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生産性向上設備投資促進税制のすゝめ
~応援します!設備投資(農業編)~
担当課室:地域経済部地域経済課

最終更新日:平成27年1月5日

 「生産性向上設備投資促進税制」は、質の高い設備投資の促進により事業者の生産性向上を図ることを目的に平成26年1月20日に創設された新しい税制です。同税制にはA類型「先端設備」、B類型「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備」の2種類の要件があり、何れかの要件に該当する設備を導入する際に税制上の特典を得られます。

 今回は、生産性向上設備投資促進税制(B類型)を活用して設備投資を行った企業の中から、農業のビジネス化に取り組む方々の熱き思いをご紹介します。

<ご参考>

1.採種用メロンの果肉を食材に(株式会社松井農園)

独自の技術でメロンの品種改良に取り組む

写真の中:以下に解説
代表取締役 松井 邦彦 氏

 私たち松井農園は、百年以上も前から奈良の地で真摯に農業と向き合ってまいりました。創業者である7代目松井帰一は、昭和27年、家業の農業を更に発展させ、スイカやまくわ瓜などの品種改良を行い、そのタネを販売しました。その背景には、農業の原点である良質なタネを供給することで、食糧難に苦しむ戦後日本に貢献したいという創業者の強い想いがありました。

 以来、数々のオリジナル品種を開発し、私たちのメロンやスイカは多くのコンクールで高い評価をいただいております。近年では、熊本県を中心に栽培されている「肥後グリーンメロン」が好評で、地元のみならず首都圏や関西地方のスーパーでも目にすることができます。

 この長年培ってきた品種改良の技術力が弊社の源です。

食用メロンよりも芳醇で糖度が高い採種用メロン

写真の中:以下に解説
圃場で収穫されるメロン

 私どもは販売用の種子を生産するためにたくさんのメロンを栽培、収穫し、果実の中からタネを採種しています。採種用のメロンは、充実したタネをとるため、若ちぎりをせず完熟になってから収穫するため、市販食用メロンに比べ芳醇で糖度が高いのが特長です。

 この完熟・高糖度の果肉を利用したピューレや冷凍メロンブロックは、菓子やジュース等の原料としてお使いいただけるものと考えております。自然の甘さのままでも十分に甘く、既存品とは異なり人工的に加糖する必要がありません。

 しかしながら、採種時に発生したメロン果実は、保管設備がないため大量に廃棄しているというのが実情です。そこで今回、メロン加工場の新設と冷凍設備の導入を検討することとなりました。

 冷凍加工設備を導入することにより、それらの良食味メロンをピューレや冷凍メロンブロックとして加工保存し、販売することが可能となります。

 この取り組みは生産者の「顔が見え」、「自然なもの」が認められる時代のトレンドに合致するものです。また同時に、廃棄物の削減効果が期待され、環境面からも意義のあることです。

季節を超えてメロンを届けたい

写真の中:以下に解説
独自の技術で取り組むメロンの品種改良

 一方で、私たちは冷凍したメロンを解凍した後も、そのままフルーツとして利用できる実用的な冷凍方法の開発にも挑戦したいと考えております。

 メロンを一般的な方法で冷凍・解凍すると、細胞組織が崩れ、液だれが起きます。フルーツとしての製品価値が下がってしまうため、シャーベットやアイスクリームなどへの加工原料としては使用可能でも、青果物として使用されるケースはほとんどありません。

 また、メロンは温暖な気候を好む作物で、冬場の栽培は本来的に困難です。一部では暖房をして栽培されていますが、重油の高騰により栽培経費が上がり、作付面積は激減しています。このため安価で安定供給される輸入メロンの存在感が高まり、冬場の朝食ビュッフェ等で見られるメロンは大半が輸入メロンと言っても過言ではありません。

 このような状況の下、メロンの細胞を壊さない実用的な冷凍方法を開発し、気候的に最適な条件下で栽培された良質な国産メロンを冷凍保存し、タイムリーに供給することは大変な意義があります。同時に、このことは日本のメロン産地とその栽培技術の保護育成にもつながります。

 弊社は9代に亘り奈良の地で農業に携わってきた者としてこの課題に挑戦し、メロンを素材に「現代型の農業」をリードしていくつもりです。

<施策ご活用の内容>

 専用設備の導入により、メロン種子採取時に廃棄していた果肉部分(実は糖度が高く青果に劣らない内容)をピューレ等の食材として商品化できるようになります。
 今回は、果肉の加工設備と冷凍設備の導入に、生産性向上設備投資促進税制をご活用いただきました。

掲載関連情報

企業名
株式会社松井農園外部リンク 新しいウィンドウで開きます(代表取締役 松井 邦彦)
所在地
奈良県磯城郡田原本町大字秦庄272
電話番号
0744-32-2035

2.塩分を含んだ地下水でつくる「うれしおとまと」(株式会社東馬場農園)

