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生産性向上設備投資促進税制のすゝめ
~応援します!設備投資(販路開拓・開発チャレンジ編)~
担当課室:地域経済部地域経済課

最終更新日:平成27年5月1日

 「生産性向上設備投資促進税制」は、質の高い設備投資の促進により事業者の生産性向上を図ることを目的に平成26年1月20日に創設された新しい税制です。同税制にはA類型「先端設備」、B類型「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備」の2種類の要件があり、何れかの要件に該当する設備を導入する際に税制上の特典を得られます。

 今回は、E!KANSAI10月号(平成26年)1月号(平成27年)に引き続き、制度をご活用いただいた企業の声をご紹介します。

1.ヨシリツ株式会社(奈良県・アイデア商品、知育玩具の開発製造販売)

常にアイデア商品を生み出し続ける

写真:以下に解説
専務取締役 吉條 嘉家 氏

 ヨシリツ株式会社は、1983年10月に現社長の吉條宏が発明したアイデア栓抜き「セントル」を製造販売する会社として設立されました。「セントル」は、円筒型で、上から押すだけでビール瓶等の王冠を開けることが出来る栓抜きです。

 当初、その外観のユニークさとワンプッシュで王冠が開けられる手軽さから、表面に企業広告を印刷して配布する新手の販売促進グッズとしてヒットし、会社の業績は安定していきました。

 ところが、1990年のバブル崩壊後より、国内のビール市場から急速に瓶ビールが姿を消し、栓抜きの需要が激減しました。会社の先行きに危機感を持った吉條社長は、それまで構想段階であった組立ブロックの製品化を決定しました。

 この製品は、限られたパーツからあらゆる形が作ることが出来る造形素材で、様々な生活雑貨を使う人の成長やライフスタイルの変化にあわせて道具自体が変化していくと言うコンセプトのもとに開発されたものです。これは一枚の布を着物の仕立てから体型の変化にあわせて仕立直しをし、布の状態によって座布団やお手玉にリユースし、資源を無駄なく使う日本の伝統的な生活文化の発想です。
 そしてこの製品が、現在の当社の主力商品である組立知育ブロック「LaQ(ラキュー)」となったのです。

写真:以下に説明あり
会社の危機を救ったアイデア商品「セントル」
図:以下に説明あり
旧伊勢街道沿いにある紀州家の脇本陣として使用された本社社屋(築200年)

組立て知育ブロック「LaQ(ラキュー)」

写真:以下に解説
LaQパッケージ

 「LaQ」は、プラスチック素材で商品化当初の色調が赤・青・黄・緑という原色で構成されるパーツで、試験販売では子ども達が飽きずに根気よく遊ぶことから、知育ブロック玩具として発売を開始しました。
 ただ、発売当初は、販路も知名度も全くなかったことに加え、テレビゲームブーム真只中でアナログのブロック玩具に対しては、子ども達がほとんど関心を持ってもらえない状況でした。手にしてくれた子ども達の反応は良く、商品自体の評価は高いのに消費者の元に商品が届かない・・・このような状況がしばらく続き、会社の経営状態も次第に厳しくなって行きました。
 このような状況の下、「とにかく商品を消費者の手に触れてもらうことが最優先」と理髪店やガソリンスタンド等々、お客さんに触ってもらえるあらゆる場所を訪問し委託販売の形態で商品を預けて回りました。

写真:以下に解説
知育玩具として書店で販売されています

 そんな中、たまたまある書店に預けた商品が一週間で完売したのです。今まで手探りで販路を模索していたのですが、これで進む方向が定まりました。それからは近隣の書店をシラミつぶしに飛び込み営業を開始し、次々に販路を拡大していきました。
 一方、委託販売先の拡大に伴い、会社の資金繰りは厳しくなってきました。委託販売であるためどうしても代金の回収サイトが長くなってしまうのです。この危機を救ったのは、当社の最初の商品「セントル」でした。奇跡的にアメリカへの大口輸出の契約が入り何とか資金繰りの危機を凌ぐことができたのです。
 このような経緯を経て、当社では独自開発の商品を独自開拓の流通で販売するという経営スタイルを確立することができ、会社の経営状態は安定して行きました。

