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家業で起業!地域の新しいベンチャーのかたち「ベンチャー型事業承継」のススメ
事業承継を契機に新しい領域に挑戦する若手後継者を応援します!
担当課室:創業・経営支援課

最終更新日:平成30年9月3日

近畿経済産業局(以下、当局)では、中小企業の若手後継者が事業承継を契機に新たな領域に挑戦する「ベンチャー型事業承継」をベンチャー支援の一つとして推進しています。今回は今年度の取組内容について紹介します。

地域の新しいベンチャーのかたち 「ベンチャー型事業承継」とは?

当局では「ベンチャー型事業承継」を「若手後継者が先代から受け継いだ有形・無形の経営資源を活用し、永続的な経営を実現するために新たな領域に果敢に挑戦し、社会に新たな価値を生み出すこと」と定義して応援しています。

後継者が先代から受け継ぐ経営資源は、製品・技術力や人材、企業としてのブランド力・信用力など多岐にわたります。そうした資源を自分の関心のある分野と掛け合わせて新規事業を立ち上げたり、業態転換を図ることは珍しいことではなく、地域において規模を問わず、多くの後継者が新たな取り組みに挑戦してきました。

当局は、そうした挑戦を「ベンチャー型事業承継」と定義し、後継者(アトツギ)もベンチャーと位置づけることにより、若い世代に関心を持ってもらい既存企業のイノベーションを促していきたいと考えています。

「ベンチャー型事業承継」とは

「ベンチャー型事業承継」とは

ベンチャー型事業承継の事例企業:有限会社菊井鋏製作所(和歌山市)

「ベンチャー型事業承継」の事例として、有限会社菊井鋏製作所 代表取締役 菊井 健一さんをご紹介します。

同社は、1953年に創業し、理美容師が使用するハサミを設計・製造しています。1973 年に同社が開発した「コバルトシリーズ」は世界で初めてコバルト基合金を使用しており、一般的なステンレス製ハサミよりも、酸や腐蝕に強く耐磨耗性にも優れており、さびにくく使いやすいハサミとして40年以上、多くの方々に愛用されています。

代表取締役 菊井健一さん

代表取締役 菊井健一さん

同社の理美容ハサミ

同社の理美容ハサミ

家業を継ぐまで

菊井さんが家業を継ぐことをはっきりと決意したのは、大学1年生の時でした。幼い頃から家業を継ぐ気持ちを持っていたものの、高校・大学の進路決定では家業とは直接関係なく自分のやりたいことをやろうと考えていました。大学入学後、改めて自分の家業を継ぎ、ものづくりがしたい、祖父の代から続く伝統を守りたい気持ちが強くなり、後継者としての準備を始めました。

大学卒業と同時に家業に入り、理美容ハサミを制作する工程を一通り経験した後、2016年に事業承継を行い、28歳で社長に就任しました。

新規事業展開:ブランド力の強化

事業承継を機に菊井さんは自社の技術力や製品をより多くの人に知ってもらうための取組を始めました。最初に独立行政法人中小企業基盤整備機構の海外ビジネス戦略推進支援事業を活用し、米国において市場調査を実施しました。これを契機に、これまで国内販売のみだった同社は米国での販売を始めました。また、米国でのハサミ業界のコンベンションに参加し、日本の製造技術の高さを積極的にPRしています。

他方、日本国内においては同社のホームページだけでなくSNSを活用することで、特に若い世代のエンドユーザーへの知名度向上に取り組んでいます。

こうした米国での販売やSNSの活用によって自社のブランド力強化を図り、新しい顧客獲得に向けて日々努めています。

若手後継者の挑戦を応援する取組

当局では、「ベンチャー型事業承継」の推進のために、平成30年度は主に3つの取組を実施しています。

1つめは、「ベンチャー型事業承継」のロールモデルの情報発信です。関西で活躍する経営者の事例を、ポータルサイトやSNSで紹介しています。まだ家業を継ぐか迷っている方を含めた若手後継者に、ベンチャー企業のように新たな領域に挑む先輩経営者の姿を見てもらうことで、能動的に家業を承継してチャレンジする後押しをしています。

