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生産性向上設備投資促進税制のすゝめ
~建物即時償却ができるってホンマ?!~
担当課室:地域経済課

最終更新日:平成26年10月3日

 「生産性向上設備投資促進税制」は、質の高い設備投資の促進により事業者の生産性向上を図ることを目的に平成26年1月20日に創設された新たな税制です。同税制にはA類型「先端設備」、B類型「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備」の2種類の要件があり、何れかの要件に該当する設備を導入する際に税制上の特典を得られます。

 今回は、その活用により特に大きな節税効果が期待できるB類型「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備」の特徴と、制度をご活用いただいた企業の声をご紹介します。

「生産性向上設備投資促進税制」概要

 生産性向上設備投資促進税制の制度全体像は図1のとおりです。本税制の特徴は、第一に対象者の範囲が広いこと(青色申告をする事業者であれば規模・業種を問わない)、第二に対象設備の範囲が広いこと(B類型では、機械装置から建物まで広範な事業用設備を対象とする)、第三に税制措置の内容が手厚いこと(即時償却または税額控除の選択適用)が挙げられます。いずれも従前の設備関係税制の枠を超えた画期的な内容の税制となっています。

図1 生産性向上設備投資促進税制全体像
生産性向上設備投資促進税制全体像

※制度詳細につきましては下記リンクをご参照ください。

「建物の即時償却」が最大の特徴!

 B類型の対象設備には「建物本体」が含まれており、B類型の適用により「建物本体の即時償却」が可能となります。一般に償却期間の長い資産ほど特別償却の効果は大きくなりますので、通常30年以上かけて償却する「建物」を即時償却することができれば、大きな節税効果が期待できます。

 この「建物の即時償却」こそ、生産性向上設備投資促進税制の最大の特徴と言えるものです。

「効果的な投資計画」に基づく設備投資が要件

 B類型「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備」の要件は、「事業者の策定した投資計画で、その投資計画における効果として年平均の投資利益率が15%以上(中小企業者等にあっては5%以上)となることにつき経済産業大臣の確認をうけたもの。その投資計画に記載された設備」というものです。

 この投資利益率15%(中小企業等の場合5%)という要件は、相当優良な投資案件でなければ達成が困難な高いハードルというものではなく、増産対応の設備増設や工場新設、小売業・飲食店の新規出店など、さまざまな局面で適用が可能な基準です。

 では、B類型「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備」の要件をクリアするために重要なことは何でしょうか?

 B類型適用のポイントはズバリ「投資計画」です!

 事業者内部でしっかりと投資効果を検証した「投資計画」を策定していること、それがB類型の前提条件であり、その「投資計画」の内容が経済産業大臣の確認対象となります。どんなに利益を生む設備投資であっても、「投資計画」に基づく設備導入でなければ、B類型適用はできないのです。

制度活用企業の声

 このように大きな税効果が期待できるB類型「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備」でありますが、制度内容を十分に理解されずに利用を諦めてしまったり、手続を躊躇される事業者の方がおられるのは残念なことです。

 今回、これまでに本税制をご活用いただいた事業者の方から、税制利用について貴重なご意見をいただきましたのでご紹介いたします。本税制適用ご検討の一助となれば幸いです。

1.株式会社くらコーポレーション(大阪府・回転寿司)

写真:以下に説明
くら寿司外観

 株式会社くらコーポレーションは昭和52年創業。

 「食の戦前回帰」を企業理念とし、四大添加物を使用しない「無添」にこだわり、おいしさ・安心・安全はもちろん、楽しさも求めて挑戦中。

 「くら寿司」として有名な店舗の新規出店等にご活用頂きました。

【制度利用に至るまで】

 生産性向上設備投資促進税制について、当初はその名称から「設備投資減税」=「製造業等メーカーが使う税制」かつ、漠然と「中小企業のみが使えるもの」というイメージが先行していました。

 そのような中で、インターネットで税制について調べている最中、近畿経済産業局でセミナーが開催されていることを知り、とにかく一度聞いてみようと参加したことがこの税制活用の始まりでした。

【制度利用前に抱いていたイメージ】

 セミナーに参加するまでは、漠然と製造業を中心として利用できる税制と考えていました。

 また、制度の詳細を知るために周囲の専門家等に尋ねても、具体的事例が少ないためか、制度について詳しい専門家がおらず、制度の流れや詳細について知る機会が中々得られなかったので、飲食業においては簡単に活用できる税制ではないと考えていました。

