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「近畿のイケテル商店街」レポート5

最終更新日:平成29年6月8日

「昔ながら」と「今どき」がほどよく調和する市場【セルバ名店会】(兵庫県神戸市)

訪問日:平成29年1月31日

かつては日本最大級の市場

セルバ名店会の外観JR甲南山手駅の南側、歩いて数分のところにセルバ名店会は立地します。六甲の山並みを背景に店舗とマンションがセットになった市街地開発ビルの地下と1階、2階部分がセルバ名店会です。ビルには、75店舗が入居していますが、名店会の会員は40店舗となっています。セルバ名店会の前身は、市場が所在する森南町に広がる「森市場」だったことに由来します。昭和7年に、辺りが田園と荒地であったころに誕生し、当時としては、日本最大級の市場で、2000坪の敷地に100軒余りの店舗が並び、阪神間の市場ではトップの売上げを誇っていました。昭和40年代に近隣に大型店が立地しはじめましたが、時代に合わせて常に進化を続け、平成4年には木造だった市場店舗が上層階をマンションとする市街地再開発ビル「セルバ」として生まれ変わりました。しかし店舗経営者の高齢化が深刻化し、平成7年の阪神大震災の影響もあって、会員の店舗数は市場時代から半分以下となっていました。特に地下部分の空き店舗問題は顕著となっており、平成25年には10店舗が空き店舗となっていました。スーパーとその正面に配置された店舗には多くのお客様が来るものの、専門店部分には回遊しないことが大きな問題となっていたのでした。セルバ名店会の地下部分には、大手スーパーである関西スーパーと生鮮三品などを中心とした専門店が25店舗入居しており、現在の空き店舗数は1軒です。しかし、3年前には最大で10軒の空き店舗がありました。関西スーパーで買い物をするお客様のほとんどが専門店部分を回遊することはなかったのです。しかし、専門店には魚や肉、野菜の生鮮三品の他、お漬け物や総菜など、品質や味について自慢できるお店ばかりでした。何とか、お客様に専門店部分の魅力を知ってもらいたい。知ってもらえればリピーターとなってもらえる自信はありました。「まずは一度買って、知ってもらいたい」、セルバ名店会の空き店舗劇的解消はここから始まりました。

 

「セルバ道の駅」から「もり市場」に

もり市場の様子①セルバ名店会では、神戸市の指導もあり、活性化のための計画づくりを行いました。各店主等へ今後の進むべき道や営業方法などの聞き取り調査を実施し、それに基づいて、段階を踏んだ3年計画の空き店舗の活用と活性化プランを作成しました。魚屋の三代目である北野理事などの若手を中心に活性化委員会をつくり、規約や損失が出た際の補填方法などリスク対策も行いました。このような努力の結果、反対者の懸念も払拭され、総会により事業の実施が決定されたのです。計画の第1弾はアンテナショップの設置でした。ヒントは道の駅にありました。地域の産品を道の駅に集める様に、人の通る場所に商品を集めるのです。平成25年10月に1週間の予定で、関西スーパー正面の空き店舗に、各店の商品を1ヶ所に集めて販売する「セルバ道の駅」を開催しました。「セルバ道の駅」では、各専門店が工夫した商品を並べました。例えば総菜は少量パックを用意して、一人のお客様が複数の商品を買えるようにしました。また、魚屋はお刺身をパックで提供し、スーパーよりも鮮度が良く、魚屋が捌いた美味しい刺身が気軽に購入できるようにしました。このようなちょっとした工夫がお客様の目にとまり、セルバ道の駅を開催する毎に売上げもり市場の様子②は右肩上がりに増加していきました。1日の売上げが道の駅だけで100万円を超えることもあり、来店客数も1000人を超える日がありました。これにより、翌年からは「セルバ道の駅」をイベントでは無く、常設店舗である、アンテナショップ「もり市場」がオープンすることになったのです。「もり市場」は開店から計画を上回る売上げで運営も順調に推移しています。また、合わせて空き店舗への新規店舗誘致のために、不動産店に作成した三年計画を示し、今後の方向性を説明しました。不動産店を訪れる新規開店希望者にセルバ名店会をPRしてもらうためです。セルバ名店会では、さらにイベントを増加させました。魚の捌き方教室や、手作り味噌教室など、それぞれの専門を活かした街ゼミは、最近増加傾向である子育て世代のお母さんたちに人気です。セリではスーパーには無い、専門店の品質の高い商品が安く買えると高い集客効果があったそうです。専門性を活かしたイベントこそが、市場の魅力と言えましょう。 

 

