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地域金融機関におけるビジネスマッチングを活用した目利き人材育成について
~京都信用金庫の取組~
担当課室:広報・情報システム室

最終更新日:平成27年8月3日

 地域金融機関が行うビジネスマッチングと聞くと皆様はどのようなマッチングをイメージされますか。展示会や商談会など期間限定の単発イベントをイメージされる方が多いのではないでしょうか。

 今回ご紹介する京都信用金庫は、イベント開催によるマッチングのみならず、普段からイントラネットの掲示板システムを活用したビジネスマッチングに取り組んでいます。ビジネスマッチングを通じて、営業担当者の目利き力の向上につなげる京都信用金庫のユニークな取組をご紹介いたします。

1.京都信用金庫の概要

 京都信用金庫は、京都市に本店を置き、京都府・滋賀県・大阪府の一部を営業地域とする総資産額2兆6,034億円(平成27年3月末現在)の信用金庫です。コミュニティ・バンクとして「金融サービスを通じて地域社会に新たな社会的紐帯、人々の絆を育むこと」を社会的使命であると考え、「地域の絆づくり」に取り組んでいます。中でも、お客様とお客様を結びつけ、豊かな地域社会の実現を目指すビジネスマッチングは絆づくりの実践活動として、特に力を入れて取り組んでいます。

2.ビジネスマッチングを生かした目利き人材の育成について

「掲示板」を活用した日常的なビジネスマッチング

 京都信用金庫は10年以上前からイントラネット内に独自のビジネスマッチング掲示板システムを開発し運用しています。この掲示板の仕組みそのものはシンプルで、以下のような流れでマッチングが進みます。

Step1
支店の営業担当者がお客様から聞いてきた課題を掲示板に記入。
Step2
掲示板を見た他の支店の営業担当者が自身の担当先に課題解決につながる可能性がある先があれば紹介する。
Step3
お客様同士を引き合わせ
Step4
お客様同士が成約

 例えば、あるものづくり企業が3年探しても見つからなかった部材について、図面を添付して掲示板に書き込んだところ(Step1)、他の営業店の担当者から自らの担当先であれば対応可能だとすぐに紹介があり(Step2)、商談を進めたところ(Step3)、まさに探していた部材が見つかり取引開始につながった(Step4)といった事例が日常的に起こっています。

 このような日常的なマッチングは、直近の平成26年度は、掲示板への登録1,106件(Step1)、担当先の紹介2,518件(Step2)、お客様同士の引き合わせ665件(Step3)、お客様同士の成約202件(Step4)にものぼっています。

 京都信用金庫は特に製造業に強みを持つ金融機関ですが、このマッチング掲示板システムを活用して製造業だけでなく幅広い業種のお客様の組みたい・買いたい・売りたい・知りたいといった課題解決につなげています。

 他の地域金融機関の例では、本部が介在してマッチングするケースが多いようですが、京都信用金庫のマッチングは、営業店の担当者同士が掲示板というインフラを使って直接やりとりを行います。掲示板でのやりとりには全職員がアクセス可能で、理事長はじめ役員も毎日掲示板に目を通しています。支店の営業担当者においては毎日複数回掲示板をチェックすることが習慣となっており、これがスピーディなマッチング、つまり、スピーディなお客様の課題解決につながっています。

マッチングへの参加が育てる目利き力

 京都信用金庫の営業担当者は、お客様を訪問する際、他の金融機関の動きやお金の話だけをしているのではありません。お客様の良き相談相手となるため、財務面のみならず、お客様の事業拡大、コストコントロール、人材育成・組織など経営そのものに関心をもって話を聞いています。

 営業担当者の中には、例えばこれまで取引のない企業を初めて訪問する際、マッチング掲示板に記入された内容を踏まえ、「こんな部材は作れませんか?」といった、金融機関らしくないアプローチをする担当がいます。また、他の営業担当者はお客様を訪問した際、社長が電話口で困った様子で話をしているのを見て、「何かお困りですか?」と声をかけたことがきっかけで、お客様から課題を聞き、マッチング掲示板に書き込んでいます。他には、これまで掲示板に書き込まれた内容から業界の動向を読み取って、自身の担当するお客様にとって付加価値の高い提案を行うなど、ビジネスマッチング掲示板を知恵と工夫で活用することで結果としてお客様の役に立ち、そして営業担当者の目利き力も向上しています。

