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「近畿のイケテル商店街」レポート2 

最終更新日:平成29年6月9日

変わり続ける厄除け参道の商店街【地下鉄あびこ中央商店街振興組合】(大阪市住吉区)

訪問日:平成27年10月28日
協力AD:永田 賢次

大型店立地の危機

 地下鉄あびこ中央商店街(通称:あびんこ商店街)は、地下鉄御堂筋線あびこ駅出口すぐに立地する地域型の商店街です。

あびんこ入り口  今から約40年前の昭和53年に振興組合を発足。御堂筋線の駅を出てすぐという立地もあり、地域住民を中心とした多くの利用者で賑わう商店街として発展してきました。
 通勤や通学の駅の利用者が必ず通る場所にあるという、立地条件としては大きな強みを有した商店街です。毎日多くの人が行き交いますが、時代の流れには抗えず、多くの商店街と同じように様々な課題に頭を悩ませるようになりました。少しずつではありますが、商店街の東側には空き店舗が出始め、それが徐々に目に付くようになってきたことは大きな悩みの1つです。
 また、商店街内に常時1000台は駐輪されている自転車への対応にも苦慮していました。そんな折、隣の駅に大型店の出店が決まりました。今からさかのぼること15年ほど前のことです。それは、商店街の店主達にとって、大きな衝撃でした。商店街内に空き店舗が出始めるなど、苦しい状況であるにも関わらず、近くに大型店が出店すればますます苦しい状況に置かれることになります。
 このままでは商店街の活気が失われてしまうのではないか、そんな危機意識が商店街に広がりました。
 地下鉄あびこ中央商店街は、大型店が立地しても商店街を利用し続けてもらうためには何をするべきなのか、商店街が抱える課題をどうやって解決していくのか、その具体的な方策を検討していく必要に迫られていたのです。

 

空き店舗を減らすことに成功

あびんこ祭り 地下鉄あびこ中央商店街振興組合が課題解決のためにとったのは大阪市の制度を利用し、商店街のコーディネーターを派遣してもらい、相談することでした。商店街の中だけで考えるのではなく、外の専門家の意見を求めることにしたのです。
 検討したのは以下の5点。

 1.商店街の名前を短く愛着の持てるものにすること
 2.商店街のウェブサイトを構築すること
 3.地域密着型のイベントを立ち上げること
 4.商店街の若手役員を育てること
 5.外の情報の収集

 商店街が課題と感じていた空き店舗や駐輪対策に加えて、この5点を検討し、大型店の出店に立ち向かおうと考えたのです。
 そこでコーディネーターが着目したのは、商店街に隣接する「あびこ観音」の存在でした。あびこ観音は日本最古の観音菩薩の寺院といわれており、厄除けの寺として知られています。毎年2月2~4日頃に行われる「節分厄除大法会」は非常に多くの参拝者で賑わうため、この地の利を活かさない手は無いと考えたのです。
 商店街は、コーディネーターと共に「あびこ観音の近くにある商店街」という立地の強みを最大限活かしたコンセプトを考え、商店街の新名称やイベントなどを考えていきます。
 まずは、長かった商店街の名称を「あびんこ商店街」と改めることにしました。短く、愛着がわく名称にすることで、利用者から親しまれる商店街になれるようにと考えてのことです。
 それにあわせて「あびんこ祭り」を新たに開催。商店街に特設ステージを設けてよさこい踊りなどを実施したり、スタンプラリーを実施したりするなどして、毎年多くの人で賑わうイベントへと成長させることに成功しました(舞台設置場所の確保が不可能なため、現在休止中)。
 また、平成21年からは商工会議所と協力しながら100円商店街の開催も実現。毎年3回程度開催しており、地域に定着したイベントとなっています。
 新たに開設した商店街のウェブページでは、商店街の店舗紹介の他、会員を募集。会員に対して100円商店街の他、お楽しみイベントやお買い得情報の案内メールを送付することで、リピーターの獲得につなげることができました。
 こうした取組みを続けてきた結果、目についていた空き店舗も徐々に減少。今では商店街の5%程度にまで減らすことができたのです。

 

コーディネーターと共に考え行動する

夜祭りの賑わい 専門家など外部の意見を聞くため、コンサルタントなどに対応を依頼するケースは多々ありますが、成功するかどうかはその時点ではもちろん分かりません。あびんこ商店街においては派遣された商店街コーディネーターとともに考え、それを行動に移して実施してきたことが結果につながっています。
 あびんこ商店街におけるこれらの取組みは、当初より順調にスタートしました。大型店の出店を控え、商店街に危機感や「何とかしよう」という思いが共有されていたことで、新しい取組みを実施してみようという機運が生まれていたためです。
 当初、常時1000台以上あった放置自転車に対しては、どこかに駐輪場を設けたりすることで対応しようと考えていました。しかし、コーディネーターは、自転車で商店街に来る人は良い買い物客になる可能性が高いと考え、自転車に優しいサービスを貫くように繰り返し説得します。歩行者よりも多くの荷物を運べる自転車利用者は、商店街でより多くの買い物をしてもらえる可能性があると考えていたからです。
 商店街はこの考えを受け入れ、自転車を整理して駐輪してもらうための活動を実施。今では、月に1回、区役所や周辺の町会と協力して放置自転車啓発活動やひったくり防止運動を行い、ひったくり防止ネットの配付などを実施したりしています。その結果、商店街の両脇に多くの自転車が整然と並ぶように整理できるようになりました。
 こういった活動を続けてきた結果、空き店舗の減少や100円商店街の成功といった目に見えた効果が現れるようになりました。そして、それらの成果と同様に大きな成果と考えられることは、これらの活動の中心となる青年部が形成できたことです。
 10人弱の有志グループではありますが、100円商店街やその他イベント開催にあたっての実務を担っています。
 大型店の出店を機に、コーディネーターの派遣を受けたことから始まった商店街の取組みは、コーディネーターと共に考えることから動き始め、そして自らが考えて実施していく段階へとステップアップしています。