 今では「LaQ」は全国の書店だけでなく玩具店でも取り扱われるようになり国内だけでも約2500の店舗で販売されています。幼稚園や保育園でも知育玩具として導入され、最近では学童保育でも沢山使われるようになりました。また、国内・海外各地で「LaQ」を使ったイベントが開催されるようになり、世界中の子ども達に親しまれています。


 「LaQ」の販売量は、2000年以降順調に増えて行き、また海外にも販路を開拓し、現在25カ国で販売され毎年順調に売上を増やしています。昨年、「LaQ」の出荷量の増加に対応するため、新工場を賃借し、新しい生産ラインを立ち上げました。この設備投資に際しては「生産性向上設備投資促進税制」を活用しました。この税制の利用によりキャッシュフローが改善し、よりチャレンジングな設備投資や新たな製品開発に資金を投下できると期待しています。

 また、当社では昨年11月から、「LaQ」に新しい素材のパーツを追加することにより、製品を玩具以外のファッション雑貨向けに用途開拓を行うことを目的とした新たな製品開発に取り組んでいます。今まで消費者の皆様から要望の強かったパーツではありましたが、当社にとって過大な設備投資のリスクから金型制作が先延ばしになっていたのですが、今回「ものづくり補助金」が後押しになり一気に形になりました。ものづくり補助金の活用により開発された新しいパーツは、本年の7月には市場で発売される予定で、この販売成果も非常に楽しみです。

写真:以下に説明あり
LaQ作品コンテストの様子
写真:以下に説明あり
7種類のパーツの組み合わせで変幻自在

今後の展望

 現在の為替水準は1ドル=120円前後で推移していますが、この水準であれば、日本製の製品が国際的に競争力を十分に持てると認識しています。当社が東南アジアや中国、ロシアをはじめとする東欧諸国へ輸出する際、『MADE IN JAPAN』の信頼度は抜群であると感じます。特に「LaQ」は、日本製という背景から教育的で安心な商品と言うブランドマーケティングを展開することができ、模倣品に対しても競争力を確保できていると思います。今後、日本の中小企業がこれまで養ってきた技術力やサービス力を海外で展開するにも、税制や補助金が、強力な推進力になると期待しています。
 私自身、製品や技術・サービスは、目に見える形だけではなくそこに託された作り手の心や精神性も消費者に伝えて行く力があると信じています。そのような意味で、ヒト・モノ・カネの流れが、ますますボーダレス化して行く世界的な状況で、我が社を含む日本の中小企業がどんどん世界に進出し、もの作りや製品・サービスを通じて日本の伝統的に寛容な精神性を伝えて行くことにより、世界の人々が自然と調和して持続的に発展可能な社会を築いていくことを期待し、また実践できればと考えています。

写真:以下に説明あり
体験イベント風景
写真:以下に説明あり
子ども達の真剣なまなざし

税制担当者からのひとこと

 今回はLaQ生産設備の導入と新製品の開発に「生産性向上設備投資促進税制」と「ものづくり補助金」をご活用いただきました。LaQの世界がどこまで広がるのか本当に楽しみです。

掲載関連情報

企業名
ヨシリツ株式会社外部リンク 新しいウィンドウで開きます
所在地
奈良県吉野郡大淀町越部1563番
電話番号
042-382-3955

2.山田繊維株式会社(京都府・ふろしき専業メーカー)

「強み」としての『ふろしき』

写真:以下に解説
代表取締役 山田 芳生 氏

 私たち山田繊維は、風呂敷専業メーカーとして昭和12年に創業し、今年78年目を向かえます。
 創業者である祖父は、丁稚時代から取引のあった工場や職人さんとのネットワークのもと、自分たちの工場を持つのではなく協業して商品を作るというメーカーとしてのスタイルを確立。生地を仕入れ、染めて、『ふろしき』に加工して出荷するというスタイルは創業当初から変わりません。
 二代目である父は、早くからコンピューターを導入し、業界に先駆けて商品のカタログを制作するなど、商品開発力に加え営業手法にも独自性を発揮しました。

