平成25年度関西地域における中堅製造企業の実態調査(概要)
担当課室:総務企画部企画課

最終更新日:平成26年6月2日

図1 回答企業381社の年間売上高別構成比
図:以下に詳しい説明

 「通商白書2013」やハーマン・サイモン「グローバルビジネスの隠れたチャンピオン企業」、エコノミスト・インテリジェンス・ユニット「日本の中堅企業 その競争力と成長の条件」などの各種文献・報告書によると、年間売上高数十億円から1,000億円規模の中堅製造企業(以下、「中堅企業」といいます)は、全企業数に占める割合が数パーセントであるにも関わらず、売上高や雇用などの指標において良好なパフォーマンスを示しており、特に経済が低迷したリーマンショック後も優れた生産性を誇っていることが明らかにされています。

 このような中堅企業は、これからの地域経済を牽引する存在として期待されており、首都圏に次ぐ市場規模を誇る関西地域に多数存在していると考えられます。 

 そこで近畿経済産業局では、平成25年度に下記企業を対象にアンケート調査を行い、集計結果から中堅企業の現状や特徴をまとめましたので、概要をご紹介します。なお、本調査では年間売上高100億円以上1,000億円未満の企業を「中堅企業」と定義しています。

[アンケート調査対象]

関西地域(福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県及び和歌山県)に本社を有する売上高30億円以上の製造業2,026社

[有効回答企業数]

381社(回収率18.8%)

1.“筋肉質”な経営で経済を牽引

 年間売上高規模の大きさに比例して、回答企業381社の平均生産拠点数、平均従業員数、取引中小企業数は大きくなり、企業自らの「地域経済の牽引役としての認識度」も高くなる傾向があります。

 生産拠点数、従業員数を地域別(「本社所在の府県」、「近畿地域」、「国内」、「海外」)で見ても、図2、図3にあるとおり、売上高規模の大きさに比例して全ての地域でそれらの数は多くなっています。売上規模の拡大とともに、近畿地域(「本社所在の府県」と「近畿地域」の合計)にとどまらず国内外に拠点が拡大し、構成比では「国内」や「海外」が大きくなります。中堅企業の過半数は、近畿地域以外の国内外にも生産拠点を有しています。

 中堅企業は、地域における重要な雇用の担い手であり、国内外への積極的な拠点展開や中小企業との取引拡大により大きな存在感を示しており、地域経済のみならず日本経済を牽引する存在となっています。売上高1,000億円以上の大企業と比較しても、中堅企業には正社員比率や営業利益率、従業員一人当たり営業利益が高い企業の割合が高く、“筋肉質”な経営であることも特徴として挙げられます。

図2 売上高別 地域別平均生産拠点数(実数、箇所) (SA, N=381)
図:詳しい説明は上記
図3 売上高別 地域別平均従業員数(実数、人) (SA, N=381)
図:詳しい説明は上記
図4 売上高別 営業利益率構成比(SA, N=381)  ※全体平均は4.9%
図:詳しい説明は上記

2.ガバナンスの最適化

 回答企業の形態はほとんどが株式会社であり、売上高規模が大きくなるほど上場の比率が高くなっています。

 中堅企業は、上場企業よりも非上場企業のほうが多くなっていますが、中堅企業の生命線であるコア技術を守るため、情報開示の必要がない非上場という企業形態は合理的と言えます。一方で、売上高が大きくなるほど、柔軟な資金調達の必要性に加えて、知名度の向上や社会からの信頼を獲得するため、上場という選択肢も現実味を帯びます。上場することで優秀な人材を確保しやすくなったという意見も見られます。

図5 売上高別 企業形態構成比(SA, N=381)
図:詳しい説明は上記

 また、売上高規模が大きくなるほど、執行役員や実質的な経営者の属性において「創業者/創業家一族」の色が薄れていく傾向にあります。「創業家以外の社員」や「親会社等からの受け入れ」が増えることで、組織の透明性が向上するものと考えられます。一方で、「創業者/創業家一族」を中心に経営を行うことで、社運をかけた取組についてもスピーディーに決定でき、機動的に行動できるといったメリットがあります。

 中堅企業の役員は、「創業家以外の社員」が過半数である一方、実質的な経営者は「創業者/創業家一族」に次いで「親会社からの受入れ」「創業家以外の社員」も多く、売上高規模に応じて企業形態(上場の有無)、経営体制(同族経営の有無)について最適なものを選択していることが伺えます。

