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IoT/IoE時代の新ビジネスの可能性
~中小企業でもはじめられるIoT/IoEビジネスとは~
担当課室:情報政策課

最終更新日:平成27年4月1日

1.IoT/IoEとは

 昨今のIT技術の進展により、モノがインターネットにつながるIoT(Internet of Things)の時代が到来したと言われています。さらにそれを発展させた概念として、世の中のヒト・モノすべてがインターネットにつながるIoE(Internet of Everything)が想定されており、これに付随してこれまでになかった様々な新しいサービスが生まれ、新しい価値を生むとされています。

 IoT/IoEが注目されている背景に、センサや無線モジュールの小型化・低価格化・省電力化などの技術的な進化に加えスマートフォン等の通信環境の変化など、今までつながっていなかったものがインターネットやクラウド等に接続できる環境が整ってきたことが考えられます。

 更に、ビッグデータの活用や3Dプリンタの低価格化等、周辺技術の発展によりビジネスの幅も拡大し、IoT/IoEによる多くの新産業の創出が期待されています。特にヘルスケア・医療、産業機器をはじめ、農業やビル・住宅、公共・社会インフラ等へ拡大する動きが加速しており、企業や大学等において機器の試作・情報システム化や実証実験がなされているところです。(図Ⅰ)

図:以下に説明あり
図Ⅰ:IoT/IoEでつながる世界

 今後も大きな進展が期待されるIoT/IoEですが、その構築には必ずしも最先端の技術が必要という訳ではありません。既存の技術を用いてインターネットに接続することで新規性の高いサービスを実現し、これまでになかった価値が付加された商品を開発することが可能です。既に一部の企業では、一般的なセンサや無線モジュール等を組み込み、独自の機能を持たせた商品が生み出されてきています。

2.IoT/IoEの具体的なイメージ

 IoT/IoEは、実際には様々な形態が考えられますが、典型的なシステム構成の一例を図Ⅱに示します。具体的には、モノ(商品等)に組み込まれたセンサーや通信機能がインターネットに接続され情報が処理され、例えば監視や遠隔メンテナンスが可能になるなど様々なサービスが提供可能となります。

 このような直接的サービスだけではなく、それを更に発展させ、様々な製品やセンサーなどから収集した大量データを分析し、情報の分析やマーケッティングに活用する、いわゆるビッグデータビジネスとも密接に関わってきます。

図:以下に説明あり
図Ⅱ:IoT/IoEの代表的なイメージ

 現在もIoT/IoE技術に関し、様々な進化が見られ、今後ますます容易に商品開発ができる環境が整うものと思われます。(図Ⅲ)

図:以下に説明あり
図Ⅲ:IoT/IoE技術に関連する進化の動き

 多くの民間調査機関では、今後世界的なIoT市場の急速な拡大を予測しています。IoT/IoE時代の到来は、中小・ベンチャー企業にとってもアイデア次第で、世界へ踏み出す事業イノベーションを起こすチャンスです。

3.「IoT/IoEのビジネス環境とその発想を促す試行的ワークショップによる産業育成方策に関する調査」について

 近畿2府5県を中心とする関西地域は、電気・電子系大手企業や大学、研究機関が集積しており、更にものづくり基盤技術(情報処理、精密加工、機械制御、測定計測等)を担う中小企業も数多く存在しています。つまり、IT・エレクトロニクスとモノづくり産業のポテンシャルが豊富な関西地域は、IoT/IoEに関する新たな製品・サービスが生み出されるのに十分な環境が整っています。

 当局では、関西地域において今後IoT/IoEを用いた様々なビジネスが生み出されるためには、どのような取り組みが必要であるかを検討することを目的として、標記調査を実施しました。

 

(仮説的な設定)

 はじめに、ITとモノづくりが連携し新たなビジネスを生み出すステップとして、図Ⅳのような関係を仮説的に設定しました。一般的なものづくり事業者、IoT/IoE技術を組み込むIT事業者といった製品づくりの立場に加えて、付加価値をもたらすサービス内容、ビジネスモデルを企画する事業プロデューサーを位置づけました。様々な機器、技術の登場で、従来よりも容易に製品の企画開発ができる環境が整いつつある中、立場の異なる人が連携することでIT技術により商品に新たなサービスが付加され、利用者を引きつける価値を生み出す流れです。こうした流れが多くの企業に広まれば、新たなビジネスが創造される気運がより高まるのではないかと考えられます。

図:以下に説明あり
図Ⅳ:IoT/IoEのビジネス関係図(仮説的設定)

(事例の収集)

 次に、広くIoT/IoEに対する理解を促すため、IoT/IoEに関連する企業等のビジネス事例や大学等の研究者の研究テーマをいくつかピックアップし、それぞれの事業概要をとりまとめたペーパーを作成しました。