「変わり続けることが大切」
 そう考え、新しいことに取り組んでいこうとする機運が商店街には根付いていました。
 
 大型店は予定通り出店しました。しかし、当初心配していたような影響を受けるようなこともなく、あびんこ商店街は今日も元気に商売を続けています。

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商店街データ

 商店街名:地下鉄あびこ中央商店街振興組合

 所在地:大阪市住吉区苅田5-13-15

 担当者:谷山 圭子

 連絡先:06-6696-5865

 

商工連携で「お宝発見」による賑わいを【生野本通商店街振興組合】(大阪市生野区)

訪問日:平成27年11月6日
協力AD:永田 賢次

「お宝発見」事業への取組

生野本通り賑わい 聖徳太子の故事に登場する生野長者に由来する生野区は、近世になってその歴史的文化を背景に大阪の工業地帯として発展してきました。
 生野本通商店街は、その生野区の住民のくらしを支える駅近の商店街として、昭和3年に開設された公設市場を中心に発展を遂げてきましたが、近年は一駅先の巨大百貨店の開店やライフスタイルの変化等により後継者難や商店の減少に悩む状況となりました。一時「冬のソナタ商店街」としてマスコミを賑わしたこともありましたが、ブームに陰りが見え始めた平成16年頃、新たなコンセプトとして商店街が取り組んだのは「お宝発見」でした。
 当商店街には、鉄道忘れ物を扱う店、野菜作りから漬け物を作る店、韓国スターグッズが揃う店など、珍しいこだわりの品揃えや名物店主など各店舗が自慢できる数々の「お宝」があったのです。これらを、子供達には宝さがしのおもしろさ、大人にとっても掘り出し物に出会うわくわく体験として売り出していこうというものです。地蔵盆に合わせた「夏のお宝発見夜市」の実施以来、このコンセプトは形を変えつつも10年間商店街で継承されてきました。

 

「生野区ものづくり百選」とのコラボ

生野匠祭り 生野区には江戸時代の農家の副業から発展した地場産業として、お面・切子ガラスなどの工芸品、金型・建材などの機械部素材や日用品、駄菓子や食品まで多様なものづくり中小企業が集積し、オンリーワン技術と職人(匠)をもった町工場も多数あります。区役所は平成26年にこれら「ものづくりのまち生野」の魅力を市民に知ってもらうため、「生野ものづくり百景」を作成しました。
 商店街の松本理事長と10年前に「お宝発見」コンセプト作りで協力した永田アドバイザーが、商店街のまわりに点在するオンリーワン技術と職人技(匠)は生野区のお宝(いくもん)であり、商店街のお宝として空き店舗の目立つ商店街を「ものづくり」とのコラボで再生できないかと考えたのが、「いくもん“匠”まつり」でした。
 区役所や(一社)生野産業会の協力を得て、商店街が複数の空き店舗等を一時賃借して「生野ものづくり百景」で紹介されたものづくりの“匠”達による実演販売が行われました。地元小学生達の商人体験も実施され、当日は大変な賑わいとなりました。成果としては、百貨店催事でもなかなか売れない高級手作りボールペンが多数売れ、商店街の文具店との取引成立に発展したり、その他の商品についても取引の引き合いが進むなど、予想以上のものでした。

 

「いくもん匠まつり」の更なる発展へ

生野匠祭り この成功は商店街にやればできるとの自信をもたらし、他にない生野のお宝である“匠”との連携の出発点となりました。商店街では珍しい“商工連携”です。
 松本理事長をはじめとした商店街のメンバーは、商店街のコンセプトを活かす「お宝発見・いくもん“匠”まつり」を賑わいづくりと空き店舗解消の切り札として長く取り組んでゆきたいと考えています。

 

 

 

 

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商店街データ

 商店街名:生野本通商店街振興組合

 所在地:大阪市生野区林寺1-3-20

 担当者:理事長 松本 賢一

 連絡先:06-6717-3425

 

江戸時代の城下町の街並みを舞台に活躍する若き侍(若手商業者)たちが描く下町ルネッサンス
【花しょうぶ通り商店街振興組合】(滋賀県彦根市)

訪問日:平成27年11月19日
担当AD:伊津田 崇

商店街に若者達が回帰

花しょうぶ 滋賀県湖北の中心都市、彦根は、歴史の街で、街の中心には往時の優美な姿を今も残す国宝彦根城があります。花しょうぶ通り商店街は、その彦根城の南東に位置する昔ながらの懐かしい商店街です。商店街には、足軽組屋敷などが多く、今でも江戸時代の町屋など、古い建物が数多く残っています。「花しょうぶ」は彦根市の市花で、平成9年に商店街の名称を「花しょうぶ通り」に変更し、翌平成10年に商店街が法人化された際に名称を「花しょうぶ通り商店街」としました。実は、この少し前に商店街に大きな異変が起こっていました。何かと言うと、平成6~7年頃から東京等に行っていた商店主の子息(20~30代の若手)が次々と商店街に戻り、まちの活性化について話し合うようになっていたのです。そして、平成9年には、この若侍達が地元の大学と組んでまちの活性化計画を立てたのですが、その計画の中でコンセプト策定と共に、CI事業として、商店街の名称を「上えびす商店街」から「花しょうぶ通り商店街」に変更しました。「ふるあたらしい街 花しょうぶ通り」の誕生です。以降、若侍達が中心となって、様々な事業が実施されていきました。

 

