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英国企業の対日投資促進のために
~近畿経済産業局と英国総領事館との協力推進~
担当課室:投資交流促進課

最終更新日:平成26年7月1日

関西での対日投資の促進について

 平成25年6月、政府はアベノミクスの三本目の矢である日本再興戦略の「国際展開戦略」の柱の一つとして、対内直接投資の活性化を盛り込み、“2020年における対内直接投資残高を35兆円に倍増(2012年末時点17.8兆円)することを目指す”との閣議決定を行いました。また、外国企業のニーズを踏まえた対日投資拡大に資する制度改革を行うため、「対日直接投資推進会議」の設置など、対日直接投資の推進体制の強化を図っているところです。

 本年6月に改訂された日本再興戦略では、更なる成長の本格化のため、世界に誇れる事業環境を整備し、対内直接投資の倍増に向けた取組を強化することとしています。

 関西は「関西イノベーション国際戦略総合特区」や「国家戦略特区」の指定を受けるなど、関西のポテンシャルを活かした産業の国際競争拠点の形成が期待されており、関西の魅力・強みの再認識とともに、中長期的な対日投資を意識したプロモーション活動や関係機関との連携の強化による効果的な取組が求められているところです。

 近畿経済産業局は、関西経済連合会、近畿商工会議所連合会(事務局:大阪商工会議所)、及びジェトロ大阪本部の広域4機関で、平成21年8月にINVEST関西会議を発足させ、関西広域機関の連携により、関西での対日投資の促進に取り組んでいます。

INVEST関西会議を通じた情報発信
(1)関西の魅力を発信するためのプロモーション(2)関西イノベーション国際戦略総合特区など 関西の特性を活かした対日投資の促進(3)関西ワン・ウィンドウの体制の充実(4)関西の自治体等との情報共有・連携

英国総領事館 貿易・対英投資部(UKTI)のサービス

 英国は世界第6位の経済大国、かつ、EU28加盟国、5億人を超える顧客を擁する欧州市場への玄関口でもあり、ライフサイエンス、ICT、金融・ビジネスサービス、航空宇宙・自動車工学といった世界最高レベルの産業の、豊かで多様な市場があります。関西からは約160社の企業が進出していますが、英国を欧州市場の開拓拠点として捉えている企業も多くみられます。また、製造業のみならずサービス業においても進出ニーズは高く、現在も、英国進出を間近に控えた案件へのサポートを行っているところです。

 貿易・対英投資部は、英国進出をめざす日本企業に様々な情報を提供するとともに、日本との貿易や日本進出に関心のある英国企業も支援しており、昨年9月には、英国ベンチャー企業のヘイロー・ネットワークが、スマートフォンを使ったタクシーの配車サービスを日本で初めて大阪で開始しました。

 日本に興味を持つ英国企業には、英国各地のUKIT窓口を通して、日本のニーズやシーズを紹介し、マッチングを進めています。

これまでの取組

写真:以下に説明
The 5th Future Wireless
International Conference(FWIC)にて

 近畿経済産業局では、英国総領事館と、従来よりバイオ分野や次世代産業分野でミッション派遣やセミナー開催など、個別事業で連携してきました。

 当局では、エレクトロニクス・エネルギーシステム産業振興のため、平成22年度から「プロジェクトNE3xT」事業を実施しており、その一環として、関西の企業の海外ビジネス展開を支援するGCP(グローバル・コネクト・プログラム)事業(大阪商工会議所への補助事業等)を実施してきました。その結果、Novauris社とパナソニックの提携、他にも無線半導体会社のNeul社と三井物産子会社との提携等の成果に繋がりました。

 GCP事業の他に、英国の燃料電池システムの開発企業であるインテリジェント・エナジー社の海外拠点としてのIE Japan社(大阪)が、研究開発拠点の整備に当たって、経済産業省のアジア拠点化立地推進補助金(現「対内投資等地域活性化立地推進事業費補助金(グローバル企業立地推進事業)」)を活用されています。

 昨年度、英国総領事館と当局では7月と12月の二回にわたり英国を訪問し、共同で関西のプロモーションを行ったところ、新エネルギーに関連する技術開発のポテンシャルが高い英国の業界団体等から、燃料電池・蓄電池関連産業やバイオ関連産業、また、それらを支える世界的な技術力を有する関西の中小企業の集積に関心が寄せられました。特に、12月の訪英では、関西と英国の商工会議所の間で、今後の事業協力に向けての意見交換や、撮影所を通じてのコンテンツ分野の地域間交流についての打合せも行われました。

写真:以下に説明
業界団体への関西プロモーション

 また、英国総領事館主催のスマートテクノロジーセミナー(本年2月24日実施)には、7月、12月のセミナー参加企業や企業訪問でリクルートした、エネルギーや環境分野の技術に優れた企業が参加する運びとなりました。当局は、英国総領事館と協力して、自治体向けに各企業とのミーティングの場を提供、各自治体からは、地元産業界とタッグを組んだ熱いプレゼンテーションが繰り広げられました。うち1社は京都に駐在員事務所を開設(詳細については、下記「関西進出企業紹介」にて)、また2社が関西への進出を検討中と、実を結びつつあります。

英国総領事館との協力推進

 英国企業と関西企業は、エネルギー分野、とりわけスマートコミュニティー分野においてそれぞれに強みがあり、ベストパートナーとして手を結ぶことによって、新しい製品やビジネスの創出が大いに期待されます。これまでの点と点を結ぶ取組から、面と面とを結ぶ取組を目指し、ビジネス交流や双方への投資促進のため、英国総領事館と当局はこれまで以上に協力を進め、平成26年度から定期的なミーティングの場を設けることになりました。双方の魅力発信のためのプロモーション、相互が派遣するミッションへの協力、そして、特に、自治体、産業支援機関等の連携支援を推進することにより、関西、英国双方の企業の販路開拓、サプライチェーンの強化、イノベーションの創出等を図ります。

