はじめに、改正内容をご理解いただくための予備知識として、現行法(今回の改正前)の概要を説明します。
特定商取引法は、訪問販売(いわゆる訪問販売のほかキャッチセールスやアポイントメントセールスなど)、通信販売、電話勧誘販売(電話での勧誘による通信販売)、連鎖販売取引(いわゆるマルチ商法、ネットワークビジネス)、特定継続的役務提供(エステティックサロン、語学教室、学習塾、家庭教師、パソコン教室、結婚相手紹介サービスであって、所定期間以上かつ所定金額以上のもの)、業務提供誘引販売取引(いわゆる内職商法)の6類型を定め、このうち前3者(訪問販売、通信販売、電話勧誘販売)については、法対象となる商品、権利、及び役務について、政令で指定したものに限定しています(指定商品制)。
また、消費者保護という法律の主旨や各取引類型の特徴に応じ適用除外を定めており、訪問販売の場合を例にとれば、営業目的で商品を購入する場合や、いわゆるご用聞きのようにすでに相手方と信頼関係がある場合などが適用除外になります。
同法においては、通信販売を除く各類型について、いわゆるクーリング・オフと呼ばれる消費者から行う無条件での契約解除、不実告知を受けて契約した場合の契約取消と、クーリング・オフ期間経過後に消費者から契約解除する場合に事業者が定める損害賠償額の制限などの民事ルールを定めています。
事業者に対しては、罰則や行政処分を担保として、書面交付や広告表示に係る義務、勧誘に際して消費者を困惑させる行為や不実告知の禁止などを課しています。
割賦販売法は、法律全体としては、消費者が2ヶ月以上の期間にわたり、かつ、支払回数が3回以上の分割払いをする場合の取引ルールや行政対応を定めたものです。
今回の改正に関係するのは、割賦販売(商品等販売者自ら信用供与)、ローン提携販売(金融機関が信用供与)、及び割賦購入あっせん(信販会社が信用供与)の3つがあり、現行では指定商品制を採用しています。
ただし、指定されている商品等は特定商取引法のものとは完全には一致していません。また、消費者保護という法律の主旨等から、営業目的など適用除外の場合を定めています。
同法の民事ルールでは、例えば、契約期間の途中で語学教室やエステティックサロンが倒産した場合、割賦購入あっせん(信販会社等)を利用した分割払いで返済している途中であれば、その支払を一時的に停止するよう求めることができる規定があります(支払の免除を認めるものではありません)。
また、事業者に対し、罰則を担保として、書面交付や取引条件表示に係る義務を課すとともに、割賦購入あっせんのうち、総合方式(クレジットカード等を利用し商品購入毎に支払回数を決めるもの)とリボルビング方式(クレジットカード等を利用し購入総額に対し各支払回において一定割合又は一定金額を支払うもの)については、割賦購入あっせん業者(信販会社)に開業規制(事前登録制)があります。