取組の効果と今後について 

セルバ名店会のキーパーソンこれらの取組により、関西スーパーから専門店方向に多くの人が流れる様になりました。また、様々な取組の成果による、にぎわいと不動産店のPRにより、空き店舗にも新規出店が相次ぎ、当初10店舗あった空き店舗が一時期はゼロになったこともありました(現在は1店舗)。また、これまで商売へのやる気を喪失し、新しい取組への意欲が低下していた会員も俄然やる気を取り戻したということです。各店の売上げの増加が、やる気を回復させ、次の取組という循環を生み、それがにぎわいの創出へと繋がったのです。今後、セルバ名店会では後継者問題とテナントミックスに取り組みたいと語ります。テナントミックスでは特に製造業の誘致を行いたいとのことです。製麺屋や漬物屋、パン屋や豆腐屋といった製造業に生鮮三品こそが市場の魅力です。専門性を高くして、値段が高くてもコアな客を取り込んでスーパーなどとの差別化を図っていくことが重要です。高齢者対策としては、「もり市場」を活用していきます。高齢により、店舗での販売が出来なくなった組合員でも自宅等で商品だけを製造することは可能です。この商品を「もり市場」に並べるだけで、セルバ専門店の専門性は維持され、そして空いた店舗に新たなテナントを入居させることにより新陳代謝が図られるということです。まだまだ構想段階とのことですが、北野理事のリーダーシップと、これまでの実績から実現は近い未来にあるのではないかと感じました。

 


要因分析表
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商店街データ
 商店街名:セルバ名店会
 所在地:神戸市東灘区森南町1-5-1

 

魅力あるコンテンツの創出とリノベーションで商店街を活性化【ぶらくり丁商店街協同組合】(和歌山県和歌山市)

訪問日:平成29年2月24日

ぶらくり丁商店街の繁栄と衰退

ぶらくり丁商店街の始まりは、紀州徳川家の城下町として発展してきた町並みが、天保元年(1830年)の大火で焼失し、その町の復興に携わった町の大年寄の和田正主が、道幅を広げ商人を集めた町づくりをしたことに遡ります。間口が狭い店が多かったため、商品を軒先にぶらくって(吊り下げての意)いたのがぶらくり丁の名前の由来といわれています。その後、明治・大正・昭和とぶらくり丁は繁栄を続け、昭和初期には大阪・ミナミと肩を並べるほどの繁華街となり、最盛期には一日の通行者数7万6千人を記録しました。しかし、昭和62年に和歌山大学が郊外に移転したことによる大学関係者の往来の減少、その後の郊外型大型店の台頭による影響や大きな駐車場がなく公共交通機関がバスしかないといった立地要因が災いし来街者は減少し続けました。これに伴い平成10年以降、百貨店や集客力のある施設の撤退が相次ぎ、一日の来街者数は2千人まで減少しました。

空き店舗解消に向けた取組み

 ぶらくり丁商店街協同組合(以下「商店街組合」という。)は、商店街を活性化するにはまず個店が繁盛することであるとして、個店の魅力をブラッシュアップするとともに、商店街全体の店揃えを考慮し、既存の店舗と相互に補完する新たなコンテンツを有する店舗を誘致することが必要と考えています。また、商店街は、飲食や生鮮、身の回り品の買い物の場として十分な商機能を有するだけでなく、来るのが楽しみとなり時間が過ぎるのを忘れるような街、情景を感じてもらえる住みやすい街にするという将来ビジョンがあります。商店街組合は、将来ビジョンの実現に向け空き店舗を解消し新規テナントを誘致する取組みとして、空き店舗オーナー(以下「オーナー」という。)との貸与条件の緩和に関する話し合いや、「家守会社」(注)と呼ばれる民間まちづくり会社と連携して空き店舗を活用したリノベーションやトライアル出店を行っています。((注)「家守」とは江戸時代に不在地主に変わり、長屋の管理、店子との調整を行い、町の維持管理をした職業。「家守会社」はその現代版で、衰退したエリアで空き店舗を活用して新たな産業を起こす民間のまちづくり会社。(株)アフタヌーンソサエティ 代表取締役 清水義次氏が提唱。)空き店舗を活用したリノベーションは、現在、全国各地に広がりつつある取組みであるリノベーションスクールを経て実践されています。和歌山市が主催するリノベーションスクールに商店街等から空き店舗物件を提供し、まちづくりや新規出店に関心のあるプレイヤーが集い、周辺エリアの再生も見据えた資金回収が可能な新規テナントプランを徹底的に検討してオーナーに提案します。オーナーの承諾を得られれば、家守会社となる実践者は、空き店舗をオーナーから借りてリノベーションを行い、新規出店希望者に店舗をサブリースして運営するので、オーナーのリスクが少なく、新規出店希望者は比較的少ない資金で開業できる手法とされています。家守会社が新規店舗を直営することもあります。この手法により、商店街には家守会社が1社誕生し、新たに農園レストラン、野菜を使ったスイーツ店、和風ゲストハウス、和歌山のアーティストの作品発表や映画上映を行うギャラリーなど4店舗がオープンしました。いずれもこれまでにない新しいコンテンツをもつ店舗・空間であり、雇用を創出するとともに商店街に新たな気運が生まれています。もう一方のトライアル出店は、商店街を含むまちなかの数カ所の空き店舗を活用し、イベント開催時に二日間トライアルで出店できるものです。
出店希望者は実際に店舗を構えた際のイメージを具現化できる機会となり、将来の新規出店を後押しする取組みです。また、この取組みにより、高齢であることや他人に貸与することを不安に考えていたオーナーの気持ちが変化し、賃貸を決心された例もあります。商店街でもこの取組みによる新規出店が1件生まれています。