 ピックアップした企業等のビジネス事例リストは表Iのとおりです。

表Ⅰ:企業等ビジネス事例リスト
分類 内容(サービス名) 企業等
中小・ベンチャー企業 コミュニケーションロボット(BOCCO) ユカイ工学株式会社
眼鏡型ウェアラブル端末(InfoLinker) ウエストユニティス株式会社
駐車場利用通知システム(空きナビ) M2Mテクノロジーズ株式会社
エネルギー分野における顧客価値創造 株式会社日新システムズ
クラウド活用型太陽光発電遠隔モニタリングサービス
(エコめがね)
株式会社NTTスマイルエナジー
ユーザ企業 ICTを活用した高品質みかん栽培 株式会社早和果樹園
ビルエネルギー管理システム
(A-EMS(あべのエリア-EMS))
あべのハルカス
(近畿日本鉄道株式会社)
デジタル外湯券(ゆめぱ) 城崎温泉城崎このさき100年会議

 ここでは、NTTスマイルエナジー社の「エコめがね」を紹介します。(図V)

図:以下に説明あり
図Ⅴ:NTTスマイルエナジー社「エコめがね」

(ヒアリングによる状況把握)

 また、IoT/IoEに関連した新ビジネスの創出に対する考え方について、関西の企業を中心とする様々な立場の方々にヒアリングを実施しました。主なコメントは以下のとおりです。

先進的にIoT/IoEに取り組んでいるモノづくり中小企業

  • スマートフォンの普及、3Dプリンタの登場、無線技術の小型化・省電力化により格段とIOT開発環境が進展した。
  • 新たな価値は、単なる機能だけでなくユーザーにどのような体験を与えられるかが鍵となる。
  • アイデアの発想よりも製品化まで事業を継続していくことが難しい。
  • ユーザーのニーズは対象地域(国)や市場で異なるので使い分けが必要。
  • 中小企業にとって依然資金調達は難しい。クラウドファンディングなどの手段は有効。

まだ積極的に取り組んでいないモノづくり中小企業

  • IoT/IoEを活用するビジネスに対する知識やアイデアが不足している。
  • IoT/IoEを活用したビジネスが自社製品でも可能という認識が薄かった。
  • IoT/IoEを活用したビジネスモデルの可能性を意識はしている。
  • 現実的にみて自社のみでサービスまで付加した製品開発は難しい。
  • 異業種企業と交流することで新しいアイデアを得ることがある。

IT(組込みシステム等)企業

  • ICタグなど強みのある分野をいかしたソリューションを提供している。
  • ヘルスケア、エネルギー分野でノウハウのある事業を行っている。エネルギー分野では統一規格を用いたプラットフォーム事業にも着手している。
  • 単に技術的に優れたものでなく、顧客ニーズを聞き出し適切なソリューションを提案している。

事業プロデューサー

  • 中小企業が狙う市場は大企業では採算のとれないニッチな領域が最適。
  • BtoBでもその先のBtoCまで見据えた事業設計が重要。
  • 中小企業は単体でできることが限られており、異業種連携が必須である。
  • アイデアソン等は実際の事業を想定し、そこで必要となる参加者を集める工夫が必要。また、前もって参加者にセミナー等で理解を深めてもらう事が望ましい。
  • 異業種連携にあたっては参加者それぞれが、積極的に意見を出し合える環境作りが重要。

 

(実験的ワークショップの開催)

写真:以下に解説
ディスカッションの様子
写真:以下に解説
京都産業大学平井先生による講演

 これらのヒアリングで得た情報も参考にし、これまでIoT/IoEの概念をあまり知らなかったものづくり企業等を対象に、IoT/IoE関連技術の活用が新しい事業や商品開発に役立つ可能性があることについて理解を深めるワークショップを開催しました。(2015年2月24日グランフロント大阪にて)

 はじめに大学の先生や企業の方からIoT/IoEに関連する技術やビジネスについてご講演頂き、その後、提示された製品テーマに基づき参加者全体でディスカッションを行いました。IoT/IoEにより既存製品にどのような付加価値をつけることができるのか、製品の機能や役割について議論し、技術的な観点やビジネスモデル等について幅広くアイデアを出し合うことで、新たなサービスの可能性を探りました。

 ディスカッションでは一般参加者からも積極的な意見が相次ぎ、時間が足りないほどで、さらに深掘りした議論を聞きたかったとの声がありました。また、「IoT/IoEを活用したアイデアについて実感できた」、「異業種の方から意見をもらい刺激を受けた」、「今回の意見を元に商品化も検討したい」等の感想もあり、これまでIoT/IoEにあまり縁のなかった参加者にとっても、IoT/IoEビジネスについて理解していただく良い機会になったようです。

4.おわりに

 冒頭で触れましたように、IoT/IoEは今後ますます普及していき、そのビジネスチャンスは大企業だけではなく、中小・ベンチャー企業にも広がっていくものと思われます。ただ、中小・ベンチャー企業単独では、その情報量やノウハウ、経営環境などの制約により、思うように事業展開することが難しい場合も出てくると予想されます。

 近畿経済産業局では、今後もセミナーやワークショップによる情報提供をはじめ、新ビジネス創出を促す仕組みの構築など、中小・ベンチャー企業でもIoT/IoEの発展の恩恵を受けられるビジネス環境作りに努めて参りたいと思います。

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近畿経済産業局 地域経済部 情報政策課
電話:06-6966-6015

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