写真:以下に説明
くら寿司レーンと鮮度くん

【制度を利用した印象】

 経済産業局主催のセミナーでは、業種ごとの具体的な活用事例の紹介がされていて、新規出店や店舗の大規模リニューアル、新事業の立ち上げなどにも活用できることがわかりました。

 また、この税制があることによって、社員のチャレンジ精神に勢いをつけ、今後の躍進に繋がっていくことも期待できるのではないかと考えています。

【申請において苦労した点】

 B類型において、設備取得前に「事前申請」ということで社内での意思決定から設備の取得までの時間的余裕がない場合があり、資料作成に苦労しました。

 また、A類型(先端設備)については各設備メーカーの認知度が低く、購入側で制度を伝えないといけないケースが多く苦労したこともあります。

【生産性向上設備投資促進税制のメリット】

 建物が対象となっていることが、最大のメリットと考えています。

 新規店舗を出店するケースにおいては建物費用が大きな負担となるため、本税制の活用によるキャッシュフローのメリットが次の投資へ回す余力を生み出し、好循環を生み出すきっかけになると期待しているところです。

 今後、本税制の活用から生まれる資金的メリットから投資の好循環と共に、社員の積極的事業提案等も期待していきたいと思います。

<経済産業局担当者から>

 同社のように飲食店の新規出店も、きちんと社内で投資計画が作成され、算出されている利益率が基準に至るものは対象となります。
 特に新規出店については業種を問わず、利益を見込まずに実行されるものではないと思われるため、その多くが本税制の対象となると考えられます。
 本税制がより多くの積極的な設備投資の呼び水となれば幸いです。

2.株式会社大近(大阪府・スーパーマーケット)

写真:以下に説明
大近芦屋店

 株式会社大近は昭和35年設立。

 「安全・安心」の食料品を中心とし、滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良の近畿2府3県に「ラッキー」や「パントリー」の名で親しまれる地域に根ざしたスーパーマーケットを展開する大阪の中小企業です。

 スーパー「ラッキー」の店舗改装に税制をご活用いただきました。

【制度利用に至るまで】

 生産性向上設備投資促進税制については、経理担当者が昨年末に新聞広告や各種会報誌を通じて情報を入手しましたが、従来からあった各種設備投資の税制のハードルの高さや複雑な内容から利用は難しいと考えていました。

 そのような中で、経済産業局主催の説明会があると知り、経理担当者が参加したところ、特にB類型(生産ラインやオペレーションの改善に資する設備)が幅広い投資計画に適用できると気づき、計画中であった投資にも適用出来ると考え、帰社後直ちに同社幹部に内容を報告。

 既存店舗の改修計画の数字を申請書に落とし込んだところ要件を満たしていたため、急ぎ申請書を作成し、今回の確認申請に至りました。

【制度利用前に抱いていたイメージ】

 一度申請を行ってみるまでは、本税制についてはとてもハードルが高いイメージでした。また名称に『生産性』や『オペレーションの改善』などの標記が並んでいたため、小売店の「改装」や「新規出店」は対象にはならないと思い込んでいました。

 この点については、経済産業局の説明会に参加するまで解消されず、改装等には冷蔵設備などA類型(先端設備関係)でしか適用出来ないと考えていました。

写真:以下に説明
店内

【制度を利用した印象】

 会社として利益を見込む設備投資であれば、その多くが対象となるものと考えます。

 従来から定期的に行ってきていた店舗「改装」等についても、新しい高効率のショーケースを導入することで電気代等のコストを削減し、営業利益の増加が見込まれれば対象となることに気づきましたし、新規出店においても、売上増加による粗利等の増加をきちんと算定し計画していれば対象となり得ることがわかりました。

 今後も当社で検討される設備投資については積極的に税制の活用を検討していきたいと思います。

【生産性向上設備投資促進税制のメリット】

 税制の活用によりキャッシュフローが良くなることで資金の余力が生まれ、次の設備投資を検討するという良い循環のメリットが生まれると考えます。

 特に当社の商品は「安全で安心な食品」の開発と拡大ということで、景気の好循環から消費者の購入意欲が安全・安心商品に向くことが売上げにも好影響をもたらすのではないか、と期待しているところです。