地域と連携した賑わい作りと商品開発

商店街では、商店街と周辺地域の賑わいを取り戻すため、平成27年2月より毎月第二日曜日に、「手づくり」と「ロハス」をテーマにしたイベント「ポポロハスマーケット」をNPOと共催しています。商店街の軒先を借りた毎回70を超える出店で約1万人を集客する和歌山屈指のマルシェイベントとなっています。このイベントは新規出店に繋げる場ともなっています。商店街は、出店者が販売する商品やサービスに対する消費者の反応をみることができ、人気が高く継続的に出店している者には商店街への新規出店やトライアル出店を促すことができます。前述の農家レストランも主力メニューの一つである石窯焼きピザをポポロハスマーケットで実証実験的に販売したところ、非常に好評であったことが開業に繋がっています。また、商店街組合は、商店街活性化の一助とするため地域資源を活用した商店街のオリジナル商品の開発を地域の学生等とともに検討してきました。その「ぶらくりブランド商品」第1号となったのが「ぶらくり和密」で、商店街の入り口にニホンミツバチが巣(蜂玉)を作ったことがきっかけで28年に実現しました。このニホンミツバチを捕獲して市内の養蜂家に預け、育成し採蜜したもので、この取組みと商品の希少性が話題を呼んでいます。

わかやまリノベーションまちづくり構想

和歌山市は平成26年より5回リノベーションスクールを開催し、中心市街地で4社の家守会社が設立され、リノベーションによる空き家・空き店舗の活用で8店舗が開業しました。現在、これらの取組を更にすすめるべく、外部有識者により組織された委員会により「わかやまリノベーションまちづくり構想」が検討されています。これはぶらくり丁商店街を含む和歌山城の外堀周辺一帯を対象とした構想で、遊休不動産の活用、教育・子育て環境の充実、河川・水辺空間の活用により、産業振興、居住促進、コミュニティの再生を図り、街全体を大きく変えようとする取組みです。空き店舗の解消には、オーナー自身がまちづくりや地域の活性化に参加意欲を持つことが大切です。この構想によりオーナーの理解と協力が得られるとともに新たな出店希望者が増え、リノベーションによる空き店舗の解消が進み、商店街がかつての賑わいを取り戻すことが期待されます。


要因分析表
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商店街データ

商店街名:ぶらくり丁商店街協同組合

所在地:和歌山市中ノ店南ノ丁二五番地

 

免税一括カウンターから始まるインバウンド対策【亀岡商業協同組合】(京都府亀岡市)

訪問日:平成29年1月30日

様々な取組

亀岡の商店街の様子亀岡商業協同組合は山陰本線亀岡駅を降りて南西に進むと事務局である「ふれ愛 街かどICTステーション」が見えてきます。嵯峨嵐山駅からも電車で10分ほどと近いことを活かし、亀岡にもインバウンド客を取り込むために、この「ふれ愛 街かどICTステーション」が中心となってさまざまな取組を積極的に展開しています。インバウンド対応に取り組むきっかけとなったのは、京都府から亀岡を情報拠点の場にしたいとの話があがったことにあります。そこで、インバウンド客が増えつつある中で、クレジットカード、デビットカードにも対応可能な「ふれ愛カードシステム」の事務所を一部改装し、情報発信の場として、取組を進めていくことにしました。まずは、外国人旅行者や地域に居住する外国人が気軽に立ち寄れる環境を整備するため、「ふれ愛 街かどICTステーション」に多言語対応のパソコン、タブレットを導入し、さらに、ガイドブックや辞書等を備え、またWi-Fi無料スポットも亀岡駅を始め市内8ヶ所に設置。外国人旅行者向けの広報活動とともに地元亀岡の皆さんが気楽に亀岡発の情報発信をするための手伝いに力をいれることにしました。大槻事務局長が自らパンフレットを作成し、京都駅の観光案内所にパンフレットを置くことで、亀岡に足を運んでもらえるようにPRに務めたのです。また、SNSを活用し、全世界に対して広く亀岡市の情報提供も行っています。最近では、有名漫画家の新連載漫画の舞台が亀岡になったことをSNSで発信した際には、1万を超えるアクセスがあり、観光客増加に対する機運が高まりつつあります。その他、亀岡商業協同組合は、インバウンド事業以外にも様々な取組を実施していますが、他とは異なる工夫をしてきました。国の交付金を活用した「亀岡プレミアム商品券事業」では、単にプレミアを付けるだけでは無く、地元商店で買物をした場合、商店街の発行するポイントカードにキャッシュバックを付けることにしました。これにより、大規模店舗で買物するよりもお得になり、商店街で商品券を利用するお客様が増加したということです。

一括カウンターの設置

そして、インバウンド対応として、最も大きな取組が(※)一括免税カウンターの開設です。若手のインバウンド対策におけるリーダーでもある松本副理事長ふれ愛街かどICTステーションをはじめ、ITに詳しい若手が中心となって、平成28年7月に8店舗での一括免税カウンターが「ふれ愛街かどICTステーション」にオープンしました。また、その際、インバウンド客が気軽に入れるように、事務所の内装等の環境整備にも工夫を凝らしました。しかし、オープン以降、免税手続きの利用件数は決して好調ではありません。利用者が伸び悩む理由としては、JR亀岡駅を利用する乗降客や亀岡市内の訪問する観光客が商店街を回遊する仕組みが出来ていないことが考えられます。このような状況を踏まえ、免税売上の拡大に向けて、亀岡商業協同組合としては更なる取組をすすめていく必要があります。(※)一括免税カウンター:免税手続一括カウンターを運営する第三者に、まとめて免税手続を委託できる「手続委託型輸出物品販売場制度」のこと。一括カウンターを導入することにより、店舗側の業務削減につながり、外国人のお客様も手続きを一度で完了することが可能となる。