2つめは、関西各地域における「ベンチャー型事業承継」の普及啓発イベントの開催です。昨年度の「ベンチャー型事業承継」の取組は、大阪を中心に開催してきたこともあり、他地域での知名度はまだまだ低い状況です。そのため、自治体、商工会・商工会議所、金融機関、大学、民間企業等の地域支援機関と連携し、関西6箇所においてイベントを開催する予定です。地域で活躍する「ベンチャー型事業承継」のロールモデルとなる経営者から経験談を語っていただき、参加者とやりとりすることで新規事業へのヒントを探る内容を予定しています。地域の若手後継者を発掘するとともに、創業や事業承継の支援機関の方などにも広く知ってもらい、地域での「ベンチャー型事業承継」への理解を深め、支援体制を構築していきたいとも考えています。

3つめは、若手後継者を対象としたワークショップの開催です。「ベンチャー型事業承継」のロールモデルとなる先輩経営者に直接体験談を聞いて事例を学ぶだけでなく、大企業の新規事業立ち上げやベンチャー支援に取り組む方を講師として迎えて、自身の家業を振り返り、経営資源の強みを考えることで、若手後継者の新規事業挑戦に向けたマインドセットを図る内容を予定しています。また、本ワークショップ内では、グループワークを交えることで若手後継者同士のコミュニケーションを深め、同じ立場で頑張る仲間作りの場も設けます。

こうした取組を通じて、当局は「ベンチャー型事業承継」の関西一円での取組普及を目指し、事業承継を機に新規事業に挑戦する「アトツギベンチャー」が格好いいという機運醸成を図っていきたいと考えています。また、若手後継者同士のネットワークを形成するとともに、若手後継者を地域支援機関と一体となって応援する体勢を整えていきます。

今年度の取組について

今年度の取組について

関西から広がる「ベンチャー型事業承継」への支援

「ベンチャー型事業承継」の推進は関西発の取組です。平成29年2月に当局が策定したアクションプランにおいて、初めてベンチャー支援の対象として定義しました。

当局の取組をきっかけに国全体の動きも生まれてきており、平成29年7月に中小企業庁から発表された「事業承継5ヶ年計画」において、後継者による経営革新支援の強化として『「ベンチャー型事業承継」の事例の発信』が記載されています。また、平成29年度補正予算「事業承継補助金」においては「I型:経営者交代タイプ」として後継者による新しい取組が補助対象となりました。

民間主導でも、平成30年6月には「一般社団法人ベンチャー型事業承継」が東京で発足され、全国規模で「ベンチャー型事業承継」を応援する動きが出てきています。

関西発のこの取組が全国に広がり、地域に根付くことで各地域から新たな「アトツギベンチャー」が生まれてくることが今後期待されます。

最後に、支援機関、経営者、若手後継者の皆様へ

支援機関の皆様、「ベンチャー型事業承継」の取組にご関心ありましたら、一度各地域で開催するイベントにお越しください。そして「ベンチャー型事業承継」の取組にご賛同いただければ幸いです。

また、親族内での事業承継をお考えの経営者の皆様、是非後継者の方にこの取組をお知らせいただき、イベント等に参加するよう後押しいただきますようお願いいたします。

そして若手後継者の皆様、地域イベントやワークショップに参加し、家業の可能性について一度考えてください。そして仲間とともに一歩踏み出してみてください。

一緒に波をつくりましょう。

掲載関連情報

企業
有限会社菊井鋏製作所
所在地
和歌山県和歌山市小雑賀2-2-31
電話番号
0120-959-833

関連施策へのリンク

ぼくらのアトツギベンチャープロジェクト

このページに関するお問い合わせ先

近畿経済産業局 産業部創業・経営支援課

電話:06-6966-6014

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