図6 売上高別 役員構成比(平均) (N=347)
図:詳しい説明は上記
図7 売上高別 代表者属性構成比(SA, N=381)
図:詳しい説明は上記

3.研究開発を通じた「一本足打法」からの脱却

 売上高規模が大きい企業ほど、売上高に対する研究開発投資比率が高まる傾向にあるとともに、主幹を務める研究開発プロジェクトの連携先が多様化し、連携度合いも増加する傾向にあります。

 中堅企業には、大企業を上回る研究開発投資比率の企業も多く見られ、事業拠点の近隣にある大学や公的機関等と共同研究を行い、製品開発や技術力向上を図っている企業が多く見られます。

図8 売上高別 主幹を務める研究開発プロジェクトの連携先構成比(SA, N=381)
図:詳しい説明は上記

 過去10年間の成長要因として、中堅企業の多くが「ニッチトップ製品の開発」、「研究開発力の強化」、「幅広い製品ラインナップの拡大」を挙げており、研究開発の結果として、中堅企業は売上高に占める新製品の概算売上比率を高めるとともに、製品・サービスは国内外の市場で高シェアを獲得する、またはサプライチェーンにおける重要な位置づけを獲得していると考えられます。前述のとおり中堅企業の特徴の一つに営業利益率が高いことが挙げられますが、その要因の一つにこうした付加価値の高い新製品の開発力が挙げられます。

図9 売上高別 過去10年間の業績要因構成比(MA, N=381)
図:詳しい説明は上記

4.海外展開による業績向上

 国際競争力強化と海外市場獲得のため、売上高規模が大きい企業ほど、連結売上高に占める海外市場比率も売上高規模に比例して高くなる傾向があります。

 中堅企業については、約4割の企業が海外に生産拠点を構えており、約6割が中国や東アジアを中心とする海外に生産または販売拠点を進出しています。

 海外展開にあたり、国内空洞化の心配が常に寄せられますが、過去10年間に海外売上高が増加した企業は、国内の売上高・営業利益・設備投資・従業員のいずれも増加している企業が最も多くなっており、海外展開が国内業績にプラスとなっている傾向があります。

図10 売上高別 連結売上高に占める海外市場の売上構成比(SA, N=381)
図:詳しい説明は上記
図11 過去10年間の海外売上高の動向に対する国内業績等動向(SA, N=245)
図:詳しい説明は上記
(注)過去10年間の業績等動向の評価は、10年前と比べて「増加」(3%以上増加)、「横ばい」(3%増加~3%減少)、「減少」(3%以上減少)となっています。

5.人材面での課題

 企業の成長に向けて人材の確保・育成は重要な課題となっています。回答企業の7割以上が、人材面での課題として「技術継承(技術者の育成)」を挙げ、約4割が「若手人材の確保・育成」を挙げていることから、中堅企業を含む製造企業にとって、次世代への技術継承が非常に大きな課題となっていることが伺えます。

 また、売上高規模が小さい企業ほど「中間管理職の育成」、大きい企業ほど「海外展開に向けた人材確保」が大きな課題として認識されており、加えて中堅企業においては「事業承継(後継者の育成)」を課題として認識している企業も多く見られます。

図12 売上高別 人材確保及び育成の課題 構成比(MA, N=381)
図:詳しい説明は上記

6.国等に求める支援策

 国等に求める支援策については、「法人税減税などの税制改革」(63%)、「税制や補助金等による国内設備投資支援」(55%)、「エネルギーコストの低減/電力等の安定供給」(48%)、「税制の見直し等による円滑な事業継承に対する支援」(43%)、「為替の安定化」(39%)など、日本全体の事業環境の整備に関する要望が多く、中堅企業も同様の支援ニーズを抱えていることがわかりました。

 「税制や補助金等による国内設備投資支援」に関しては、「産業競争力強化法」が施行された平成26年1月20日から、「先端設備」や「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備」を導入する際に活用できる「生産性向上設備投資促進税制」が始まっています。

 当局においても定期的に説明会を開催する等、様々な機会を通じて本税制の普及啓発に努めているところであり、近畿地域の中堅企業においても更なる生産性向上、競争力強化に役立てていただくことを願っております。

関連施策へのリンク

このページに関するお問い合わせ先

近畿経済産業局 総務企画部 企画課

電話:06-6966-6003

他の記事を読む