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アジアで挑戦を続ける関西企業 ~環境・省エネ分野で海外へはばたく~ 第1回
阪神動力機械株式会社
担当課室:国際事業課

最終更新日:平成26年8月1日

 関西・アジア環境・省エネビジネス交流推進フォーラム(Team E-Kansai)では、環境・省エネ関連企業のアジアでのビジネス展開を促進するため、現地の政府や業界団体との協力の枠組みを構築し、両国の官民連携による取組を強化するとともに、ビジネスマッチングやフォローアップなど個別ビジネス支援及び現地ニーズに対応したプロジェクトの推進に取り組んでいます。今回はTeam E-Kansaiのメンバーの中から、阪神動力機械株式会社(大阪市此花区)をご紹介します。

機械づくりで人と環境に貢献

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阪神動力機械株式会社本社

 阪神動力機械株式会社は1950年、工場設備用歯車減速機の開発・生産を中心に事業をスタートしました。

 人々の生活に欠かせない「水」をコントロールし、24時間、365日、安定した水環境を維持するための製品を提供し、万全な体制でユーザーをサポートしてきました。そして、長年にわたり積み重ねて培ったノウハウ・経験・知見を活かし、現在では、河川施設用機器や水処理設備用機器の他、産業設備用の自動機械などを手掛けています。

 阪神動力機械株式会社は、こうした河川施設や水処理設備、産業設備の分野において、「機械づくり」で、「人」と「環境」に貢献しています。

世界初 アクアレータ(水中機械式曝気撹拌装置すいちゅうきかいしきばっきかくはんそうち)の開発

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アクアレータの仕組み

 1975年に阪神動力機械株式会社が世界で初めて開発した水中機械式の廃水処理機器です。

 廃水処理施設では通常、大きな水槽(生物反応槽)に空気を供給し、水中の汚濁物質を微生物で分解することにより廃水を処理しています。これを曝気(ばっき)といいますが、これまでは槽上部に設置された曝気機で処理する方式や、槽下部に敷設された散気管・散気筒・散気板などに送風機から空気を送り込むことで処理する方式などが採用されていました。

 しかしながら、これらの装置や方法では、撹拌(かくはん)が不十分で槽全体に酸素が行き渡らなかったり、汚泥が槽底に堆積したり、汚水が周辺に飛散したりするなどの問題があった他、機能低下を招く機器の目詰まりを解消する大がかりなメンテナンスも必要としていました。

 そこで、阪神動力機械株式会社では河川施設用機器の開発で培った経験・ノウハウを活かし、水中機械式曝気撹拌装置「ハンシン・アクアレータ」を開発しました。このアクアレータは水中で強力な曝気・撹拌を行うため、槽内全体に確実に酸素が行き渡り、微生物活性が最適な状態となります。また、水中で稼働するため「しぶき」などが発生しない他、機械式であるため目詰まりすることがありません。

 その他、高いエネルギー効率、容易なメンテナンス、様々な処理方式へ対応可能、安定的な機能保持など、従来にはない業界最高水準の高い性能や、水処理コストの大幅な削減効果が評価され、現在では、国内約2,000箇所の下水処理場のうち約1,000箇所以上で導入され活躍しています。

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アクアレータ運転状況
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アクアレータ設置事例

新たな販路を求めて アジアへの事業展開

 国内の公共事業の減少に伴い、海外での事業展開にも目を向けるようになりました。急激な経済発展により深刻化する環境への対策を進めるアジアでのニーズの高まりを受け、台湾や中国、韓国を中心にビジネスを展開し、現在までに約300台のアクアレータを納入しています。さらに4年前からは、海外営業の専門部署を設け、東南アジアを中心に展示会等への出展を重ね、フィリピン、タイ、マレーシア等の処理場へも導入しています。近年は、台湾、タイ、マレーシア、インドネシアを中心に販売展開を進め、今後、マレーシアとインドネシアで、万全の販売・保守サービス体制を整備していく予定です。

 中小企業ではマンパワーに限りがありますが、海外での事業展開では現地の代理店と組むことで上手く進めていくことができました。また、アクアレータの高い安定性、メンテナンスの容易さも海外での導入を進める上でポイントになりました。

 他方で、海外での競争においては、性能では負けないものの、価格の高さや、納期に時間が掛かることなどが課題になることもあります。今後は、製品のコストダウンはもとより、現地での部品調達や組み立てなども視野に取り組んでいく必要があると考えています。

継続的に展示会へ出展 より分かりやすくブース内も充実(タイ Entech Pollutec Asia 2011-2013)

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2011
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2012
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2013

アジアの環境改善に貢献

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マレーシアのパームオイル工場排水処理施設に
おけるアクアレータの実証実験予定地

