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EV開発に挑戦する関西の中小企業!
~けいはんなEV人材育成プロジェクト~
担当課室:産業人材政策課

最終更新日:平成26年10月1日

 近畿経済産業局では、けいはんな地区でコンソーシアムを形成し、中小企業のEV(Electric Vehicle 電気自動車)開発・普及・販売等を強化すること目的とした人材育成事業「平成25年度補正予算地域企業共同人材育成事業」を実施しています。

 中小企業の小型EVの製造現場に地域の中小企業の社員が集まり、開発・販売活動などのOJT(On the job training)研修を通じて、中小企業の人材を産学が共同して育成する事業です。

 本コンソーシアムの中核となり、小型EVの開発と人材育成に取り組む中小企業3社をご紹介します。

株式会社EVジャパン

写真:以下に解説
西田社長

 EVジャパンは、自動車販売・整備会社である株式会社エヌシーオートの西田社長を中心として、自動車整備や自動車部品を取り扱う中小企業8社により、2011年に設立されました。

 最初に手がけた開発は、農村向けのEVです。お年寄りでも移動・収穫の手段として使用出来る環境に優しいEVを3年間かけて開発しましたが、軽トラックよりも高価になり、実績は出ませんでした。しかし、この3年間で蓄積した知識と技術のおかげで、軽自動車をEVに改造する事業を可能とし30台のコンバージョン(改造)実績を生みだしています。更に、大阪の有名テーマパークに食品移動販売用のEV車を2台納入しています。

プロジェクトでのEV人材育成の内容について

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ハウステンボスに納入するEVのデザイン

 少子高齢化や価格競争の影響を受け、自動車整備業界は厳しい状況にあります。会社の存続と発展を目的としたEV製作への挑戦ですが、新たな技術、知識の習得が必要です。ガソリン車に比べ3分の1程度の部品で構成されるEVですが、ガソリン車の構造やシステムと全く異なるためゼロからのスタートとなります。部材の強度計算、3D-CADによる設計、電気システムの知識など様々です。

 けいはんなEV人材育成プロジェクトでは、EVジャパンが他社の社員を受け入れてOJT研修を実施する役割を担っており、10名の研修生が登録されています。

 大手企業と異なり、中小企業の社員は、日々の業務があるため、知識習得のために長期の研修を受けることは難しいという現実があります。社員の都合の良い日の数時間から半日程度で実施しなければなりません。

 しかし、短時間であっても、より質が高く、熱意を持って学ぶことができる研修とするため、現在、長崎のテーマパーク・ハウステンボスから受注している4台の小型EVの製作でのOJT研修を実施しています。この小型EVは、東京の専門学校生によるデザインを元に製造するという試みが行われています。要求されるデザインは高く、安全性、加工技術、コスト等のバランスを考えて、研修生が実習をおこなっています。

今後の展開

写真:以下に解説
小型EV
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作業用小型EV「EVクローラ」

 EVジャパンの小型EVは建設業界でも注目を集めています。長い配水管内での作業が要求される工事現場では、排気ガスを発生せず、静かに動く小型EVは、作業員の安全と良好な作業環境が確保できます。また、高層ビルの耐震工事では、オフィスが営業中であっても、工事に必要な資材を、静かに、クリーンにエレベーターで運搬できるメリットがあります。

 小型EVは、騒音も排気ガスも出さないことから、人が多く集まる場所での使用や密閉空間での使用など、様々な活用の可能性があり、西田社長は、EV製造のオンリーワン企業を目指して事業を展開しています。

掲載関連情報

企業名
株式会社EVジャパン外部リンク 新しいウィンドウが開きます
所在地
大阪府豊中市上津島1-10-32
電話番号
06-6866-2828

株式会社淀川製作所

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小倉社長

 1961年設立の株式会社淀川製作所は、各種金属部品の加工や試作開発を行っており、大手家電メーカーの協力会社として、長い間、ものづくり技術を蓄積してきました。不況からの脱却と自社ブランド製品の製造を目標として、2009年に小倉社長は、関西の中小企業4社による「あっぱれEVプロジェクト」を発足させました。

 京都や奈良の古都を巡る小さな観光用タクシーをイメージしたEV「Meguru(めぐる)」の製作にチャレンジする事業です。

 試作が得意だった淀川製作所の強みを生かし、デザイン性の高いEVの製造に取り掛かりましたが、設計図なしでの製造、予算の制約、デザインに合わせた局面加工などの苦難を乗り越えて完成させる必要がありました。御所車風のデザインで、鳥居をイメージした赤色には漆塗りを施しております。