「小江戸彦根の下町Renaissance」-ふるあたらしい街 花しょうぶ通り-のスタート

花しょうぶ寺子屋 標題は、地元大学生が発案したキャッチフレーズです。ここには、歴史的な重みを継承しつつ今日的なニーズに対応する商店街、また、古いだけでなく常に革新を起こしつつ再生振興を目指す商店街のコンセプトが表現されています。では、具体的な取組をご紹介しましょう。イベントとしては、「100円で買える幸福」と銘打ったバザーである「ナイトバザール」(平成10年から、毎月第2土曜日に実施)、地元3大学と連携して、毎年「絆」や「和」等のテーマを掲げたものづくり市である「アートフェスタ勝負市」(平成11年から、毎年6月第2土曜日に実施、「勝負」は「花しょうぶ通り」の「しょうぶ」と「アートで勝負する」との意味)が行われています。また、空き店舗活用策としては、平成19年に有志による出資で有限責任事業組合を設立し、「戦国時代」をメインテーマとして空き店舗4店を「街の駅」として運営(1.寺子屋力石、2.戦国丸、3.逓信舎、4.治部少丸)※することにより、商店街が地域コミュニティの拠点となっています。こうした取組により、来街者が大きく増加(平成13年当時に比し、現在は約2倍)するなど商店街には活気が溢れるとともに、商店街のメンバーも活き活きと店舗運営を行っています。

※1.寺子屋力石:「学び」をテーマに講座や私塾として活用
 2.戦国丸:「遊び」をテーマに戦国キャラグッズの販売や幼稚園児等を対象とした甲冑作り教室の開催
 3.逓信舎:「情報」をテーマにインターネットラジオ等で街の情報発信
 4.治部少丸:「歴史」をテーマに石田三成に関する資料展示等を行っている。

 

「オール彦根」で更なる発展へ

花しょうぶ賑わい これらの取組は、商店街が地元大学と連携して実施してきた訳ですが、自治体の補助金活用など、県・市・商工会議所との密な連携のもとに取り組まれたものでもあります。取組を推進してきた若侍達は、商店街の力だけでは限界があるとの認識の元、今後もこうした「オール彦根」での取組を続けて行こうとしています。その一環として、今、彦根では映画を使った町おこしに取り組んでいますが、その中心である「彦根を映画で盛り上げる会」の拠点を商店街内に置いています。商店街の若侍達も今は50代となって何れは「後継者」問題が大きな課題となってくるでしょうが、これまでの事業で繋がった様々なネットワークが更なる商店街の発展を支えていくことでしょう。




 

花しょうぶ要因分析
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商店街データ

 商店街名:花しょうぶ通り商店街振興組合

 所在地:彦根市河原3丁目1-20

 担当者:理事長 小川 睦博

 連絡先:0749-22-1026(理事長店舗)

 

地域とともに、絶えず進み続ける商店街【瓢箪山中央商店街振興組合】(大阪府東大阪市)

訪問日:平成27年10月20日
担当AD:西尾 元宏

来街者層の拡大を目指して

商店街全景 瓢箪山中央商店街(愛称:サンロード瓢箪山)は、大阪府東大阪市の東部、近鉄奈良線「瓢箪山」駅の北側約300mに広がる地域型商店街です。店舗数は113店、業種はサービス業、衣料・身の回り品、飲食店などで構成され、多くの買い物客で賑わう人通りの多い商店街です。 
 商店街が昭和38年に国道に指定されたため、日本で最初の「国道にアーケードを持つ商店街」としても知られています。
 瓢箪山駅の出口は東に1カ所、線路を挟んで南北に降りる構造のため、駅の利用者は必ず南北いずれかの商店街を通るという好立地で、平日は通勤・通学者も多く行き交います。
 このように活気に満ちた商店街ではありますが、近年の駅乗降客数の減少や、大阪外環状線沿線への商業施設の進出、来街者の高齢化など、商店街を取り巻く状況は少しずつ厳しさを増してきたことを商店主の皆さんは肌で感じていました。そこで、来街者の年代層を広げ、子どもから年配の方々まで幅広く親しまれる商店街づくりに向けて、瓢箪山中央商店街は動き始めます。


 

地域住民から親しまれる商店街であるために

鼓笛隊 子供から年配の方々までの幅広い層に商店街に来てもらうためには、それぞれのニーズを満たすサービスを幅広く提供していく必要があります。しかし、多岐にわたるサービスを提供するためには、商店街側に相応の負担が生じることも否めません。そこで、瓢箪山中央商店街は、同じ志を持つ駅周辺の2つの商店街と市場(*)と連携し、平成11年に「スマイル瓢箪山」を結成。東大阪市や大阪府の事業を活用し、商店街活性化に向けた取組を進めます。
 平成15年には、高齢者を対象とした宅配サービス「スマイル宅配便」を立ち上げ、商店街で購入した商品を自宅まで配達するサービスを開始。お米や飲料水、お野菜など重たい荷物は自宅に持ち帰るのに大変苦労するものですが、商店街が宅配してくれるなら重さを気にせず必要なものを購入できて助かります。
 さらに、多世代にわたる来街者の獲得のため、子供向けのイベントを次々と開催。周辺に住む子供と子育て世代の親たちに商店街に来てもらう活動を展開していきます。毎月8日の「8の市」をはじめ、5月ちびっこまつり、7月七夕夜市、8月夏祭り、11月音楽祭、3月6日(サンロードの日)、など四季折々のイベントには地元の子供たちが楽しめるイベントが盛りだくさん。例えば2015年11月に開催された音楽祭では、地元保育園のマーチングバンドによる演奏や、高校生のバンド演奏、のどじまんで熱唱する子など、商店街をステージに子供たちが大活躍!お子さんの活躍を見届けようとご家族も商店街に集まり、商店街には地域の皆さんの笑顔があふれます。その様子は商店街のフェイスブック等で発信され、普段は商店街に足を運ばない若い世代にもきめ細かく情報が伝わるよう努力が積み重ねられています。
 イベントの企画立案においては、大阪産業大学や大阪商業大学との産学連携にも取り組んでいます。瓢箪型みこしを担いで練り歩く「瓢箪山ちびっこみこしパレード」は学生の企画からうまれたもの。現在は商店街の空き店舗のシャッターに絵を描くことで賑わいと話題性を呼ぶ「トリックアート」を計画中とのこと、どのような作品が商店街を彩り、地域の皆さんの目を楽しませてくれるのか今から楽しみです。
 *イナリ前商店街(愛称:ジンジャモール瓢箪山)、瓢箪山駅前東商店会、小売市場(マイン)