 現在、マレーシアにおいてパームオイル工場の排水処理高度化・資源循環利用事業に取り組んでいます。一昨年度、HIDA(一般財団法人海外産業人材育成協会)の研修事業を活用して現地関係者に実際の処理施設等を視察してもらい、昨年度はJICA(独立行政法人国際協力機構)の支援を得て現地での案件化調査を行っています。さらに、今年度は普及・実証事業に採択されることを目指しています。採択された場合、排水システムの本格導入に向けて、現地でデータ等の収集・調査を行う予定です。

 今後はこうした取り組みをアジア諸国に展開し、販路拡大を目指すとともに、各国の環境改善に貢献したいと考えています。

担当者の声(営業部 海外営業課 川島裕貴)

 みなさん、「わらしべ長者」という話や「犬も歩けば棒に当たる」という諺を耳にしたことはありますか?おそらく、日本人であれば一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。私は、それらを積極的に行動することで成功する例え話だと理解し、そのような感覚を持って国際展開を進めています。

 現地で活動する中で、色々と参考になったことはありますが、やはり「コネクション」は非常に重要だと実感しています。特に、現地の事情に精通している現地代理店・販売店や現地日本人などのキーパーソンを見つけることが大事だと思います。我々の場合、タイの展示会における商談会で、良いマレーシアのビジネスパートナーと巡り会えることができました。面談してすぐにアクアレータに非常に興味を持ってもらい、数年の交流を経て、ここまでは通常してくれないであろうということにも協力してもらえるまでになりました。

 水処理機器の売り込みに際しては、装置のみならず、システム全体をある程度把握する必要があります。通常の商社ですとその知識があまりない場合が多く、営業拡販が難しいですが、そのパートナー企業はエンジニアリング会社であるため、全体設計(土木・電気)や機器の設置・点検・修理・メンテナンス・オーバーホール等が可能であり、我々のビジネス展開にはなくてはならない存在です。ちなみに、そのパートナーに関しては、35年程現地でビジネスをしている、日本人の方にお墨付きをもらっています。

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IGEM 2013(マレーシア)
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Indo Water 2014(インドネシア)
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Asiawater 2014(マレーシア)

 環境関連のビジネスに関しては、知識や経験のあるパートナーが必要であるという内的要因に加えて、外的要因も重要です。例えば、法律・命令等の規制が厳しくても政府機関の監督・取締等が緩ければ、企業は罰金や賄賂で対処してしまうでしょう。そちらの方が、コストが掛からず安いため、性能や品質に優れた施設や設備を導入しようとしません。

 アジアでは環境関連の法律はある程度整備されている国々が多いですが、監督・取締はまだまだ甘い状況です。小規模の現地資本企業・工場では垂れ流し状態ですが、中規模・大規模の外国資本あるいは国営企業・工場ではある程度資金力があり、政府から監督・取締されてもあまり経営状況に影響を及ぼさないと判断されるためか、施設や設備が割としっかりしています。そのような企業ではイニシャルのみならず、ランニングコストも含めてトータルコストで検討してもらえる可能性があります。

 さらに、実際の廃水処理となると、ただ単に機械を導入しただけでは不十分で、現場作業員のシステム全体のオペレーション能力で処理水質が左右されます。オペレーターのスキルアップが発展途上国の環境改善に繋がっていくと私は考えています。日本企業としては、トータルソリューションを提案し、コスト削減、リードタイム削減、ニーズにマッチした製品開発など現地の要求に応えていかねばならないと思います。

 それから、海外でのビジネスは国内の常識・感覚とは異なるということを認識しておくことは必要でしょうが、日本企業は決済が遅いという現地の意見があります。中小企業がビジネスを進めていくには、リスクも考慮しなければいけないと思いますが、迅速な決断が必要ではないでしょうか。

 最初、海外営業担当となり、分からないことだらけであったため、近畿経済産業局、大阪府、大阪市、大阪商工会議所、独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)などの関係者の方々に相談すると共に、各種無料支援ツールを利用させて頂きました。

 特に、Team E-Kansaiのセミナーやミッション、JETROの展示会・商談会支援や専門家支援に関するサービスは、予算面・人員面、物的・人的に制約がある中小企業としては非常にありがたく、有効に活用させて頂いております。また、HIDA等の研修で現地の水処理関係者が来日して頂けるのは、コストをあまり掛けずにビジネス活動ができるため、非常に有益であると感じております。これらはぜひ活用して頂ければと思います。

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川島裕貴

 最後に、入社9年目、海外営業を担当して4年目の未熟者が少ない経験の中から見たり聞いたりして感じたことを記載させて頂いたので役に立つか分かりませんが、各企業の方針や戦略等、各事情にマッチしていれば参考にして頂ければ幸いです。まだまだ、弊社は発展途上でありますので、これからも皆様方のお力をお借りしながら国際展開を進めていきたいと考えています。日々、お世話になっております関係機関の方々には、この場をお借りして御礼申し上げます。

掲載関連情報

企業名
阪神動力機械株式会社外部リンク
所在地
大阪府大阪市此花区四貫島2-26-7
電話番号
06-6461-6551

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このページに関するお問い合わせ先

近畿経済産業局 通商部 国際事業課

電話:06-6966-6051

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