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シリーズ 部素材産業支援事業の取り組み 第2回
深江化成株式会社の「攻めのビジネス戦略」
担当課室:製造産業課

最終更新日:平成27年8月3日

「深江化成株式会社」とは

写真:以下に解説

 近年のiPS細胞研究をはじめとする再生医療や遺伝子解析装置を用いた次世代治療・診断の目覚ましい進歩を支えているのが、ライフサイエンス研究で必要とされるディスポーザブル製品です。ディスポーザブル製品とは、医療現場やバイオラボなどで感染やコンタミネーション(異物混入)を防ぐための使い捨て用品のことです。神戸にある深江化成株式会社は、研究用ディスポーザブル製品の企画、設計、製造、販売までを一貫して行うことが出来る国内唯一のプラスチック総合メーカーです。

 同社は、1951年に英国ダンロップの兵庫県代理店「木村商店」の工業用ゴム製品工場として発足し、1966年にプラスチック製造を手がける「深江化成株式会社」として木村商店から独立しました。独立後しばらくは、大手プラスチックメーカーからの下請事業を展開していましたが、現在の代表取締役である木村社長の『自分で考えたモノを、自分で売っていく』との理念のもと、当時まだ日本が世界に遅れをとっていたライフサイエンス研究に関連する市場の成長可能性に着目し、同社としてもゼロからの製品づくりとなる研究用ディスポーザブル製品の開発、製造に大きく舵を切りました。


深江化成(株)本社

木村代表取締役

研究用ディスポーザブル製品

写真:以下に解説
「WATSON」のブランド商品
写真:以下に解説
ブランド名の「WATSON」は、DNAの分子構造を
発見したジェームズ・デューイ・ワトソン
(James Dewey Watson)に由来している

 「当時は高度経済成長期であり、プラスチック製造業者は大手メーカーからの下請けだけで十分仕事が回せる時代だったので、異分野の製品を新たに開発し、販路も一から開拓するような企業は当社以外に無かったと思います。私は、下請事業者としての製品づくりだけでは、企業として成長に限界があると感じていました。もちろん、製品開発には投資も必要でしたし、新規の顧客開拓にも大変苦労しましたが、新たな分野に挑戦する上では、独自のブランドを確立して、企画、設計から生産、販売まで一貫して出来なければ業界のトップは取れないと確信していました」と話される木村社長の言葉どおり、同社は、当時ドイツやフランスなどの輸入品が主流であった研究用ディスポーザブル製品市場に新規参入し、試薬メーカーや研究機器メーカーを通じて独自に販路を開拓しました。そして、革新的な技術開発により品質、コストの面で輸入品を上回る高付加価値化を実現し、1987年遂にオリジナルブランド「WATSON」を立ち上げました。

写真:以下に解説
ピペットチップ
写真:以下に解説
マイクロピペットNEXTY

 多機能性と優れたデザイン性を兼ね備えた「マイクロピペットNEXTY」や超肉薄成形により優れた機能を有する「ピペットチップ」などの多彩な製品展開により、開発された「WATSON」ブランドの製品は200品種を越えています。現在、同社は、国内のほぼ全ての大手製薬メーカー、医療関連機器メーカーとの取引があるなど、国内有数の研究用ディスポーザブル製品メーカーへと成長しています。また、海外展開においても、中国、アメリカを中心とした販売を展開しており、将来的にはヨーロッパの大手競合メーカーと肩を並べるまでのグローバル企業に成長することを目標としています。

 

新たな市場を狙った研究開発投資

 同社は、ライフサイエンス分野への転向以降、売上げの大半を新発明や新技術の開発に先行投資し、毎年4~5件の新規製品の開発に取り組むなど、創造的な研究開発を展開しています。

 新規開発した製品の中には、自社の独自開発製品だけなく、国の様々な競争的資金を活用して実用化に成功した製品(プリザベーションプレート、8連型スティックマーカー(現在は10連に改良)、リューコキャッチ「細胞向けオーダーメイドディスポーザブル製品の開発」)、近年では、平成26年度戦略的基盤技術高度化支援事業を活用した、東京大学先端科学技術研究センターとの共同による「新規単一細胞分離回収用マイクロデバイスと装置の開発」など最先端の技術開発に積極的に取り組んでいます。


プリザベーションプレート
常温、常圧環境で核酸、血液等の
バイオソースの保存、輸送が可能

リューコキャッチII
遠心分離器を使用することなく
全血から白血球を抽出回収できる

10連型スティックマーカー
分子量マーカーを冷凍保存ではなく
乾燥保存することで、長期保存が可能

 また、同社はナノレベルの平滑性を具えたプラスチック成形において他社に無い卓越した技術を有しています。内径50μmの「中空微細針」を一度に複数本成形できる技術や超微細加工技術により、ガラス製より優れたグリッドの直線性と滑らかさを実現した「セルカウンター(細胞計数盤)」の開発に成功しています。


中空微細針
内径50μm、針長1000μm、16本の中空微細針の一度の成形が可能

中空微細針の先端部

セルカウンター


セルカウンターの表面
超微細加工により引っかかりの無いグリットを実現

 さらに、今年2月に医療機器の設計・開発、製造等に関する国際規格であるISO13485認証を取得し、医療向け基礎研究用品開発に向けた体制を充実させました。1月に細胞培養研究に向けた新たなラボラトリーを本社内に設置し、今後世界的な市場の伸びが期待される細胞増殖、単一細胞分析への研究開発に力を入れています。


プラント内の製造工程

細胞培養ラボラトリー

次なる成長ステージに向けたビジネス戦略

 木村社長は「細胞培養、単一細胞解析」を次のターゲットとして中期的なビジネス戦略に位置づけています。細胞培養、単一細胞解析は、iPS細胞・幹細胞による再生医療や新しい創薬スクリーニングなどの早期実現に必要不可欠です。その解析、培養装置や周辺の基礎研究、創薬・臨床実用化に関連する市場は今後益々大きく成長することが見込まれています。

 同社のスタッフは平均年齢が35歳であり、若手研究者からクリエイターまで機動力に優れた精鋭がそろっており、木村社長が描いた新たなビジョンに向けて社員が一丸となって突き進んでいく企業風土をもっています。

 技術力の高さだけで無く、常に一歩先を見据えた戦略が打てる優れた経営者とそれに応える有能な人材こそが同社の真の強みです。その強みを活かした商品開発や新たな市場開拓、研究開発の挑戦などの様々な取り組みの相乗効果により、今後同社が研究用ディスポーザブル市場のグローバルニッチトップ企業へと成長していくことが期待されます。

掲載関連情報

企業名
深江化成株式会社外部リンク 新しいウィンドウで開きます
所在地
兵庫県神戸市西区室谷2-2-7
電話番号
078-991-4488
代表者
代表取締役 木村 昌一
設立年月日
1951年
資本金
88(百万円)
売上高
13億円(2015年3月期)
従業員
107人

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このページに関するお問い合わせ先

近畿経済産業局 産業部 製造産業課
電話:06-6966-6022

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