 

若手リーダーの活躍-商店街の枠を超えて-

若手リーダー 瓢箪山中央商店街で特筆すべきは、次代を支える若手リーダー達の活躍です。
 商店街が抱える悩みの一つに「後継者問題」があげられますが、ここ瓢箪山中央商店街では、後継世代にあたる青年部が主に2代目・3代目店主で構成されており、彼ら若手リーダー達がイベント運営をはじめ様々な商店街活動に積極的に参画することで、自ずと次代を担う後継者が育ち、円滑な世代交代が図られています。
 また、前述の「スマイル瓢箪山」の取り組みが示すように、瓢箪山中央商店街は、周辺の商店街と強い連携を有しているのですが、この連携の主体となるのが、主に各組合の青年部メンバー。周辺3商店街の若手リーダーで組織された「瓢箪山活性化会議」など、定期的に集まり意見交換を行う場を作っています。このように、商店街の枠を超えた若手リーダー達の日々の積み重ねが、数多くのイベントや商店街事業の円滑な実施を支え、更なる商店街の発展につながっているのです。

 

 

地域とともに進み続ける商店街に

 瓢箪山中央商店街がある東大阪市は、2019年、ラグビーワールドカップ開催に向けて盛り上がりを見せています。商店街にほど近いラグビーの聖地「花園ラグビー場」がワールドカップ会場となることから、瓢箪山中央商店街としても、国内外来場者の誘致や外国人来街者への対応に向けて検討を行っています。
 今後の課題を組合専務理事の西仲氏に伺ったところ、「言葉とコミュニケーション、大型バス対応の駐車場問題」とのこと。時代の移り変わりとともに次々と課題が見えてきますが、瓢箪山中央商店街はこれまで培ってきた商店街内及び周辺商店街との結束を軸に、東大阪市や大学等、地域とともに一丸となって進み続けて行くことでしょう。

 

瓢箪山要因分析
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商店街データ

 商店街名:瓢箪山中央商店街振興組合

 所在地:東大阪市本町8-21

 担当者:事務局長・専務理事 西仲 則夫

 連絡先:072-982-0411

 

地元産鮮魚一筋の魚市場【小浜水産食品協同組合】(福井県小浜市)

訪問日:平成27年10月30日

30年間空き店舗ゼロ

小浜全景 暖流と寒流が混ざり合う小浜の海は、日本海でも有数の漁場の1つです。古来より海の幸などを皇室に献上する「御食国(みけつくに)」としての歴史を有する地域であり、1200年以上の歴史を持つと言われています。
 小浜水産食品協同組合は、その豊かな水産資源があがる福井県小浜市に「若狭小浜お魚センター」(以下、お魚センター)を昭和58年に開設。若狭のお魚を売る場を作ろうと、魚市場に隣接する場所で、漁業協同組合の中の有志12名により作られました。それ以来、お魚センターは、組合員全員の合意をもって意志決定を行うという運営方針のもと、今日までみんなで力を合わせて営業を続けてきました。
 その結果、開設当初より多くの利用客でにぎわい続け、30年以上が経過した今に至るまで、一度も空き店舗が出ることはありませんでした。
 
 しかし、少しずつではあるものの、お魚センターは売上が減少してきていると実感しています。原因は色々考えられますが、地域人口が減少していることや食生活の変化により魚の消費量が減少している影響が大きいのではないかと考えられています。
「鮮度が良く、おいしい魚介類」という地域資源を有していたとしても、それだけでは売上を伸ばすことができないという厳しい状況に直面しているのです。

 

商店街の特徴、できることを考える

賑わい 近くの漁港にあがった魚を売る魚市場ということであれば、他の地域にもあります。お魚センターで扱っている魚介類がそういった魚市場と少し違うのは、ほぼ全ての魚介類が地元の漁場で捕れたものであるということです。地元の漁場は港から近いため、漁をしてからすぐに魚が市場に並ぶという点も特徴です。
 深夜から早朝にかけて捕られた魚が、すぐに市場でセリにかけられ、隣接するお魚センターの売り場に並びます。売り場を眺めているだけでは分からないことですが、お魚センターに並んでいる鮮魚は、ほんの数時間前まで海を泳いでいた文字通りの鮮魚です。

 売上の減少に歯止めをかけるため、お魚センターはこうした特徴を活かした様々な対応策を打ってきました。

 購入者を対象にした宅配便の受付を始めたのはその1つです。魚の消費量が減少する中、少しでも多くの方に若狭小浜のお魚を味わってもらえるよう、遠方から来られたお客さんが自宅にクール便で送ったり、友人に送ったりすることを可能にするためです。この取組みは、各店舗においては顧客の拡大や客単価の増加に寄与し、組合としては手数料収入を運営費にあてられるようになる、というメリットがありました。

 このような組合独自の対応策だけで無く、地域の関係者と連携した取組みも進めています。
 近くにある県立大学の海洋生物自然学部との協力関係がそうです。学生に対し、授業の一環として魚介類の加工を体験する場を提供する一方で、大学からは伝統料理である魚の醤油干しの成分について分析調査を実施してもらっています。
 ちなみに、この分析の結果では、醤油干しがおいしい理由として、おいしさや栄養価が増すという結果が得られています。大学との連携の結果、消費者に対して醤油干しのおいしさを科学的な根拠に基づきアピールできるようになりました。