関西進出企業紹介:セレスパワー(Ceres Power)社 日本駐在員事務所

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スティーブン・ロジャーズ営業技術部長

 セレスパワー社は、1990年代に英国インペリアルカレッジのSteele教授によって開発された独自のコア材料を商業化するため、2001年5月に創設された次世代型燃料電池の会社です。本社と主要テクノロジーの製造拠点は英国サセックスのホーシャムにあります。この度、初の海外拠点として、京都に駐在員事務所を設置されました。

主な事業内容

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Ceres Power社の燃料電池セル

 セレスパワー社は、自宅で発電と熱利用(給湯や暖房)が同時に行える家庭用燃料電池コージェネレーションシステムを開発しています。

 家庭用燃料電池には二つの方式があります。一つは固体高分子形燃料電池(PEFC)で、もう一つは、固体酸化物形燃料電池(SOFC)です。SOFCは電解質にセラミックを使用するもので、50%以上と高い発電効率が可能ですが、作動温度は900~1000℃と高温が必要でした。そこで、同社は、セリア(酸化セリウム)を用いる電解質のセルを開発し、同じSOFCシステムでも500~600℃という低い温度で作動するシステムを完成させました。

 このように比較的低温でも作動することにより、従来は高温に耐えられるセラミックを使用していたセルに、今まで使われていなかったステンレス鋼の使用が可能になりました。ステンレスは非常に薄くすることができるにも関わらず大変丈夫で、このステンレス鋼の上に薄くセラミック機能層が印刷されています。

 同社が開発された金属支持型燃料電池の大きなメリットは低コストです。温度を下げることによって、周辺機器にも耐高温性が不必要となり、低コストが実現します。セレスパワー社の技術は、日本の家庭用燃料電池に新風を吹き込むことが期待されています。

日本に進出した理由

 同社は、インペリアルカレッジでの研究成果である、電解質にセリアを採用し、金属を用いた燃料電池の基幹技術は14年前に課題解決し、それ以来、セルとスタックの技術を開発しており、この技術を使って共同開発を行うパートナー企業を探しています。

 同社は韓国や米国などの企業とも取引があり、燃料電池は世界中いろいろな国が研究している中、日本を選ばれた理由は、日本は技術だけでなく、市場もはるかに進んでいるためだそうです。例えば、家庭用燃料電池が一般に普及しているのは、日本だけ、外国で家庭用燃料電池を一般の人が普通に買おうと思っても、なかなか手に入らないとのこと。日本の市場が進んでいる理由は、日本には優れた家電の大企業や、その周辺に優秀なものづくり企業の集積があり、また日本政府のエネルギー政策が燃料電池の普及を推進しているからで、こうした政府の取組は他国にはなく、日本の市場形成にとても影響を与えているとのことです。

 日本にはエネファーム関連技術に詳しく、実績が豊富な会社がとても多い上に、実績がない会社でも、得意分野を持ち、エネファーム関連産業に参入したいという意欲のある会社も多数あるので、ぜひそうした企業と一緒に共同開発を行い、市場に参入したいと同社はお考えです。また、同社の技術を評価してくれているいくつかの日本の企業とは、英国にいるときからデータのやりとり等をはじめとするお付き合いをされていますが、やはり身近にいると手応えが違うそうです。

 英国は、昔はものづくりが盛んでしたが、人件費の上昇から工場が海外に出てしまい、今は技術や特許など、アイデア勝負の国になっている中、日本のものづくりの能力や技術力の高さにはとても魅力を感じられています。

関西に拠点を置いた理由

 日本のあちこちにお客様がいる同社にとって、関西は地理的に日本の中心で、特に大阪は交通の便がとても良く、東日本にも九州や四国にもすぐに行くことができる利点があるとのこと。また、機能層にセラミックを扱うことから、窯業関係の企業と関係があり、関西周辺や名古屋周辺にセラミック関連の会社が集積していることから、窯業の面から考えても、日本の中心は関西と捉えられています。また、何より優秀な技師が多く、SOFCシステムの有力企業の大阪ガスの存在は、同社に大きな影響を与えているとおっしゃいます。

 生活面からしても、京都は国際的な都市でありながら、自然に恵まれ、家族のいる外国人を受け入れやすい快適な土地であり、また、京都だけではなく神戸等他の関西の都市も同様にお感じです。

今後の展開

 現在は、ロジャーズ営業技術部長一人だけの駐在員事務所ですが、近い将来株式会社を設立し、人材を雇用する計画で、日本の複数の企業と製品開発に向けて取り組まれています。また、新たなパートナー企業も求めています。共同開発は、試作品の作成から始めて、性能や耐久性のテスト等を行い、実証実験を経て製品が出回るまでは2~3年かかりますが、いずれ、日本で大量生産のための工場を作る、あるいはライセンス契約を結んでセル自体を日本の工場で作る可能性もあるとのことです。

 低コストで、大量生産ができる次世代の燃料電池製品を世界中に普及させ、エネルギーの安定供給の確保、地球環境問題に貢献したいと力強くおっしゃっていました。

掲載関連情報

団体名
英国大使館外部リンク

企業名
Ceres Power社 日本駐在員事務所外部リンク
京都市下京区中堂寺粟田町 京都リサーチパーク(KRP)4号館3階

関連施策へのリンク

対内投資等地域活性化立地推進事業費補助金(グローバル企業立地推進事業)PDFリンク外部リンク

このページに関するお問い合わせ先

近畿経済産業局 通商部 投資交流促進課

電話:06-6966-6033

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