「農業を魅力ある産業に」

写真の中:以下に解説
東馬場農園の皆様

 私たち東馬場農園は2012年から、神戸市北区でトマトの生産・販売を行っています。「農業を魅力ある産業にしたい」「農業を身近に感じてほしい」という理念のもと、2,000㎡のハウスで事業を開始しました。2014年3月に「株式会社 東馬場農園」を設立し、2014年12月には規模拡大を行い、現在の栽培面積は6,000㎡になりました。

 農業はしんどい・汚い・儲からない・高齢化…といったような、マイナスイメージが強いように感じますが、本当にそうなのか。改善の余地が大きく、地に足をつけて本気で農業経営に取り組めば、可能性は広がるのではないか。そんな思いで事業が始まりました。

 農業といっても経営です。生産から販売まで、あらゆることに取り組みます。その中でも特に弊社がこだわるのは、栽培技術です。コストパフォーマンスに優れた良い商品を安定して作れてこそ、我々の目指す経営ができると思います。そのためには、高度な栽培技術が必須条件となります。

コンピュータ管理で年中安定した生産を実現

 私たちの取組みの特徴を2つご紹介します。

 1つは、トマトが健全に生育できるよう、コンピュータ管理を行っていることです。一言で表せば、「植物工場」です。トマトの状態や天気に合わせて、気温・湿度・CO2濃度、含水率、肥料濃度、葉面積などの管理を行います。これにより、天気を言い訳にせず、年中安定してトマトを生産することができます。

 もう1つは地下水です。弊社ハウスの地下水には塩分が含まれています。周辺を流れる有馬川も塩分を含んでおり、この水を使ってできた餅は塩田餅と名づけられ、地域で古くから親しまれています。自然の恵みである塩分を含んだ地下水を100%利用し、品質の良いトマトを作っています。

 こうしてできたトマトを「うれしおとまと」の商品名で販売しています。関西の大消費地に近い場所で生産しているため、流通による時間ロスやコストを抑えることが可能です。収穫したトマトはすぐにパッキングし、翌朝にはスーパーに並んでいます。(販売場所はホームページをご参照ください。外部リンク 新しいウィンドウで開きます

写真の中:以下に解説
うれしおとまと
写真の中:以下に解説
新ハウス内観
写真の中:以下に解説
うれしおとまと直売所

安定品質のトマトの生産に向けハウスを新設

写真の中:以下に解説
新ハウス外観

 農業が転換期を迎える中、年間を通じ安定した品質でトマトを大量生産できることは、大きな強みになります。2012年に事業を立ち上げて2年が経過し、一定の成果を残せましたが、まだまだ量が足りず、売り先に対してもアピール力が足りませんでした。2014年3月には法人化して新規雇用を行い、規模拡大を行いました。12月には、既存ハウスで見えた課題を踏まえ、単位面積当たりの収量が増えるよう新たなハウスと附帯設備を導入しました。ハウス建設に伴う坪単価(コスト)は上がりますが、収量増・売上増に加えて、労働効率の向上も見込めます。弊社の強みである栽培技術をここに投入することで、当初の狙いである品質の安定と大量生産を同時に達成することができます。その結果、経営も安定し、魅力ある農業の実現に近づけると考えています。

 今回の投資には、生産性向上設備投資促進税制(B類型)を利用しました。この制度で、ハウスおよび附帯設備に関わる費用を一括償却します。これにより、キャッシュフローが良くなります。

 これから農地の集積が進み、投資機会も増えます。今回の税制を、次の投資に、農業の活性化につなげたいと考えています。

<施策ご活用の内容>

 これまでの経験・課題を踏まえた高機能ハウスの導入により、安定品質のトマトを効率的に生産することが可能になります。
 今回はその高機能ハウスの導入に生産性向上設備投資促進税制をご活用いただきました。

掲載関連情報

企業名
株式会社東馬場農園外部リンク 新しいウィンドウで開きます(代表取締役 東馬場 怜司)
所在地
兵庫県神戸市北区道場町塩田690
電話番号
078-203-6747

3.徹底した温室のモニタリングによりトマトのポテンシャルを引き出す (淡路の島菜園)

淡路島の陽射しと海風を活かし甘味を凝縮したトマトを栽培

写真の中:以下に解説
淡路の島菜園 大森 一輝 氏

 私はもともと外食産業や肥料メーカーの農場でサラリーマンとして農業に従事していました。2008年に、ここ淡路島で20aの空き温室を貸していただき、トマト農家として独立いたしました。

 当園がある淡路島の東浦地域は陽射しが強く、海風が吹き込むためトマトの栽培に向いています。そこに、腐葉土、昆布、牡蠣殻などの海の幸をふんだんに使った土を用いることで、うまさ、甘味を凝縮した淡路の島菜園トマトの栽培を行っています。

センサーを自作し遠隔地のハウスの状況をリアルタイムで把握

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淡路の島菜園トマト

 トマト栽培は、一次産業特有の不安定さもありますが、ガラス温室での栽培では環境をある程度コントロールすることも可能です。それだけに、トマトは作り手によって、味、収穫量共に大きく異なる作物です。単純に量を求めると食味がどうしても落ちてしまい、逆に、美味しさを求めると採れる量が激減してしまうところがトマトの難しいところです。