 また、市役所からの提案で、お魚センター内の駐車場に七輪焼きを設置する屋根付きのスペースを設けています。遠方からの観光客などが、お魚センターなどで購入した魚などをその場で食べることができる場所を提供することで、より多くの方に若狭小浜の新鮮な魚介類を味わってもらうためです。
 土地を提供することについては、当初、組合員から様々な意見が出ましたが、粘り強く議論を続けた結果、いつものように全会一致でこの取組みを進めることができました。

 

種類は豊富に、値段は安く。鮮度が良い地場の魚を提供し続ける。

お魚 お魚センターが心がけていることは、実は設立当初から何も変わっていません。それは、「地元の漁場で取れる新鮮な魚を、豊富な種類、安い価格で提供する」というシンプルなものです。
 お魚センターの開設20周年にはイベントを開催したりもしましたが、売上を伸ばすために大切なことはこの当初のコンセプトを守り続ける事だと考えています。

 ただ、地道に取組みを続けてきてはいるものの、売上の大きな増加というような目に見えやすい結果が得られているわけではありません。統計を取っているわけではありませんが、ここ10年あたりでも客数が減っている実感があるほどです。
 それでも、大きな値上げなどはせずに、安い価格で提供し続けています。初めて来られた方は、1カゴに付けられた値段を1匹の値段と勘違いすることもあるそうです。
 もう少し高めの価格設定をすることも可能かもしれません。しかし、お魚センターは、営業を続けて行くにあたっては、お店の売上だけでは無く、お魚が店先に並ぶまでに携わる関係者との協力関係も重要だと考えています。漁師から魚屋といった供給側の関係者の協力関係が無ければ、魅力的な商品を提供し続けることはできない、との考えがあるからです。
 価格の設定は個店の判断ではありますが、この考えが組合の中で共有されていることが、今の価格の維持につながっていると考えられます。 
 地域資源である地元の魚を扱うお店を集積させたことで、強みを発揮しやすい状況を形成していることはもちろんながら、組合員が納得いくまで話し合える良好な関係を築き、維持できている点も大きな強みです。

 商店街がにぎわいを維持していくための対応策は、その商店街の置かれた状況に応じて様々な方策が考えられます。
 お魚センターにおいては、「地元の漁場で取れる新鮮な魚を、豊富な種類、安い価格で提供する」という開設当時のコンセプトを守り、地域の関係者とも連携しつつ組合員で協力しながら商売を続けることで、地域資源を活用した商品をアピールし、商店街のにぎわいを形成しています。

 

要因分析票
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商店街データ

 商店街名:小浜水産食品協同組合(若狭小浜お魚センター)

 所在地:福井県小浜市川崎2丁目5番1

 担当者:前田

 連絡先:0770-53-1530

 

801(やおい)ちゃんと福祉のまちを目指して【御薗橋801商店街振興組合】(京都府京都市)

訪問日:平成27年11月18日
担当AD:加治 武史

世界遺産が組合員の商店街

 御薗橋801商店街の様子
 京都市の北部、世界遺産で有名な上賀茂神社から鴨川に架かる「御薗橋」を渡ったところに御薗橋801商店街振興組合があります。
 東西800mの商店街は、一歩ずつ前に進み発展して行こうとの思いからプラス1をして801と名付けられたようです。何ともハイカラな命名ではありませんか。
 
 40年前に、周辺が畑や田んぼから閑静な住宅地と変貌したのと同時に商店街が誕生しました。現在でも商店街の周辺地域は住宅地としての人気も高く、小学校や大学などが周囲に立地し、新築分譲住宅の増加から子育て世帯や学生の単身者も多く居住しています。しかし一方で古くからの住民の高齢化も進んでいるのも現状で、商店街としては「高齢者に優しい商店街」を目指すことになりました。


 

福祉のまちを目指して

 801広場商店街のほぼ真ん中にあるのが801広場です。組合員の協力により空き店舗を安価で借り上げ、経済産業省の商店街補助金の活用によって、コミュニティ施設に整備されました。「将棋・囲碁」や「健康体操」、「フラダンス」、「紙繍アート」などの高齢者向けの教室が多数開かれています。職員が訪問した日も「将棋・囲碁」が開催日でしたが、沢山のメンバーがゆったりと将棋・囲碁を楽しんでおられました。参加者はそれぞれが1回200円程度の参加費を支払うだけで一日遊べるのです。近所はもちろん、かなりの遠方からも口コミによって参加されている方もおられるようです。
 801広場の運営には、月額11万円の家賃に光熱費が毎月2万円程度必要です。5万円から6万円の会場使用料収入との差額については商店街組合費からの負担となっています。「これほどの利用があるならば、もう少し利用料を値上げしても良いのでは」との問いかけに、田中理事長は「正直に言うと運営は苦しい。でも福祉のまち、介護保険を利用しないくらしのため、利用料を上げるつもりはない。」ときっぱり答えました。
 そのほか、御薗橋801商店街では高齢者向の取組として買物支援事業を実施しています。1回500円でお客様の代わりに買物をして自宅に届けたり、買物に同行したり、ちょっとした暮らしの「お手伝い」も500円で請け負っています。京都府の補助金によって、「おかいものマップ」という冊子を作成し、商店街マップと共に代行、同行サービスの内容が大きな文字で案内されています。また、メモ帳と一緒に冷蔵庫などにつり下げることが可能で紛失を防止し、お年寄りがいつでも利用できるような工夫がされています。毎月、20回程度の利用があるそうです。
 また、防犯カメラの導入、LED街路灯や足下灯の設置などにより、安心安全なまち作りにも力を入れています。夜間の一人歩きも安心で、「この商店街ならば安心」と、一人暮らしをする女子学生の保護者も太鼓判を押すそうです。もちろん、これらの事業で収益を得られるものではありませんが、人と人との繋がりを大切にして地域に根ざし、地域を支える商店街を目指すという田中理事長の大きな志を強く感じました。

 