写真:以下に解説
魅せる『ふろしき』

 1995年以降、和装中心の得意先から和雑貨マーケットへの展開が広がり始め、幅広いニーズに応えるべく『ふろしき』から『のれん』、『袋物』『ランチョンマット』や『がま口』など、様々なアイテムを作るようになりました。
 それに伴い、売り上げは伸びましたが、同時に「これで良いのだろうか?」「山田繊維の強みは何だろう?」と考えるようになりました。
 得意先が増えていくほどにその考えは強くなりました。
 「何でもできる」よりも、小さいながらも「一つの強み」を持つ会社になった方が良いのではないかと考えるようになったのです。

ショップ運営から気づいた“可能性”

 京都には、染織、漆器、焼物など一つの柱を掲げ何百年も続けて商売をされている老舗がたくさんあります。
 「山田繊維にとってその柱とは…」と考えたところ、『ふろしき』だと確信し、事業を『ふろしき』一本に絞ると決めました。

 2003年、三代目に継承し、その2年後の2005年東京日本橋にあった営業所を渋谷区神宮前に移し、同時にその一部をアンテナショップにしました。移り変わる時代の中で、メーカーとして生き残っていくためには、『ふろしき』を取り巻く現状をリアルに感じ、時代に即したモノづくりが出来るだけでなく、新たなニーズを作り育てる取り組みを積極的にする必要があると考えたからです。
 ショップを通して見えてきたのは、『ふろしき』に対するイメージの古さ、認知度の低さ、そしてその対極にある“可能性”でした。

写真:以下に解説
デザインと利便性を兼ねた『ふろしき』

 『ふろしき』を使う人が少ない中でいかにたくさんの方にその魅力を伝えるかも急務であることから、『ふろしき』の講習会を開催するなど、モノとコトの両面から発信してきました。

 ショップオープンから10年を迎えた今日、『ふろしき』を取り巻く状況は徐々に変わり始めました。
 エコの観点や日本文化の見直しという時代の流れも受け、COOLJAPANとしての発信は新たな『ふろしき』の可能性をも広げてくれています。

 現在は、人気ファッションデザイナー・ミナぺルホネンの皆川明氏や、遊び心をデザインするグラフィックデザイナー・コチャエなどとのコラボレーションによる商品開発により、和のイメージにとらわれない新マーケットの拡販にも取り組んでいるところです。

 今後は、この四角い布の使い方と、利便性を世界の人たちに伝え、『ふろしき』を国籍に関係なく認められるアイテムにしたいと考えています。

『売り方・魅せ方・使い方』で世界へ発信

 Shopむす美の10周年に伴い、東京店を今年2月全面改装しました。
 Shopむす美は、BtoCへの販売だけでなく、BtoB営業や、広報にとってより一層の存在価値を発揮することを目的にしたリニューアルです。
 『ふろしき』というアイテムに沁み込んだ一般的なイメージを払拭し、商品を生き生きと魅力的に見せる店舗空間やディスプレイ展開は、新しさを伝える上で重要な意味を持っています。
 今回の改装にあたっては、店舗スペースを最大限に拡大し、売上も伸ばしていきたいと考えました。
 新しい店舗の顔ともいえる「パレットウオール」と名付けられた壁面。約170枚のふろしきの色・柄・素材の多彩さを触れながら見比べられるコーナーです。「見やすく、選びやすい。」と、お客様の反応も上々。「浮世絵や和柄が新鮮!」と思いがけない声も飛び出し効果を実感しています。
 メーカーとして商品力を高めることはもちろん、商品の見せ方、伝え方をもデザインすることの重要性をひしひしと感じ、更なる発信力を磨いていきたいと考えています。

写真:以下に説明あり
リニューアルした店舗内
写真:以下に説明あり
パレットウォール

税制担当者からのひとこと

 日本文化である『ふろしき』を『魅せ方』で発信することで、商品のグローバルな展開が期待されます。
 今回は店舗リニューアルに生産性向上設備投資促進税制をご活用いただきました。

掲載関連情報

企業名
山田繊維株式会社外部リンク 新しいウィンドウで開きます
所在地
京都市中京区新町通二条南入ル
電話番号
075-256-0123

3.冨田酒造株式会社(滋賀県・酒蔵)