 外国人観光客を取り込むために

免税手続一括カウンターこのように、インバウンド客の誘客に向けて、さまざまな取組を行っている亀岡商業協同組合ですが、今後は外国人観光客に対するおもてなしの向上に向けて取り組んでいく予定です。亀岡市では、お土産のような物販を売り出していくのは厳しいと捉える反面、飲食の面ではチャンスがあると捉え、料飲組合と協力して、メニューの多言語表記をすすめていくことを構想しています。現在、いくつかの店舗で外国語表記のメニューを作成しているものの、和食のメニューを翻訳する際に非常に苦労しています。そこで、事務局長中心に、「もっと簡単に翻訳できるようにするために、事務局として何かできないか?」と考えた際、東京都の取組が目に留まりました。東京都や神奈川県では、飲食物における外国語表記のデータベースを作成しているため、都内の飲食店ではそのデータベースを翻訳辞書のように利用ができます。しかし、京都府ではまだそのようなデータベースがないため、事務局長が中心となって作成に踏み出してはいるものの、語学力不足や歴史・食文化の違いから翻訳が極めて困難かつ膨大であるため完成までにかかる時間は長く、苦慮しています。そこで、今後は京都府の友好大使や大学の留学生や在亀外国人などの協力を得、工夫をしながらも、まずは簡単にできることから始めてみる「多言語メニュー作成講座」等のセミナーを持続的に開講していく予定です。また、インバウンド客向けにフリーペーパーの発行や、国際拠点の運営業務の受託事業者と連携し、フライト中における亀岡のPR動画の配信など、さまざまな角度から広報活動を行い、亀岡を更なる情報発信の場としての機能の向上を目指します。

 

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商店街データ

商店街名:亀岡商業協同組合

所在地:京都府亀岡市追分町馬場通19-2

 

日本人と外国人が共存できる商店街を目指して心斎橋筋商店街振興組合】(大阪府大阪市)

訪問日:平成29年1月31日

インバウンド対策のあゆみ

心斎橋筋商店街は、大阪の中心である中央区に位置し、長堀通りから宗右衛門町通りまで南北にまっすぐ続く商店街です。近隣には、戎橋筋・道頓堀・宗右衛門町商店街、御堂筋大通りの東側にはアメリカ村、堀江などの個性的な商業エリアが広がっています。
大阪市によってキャッチセールスに対する条例が策定される前から商店街も独自に対策に取り組んでいたものの、心斎橋筋商店街の理事が中心となって、キャッチセールスへの対策以外で、何か商店街を活性化させるものはないかと考えたときに着目したのが、今後増加が見込まれる外国人観光客に対するおもてなしの向上でした。2003年、政府主導の「ビジット・ジャパン・キャンペーン」を受け、外国人観光客を視野にいれはじめたことから、心斎橋筋商店街のインバウンドの取組はスタートしました。その後、2006年に経済産業省・サービス産業創出支援事業「大阪ミナミおいでやすプロジェクト」への申請、2009年に大丸心斎橋店北館のオープン、ユニクロやBEAMS等の相次ぐ出店を通じて、心斎橋筋商店街は「老舗のまち」から「若者のまち」へと大きな変化を遂げていきました。その頃、2003年当時にはほぼ見られなかった外国人観光客が徐々に増加し始めました。外国人観光客が訪れやすい商店街を目指し、インバウンドの取組を一層進めました。2010年に、外国人観光客向けの歓迎イベント、マップの作成を行い、2013年には、おもてなしの充実を図るべく、Wi-Fiサービス、スマホナビ「しんさいばしナビ」をスタートしました。2014年には、JTB西日本が運営する観光案内所「関西ツーリストインフォメーションセンター」が心斎橋にオープンしたことで、関西・大阪の様々な地域の魅力や文化を発信する拠点としての役割が増しました。そして、最近のインバウンド増加に伴う“爆買い”に対して、更に外国人観光客が便利に買物のできる環境を整えるべく、(※)一括免税手続カウンターを、大丸心斎橋店に開設しました。
(※)一括免税カウンター;免税手続一括カウンターを運営する第三者に、まとめて免税手続を委託できる「手続委託型輸出物品販売場制度」のこと。一括カウンターを導入することにより、店舗側の業務削減につながり、外国人のお客様も手続きを一度で完了することが可能となる。

インバウンド成功によるジレンマ

このようにインバウンド対策を続々と打ち出し、外国人観光客の集客に成功を収めてきた心斎橋筋商店街ですが、外国人観光客の急増にともない、さまざまな問題も生じてきました。
主な課題は2つ。1つめは、音響設備の問題です。商店街全体が騒がしくなったことで、既存のスピーカーでは、来街者への案内等広報活動に支障をきたしていました。2つめは、日本人と外国人観光客の共存の問題です。近年は外国人観光客の急増にともない、インバウンド対応に追われていたため、日本人の買い物客への対応が後手に回っていました。そのため、心斎橋筋商店街は、外国人観光客の消費が増える一方で、日本人は買い物場所として足が遠のきつつあったのです。