801(やおい)ちゃんとイベント

801ちゃん「801ちゃん」というキャラクターをご存じでしょうか。商店街カラーである緑に、京野菜の賀茂なすをイメージした体型をしています。京都精華大学生のデザインによる「ゆるきゃら」ですが、周辺住民に大人気はもちろん、漫画の主人公に採用されるなど、密かな人気を博しているそうで、商店街の主催する数多くのイベントや印刷物には必ず登場し、商店街の魅力発信に大いに貢献しています。
 商店街では七夕やビアガーデン、クリスマスなど季節に応じたイベントが開催されています。中でも恒例の「みそのばし801フェスティバル」には、京都産業大学のチアリーダー部や吹奏楽部、地元小中学生によるダンスや演奏、玉入れ大会など、開始から終了まで催しが目白押しとなっており、参加者は年々増加しています。また、最近では、京都市発行のプレミアム商品券の関連企画として、商店街で商品券を利用されたお客様に「お米の掴み取り券」を発行しました。掴み取り企画の当日は、朝から晩まで長蛇の列が途切れる事が無く、なんと2日間で1トンのお米が配られたそうです。予想を越える事態に商店街役員の方も大いに驚かれたそうです。
 このように御薗橋801商店街の主催するイベントには、多くの地元住民の参加・協力により運営されています。また、チラシの印刷など多くの費用は、京都府の補助金が有効に活用されており、京都府商店街振興組合連合会の担当者の手厚い支援の成果でもあります。
 集客効果の高いイベントの実施と福祉関連の取組、安心・安全なまちづくりの成果によって、来街者数は近年増加傾向にあります。
 住民とのつながりと行政等との連携、地域に対する商店街の熱い思いなど、今後も関係者同士が幅広く支え合って発展していくことでしょう。

 

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商店街データ

 商店街名:御薗橋801商店街振興組合

 所在地:京都市北区大宮東総門口町39(理事長店舗)

 

 担当者:理事長 田中 美保子

 連絡先:075-493-3733(理事長店舗)

 

おもてなしの心にあふれた癒やしと憩いの場【本町商店街】(福井県鯖江市)

訪問日:平成27年12月1日
担当AD:中辻 一浩

眼鏡・繊維・漆器のものづくりの街を代表する歴史ある商店街

本町商店街の様子① 福井県鯖江市。眼鏡・繊維・漆器のものづくりの街として有名な歴史ある街のメインストリートに位置するのが50店舗を擁する「本町商店街」です。しかしながら、この地域においても、商圏の対象人口は減少し、高齢化が進んでいる(鯖江市の統計によると、60歳以上の人口比率は、平成15年の25.3%から、平成27年は31.6%)ことから、一時期は商店街の売上が最盛期の半分にまで落ち込みました。
 この為、危機感を抱いた商店街では、商店街内の水銀灯を整備した折りに、水銀灯の維持管理を名目として、将来の事業に備えた基金を整備しました。また、販促活動などの活性化事業を推進するため、本町商店街を含む市内商業者が結集して「鯖江商業協同組合」を組織化しました。この「財政」「組織」上の整備が歴史ある商店街を蘇らせる契機となりました。

 

住民を商店街に呼び込む仕掛け作り

本町商店街の様子② 鯖江市の人口は、平成15年の67,248人から、平成27年は68,812人と総数自体は減少していませんが、中心市街地の商圏人口は減少するとともに高齢化が進んでいます。
 これらの高齢者は、在宅の方々が多く、外出といっても病院への往復のみとなりがちです。そこで、商店街では、これらの高齢者を如何にして商店街に呼び込むかを考え、実行に移しました。まず、「来街者の快適性の追求」として商店街内のベンチを整備して、花を植え、そして街路灯をLED化するなど、商店街内の快適性を向上させることによって高齢者が病院帰り等に散歩がてらに訪れてもらえる環境作りを行いました。そして「個店の活性化」です。「鯖江商業協同組合」の事業として市内7商店街でポイントカード事業や販促事業を実施して、各個店に高齢者を呼び込みました。
 こうした取り組みが功を奏し、商店街には病院帰りの高齢者が多く訪れるようになり、ベンチの至る所に高齢者の方々が休憩して談笑するなど、商店街の「サロン」化が進みました。これらの取り組みには、「お金」と「人」の協力が不可欠だった訳ですが、「財政」整備と「組織化」が見事な役割を果たしたのです。

 

長期スパンでの取り組みによる活性化を目指す

本町商店街の様子③ こうした取り組みは、短期的に行っても来街者が増加し続けることはありません。商店街では、組織率100%を維持して、一丸となってこれらの取り組みを継続しています。
 インフラ関係では、商店街内の女性で構成された「おかみさん会」が、花壇の整備やベンチも含めた清掃美化活動を行って、綺麗で快適な商店街通りのイメージを作り上げています。また、SNSを活用したイベント情報の発信や、ポイントカード事業においても、モバイルを活用したポイント事業等常に新しい事業を模索するなど、更なる販促に取り組んでいます。
 地元の鯖江市や福井県もこうした商店街の地道な活動を支援しています。特に、鯖江市では、「鯖江街なか賑わいプラン」と銘打って商店街のこうした事業を支援しています。ご多分に漏れず「本町商店街」でも、店主の高齢化が進みつつありますが、組織率100%の結束力を活かして、更なる活性化への取り組みが期待されているところです。

 

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商店街データ

 商店街名:本町商店街

 所在地:福井県鯖江市本町1丁目

 担当者:田中 直美(鯖江市 産業環境部 商工政策課)

 連絡先:0778-53-2230(鯖江市 産業環境部 商工政策課)

 

京都の繁華街に残るホッとスポット【寺町専門店会商店街振興組合】(京都府京都市)

