一方的に電子メール広告を送りつけることを禁止する、いわゆるオプトアウト規制を採用しています。しかし、オプトアウト規制導入後も迷惑広告メールは増加の一途を辿っており、また、受信拒絶意思を伝えると、そのメールアドレスが現に使用されていることが通知されてしまうため、かえって他の事業者からの迷惑広告メールが集中してしまう結果になっていました。

  そこで、今回、消費者が事前に承諾しない限り電子メール広告の送信を原則的に禁止する「オプトイン規制」を導入しました。ただし、消費者の請求に基づく場合や、メールの提供を受ける消費者の利益を損なうおそれがないと認められる場合には、例外としてオプトイン規制の対象から外れます。

  また、近年では、販売事業者が、電子メールによる広告業務を、それを専業とする事業者(電子メール広告受託事業者)に委託するケースが一般的となっており、さらに電子メール送信については、それを専業とする事業者(電子メール配信事業者)が行うケースもあります。

 現行法では、販売業者のみが規制対象になっていますが、オプトイン規制の実効性を確保するため、販売業者から一定の電子メール広告業務を一括して受託する場合、電子メール広告受託事業者を規制対象とすることとしました。
 オプトイン規制に違反した場合、業務停止命令等の行政処分や罰則の対象になり、特に悪質なものについては罰金刑だけでなく懲役刑も科せられることとなっています。

  なお、以上の内容について詳細なルールを定めた、「特定商取引に関する法律施行規則の一部を改正する省令」が、平成20年12月1日をもってすでに実施(施行)されています。

4.罰則の強化等

  特定商取引法については、取引形態が複雑化し手口が巧妙化している状況を考慮するとともに法を厳正に執行するため、販売業者およびその密接な関係者から「物件」を提出させる規定や、販売業者と取引する者から報告を求める規定を新設しました。
 また、罰則については、一事件当たりの被害額が増加し、悪質事業者に対し罰則による抑止力が十分に働いていないのが現状であるため、罰則の上限を引き上げました。

  割賦販売法の罰則についても、昭和59年の法改正時以来ほとんど見直されていなかったため、今回、貸金業法や金融商品取引法などを参考に罰則水準を引き上げるなど、全体を見直すこととしました。

○消費者団体訴訟制度
 不特定多数の消費者が受ける可能性のある被害の未然防止・拡大防止を目的として、消費者団体訴訟制度が、消費者契約法に基づき平成19年6月から実施されています。この制度により、内閣総理大臣の認定を受けた適格消費者団体は、消費者への不当勧誘や不当契約条項の使用など、消費者契約法上不当とされる事業者の行為に対して差止請求をすることができます。
 
 今回の改正で、この制度が、特定商取引法にも導入され、消費者契約法に基づき適格消費者団体としての認定を受けている団体は、特定商取引法に違反する事業者の行為により消費者の利益が侵害されている場合、または侵害されるおそれがある場合、その事業者に対し、行為の差止請求を行うことができることとなりました。この際、特別の追加認定手続きは不要です。具体的には、以下のケースに該当する場合です。
  なお、消費者団体訴訟制度は、同時に、景品表示法(正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」)にも導入されています。

@訪問販売、通信販売、電話勧誘販売、連鎖販売取引、特定継続的役務提供、または業務提供誘引販売取引において、不実告知や威迫行為等の不当勧誘、あるいは著しい虚偽・誇大広告を現に行っている、または行うおそれがある場合

A訪問販売、電話勧誘販売、連鎖販売取引、特定継続的役務提供、または業務提供誘引販売取引において、クーリング・オフができない旨の特約を含む契約の締結等を現に行っている、または行うおそれがある場合
 おわりに
 
 以上が、法改正の内容となります。先ほども述べましたが、改正内容の施行(実施)については、特定商取引法の電子メール広告規制に関する部分に関する省令が平成20年12月1日に施行されたことを皮切りに、法律公布日(平成20年6月18日)から1年6ヶ月以内、および2年6ヶ月以内と段階的に行われることになっており、これに伴い、順次法律運用の詳細を規定する政省令や通達が定められていく予定です。

 なお、電子メール広告規制については、平成20年10月1日に『電子メール広告をすることの承諾・請求の取得等に係る「容易に認識できるよう表示していないこと」に係るガイドライン』が、省令の公布と併せて公表されているところです。

 今回の法律改正を契機に、消費者一人ひとりが消費者保護のルールについての知識を身につけ、悪質商法から身を守るためのツールとしてご活用いただくとともに、高齢者等消費者被害に遭いやすい方々に対する未然防止の一助となれば幸いです。
 経済産業省としても、法律の厳正な執行により、消費者被害の減少に努めてまいります。 

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