来街者みんなが過ごしやすい商店街に

そこで、心斎橋筋商店街はこれらの課題に対して、すぐに対策を講じました。1つめの音響設備の問題に対しては、補助金を活用して音響設備を更新しました。音響設備を整えたことで、音質がクリアになり、アナウンスが来街者の耳に届きやすくなりました。具体的には、外国人観光客に対しては、英語・中国語・韓国語といった多言語でアナウンスを行い、適切な広報活動を実施しました。その結果、インフォメーションセンターに足を運ぶ外国人観光客の数は増加しました。一方、日本人客に対しては、音楽による環境演出を行うことで、商店街全体の魅力の向上に繋げることができました。このような取組の結果、外国人だけでなく日本人客も含めたリピーターの創出にも繋がると考えています。2つめの課題であった、日本人と外国人観光客の共存の問題についても、対策を講じています。現在も外国人観光客が増加傾向にあるため、軸は外国人観光客に残しておきながらも、今後は日本人客に対するサービスを拡充していく考えです。具体的には、外国人対応と日本人対応でスタッフを分けたり、フロア毎に買い物客を区別したりすることで、日本人客も買い物しやすい環境をつくっていく予定です。また、2019年に大丸北館がリニューアルオープンする予定なので、今後は日本人への呼びかけも強化していく考えです。

【商店街全体を見つめて】

このように様々なインバウンド対策を実施する心斎橋筋商店街ですが、今後の課題は、更なる楽しみの場を作ることです。特に、心斎橋筋商店街は、ミナミにおいてファッション面の充足の役割を主に担ってきた商店街ですが、近年のインバウンドの増加や地価・家賃の上昇といった背景をもとに、増加するのは外国人に人気のある業種(ドラッグストアなど)に偏ってしまう傾向にあることが課題になっています。そして、外国人観光客の旅行先として地方観光が増えつつあることから、今後は地方がライバルになってくると予想し、魅力的なお店を商店街内に誘致していくことも求められています。以上のような課題を抱える心斎橋筋商店街では、今後、(※)MD(マーチャンダイジング)戦略をより一層重視しています。このように、取り巻く環境を適切に把握しながら、来街者にとって魅力的だと感じる商店街全体の姿を見据えるなかで、インバウンド客にとっても日本人客にとっても魅力的な商店街を目指しています。
(※)MD戦略:(1)対象需要(Needs)、(2)対象顧客(Customer)、(3)競争相手(Competitors)、(4)店舗の形態と規模(Concept)のマーケティング・リサーチにもとづく優先順位付けとポジショニングの決定を意味する。

 

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商店街データ

商店街名:心斎橋筋商店街振興組合

所在地:大阪市中央区心斎橋筋2-2-22

 

地域への貢献を大切にする地元密着型商店街新大宮商店街振興組合】(京都府京都市)

訪問日:平成29年2月22日

歴史ある新大宮商店街

新大宮商店街の様子①その昔、京都市の北部に鎮座する久我神社を大宮と称したことが由来であり、明治に至り、「市政町村制」が導入され、いくつかの村が合併し「大宮村」が誕生しました。西陣織の工場が建ち並び、織音が響いていたといいます。現在の新大宮商店街振興組合の立地する大宮通は、古くは大宮大路として京都市外へ向かうための重要な道でありました。この大宮通に、早くは昭和3年、遅くとも昭和10年前後に商店街の原型ができあがっていたということです。日中戦争、太平洋戦争では多くの店主が出征、戦後の混乱など様々な困難をくぐり抜けてきました。過去から生鮮三品中心の商店街として発展し、現在の店舗数158店舗のうち、生鮮三品は29店舗とかなりの割合を占めます。有名な錦市場に例えて、新大宮商店街は「北の台所」とよばれています。 東区に所在します古川町商店街振興組合は「東の錦」であり、共に周辺住民の「台所」にとって重要な商店街ということでしょう。このように地域の台所として発展してきた新大宮商店街ですが、生活スタイルや住民ニーズが大きく変わるなか、他の多くの商店街と同様の問題が発生していきました。大型スーパーが商店街区を取り囲むように立地するようになったのです。これまで通りの商売方法がなかなか受け入れられにくくなり、少しずつ空き店舗が増加していったのです。

ポイントカードで全国初!