訪問日:平成27年11月30日
担当AD:加治 武史

ライフスタイルの変化

寺町賑わい 四条から観光客と若者で賑わう寺町通りを北に抜けると、急に落ち着いた空間に出会います。大正から続く喫茶店、古書や画材、お香を扱うお店など、歴史と風格ある老舗の看板が商店街に並びます。周辺の観光客で賑わう商店街とは一線を画した独特の雰囲気を醸し出しており、また、各店舗が特定の分野に特化した店が多く、商店街名の「専門店街」という名付けの理由ともなっています。
 寺町専門店会商店街は、約45年前に振興組合を設立しました。それまでにも御池から三条通りまでの間に多くの商店街が建ち並び、大正の頃には五盛会と呼ばれる商業組織が作られるなど商業の町として、戦中、昭和の中頃まで大きく繁栄してきました。
 しかし、1960年代を過ぎると世の中のライフスタイルが大きく変化し、これまで通りの商売を続けることが困難となりました。寺町専門店会商店街の周辺でもマンションが立地し、子育て世代が増加するなど商圏の様子も大きく変化してきました。周辺の多くの商店街が生き残りのために大きく変化する中、寺町専門店会商店街振興組合としては時代の流れに合わせつつ、特定の分野に特化した専門店街という全体のイメージを変えないという方法によって賑わいを維持し続けているのです。

 

安心と安全のまち作り

寺町街灯 寺町専門店会商店街は前述したように、御池から三条の間に様々な専門店66店舗が並び、法華宗大本山の本能寺や大和天河弁財天を分祠する天性寺、愛らしいぬいぐるみ地蔵の矢田寺と、3つのお寺が立地しています。老舗店舗が多く、落ち着いた雰囲気の商店街のため、アーケードの中にあってもまったく違和感がありません。むしろ商店街に溶け込んでいて、入った瞬間にホッと一息付けるような、「和の空間」作りを感じさせます。
 一方で、周辺地域は新しいマンションが立地して子育て世代が増加しているようです。これは周辺を校区とする学校が人気であるため、わざわざ京都以外から移り住んで来る方が多いということです。
 また、地域内においては、古くからの住民の高齢化が進んでいるのも現実です。
 小さい子供達を連れた家族連れや高齢者にも安心と安全の場を提供することも商店街の課題となっていたのです。

 

寺町専門店会商店街の取組

寺町メンバー 商店街では、安心安全のために様々な取組を実施しています。商店街の若手経営者を中心に組織された「企画推進委員会」・「自衛消防隊」は、日々の消火訓練の他、イベントなどでは働き手として大いに活躍しています。また、設置してから40年を経過したアーケードの改修。防犯カメラ、街路灯のLED化を行いました。これらは経済産業省の補助金を活用しました。その他、京都府の事業により、北山杉を活用したベンチを商店街内の3箇所に設置しました。買物に来たお年寄りが、ちょっと座っておしゃべりしたり、休憩したりできるスペースとして利用されています。商店街としては決して安くない支出となりましたが、お年寄りがベンチに座っておしゃべりしている光景は何とも微笑ましく、来街者の憩いの場として役に立っていると実感出来るそうです。
 商店街では、照明作りにもこだわりました。商店街の雰囲気を大事にするため、華美ではない高級感と和のイメージにより作成されたものです。これは和紙のアーティストによるデザインで、商店街の雰囲気にピッタリと馴染んでおり、余所には無い優れたものということで京都のテレビ局の取材も受けたそうです。
 その他、商店街に立地するお寺の行事にも大いに協力をしています。中でも矢田寺で実施される「冬至のかぼちゃ炊き」では「かぼちゃ炊き」が無料で接待されます。冬至にかぼちゃを食べると脳疾患で手足が麻痺する「中風」を封じると言われており、朝早くから多くの方が列を作るそうです。

 今回、理事長の村上氏、副理事長の辰巳氏と西氏からお話をお聞きしましたが、時代の要求するものをキチンと取り入れつつ、自らの商売にプライドを持つことが長く商売をするためには必要だと話されていたのが大変印象的でした。3つの寺院と共に歩み、専門店・老舗店舗による歴史と受け継がれた伝統が寺町専門店会商店街振興組合の特長であり、大きな魅力的を感じる要因であると感じました。

 

寺町要因分析
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商店街データ

 商店街名:寺町専門店会商店街振興組合

 所在地:京都市中京区寺町通三条上る天性寺前町523番地

 担当者:理事長 村上 征隆

 連絡先:075-221-7490

 

大学生とコラボしたアートイベントで、めざせ”芸術のまち”【喜志駅前通り商店会】(大阪府富田林市)

訪問日:平成27年12月18日

担当AD:中辻 一浩

学生が集う喜志駅

賑わい 富田林市は大阪府の東南部に位置しており、市内には自然や歴史的な街並み、ニュータウンなどが広がります。このなかに、近鉄長野線喜志駅があります。喜志駅は大阪芸術大学をはじめとして、大学、高校、中学など多くの学校の最寄り駅として学生や地元住民に利用されており、駅に隣接して喜志駅前通り商店会が広がります。

 長年商店会会長を務めるのは、喜志駅前通りで電器店を営む神前陽一郎さんです。神前会長は、商店街有志とともに市や府、国による支援策を活用してイベントを行ったり、まちの安全のために防犯カメラを導入したりと、商店街のために活動をしてきました。
 イベントの中でも好評なのが、「芸術のまち」をめざし大阪芸術大学とコラボレーションして行うイベント「artkish!(アートキッシュ)」です。
 アートキッシュは、「せっかく芸術大学があるのだから、喜志を“芸術の町”にしよう」と商店街と大阪芸術大学が連携し、2007年にスタートしたイベントです。商店街と大学キャンパス内には学生が作成した各店舗をイメージしたアート作品を展示するほか、マルシェやパフォーマンスイベントなどの学生による催し物なども企画し、まずは地域住民に商店街に足を運んでもらうようにしました。アートキッシュのリーフレットは毎年学生によるデザインで作成されており、イベントを盛り上げます。実は、名称にも工夫が凝らされており、「artkish!」は「artkishi」 とかけられています。
 近年ではアートキッシュ単独で行うのではなく、市や近隣商店街と連携して夏まつりやバルイベントと同時開催しています。そのおかげで幅広い世代を呼び込むことができ、地域では「喜志ではアートイベントを行っている」という認識も浸透し、“芸術のまち”に近づいています。

