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最終更新日:令和2年9月4日
近畿経済産業局では、大阪府及び大阪市と連携し、(一社)i-RooBO Network Forum及び(公財)大阪産業局が行う食品工場等の未活用領域へのロボット導入及び中小企業の現場にロボット・AI・IoTを組み合わせた生産性向上の実現可能性を検証する関西発の取り組みを支援します。
※本文中の参考資料については「関西地域における中小企業のロボット導入促進・スマート化支援について」をご参照ください。
経済産業省のロボット政策においては、ロボット技術大国の地位の維持、ロボット活用による生産性向上や少子高齢化社会の課題解決に向けた指針である「ロボット新戦略(2015年)」の更なる推進を目的として
2019年7月に「ロボットによる社会変革推進計画」を取りまとめました。本計画では、①ロボットの導入・普及を加速するエコシステムの構築、②産学が連携した人材育成の枠組の構築、③中長期的課題に対応する研究開発体制の構築、④社会実装を加速するオープンイノベーションの4つを柱としています(参考資料1)。
関西はロボットメーカー、ロボットSIer(システムインテグレーター)、幅広い産業分野のユーザー企業等、ロボット導入に係る様々なプレイヤーが集積する地域です。
このため、近畿経済産業局では、地域での効率的・効果的なロボット導入支援拠点である大阪の「IATC※」、南大阪の「HCI ROBOT
CENTER」とともに、ロボットシステム導入の担い手であるロボットSIerの育成、食品・化学分野等のロボット未活用領域での導入促進を展開して参りました(参考資料2、3)。
※Industrial Automation Technology Center
これまでの取組みにより顕在化した近畿地域でのロボット導入、生産性向上における課題は以下の通りです。
中小企業ではロボット・AI・IoTの組み合わせによるスマート化の重要性を認識しながらも、導入後のビジネスモデルが確立できない等の理由から現場に導入できていない状況にあります。
また、AIやIoTを活用した新たなサービスについても、その具体的なモデル創出が求められています(参考資料4)。
製造現場へのロボット導入に際しては、システムの構想・設計・導入に係るF/S(Feasibility Study)が必要不可欠です。しかしながら、サービスの一貫としてF/Sを無償で請け負うロボットSIerが多いため、結果的に、現場に沿った適切なF/Sが行われず、導入する際に問題が生じるケースが起きています。このため、ユーザーニーズに応じたロボット導入を展開する上では、実機等を活用した実践ベースの事前検証が重要であり、有償でF/Sを展開するビジネス慣行の醸成が必要です。
関西には食品、化学産業、プラスチック等のロボット導入が進んでいない産業が集積している一方で、食品・化学分野等のロボットが活用出来ていない領域に対応できる技術を有したロボットSIerが不足しています(参考資料5)。
製造現場へのロボット導入にはロボットSIerによるサポートが必要ですが、ユーザー企業に対するロボットSIerの認知度が低いとともに、ロボットSIerの業界団体を通じた効率的・効果的な活用が十分に進んでいない状況にあります。
このため、地域のユーザー企業のニーズを把握する自治体や金融機関等と連携し、ユーザー企業とロボットSIerを効果的に繋げる仕組み作りが必要です。
2020年度は、課題解決に向けて以下の取り組みを展開します。
「令和元年度補正
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ビジネスモデル構築型)」を活用し、(公財)大阪産業局が行う、関西の中小企業32社を対象にした食品工場等の未活用領域へのロボット導入、ロボット・AI・IoT等の複合技術を組み合わせたスマート化及びAI、IoTを活用した革新サービスの実現に向けたF/S展開を支援します。(参考資料6)
具体的には、先進的なロボット導入実績のあるロボットSIerにより、ロボット・AI
・IoTの組み合わせによる工場のスマート化を目指したF/Sを展開し、その横展開を支援します。また、AI、IoTといった技術活用を得意とするIoTベンダーによる未活用領域でのF/S支援を展開することにより、新たなサービスのモデル化を支援します。
なお、これらの活動成果については、2021年6月に大阪市内で開催される予定のROBOMECH
2021(※)においてロボットシステムの展示等を行い、公表する予定です。
※ ROBOMEC 2021
(一社)日本機械学会(ロボティクス・メカトロニクス部門)が主催するロボティクス・メカトロニクス講演会。世界中のロボット関係者が集い、学会員による講演のほか、ロボットメーカーやSIerによる展示会が併設される予定。2021年6月に大阪市内で開催予定。
加えて、本事業は、(公財)大阪産業局を事務局として展開し、本事業の機能、効果を検証し、来年度以降のビジネスベースでの事業展開の基盤構築を図ります。
「令和2年度地域企業イノベーション支援事業」を活用し、以下の事業を実施します(参考資料7)。
(1)ロボットSIer候補企業の高度人材育成支援
候補企業の中から、レベルの高いロボットSIerを選定し、実践向け講座での人材育成や実力のあるプロSIerでのOJT研修を実施します。
(2) 高度外国人の育成及びロボットSIerとのマッチング
日本語学校との連携により、ロボット拠点において、外国人インターン生を対象とするSIerのスキルを身につける高度人材育成研修を実施します。また、研修を受講したインターン生とロボットSIerとのマッチング機会を提供します。
(3) 食品機械メーカーによるロボット導入ビジネスへの参入支援
食品産業でのロボット導入を加速化するため、既に現場に入っている汎用性の高い機械を有する食品機械メーカーを対象に、ロボットSIerがロボットオプションを加えた機器開発支援を行い、その横展開を図ります。
(4) ロボット拠点と金融機関との優良案件好循環ネットワークの構築
設備投資に積極的な金融機関とロボット拠点との連携により、優良案件発掘からロボット導入に至るエコシステムの構築を図ります。
「これらの事業を取りまとめる母体として、本年度、「スマート生産性向上研究会」を新たに設置します。本研究会では、大阪府、大阪市、(公財)大阪産業局のほか、ロボットメーカー、ロボットSIer、IoTベンダー等をメンバーとして、事業の政策的な方向性や各プロジェクトの取組みや成果の共有、その活用を議論し、今後の中小企業のスマート化に向けた展開を検討して参ります(参考資料8)。
デジタルデータ活用によるプロセスの改革、品質・生産性向上、コロナ禍でのサプライチェーンの変革、人間が介在したものづくりプロセスの自動化においては、ロボット・AI・IoT等の先端技術を活用したスマート化の実現が重要です。
このため、当局としては、大阪府、大阪市や業界団体等との連携により、中小企業による先端技術を活用した生産性向上の実現可能性を検証する関西発の取り組みを支援し、中小企業の現場のスマート化を全国に先駆けて関西主導で推進して参ります。
関西地域における中小企業のロボット導入促進・スマート化支援について
近畿経済産業局 地域経済部 次世代産業・情報政策課
住所:〒540-8535 大阪市中央区大手前1-5-44
電話番号:06-6966-6008
FAX番号:06-6966-6097