新大宮商店街の様子②新大宮商店街振興組合の取組で代表的なのが、平成25年から実施している「新大宮POINT CARDふえるか」です。商店街でお買い物をした金額に応じてポイントが貯まり、次回の買い物時に利用できるものです。ここまでは通常のポイントカードですが、新大宮商店街はひと味ちがうのです。お客様の買物金額に応じてポイント(買物ポイント)が貯まると共に、地域応援ポイントも同じだけ溜まります。買物ポイントを利用すると当然に減りますが、地域応援ポイントは減ること無く、集計日である毎年1月末までどんどん溜まります。新大宮商店街では、この地域応援ポイントの8割を地域の自治会や小学校PTAに現金で寄付するということです。毎日のお買い物がちょっとした地域貢献にも繋がり、周辺住民の商店街利用に大きく貢献しています。大型スーパーとの差別化を図る取組として、ポイントカードの地域貢献は全国初ということです。商店街では集客イベントなども実施しています。今年で34回目となる「夏祭り」には、毎年7月の最終土曜日だけの開催ですが、5万人もの人が訪れるということです。大人になって大宮を離れた人々も、夏祭りを楽しみにしており、子供達を連れて里帰りの良いきっかけにもなっているのでしょう。夏祭りには商店街の各店舗の他にも周辺の自治会や消防団の各種団体も屋台を出店しており、1年間の活動費を稼げる団体もあるとあって、皆さん、かなりの気合いの入れようであるとか。また、最近ではハロウィンイベントも実施しています。仮装して1キロある商店街をパレードすると、お菓子のプレゼントがもらえます。コンテストも実施しており、優秀者には買物券が送られるそうです。5年前から始めたイベントですが、今年は400人もの参加者があったそうです。その他、ぜんざいや豚汁の振る舞いなども実施しています。 

空き店舗の劇的解消と課題

空き店舗活用前の様子 空き店舗活用後の様子大型スーパーや商店主の高齢化などの影響により、新大宮商店街でも空き店舗が増加していました。しかし、昨年くらいから新規店舗の入居が増加しつつあり、1年間で11もの空き店舗が解消されました。商店街を歩くと、おしゃれな雑貨屋やチョコレート店など、若者が喜びそうなお店が目立つようになりました。また、最近増加しつつある外国人旅行者をターゲットにしたゲストハウスも建ち始めています。これは前述した様々なイベントの効果と、家賃が商店街の周辺よりも劇的に安いことが大きな理由です。商店街にゆかりのある不動産店の協力と店舗所有者の理解により、周辺の相場よりも安い家賃を実現したものです。今後もこの取組が進めば、現在ある21の空き店舗解消も夢では無く、高齢化等により退店した店舗の新陳代謝も図ることが出来るでしょう。新大宮商店街振興組合の理事長である福永氏は、新規店舗の入居やインバウンドなどのチャンスを活かしきれていないのが悩みだと話されています。今後は、福永氏のリーダーシップの基で、これらの新しい風をうまく掴んで、既存店舗の活性化から商店街全体の発展に繋げていきたいところです。

 

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商店街データ

商店街名:新大宮商店街振興組合

所在地:京都府京都市北区紫竹西高縄町81ー3 (6月8日 住所修正)

 

目指すのは商店街の国際化【神戸元町商店街連合会】(兵庫県神戸市)

訪問日:平成29年1月25日 

神戸元町商店街と異人さん

JRか阪神電車の元町駅から南に向かうと東西に長い神戸元町商店街の東入口に達します。東から「一番街」「3丁目」「4丁目」「5丁目」「6丁目」の5つの商店街振興組合が続き、その総称が神戸元町商店街(神戸元町商店街連合会)になります。1874年(明治七)の創設とその歴史は古く、異人館やメリケン波止場でも知られる異国情緒あふれる街、神戸の都心商業地を形成しています。近年においては、台湾や韓国、中国などからの外国人旅行者が増加しており、神戸市や民間の努力によって、2015年の旅行者数は約107万9000人と、2012年の2.81倍となる伸びを記録しました。このように今も昔も多くの外国人が訪れる町ですが、多くは有馬温泉や神戸北野異人館街などの観光地を訪問し、神戸元町商店街などの市街地でお買い物をする外国人旅行者はそれほど多くはありませんでした。もともと阪神間には外国人居住者が多く、神戸元町商店街としては、インバウンドへの意識は薄くインバウンド対策は少し出遅れていました。

若手を中心とした取組の開始

こうした中、インバウンド対策に力を入れる兵庫県や神戸市の勧めもあって、中多事務局長が中心となって、まずは外国人観光客が不便と感じない環境づくりに取組み始めました。その手始めにまずは、県や市の支援策を活用し、商店街のガイドマップの多言語化(英・中・韓)に取り組みました。ガイドマップは元町商店街を構成する5つの丁ごとに設置している情報掲示ボックスに入れて、観光客が訪れた際にはガイドマップを見れば商店街の約300店舗の場所が一目でわかるようになっています。また、個店においては、外国人旅行者をお迎えするための接客研修の一環として、中国語の語学研修を実施しました。研修はインバウンド対応に限った内容でなく、基本的な接客マナーから学ぶ内容となっており、商店街全体の接客力の向上を目的に実施しました。一方 、外部から講師を招き、店舗ディスプレイの研修も実施したところ、各店舗において商品陳列に工夫を凝らすようになりました。このような研修を通じて、商店街全体のインバウンドに対する意識を醸成すると共に副次的に商店街内の仲間意識の形成にも寄与しました。その他、神戸港に寄港する大型クルーズ船の乗船客向けに、神戸市が神戸元町商店街に隣接する大丸神戸店前までのシャトルバスの運行と連動させて、商店街内に外国人対応のインフォメーションセンターを開設しています。ここでは、ショッピング情報の提供を行い、商店街の利便性を高め、デジタルサイネージをインフォメーションセンター内に設置し、視覚的な商店街のPRも行う予定にしています。