 

アートキッシュを継続したことで起きた変化

賑わい2 アートキッシュのおかげで地域の人々の商店街に対する見方も変化してきました。以前はイベントを行っても単発で終わっていたこともあり、ただ商店街が儲けるためだけにやっていると思われていました。しかし、アートキッシュを継続しているうちに地域の人々からは「地域のために商店街ががんばっている」という印象を持ってもらえるようになりました。今まで商店街ににぎわいを取り戻すため色々なイベントや設備を取り入れて来ましたが、あまり商店街に変化を感じられずにいました。しかしアートキッシュは、まずは商店街に関心を持ってもらうことのきっかけになったのです。また、商店街の認知度も徐々に向上しており、空き店舗が発生しても早々に次の店舗が入ることが多く、空き店舗率増加の歯止めとなっています。

 

今後の課題はまちの担い手の育成

 喜志会長いまの課題は、商店街ではアートキッシュを含むイベントの担い手が不足しているため、今後どのように商店街を牽引する次世代メンバーを育てていくかということです。商店主が自ら楽しんでイベントに参加できる仕組みをつくり、より地域に根付いた商店街になることが目標です。



 

 

 

 

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商店街データ

 商店街名:喜志駅前通り商店会

 所在地:富田林市喜志町3-7-22

 担当者:会長 神前 陽一郎

 連絡先:0721-24-0326

 

周辺商店街と連携したエリアの活性化【福井駅前商店街振興組合】(福井県福井市)

訪問日:平成27年11月17日
担当AD:中辻 一浩

福井の玄関口での連携体制

福井1 JR福井駅を中心として、えちぜん鉄道、福井鉄道、路線バス、コミュニティバスなどの多様な公共交通機関が結節し、周辺に行政施設や事業所等が集積する福井駅前商店街は、市の中心市街地の商業を支える役割を担ってきました。婚礼にお金をかける土地柄でもあり、時計や宝飾品店が多く立地しておりました。
 しかし、郊外の大型店舗や他都市の商業集積との競合に遅れをとり、金融機関やの合併や公的機関の移転等で事業所とともにエリア内の人口が減少したことも衰退に拍車をかけ、商店街の通行量や売上げは、最盛期の半分となり、駅前地区全体でも空洞化が目立つ状況となりました。 
 そこで、中心市街地の活性化を一体的に進めてエリアの価値を上げるために、平成12年に駅前の5つの商店街で福井駅前五商店街連合活性化協議会(通称「五連」)を設立し、県内唯一の百貨店も含めた地域全体の連携体制でまちづくりに取組み始めたのです。

 

販促や賑わいイベントから

福井2 初めに取り組んだのは共同販促でした。まず、月1回の販売促進会議を開催し、お互いの来客数や売上げといった営業データを共有するところから始めて、効果的な戦略を練りました。
 年2回の駅前感謝デーなどのイベントを定期的に実施し、フェニックスまつりやたなばたまつり、イルミネーションやフォトコンテスト、婚活イベント等を開催し、賑わい創出に大きな成果があがりました。中心市街地のまちづくり会社である「まちづくり福井」とも連携し、バルや街ゼミにも取組みました。
 元々の各店舗のいいものを詰める「お福分け」ブランド作りも好評を博しています。
 また、国の補助金を活用してアーケード照明のLED化や防犯カメラの設置を進め、商店街の軽犯罪が半分以下になるなど、安心・安全のまちづくりも進めました。

 

リノベーションによる新陳代謝のまちづくり

福井3 しかし、一時的な賑わいはあるものの空き店舗が残るままでは根本的な解決にはなりません。そこで、平成26年6月に中心市街地の新規プロジェクトとして、「美しくなれるまち」を基本コンセプトに、美容関連業種の集積を図る「美のまちプロジェクト」が発足しました。かつて戦国一の美女と言われたお市の方が、茶々、初、江の3人の娘とともに当地に住んでいたという歴史をふまえたものです。「五連」の中のサンロード北の庄商店街振興組合が中心となり、中心市街地活性化計画の中心事業である「食の拠点構想」に連動して、市の家賃補助と組み合わせたリノベーション事業としてPRしたところ、一年半で30店舗の空き店舗が解消され、新たに52名の雇用効果を生みました。UターンやIターンの若手の活躍、そして女性の活躍が目立つのが特徴です。
 また、福井駅前商店街振興組合の中で、加藤理事長が代表を務める(株)福井木守り舎を始め、2つの民営のまちづくり会社ができるなど、テナントミックスとリノベーションによる新陳代謝のまちづくりが進行中です。
 このように、地域の商業者間の営業情報共有から始めて、共同販促による売上げ増、イベントによるにぎわい創出、安心・安全のまちづくり、所有と利用の分離手法でのリノベーションによる空き店舗解消と、福井駅前商店街振興組合が中心とな「五連」は順序を踏んで、一旦疲弊した中心市街地を元気にするために、一時的な特効薬ではない根本的な体質改善に真っ向から取組み、成果を上げてきました。これを可能としたのは、加藤理事長をはじめとした地元商業者の方々の我が街再生に向けた熱意と信頼関係、そして若者・よそものを受け入れる風通しの良さだと言えるでしょう。
 北陸新幹線が福井に延伸するのはまだ先のことですが、それまでに「五連」が牽引する福井駅前エリアの変貌ぶりに目が離せません。

 

福井4
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商店街データ

 商店街名:福井駅前商店街振興組合

 所在地:福井市中央1-10-1マキサダビル1F

 担当者:理事長 加藤幹夫

 連絡先:0776-63-6332

 



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