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医療機器分野への参入に成功したものづくり中小企業!
担当課室:バイオ・医療機器技術振興課

最終更新日:平成26年7月1日

 日本の医療機器市場は、9年連続で2兆円超の規模で推移しており、今後も拡大が期待されています。しかし、現在は大幅な輸入超過が続いており、日本が誇るものづくり技術のさらなる活用が求められます。

 そこで、バイオ・医療機器技術振興課では、中小企業の医療機器分野への参入促進を目的とした「ものづくり中小企業による医療機器実用化時における課題の実態調査報告書」をとりまとめ、さらに分かりやすく簡潔にまとめた冊子「中小企業の医療機器分野への参入ガイドブック~成功のための4つのポイント~」を作成しました。

 今回は、その中から参入に成功した近畿の中小企業2社の取り組みを紹介します。

株式会社イマック

 主力事業はLED照明機器。画像処理・検査用のLED照明機器のカスタマイズ品では約20%のシェアを誇ります。近年、放射線治療機器関連製品を開発し、医療機器分野に参入、2006年にアブチェス(胸腹部2点測定式呼吸モニタリング装置)を製品化しました。さらに、新たな挑戦として、2013年にはリハビリ支援のための歩行分析計を完成させ、同分野の事業拡大を続けています。

写真:以下に説明
『アブチェス』
CT撮像や放射線治療時に、呼吸に
よる胸、腹部の体動レベルを
患者自身がモニターする装置。

事業化までのポイント

参入・開発のきっかけ

 社長が、以前仕事を共にした医療商社社長と再会したことをきっかけに、放射線治療機器関連製品を開発し、医療機器分野に参入しました。

最終製品の需要の有無の判断

 当時、放射線治療は国が普及率を上げる方針を示しており、市場成長が確実視されていました。加えて、ピンポイントで治療できるものに診療報酬が加算されるという状況も追い風になると考えられました。億単位の価格の放射線治療装置に比べて価格の低いアブチェスを同時購入してもらうことは、比較的容易です。そのため、国内の放射線治療装置本体の入れ替え情報を専門誌などから把握し、本体との同時購入を見据えた販売計画を構築しました。

外部知識の活用

 医療機器の販売には、医療機器製造販売業許可が必要であり、業許可取得には、公的な専門家派遣事業を利用し、民間のコンサルの協力を得ました。他社製品との差別化をはかるため、デザイン設計にも注力しており、工業デザイナーにブラッシュアップを依頼しました。

海外展開 -大手メーカーとの協力-

 次の狙いとして中国への展開を計画しています。また、放射線治療機器関連の新製品を海外大手メーカーと組んで上市する計画も進めており、医療機器分野の業務拡大を目指しています。

企業情報

企業名
株式会社イマック外部リンク
所在地
滋賀県守山市幸津川町1551
電話番号
077-585-6767

龍野コルク工業株式会社

 発泡スチロールの製造から成形・加工まで行う専業メーカー。 2009年に製品化したMRI用パッド「Scan Support Pad (SSP)」をはじめ、同社が培ってきた技術を駆使し、医療機器や介護用品の開発・展開をすすめています。開発資金回収や市場の反応を次世代の改良版に活かすという意味で、ある程度の段階で区切って製品化することを理解していただける医師とタイアップすることを、成功の鍵として挙げておられます。

写真:以下に説明
『Scan Support Pad (SSP)』
MRI測定時の局所磁場の不均一性を
改善する(画像が鮮明になる)、
軽量でフィット性に富んだパッド。

事業化までのポイント

参入・開発のきっかけ - 人と人との出会いが一番大事 -

 「人と人との出会いが一番大事である」と考える片岡社長が、発泡スチロール業界が供給過多とされていた時期に、新しい事業展開のため姫路産学交流会(当時。現在の「はりま産学交流会」)に参加し、情報収集・人脈作り、自社技術等の発信を続けていたところ、大学の先生から開発依頼がありました。

最終製品の需要の有無の判断

 当時は高額かつ重量感のあるゲルベースのMRI用パッドが米国から輸入されていたところ、患者の負担軽減には軽量化に大きな意味があると判断しました。原理を聞くと、自社技術でさらに良い製品を作ることができると感じ、すぐにSSPの開発に着手しました。

開発費の確保

 SSP の開発費は試作、テスト、金型製作等を含めて約1,000 万円程度を要しましたが、公的な補助金制度だけに留まらず、民間の助成制度にも応募したところ、複数の団体から資金を獲得でき、開発資金の大半を賄うことができました。

外部知識の活用

 販売促進策として、学会で先生に発表していただき、製品の認知度・信頼度を上げることが重要です。また、販売は、病院の決済・承認の事情、物品の発注プロセス、使用状況など、業界の事情に精通した販売のプロに任せる方が上手くいくと考え、総代理店を通しています。

企業情報

企業名
龍野コルク工業株式会社外部リンク
所在地
兵庫県たつの市龍野町島田321番地
電話番号
0791-63-1301

(参考)参入成功企業に共通する4つのポイント!

 今回紹介した企業をはじめ、異業種から医療機器分野へ参入し、事業化に成功した企業へヒアリングした結果、次の4つの行動が成功のポイントとして浮かび上がりました。

1.人とのネットワークを構築する。

 「医療機器の主なユーザー」である医師のニーズを掴むことが、医療機器開発において重要なポイントです。医師との直接的な接点を築くことは容易ではありませんが、公的機関等の主催する交流会への参加によって人脈を広げるなど、様々なネットワークを介して医師との接点を見つけることが大切です。

2.最終製品の需要があるという判断を客観的な情報で行う。

 新たに開発する医療機器が必ずしも市場ニーズに合致した“売れる”ものとは言い切れません。“売れる”医療機器を開発するためには、開発着手前に競合他社製品との比較分析を行い、差別化が図れているか、需要はどの程度見込めるかなどを吟味するとともに、白書や専門誌などから業界の動向を敏感に察知する必要があります。

3.良い発注者、発注案件を見極める。

 開発パートナーである医師にビジネスの観点が不足していると、過度に高度化を図り、薬事承認がなかなか得られないなど、いざ上市という段階で様々な問題が生じる可能性があります。ある程度の段階で初期モデルを上市し、改良モデル開発のための資金を回収するなど、「開発コストも踏まえた機器開発」に協力的なパートナーかどうかを見極める必要があります。

4.自社の弱い部分は、効果的に外部の知識を活用する。

 ものづくり中小企業が、医療機器の開発、薬事申請、販売促進、販路開拓、上市後のアフターケアなど、全てを自社内で担うというのは現実的ではありません。専門知識が必要な場合には、それぞれの専門家に依頼することも選択肢の一つとして加えるべきです。

関連施策へのリンク

ライフサイエンス・ヘルスケア関連産業
(こちらのページより調査報告書及び冊子をご覧いただけます。) 

このページに関するお問い合わせ先

近畿経済産業局 地域経済部 バイオ・医療機器技術振興課

電話:06-6966-6163

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