 さらに本税制を行政が積極的にPRしてもらうことが、社内の投資計画者が幹部に上申する際の後押し効果も期待できるため、ホームページの更新等、今後益々の積極的PRをお願いしたいと思います。

<経済産業局担当者から>

 どうしても税制の「生産性」といった名前から、サービス業や小売業が対象になりにくいのではないかといったご意見を頂戴することが多いですが、小売業においても多様な設備投資にご活用頂ける税制となっております。
 同社のように、会社がきちんと投資を回収するような設備投資計画をたてていればその多くが適用可能となる、幅広い適用範囲を持つ税制となっておりますので、今後も積極的にご活用いただければ幸いです。

3.神戸合成株式会社(兵庫県・化学工業)

写真:以下に説明
神戸合成社屋

 神戸合成株式会社は1963年1月創立。

 自動車メーカー純正のワックスや洗浄剤など、各種ケミカルを製造・販売し、自然環境に配慮した製品作りが顧客からの信頼に繋がっている兵庫県の中小企業です。

 製品の増産対応のための設備改良に税制をご活用いただきました。

【本税制を知った経緯】

 常日頃、税制改正についてはアンテナを張っており、生産性向上設備投資促進税制についても改正案の段階から認知しておりました。その後、顧問税理士に概要を聞くほか、近畿経済産業局主催の説明会にも参加させて頂きました。

【確認申請で難しかった点】

 申請書の作成について、当該税制の要件を満たすためにどこまでの資料を揃えればいいか分かりづらかったです。また、指定された添付資料の中でも、設備投資にあたり必要な弊社内の文書(稟議書等)で投資内容を経済産業局に確認してもらえるのか、実際に申請するまで不安でした。

 申請後は、書類作成のポイントや最低限必要な書類などがよく分かりました。また変更があった場合などの手続き方法についても説明を受け、この税制についてよりよく知ることができました。一度申請を経験してやっと全体が分かる、そういった税制という印象です。

写真:以下に説明
神戸合成調合設備

【本税制のメリット】

 商品のライフサイクルが速い現代において、投資した設備の減価償却期間が長いため当該税制を利用して償却期間が短くできることが最大のメリットと考えています。

【その他】

 このような税制の活用は、企業活動に非常に大きなメリットがあると感じております。弊社のような中小企業では、マンパワーにも限りがあり、雇用を維持しながら生産性を向上させていくためには、新たな設備投資が必要になってきます。まだまだ将来的な見通しが明るいとは言えない現状の中で、この税制を利用して設備投資をすることは、今後の競争力を高めていくチャンスと思っています。これからもこのような税制を利用して成長を目指すとともに、社会に対して貢献できる企業としてありたいと考えております。

【顧問税理士様からのコメント】

 生産性向上設備投資促進税制の適用を受けるためには、投資計画の段階から税制の適用要件などを念頭において進めなければいけないと感じました。取得日要件など事後的には認められない税制であるため、本税制に対する知識があり、日頃から投資計画を立てて経営している企業は良いのですが、一般の中小企業で普段からどこまで税制・施策を意識した経営ができているか難しい点もあると思います。

 対象設備の範囲が広く汎用的な税制だけに、もう少しこういった中小企業にも入り込みやすい税制になればと思います。ただ、そういった意味でも税理士等が関与先に対して当該税制について周知させていくよう、より一層努める必要があると感じています。

<経済産業局担当者から>

 税制・施策に常にアンテナを張るとともに、専門家との連携が今回の税制活用に繋がったものと考えられます。
 設備投資を考えているけれど税制のことは良くわからないという場合は、是非一度公認会計士・税理士の方にご相談されることをお勧めいたします。

説明会のご案内

 近畿経済産業局では、随時「生産性向上設備投資促進税制」制度説明会を開催しております。開催日時等はHPでご案内しております。是非ご参加下さい。

掲載関連情報

企業名
株式会社くらコーポレーション外部リンク 新しいウィンドウが開きます
所在地
大阪府堺市中区深阪1035-2

企業名
株式会社大近外部リンク 新しいウィンドウが開きます
所在地
大阪府大阪市福島区福島6-10-11

企業名
神戸合成株式会社外部リンク 新しいウィンドウが開きます
所在地
小野市匠台10番地

関連施策へのリンク

生産性向上設備投資促進税制(近畿経済産業局)

このページに関するお問い合わせ先

近畿経済産業局 地域経済部 地域経済課
電話:06-6966-6065

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