地域のお米にこだわった純米酒

写真:以下に解説
冨田酒造 蔵外観

 私たち冨田酒造は、天文年間(1532-1555)創業、「七本鎗(しちほんやり)」という日本酒を造っている酒蔵です。七本鎗は、その昔、信長の跡目をめぐり、柴田勝家と羽柴秀吉(後の豊臣秀吉)が争った「賤ヶ岳の戦い」で活躍し、秀吉を天下人へと導いた七人の若武者「賤ヶ岳の七本槍」にちなんでいます。

 15代目蔵元である冨田泰伸は、フランスのワイナリーやスコットランドのウイスキー蒸留所などをめぐったことをきっかけに、酒の原点はその土地ごとにあると考えました。そこで、私たちの酒造りは、地元の米、水、そして環境と、「地」の部分に重きを置き、昔ながらの手作り・手作業を大切にしています。
 お酒の原料となる酒米は、滋賀県産のお米にこだわり、2001年より地元篤農家さんと酒米の契約栽培を始めました。今では長浜農業高校を含む5件の農家さんに酒米を栽培していただいています。水は、蔵内の井戸より汲み出す奥伊吹山系の伏流水を用い、江戸期に建てられた蔵で酒造りをしています。
 造りの中でこだわっていることは、米の個性を前面に出すため、麹米・掛米に必ず同一品種を使用していることです。滋賀県産の「玉栄(たまさかえ)」「山田錦(やまだにしき)」「渡船(わたりぶね)」「吟吹雪(ぎんふぶき)」の4種類を中心に使用し、米の旨みをじっくりと味わっていただける、そして、食事と共にお楽しみいただける酒造りを目指しています。特に、あえてお米の精米を抑えた低精白純米酒は、当蔵の特徴ある商品のひとつです。一般的には、お米を削れば削るほど綺麗な味わいのお酒になると言われていますが、丹精込めて作られた酒米ですので、あまり精米せずに使うことで、お米本来の旨みをたっぷりと味わっていただくことができます。

写真:以下に解説
低精白純米

 また、昨年より、酵母を添加せず、古くから蔵に棲みつく酵母を用いてお酒を醸す手法にも挑戦しています。さらに、今年はこの蔵付酵母を酒粕から分離し、自社で培養した酵母を用いた酒造りを始めました。
 地元の米・水、そして、蔵付の酵母と、滋賀・湖北の環境から生まれたお酒と想いを瓶に詰めて、全国へ、そして世界へとお届けしていきたいと思っています。

進化を続ける日本酒

写真:以下に解説
櫂入れ作業の様子

 酒造りは、洗米・浸漬(お米に吸水させること)・蒸米・麹造り・酒母造り・醪(もろみ)管理・上槽(酒を搾ること)と、多くの工程の中で、沢山の手間暇をかけて造っています。特に、昨年より始めた蔵付酵母を使った酒造りは、綿密な発酵温度管理等さらに高度な技術が必要となってきます。そのため、私たちは、タンクやプレートヒーター等、今までよりも高い機能を持つ設備を導入することに致しました。こうした設備を使用することによって、より細かく正確な温度管理をすることができるようになります。「手造り」の作業を保ったままに、機械の力を借りて、より安定性のある高品質なお酒造りを目指していきます。

 また、既存のお客様だけではなく、今まで日本酒に触れる機会の無かったお客様、日本酒には苦手意識を持っているというお客様など、もっと色々な方に、色々なシチュエーションで飲んでいただきたいという考えから、専用の充填装置等を導入し、新商品であるスパークリング日本酒の試作にも取り組んでいます。

税制担当者からのひとこと

 日本酒の新たな可能性に飽くなき探究心を抱く企業です。
 今回は専用の充填装置等の導入に生産性向上設備投資促進税制をご活用いただきました。

掲載関連情報

企業名
冨田酒造株式会社外部リンク 新しいウィンドウで開きます
所在地
滋賀県長浜市木之本町木之本1107
電話番号
0749-82-2013

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このページに関するお問い合わせ先

近畿経済産業局 地域経済部 地域経済課
電話:06-6966-6065

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