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最終更新日:平成22年4月1日
地域経済を構成する各産業は、域内・域外の産業と相互に密接な取引関係を結びながら生産活動を行い、地域独自の産業構造を形成している。
ある一つの産業は、他の産業から原材料や燃料などの財・サービスを購入(投入)し、これを加工(労働・資本などを投入)して新たな財・サービスを生産する。さらに、これを他の産業に対し原材料等として販売(産出)する。このような関係が各産業間で連鎖的につながり、最終需要者に対して必要な財・サービスが供給されることとなる。
産業連関表はこのような産業間の取引をまとめたもので、経済活動を財・サービスの取引関係という側面からとらえており、ある地域における一定期間(通常1年間)の経済活動の実態を一つの表(マトリックス)にまとめたものである。
また、産業連関表は各産業の投入(Input)と産出(Output)を示していることから、投入・産出表(Input-Output Table)、略してI-O表とも呼ばれている。
地域産業連関表の全体的な構成についてみると、まず、表頭には、財・サービスの買い手側の部門が揚げられ、「中間需要部門」と「最終需要部門」からなっている。このうち、「中間需要部門」は、各財・サービスの生産部門であり、各部門は生産のために必要な原材料・燃料等の中間財を購入し、加工(労働、資本等を投入)して、生産活動を行っている。また、「最終需要部門」は、具体的には、家計、企業、政府等であり、主として完成品の消費財、資本財の購入者である。表側には、財・サービスの売り手側の部門が揚げられ、「中間投入部門」と「粗付加価値部門」からなっている。「中間投入部門」は、財・サービスの供給部門であり、粗付加価値部門は、当該部門に属する財・サービスの生産に当たって必要となる労働、資本等の要素費用、その他である。
表頭の買い手側の中間需要部門について、これを縦の方向(「列」という)に見ると、当該部門が財・サービスの生産に当たって用いた原材料、燃料、労働力などへの支払いの内訳、すなわち費用構成(投入・Input)が示されている。
次に表側の売り手側の中間投入部門について、これを横の方向(「行」という)に見ると、当該部門の財・サービスが表頭の各部門に対してどれだけ販売されたかという販売先の内訳、すなわち販路構成(産出・Output)が示されている。
また、産業連関表は列方向から見た投入額の計(地域内生産額)と、行方向から見た産出額の計(地域内生産額)とは一致している。
通商産業省の地域産業連関表は各部門について、全国を(1)北海道、(2)東北、(3)関東、(4)中部、(5)近畿、(6)中国、(7)四国、(8)九州、(9)沖縄の9地域に分割して表されている。そして、地域間の取引は「移出」、「移入」として掲載し、地域表におけるどの升目(セル)の9地域分の合計も全国表と合致しており、全国表との整合性がとれたものとなっている。
このように地域産業連関表は行方向、列方向に加え、地域方向にもバランスのとれた表になっている。(一部中間製品部門等を除く)
産業連関表は各産業部門において1年間に行われたすべての財・サービスの生産及び販売の実態を記録したものであり、国民経済計算体系における国民所得では対象とならない中間生産物についても、各産業部門にその取引の実態が詳細に記録されていることが大きな特徴となっている。
産業連関表は、これをそのまま読み取ることによって、表作成年次の産業構造や産業部門間の相互依存関係など国民(地域)経済の構造を総体的に把握・分析することができる。また、産業連関表の各種係数を用いて産業連関分析を行うことにより、経済の将来予測や経済政策の効果の測定・分析等が可能となり、経済政策等を行う上で重要な基礎資料として利用されている。
主な利用方法は、次のとおりである。
産業連関表には、各財・サービスの国内(域内)生産額、需要先別販売(中間需要、消費、投資、輸出(移出))及び費用構成(中間投入、労働費用、減価償却費等)が各産業部門ごとに詳細に記述されている。これらの計数により、例えば産業別投入構造や雇用者所得比率、各最終需要項目の商品構成や商品別の輸入(移入)比率など経済構造の特徴を読み取ることができる。
産業連関表から投入係数、逆行列係数などの各種係数が計算されるが、これらの係数により、投資や輸出(移出)の増加などの最終需要の変化が各財・サービスの生産や輸入(移入)にどのような影響を及ぼすかを究極的に明らかにすることができる。これは、経済に関する各種計画や見通しの作成の際に広く用いられる方法である。
経済の予測と同様に、最終需要と各財・サービスの生産水準等との関係を利用して、特定の経済政策が各産業部門にどのような影響をもたらすかを分析することができる。財政支出の波及効果の測定、公共投資の経済効果の測定などがそれである。
我が国の産業連関表は、5年ごとにあらゆる統計資料を用いて精密に作成されており、その結果は各種の経済統計に対する基準値として利用されている。
例えば、国民経済計算では、5年ごとの基準改訂に当たり産業連関表が重要な基礎資料として利用されている。また、毎年作成されている産業連関表の延長表についても、5年ごとの産業連関表を基にして、これにその後の計数の変化を加味して推計されている。
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