インバウンド対策における課題

このように様々な取組を行う元町商店街ですが、一方では課題もあります。それは、都心商店街である元町商店街の立地の良さゆえの、家賃の問題です。高額な家賃に出店できるのは、ナショナルチェーン店のみとなり、商店街にだんだんと元町らしさが失われつつある。そのために、昨年オーナー会を発足させ、神戸らしさ、元町らしさを残した商店街のあり方の検討を始めています。

 今後の予定

商店街では現在、外国人来街者への対応として「KOBE Free Wi-Fi」を導入するため機器を24ヶ所に設置しました。合わせてホームページも、英、中、韓の多言語化表記とし、動画なども活用したレスポンシィブル仕様としてスマホやタブレットによる閲覧の最適化を図っています。これにより、外国人観光客への更なる利便性の向上を図っています。 また、片山喜市郎青年部長を中心に、6丁目商店街内に若手のクリエーターが集まる拠点作りを進め、新たな風が元町商店街に吹きつつあります。この他にも、「若者のまち・三宮」に対して「大人のまち・元町」をアピールすべくワインアベニューのイベント開催や、神戸の新たなブランドを立ち上げるため、「神戸タータンチェック」を制作し、様々な神戸タータンのデザインを活用した商品開発に取り組み、神戸らしさを残したオシャレなまちづくりにも取り組んでいます。 今後は、外国人観光客だけでなく、外国人居住者にも足を運んでもらえるような商店街を目指しています。元町商店街の目指すところは、単なるインバウンドではなく「国際化」だと言います。日本人も外国人も、あらゆる人が当たり前のように交流できる場を商店街としてつくりだしていくために、元町商店街は動き出しています。

要因分析表

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商店街データ

商店街名:神戸元町商店街連合会

所在地:兵庫県神戸市中央区元町通6丁目2-17

 

 

インバウンドの追い風を受けて、あきんどの街「浪速」でキラリと光るイケテル商店街【千日前道具屋筋商店街振興組合】(大阪府大阪市)

老舗商店街の再生に向けて

大阪、千日前。ここは、道頓堀の南東に位置し、演芸場や映画館などがある大阪「ミナミ」の有数の娯楽街として有名です。この地の中心に、その名のとおり「飲食店の道具」を販売する専門店が集積した「千日前道具屋筋商店街振興組合」(以下、道具屋筋)があり、「くいだおれ」の町大阪を支える商店街としてひときわ異彩を放っています。「道具屋筋」の歴史を紐解くと、必ずしも順風満帆ではありませんでした。昭和の高度成長期からバブルにかけて「道具屋筋」も大いに成長し、本格的な商店街として賑わいを謳歌していました。しかしながら、バブルがはじけ、100円ショップやインターネット通販の拡がりもあって、「道具屋筋」も客足は激減しました。商店街は、商売をやっていけるかどうかの瀬戸際まで追い詰められた、とのことです。この時、現理事長の千田氏がリーダーとなり「道具屋筋」再生に向けた取組を始めました。まずはアーケードの改修に取り組むため、平成84月に「道具屋筋」を振興組合とし、以来、今日に至るまで、商店街の活性化に向けた能動的な活動に取り組み続けています。 

こてこての浪速の商店街が最先端のインバウンドの取り込みへ

 道具屋筋」は、アーケードの改修を手始めに、照明のLED化や太陽光発電設備の設置等、様々なインフラを整備しました。また、商店街内に防犯カメラを設置して安心・安全な環境を整えました。一方、こうしたハード面だけでは駄目だと、よさこい踊り「まいど連」の起ち上げや年2回の朝市の開催、商店街のHP開設等、矢継ぎ早に取り組みを実施しました。また、商店街の更なる活性化を図るため、アジアからの観光客に目を向けました。関西でインバウンド対応が叫ばれるようになった頃よりも数年早く、平成22年頃から、千田理事長が自費で約10カ国を視察。現地の状況をつぶさに見て「アジアの人には関西が合う」と判断。帰国後、早速、組合員に呼びかけて、中国で普及していた「銀聯カード」を導入したほか、公衆無線LAN「Wi-Fi」環境を整備しました。この結果、外国人観光客が増加してきました。しかし、これで満足することなく、更なる、次の一手を打ち出します。

更なる進化を目指して~商店街の国際化活動~

先ずは、外国人観光客を対象にした「体験型観光」の試みです。食品サンプル販売企業の協力を得て、「道具屋筋」の各店舗が協力、和包丁の使い方などを体験できるツアーを開始(平成279月)し、好評を博しています。これらの取り組みによって、現在、「道具屋筋」は、外国人観光客を中心に大いに賑わっていますが、将来を見据えた取り組みとして、商店街の国際化活動となる「留学生の就労支援」に乗り出しています。千田理事長等が発起人となって「関西留学生国際交流支援連絡会」を立ち上げたのです。同連絡会は、留学生の国内での就労支援を行うとともに海外留学生が帰国時に大阪の良さを母国に伝える親善大使となり、更なる関西への訪問客増加に繋がることが期待されています。「商店街はまちへの貢献、人づくりという観点が重要。自分たちの街は自分たちで育てる。シャッター通りの改善に補助金をもらう時代ではない。」と千田理事長。その目は、10年、20年先を見据えているようです。