写真:以下に解説
小型EV:誉(左)とMeguru(右)
写真:以下に解説
ロードトレイン

求められるEV人材について

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EV担当主任の田村さん

 プロジェクトを利用して、EV製造のノウハウを習得する必要もありますが、特に中小企業の場合は、企画、設計、営業、予算作成、スケジューリングの全てを一人でこなすことが求められます。現在、新入社員の田村さんは、それらの業務を1人で担当しておられます。

 デザイン性の高いEV製作を特徴とする淀川製作所では、デザイナーから提案される概念的な図案を設計に落とすスキルも必要とされます。こうしたマルチプレーヤーの育成が今後の展開に欠かせません。

今後の展開

 デザイン性の高いEVの試作開発をターゲットとして活動していますが最近では、EVに携わってから築いたネットワークから新しい展開も生まれつつあります。

 その一つが、イベント会社からの依頼によるバリアフリーウェディング用の車椅子の開発です。専用の車椅子を使用すると、新婦さんがまるで立っているかのように見えます。椅子には白い布がフリルのように付けられており、ドレスを着ても全く違和感がありません。

 さらに、人材育成事業の「匠塾」を2014年7月に始動させました。淀川製作所の遊休スペースを活用し、溶接や機械加工などの熟練技術を地域の中小企業の若手社員に習得してもらうための拠点です。中小企業の社員は営業時間内の研修受講は難しいことから、週末や朝晩でも学べる私塾として運営しており、これまで2回実施した研修では約100名が集まっています。

掲載関連情報

企業名
株式会社淀川製作所外部リンク 新しいウィンドウが開きます
所在地
大阪府守口市八雲中町1-13-6
電話番号
06-6909-1770

近藤自動車工業株式会社

写真:以下に解説
鈑金・塗装の作業風景
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近藤自動車工業の外観

 近藤自動車工業株式会社は1974年の設立以来、自動車販売、整備・修理などのアフターメンテナンスを行い、現在は、24時間365日体制のロードサービスも実施しています。

 自動車整備業界の状況を見ると、自動車の性能が向上し故障が少なくなり、以前と比べ、整備や点検の仕事が減少しています。また、ハイブリッド車の登場により、求められる整備の内容と質も変わってきています。整備業界の売上の主軸である車検整備については、5年前のリーマンショック、3年前の東北大震災時の国内新車販売台数の落ち込みから、2014年の車検需要が大幅に減少し、今後、より厳しい状況になることが予想されます。

 そこで、今後はEVやハイブリッド車が自動車の主流になると近藤社長は考え、車検需要に頼らない新たな経営への挑戦として、2011年のEVジャパン設立メンバーに加わりました。

EV人材育成への取組み

 EVの整備はガソリン車と全く異なり、これまで培った技術や、いわゆる“経験と勘”が通用しません。EV整備の知識を蓄えるためには、EV開発に携わることが必要と考え、EV作りの産学連携プロジェクトにも積極的に参加し、日々、技術の習得に努めています。

 一方、EV普及を推進するための自動車整備・車体事業者のネットワークである「EVジャパン協議会」の活動の中心を担っています。毎月1回、第二土曜日に技術研修会を開催し、故障診断ツールの使い方、EVに関する技術情報の共有など、協議会メンバーにEVジャパンが保有する技術情報を提供しています。

今後の展開

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EVに挑戦する近藤社長、近藤副社長、佐藤室長

 近い将来、公道に限らず、あらゆる場面でのEV活用が期待されることから、EV開発への投資を、次世代への投資と近藤社長は考えています。自分自身の時代には実を結ばなくても、必ず、未来の社員そして後継者の時代には、EVが当然の社会になると確信しています。未来の近藤自動車工業のために、「京都から全国に先がけて」という思いで、EV開発に注力しています。

 自社の取り組みだけにとどまらず、EV関連事業に関心を示す中小企業同士が全国のネットワークを構築し、製造・開発・整備に取り組むことで、自動車整備業界の新たな市場開拓に繋がると考えています。

 中小企業が製造した小型EVを遠方に販売しても、整備やメンテナンスで出向くことは難しく、十分なアフターサービスは提供できません。しかし、全国のネットワークがあれば、販売先に近い整備業者が対応でき、新たな仕事へと繋がります。

 そのネットワークの母体となる「EVジャパン協議会」には、現在、関西、四国、中国、北陸の企業、約30社が参加していますが、参画企業100社以上を目指して活動を進めています。

掲載関連情報

企業名
近藤自動車工業株式会社外部リンク 新しいウィンドウが開きます
所在地
京都府久世郡久御山町佐山美ノケ薮31-1
電話番号
0774-43-6348

関連施策へのリンク

地域企業共同人材育成事業外部リンク

このページに関するお問い合わせ先

近畿経済産業局 地域経済部 産業人材政策課

電話:06-6966-6013

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