 営業担当者は、お客様のお金だけでなく、本業に関心を持ち、理解を深めることで、初めてマッチング掲示板に効果的に参加できます。お客様から課題を聞くことができても、事業内容を理解していないと、課題を整理してマッチング掲示板に投稿することができなければ、課題解決につながるパートナーをピンポイントで紹介することもできません。マッチング掲示板への積極的な参加が、結果として営業担当者の目利き力向上につながっています。

ベストプラクティスを顕彰し、共有する「ナイスマッチング賞」

写真:以下に解説
ナイスマッチング賞開催の様子

 京都信用金庫では、ビジネスマッチングを進める営業担当者の知恵と工夫を顕彰するため、毎月、最もドラマチックな動きをした営業担当者に「ナイスマッチング賞」を授与しています。

 ナイスマッチング賞では、次の3点、つまり、(1)どのような経緯でお客様が課題に直面していることを知ったのか、(2)なぜこのお客様を紹介しようと思ったのか、(3)マッチングの前後でお客様との関係性にどのような変化があったかという点に営業担当者の知恵と工夫がちりばめられているケースが多くなっています。授与式ではこういったポイントを、理事長、専務理事、担当役員と昼食をともに話しながら、賞賛されます。普段はなかなか直接話す機会のない理事長らと話ができ、しかも褒められることもあり、営業担当者のモチベーションアップにつながっています。

 ナイスマッチング賞の開催は、すでに、60回を超えており、中には複数回受賞するマッチング営業を極めた担当者も出ています。受賞案件については、後日、ベストプラクティスとして金庫内で情報共有されるため、他の担当者もマッチング営業のコツとなる部分を自らの営業活動に取り入れることも可能となります。

目利き力を向上する新たな取組「目利きスタジアム」

 京都信用金庫ではビジネスマッチングに取り組みはじめてすでに10年以上がたっており、マッチング掲示板を活用して営業活動を行うことが、特別なことでなく、すでに定着しています。

 そして、昨年度からは、営業担当者の目利き力向上のために「目利きスタジアム」という取組にも力を入れています。この目利きスタジアムは、例えば「3Dプリンター」「クールジャパン」「アグリ」など、毎月、テーマを決めて発表者(チャレンジャー)を5名程度募集します。当日は、1人10分程度、主に自分が担当するお客様のユニークな取組について100名以上の聴衆(オーディエンス)の前でプレゼンテーションを行います。質疑応答の後は、オーディエンスの1人1票の人気投票で最も人気のあった担当者を「鉄人」として顕彰しています。

 目利きスタジアムは勤務時間外の開催にも関わらず、毎回、役員を含め100名以上の役職員がオーディエンスとして参加しています。普段は大勢の前でプレゼンテーションを行う機会などない営業担当者ですが、パワーポイントでの資料作成から、発表の練習などの準備を行って本番に備えます。しかしながら、この準備段階で最も重要なことは、資料作成でも発表の練習でもなく、お客様の本業についてコミュニケーションを深め、知ることです。お客様から本業に関する話を聞くことで、信頼関係がこれまで以上に深まり、結果として、目利きスタジアムを通じた人材育成につながっているのです。

写真:以下に解説写真:以下に解説

目利きスタジアム開催の様子

最後に

 営業担当者が熱心にビジネスマッチング掲示板に参加するのは、営業担当者自身がマッチングを通じてお客様に喜んでもらうという成功体験を重ねることで、お客様の経営の役に立つことの醍醐味を知るからではないでしょうか。今後も、ビジネスマッチングや目利きスタジアムなどの取組を通じて、さらなる目利き人材を育成されることを期待しています。

掲載関連情報

企業名
京都信用金庫外部リンク 新しいウィンドウで開きます
所在地
京都市下京区四条通柳馬場東入
電話番号
075-211-2111

このページに関するお問い合わせ先

近畿経済産業局 総務企画部 広報・情報システム室
電話:06-6966-6009

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