要因分析表

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商店街データ

商店街名:千日前道具屋筋商店街振興組合

所在地:大阪府大阪市中央区難波千日前5-19河原センタービル

 

“大津百町”の賑わい復活をめざして菱屋町商店街、丸屋町商店街、長等商店街】(滋賀県大津市)

訪問日:平成29年2月10日

大津駅再生をきっかけに

菱屋町商店街、丸屋町商店街、長等商店街は、JR大津駅から北西約1km、京阪浜大津駅から南に約300mの地点に位置する東西約600mの連続した商店街でナカマチ商店街と呼ばれています。江戸時代から宿場町として栄え高度経済成長期までは、広域からの来街者が多く、活気とにぎわいに満ちていましたが、市街地の拡大が進んだことで、都市機能が分散し、衰退の一途をたどっていました。商店街内の大型スーパーの撤退もこれに拍車をかけました。しかし、2016年秋の大津駅前のリニューアルに向けて、駅前だけでなく、まちなかにも賑わいを生み出す必要性を強く感じた地元出身のリーダーを中心に、2014年頃から、大津の商店街は大きく動き出すことになりました。

百町物語の設立による新しい歴史のはじまり

新しい大津市の発展に向けて、既に同じ滋賀県内で、まちづくりで成功を収めている長浜市の計画を参考に、地元出身で全国的な和菓子店を経営する芝田氏を中心に3つの計画を立てました。1つ目は、「プラチナプラザ大津」事業。これは、商店街が空き店舗を借りて直営したり、配達サービスを行ったりすることで、地域の60歳以上のプラチナ会員の活躍を進めていきます。2つ目は、「愛犬都市計画」。これは、新しい文化を大津に創出することで全国の愛犬家を大津に集めることを目的としています。最後に3つ目は、「有名店誘致計画」。これは、大津だけでなく全国から有名店を百町に誘致することで空き店舗を解消し、賑わい創出に繋げる計画です。以上の3つの計画の実現に向けて、芝田氏は、商店街や大津市内の有志の出資を募り、20151月に民間のまちづくり会社「株式会社 百町物語」を設立しました。「百町(ひゃくちょう)」は、江戸時代にぎわっていた頃の大津の中心市街地を意味しています。この株式会社百町物語を中心に、商店街に新たな風が吹くこととなります。まず、株式会社百町物語はプラチナ会員を募集するとともに空き店舗の調査をはじめ、大家に対する賃貸交渉を粘り強く行いました。また、空き店舗を事業者に貸せる状態にするために、出資金を元手に建物の改修・賃貸を行いながら、積極的に大津市内外の有名店にも誘致を働きかけた結果、20154月に丸屋町商店街で八百屋などのプラチナ店舗4店舗、菱屋町商店街で洋菓子店、レストランなどの有名店4店舗のオープンに結びつきました。この8店舗の同時オープンは地域住民だけでなく、全国的にも大きな注目を集めることとなり、この後全国のお店から出店したいとの声が挙がるようになります。このようにはじめは順調に取組を進めていた株式会社百町物語ですが、新規店舗のオープン目前に芝田社長が急逝されたことが、活動に暗雲を投げかけます。それでも、商店街各店主が創業社長の熱い思いを受け継ぎ、一層結束を高めて、行政の支援を得ながら計画した事業を試行錯誤しつつ進めていきます。現在、大型スーパー跡地に前社長が誘致した新たなスーパーの建設が始まり、自動車ディーラーの新業態での出店も決まるなど、今後の展開が期待されます。また、今後は、株式会社百町物語の今後のビジネスモデルとして、基金を編成して空き店舗リノベーションを行う新規事業者に出資するなどの手法を検討していきたいとのことです。

まち全体が同じ方向を向いて

このように空き店舗解消に向けて積極的に取り組む百町物語ですが、ナカマチ商店街も百町物語と一緒に家主への賃貸交渉、賃料等交渉を行っています。また、商店街の最も大きな取組は、100円商店街の実施です。菱屋町商店街を中心に5年前から取組をスタートしましたが、今では大津駅前の7商店街が参加しています。また、メディアに取り上げられたことも相まって市内外問わず3万人以上の人が商店街に足を運び、現在県内で3本の指に入る大きなイベントになっています。100円商店街の実施にあわせた、商店街での落語会は東京からも落語家が参加するなど大盛況です。今後は更に大津市の中心市街地全体を盛り上げるべく、市役所とも力を合わせ、多様なプレーヤーが協力し、1つの方向に向かって取組を進めていく予定です。たとえば、大津駅リニューアル時にできた複合施設「THE CALENDAR」と商店街との連携や大津駅前で実施予定のバル事業。大津駅前の再生が進む中、駅を利用する人が暮らすまちそのものの活性化が重要だという芝田初代社長の考えを引き継ぎながら、新たな大津の歴史を紡ぎつつあります。

 

要因分析表

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商店街データ

商店街名:菱屋町商店街
     丸屋町商店街
     長等商店街

所在地: 滋賀県大津市長等2丁目10-13




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