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「日本の伝統的技術・技法を用いた商品」で「世界市場の開拓」へ
伝統的工芸品産業の海外展開事例の御紹介
担当課室:製造産業課

最終更新日:平成26年6月2日

 日本のものづくりの原点、文化の象徴として長年国民生活に潤いを与え、地域経済の発展に貢献してきた伝統的工芸品産業。時を経て、昨今はライフスタイルの変化による需要の低迷、後継者不足等さまざまな課題を抱えています。一方では、伝統的な技術・技法を活用し、時代の潮流や現代の生活様式に合った新商品が多数開発され、世界が共感するクールジャパンとして、日本の優れたものづくり技術が世界からも注目されています。

 今回は、伝統的工芸品の海外での市場拡大に取り組む事業者を紹介します。

株式会社井上(彦根仏壇)

写真:以下に説明あり
彦根仏壇

 株式会社井上は滋賀県の彦根仏壇産地にあり、明治34年(1901年)の創業以来、彦根仏壇を製造・販売しています。最近では、彦根仏壇を製造する技術を活かした新しい分野の商品や海外展開にも取り組まれています。

「彦根仏壇」はどういうもの?

 彦根仏壇は、仏壇前面の木目を浮き出させる木目出し塗りや釘を使わないホゾ組みが特徴で、豪華で荘厳な雰囲気を持つ巾120cmもある大型仏壇です。彦根仏壇製造には、7つの職種があり、七職の職人たちが分業により一つ一つ手作業で仕上げ、1本の仏壇が完成します。

エンドユーザーを産地へ呼び込み、市場開拓!「体験型旅行」を企画

写真:以下に説明あり
展示会「chanto」
写真:以下に説明あり
chantoのエスプレッソカップ

 彦根仏壇は、海外からの安価な仏壇の流入、住宅事情の変化による仏壇の小型化、信仰に対する価値観の変化などの理由から、急激に需要が落ち込み、さらに若手後継者の育成や伝統技術の継承が困難な状態にあるのが現状です。

 そこで、株式会社井上の井上社長は、仏壇の製造技術を活用した自社の新たな商品作りに取り組み、独自に開発したかわいいカラフルな色漆を用いたカフェ用品ブランド「chanto(シャント)」を立ち上げ、テーブルウェアからインテリア調度品まで現代のライフスタイルにあった商品開発を進め、国内や欧州を中心に高い評価を受けています。

 しかし、伝統的な技術・技法を活用して作った製品は高額になるため、展示会に出展してもなかなか販売につながりにくく、その後の取引が継続しないという手詰まり感を感じていました。その反省から、昨年、新たな取り組みとして、エンドユーザーとして期待している海外の富裕層を直接産地に呼び込み、新たな商品作りに活用されている彦根仏壇の技術、技法、道具、原材料に触れて関心を持ってもらい、生涯の顧客ファンを獲得するために「体験型旅行」を実施しました。また、その対象を、経済成長著しく富裕層の多いシンガポールに絞り、事業を進めています。

未来に彦根仏壇を受け継ぐために

写真:以下に説明あり
体験型旅行の様子

 「仏壇」と「カラフルな漆塗りのカップ」と「旅行」。一見関連がなさそうに思えるこの取り組みの裏には、「仏壇の技術を活用した新商品が、彦根仏壇の製造技術の伝承・後継者育成に貢献し、ひいては街の起爆剤となって地域の活性化につなげたい。」という井上社長の強い思いが込められているのです。

 株式会社井上の今後に、強く期待したいと思います。

掲載関連情報

企業名
株式会社井上
リンク
仏壇外部リンク
chanto外部リンク
工芸体験(英語)外部リンク
所在地
滋賀県彦根市芹中町50
電話番号
0749-22-1587

株式会社西川貞三郎商店(京焼・清水焼)

写真:以下に説明あり
日本初の南部鉄器のカラーティーポット

 1917年に設立された株式会社西川貞三郎商店は、当時から京焼・清水焼の製造・卸問屋として輸出し、海外に販路を広げていました。また、他産地の伝統的工芸品の輸出代理店としても実績を積み、海外のニーズを捉えた新商品の数々を提供してきました。その一つに、中にろうそくを入れてポットを温めるポットワーマーや今日世界でブームを呼んでいるカラーティーポットを同社が日本で初めて南部鉄器メーカーの協力を得て開発しました。

世界の「京焼・清水焼」を目指して

 京焼・清水焼は、他の伝統的工芸品と同様に生活様式の変化や大量生産による廉価な陶磁器との競合、海外からの輸入品の増大により国内需要が減少し、後継者不足や技術伝承の問題を突きつけられています。このような中、2009年に代表になった西川加余子社長は、今後、新たな市場として期待される海外での知名度の低さにも危機感を覚え、販路を拡大すべく、グローバルなニーズに合わせた3つのオリジナルブランドを立ち上げました。そして、ドイツで開催される世界最大の消費財見本市アンビエンテに出展し、さらに、南部鉄瓶に京焼・清水焼の蓋を乗せた「コラボ急須」は、その斬新でユニークな発想から海外で高い評価と人気を誇っています。

写真:以下に説明あり
見立て
写真:以下に説明あり
貞雲
写真:以下に説明あり
かより
写真:以下に説明あり
コラボ急須

写真:以下に説明あり
パリのユネスコ本部での展示

 また、昨年はユネスコ日本代表部がパリのユネスコ本部で開催したパーティ会場において京焼・清水焼の展示を行い、今年11月には日本食レストラン海外普及推進機構と共に、パリ日本文化会館において和食とそれを彩る器としての京焼・清水焼に焦点を当てるイベント開催を企画するなど、普及啓発による国際的な知名度の向上と市場開拓を積極的に行っています。

和の文化に西洋の風を

 「京焼・清水焼の技術を将来にも受け継いでいきたい」という西川社長の強い思いは、和の文化に西洋の要素を取り入れた独自の感性にあふれた新しい京焼・清水焼を生み出しています。若い世代にも身近で親しみやすく、世界に通用する日本の焼き物となることを願って、「政府のクールジャパン戦略にも一役買いたい」と更なる海外展開に意欲を燃やす同社にこれからも目が離せません。

掲載関連情報

企業名
株式会社西川貞三郎商店外部リンク
所在地
京都市東山区大和大路五条上ル山崎町377
電話番号
075-541-5191

このページに関するお問い合わせ先

近畿経済産業局 産業部 製造産業課

電話:06-6966-6022

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