 トマトの持っている可能性をどれだけ引き出せるか、そのために必要な環境とは?そんなトマトとの会話を日々続けています。そこに大きな役割を果たすもののひとつとして、センサーの設置があります。淡路の島菜園では、現在10aの温室が6つと、2aの試験温室がひとつあり、それぞれの環境をモニターすることは、問題の発見と、早期解決に向けた大変興味深いデータを与えてくれます。

 先日、ロボットに詳しい方に協力いただいて、センサーを自作しました。現在、遠隔地の7カ所の温室の温度、湿度、炭酸ガス濃度を携帯でいつでも確認できる環境にあります。

 農業の世界も確実に次のステップに向かっており、勘や経験はもちろん必要ではありますが、データ化しながら生産管理を行うことも必須であると実感しています。トマトを栽培し、データを積み上げると、トマトのポテンシャルをさらに引き出せる可能性を感じます。

 さらに美味しいトマトの栽培を追求し、規模もどんどん拡大しながら空き温室を有効活用することで、トマトのおいしさと淡路島の素晴らしさをお客様に伝えていきたいと思います。

<施策ご活用の内容>

 旧式の温湯循環式ボイラーを温風ボイラーに交換することで、燃料費の削減と生産効率改善が見込まれます。またITを活用した生産管理が品質向上と安定した生産の両立を可能にしています。
 今回は、その温風暖房器の設置に生産性向上設備投資促進税制をご活用いただきました。

掲載関連情報

企業名
淡路の島菜園外部リンク 新しいウィンドウで開きます(大森 一輝氏)
所在地
兵庫県淡路市久留麻2674-11
電話番号
0799-70-6463

4.九条ねぎの栽培から収穫・加工・流通まで一貫して手掛ける(こと京都株式会社)

6次産業化で安定した農業経営に

写真の中:以下に解説
こと京都代表取締役 山田 敏之 氏(中央)

 こと京都株式会社は、伏見の一農家が京野菜・九条ねぎの生産に特化し、ビジネスとしての農業を志向して始めた会社です。自らカット加工・流通を手がけることで、従来は限られたマーケットだけで使われていた九条ねぎが、現在では大手外食チェーン、コンビニエンスストア、量販店でも幅広くメニュー化されるなどの動きを形成しました。年商も当初目標の1億円は早々に突破し、現在では7億円を超えるビジネスに発展しています。

 九条ねぎの種まきから、収穫、加工、流通までのいわゆる「農業の6次産業化」により達成した高付加価値化で、天候や相場のリスクをヘッジしつつ、安定した農業経営につなげている点が特徴的です。九条ねぎというニッチなマーケットで一番手となっていることが経営の強みとなり、生産や営業においても優位にたった事業展開が期待できる環境となりました。

ボトルネック工程解消のために工場新設を決断

写真の中:以下に解説
工場外観

 当社の九条ねぎは、畑→1次処理工場(城南宮工場)→最終加工工場(横大路工場)→物流会社→お客様、のフローにのって流れて行きます。年々需要が高まり、生産量も最初の城南宮工場を稼働した頃より、数倍の規模に伸びています。

 その後、横大路工場を建設し、顧客のニーズに応えて参りましたが、近年さらに増産の必要性が高まり、城南宮工場のキャパシティがすでに限界に達していることがボトルネックとなって、事業展開に支障をきたす可能性が出てきました。

 そこで、さらなる需要に対応するため1次処理能力を増大させることになり、今般、新たに向島工場を建設することとなりました。

 新工場は現在の工場の4倍の広さで生産性の高い工場として期待されます。導入される機械も最新の効率の良いものですので、収益の向上にも寄与できるものと考えています。農業の安定性を図り、6次産業化を後押しする内容で、幅広い実需者への供給力を高められる設備投資案件です。

工場設置を設備税制が後押し

写真の中:以下に解説
こと京都の皆様

 今回工場増設にあたり、生産性向上設備投資促進税制を活用することで、設備投資にあたってのハードルを下げることができたと考えています。必要な時期に、必要な設備投資をすることは当社のような中小企業にとってはとても重要でありますが、同時に一大決断ですので、そのハードルを施策によって下げることができることは事業主体として何よりの公的な支援でした。国策として農業を推進している昨今において、このような施策があることは官民一体となって推進している感覚があり、心強いものがあります。

<施策ご活用の内容>

 処理能力の増強のために工場を拡張移転することで、生産・販売拡大に対応できるようになります。
 今回は、1次処理工場の建設に際して生産性向上設備投資促進税制をご活用いただきました。

掲載関連情報

企業名
こと京都株式会社外部リンク 新しいウィンドウで開きます(代表取締役 山田 敏之)
所在地
京都市伏見区横大路下三栖里ノ内30番地
電話番号
075-601-0668

関連施策へのリンク

このページに関するお問い合わせ先

近畿経済産業局 地域経済部 地域経済課

電話:06-6966-6065

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