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ダイバーシティ経営企業100選について 第2回
担当課室:産業人材政策課

最終更新日:平成26年9月1日

 経済産業省では、様々な規模・業種の企業における「ダイバーシティ経営(※)」への積極的な取組を「経済成長に貢献する経営力」として評価し、ベストプラクティスとして発信することで、ダイバーシティ推進のすそ野を広げることを目的として、「ダイバーシティ経営企業100選」事業を実施しています。

 平成24年度から3年間で約100社を表彰する予定です。

 近畿経済産業局では平成25年度に選定された近畿管内の企業7社の取組を3回に分けて紹介させていただきます。今月号は第2回目として2社の取組をご紹介いたします。

※ダイバーシティ経営とは「女性、障がい者、外国人、高齢者など、多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営」のことです。

積水化学工業株式会社

女性限定の公募制度で登用された女性社員が企画した、新コンセプトの出窓「ボウウインドウ」が売上に貢献

ダイバーシティ経営の背景

 積水化学工業は、2001年から「住宅カンパニー」、「環境・ライフラインカンパニー」、「高機能プラスチックスカンパニー」の3カンパニー制の体制に変更しており、3カンパニーを合わせた企業全体の海外売上比率は約20%となっています。

 市場のグローバル化に対応して持続的な発展を続けるためには、多様な価値観を取り入れた組織に変革する必要があると考えており、ダイバーシティ推進に積極的に取り組んでいます。

 社員数は単体では約2,300名ですが、海外も含めたグループ全体では、22,000名を超えます。グローバル化を進め、様々な人材が活躍できる企業文化・風土を作るためには、女性に加え、グループ会社社員など、従来交流が少なかった人材を登用し、企業内の人材の流動化をさらに進めることが発展に繋がると考えています。

 以前は、グループ企業への出向の形で人事交流が行われることが一般的でしたが、現在はグループ企業から積水化学工業の幹部社員を登用するといったことも行っています。

取り組み内容

(1)「きらめきライフ推進室」の設置

 2007年に、ダイバーシティ推進の一環として本格的に女性の活躍推進に取り組み始め、人事担当役員を室長とした「きらめきライフ推進室」を設置しました。

 現在、女性専任担当を含む男女半々のメンバー10名を中心として、女性活躍推進策を企画・運営しています。

 きらめきライフ推進室の設置後に実施されたのが、トップマネジメント層約200名を対象とした、外部の女性経営者による基調講演会です。これにより、従来の男性中心の職場で働いてきた経営層が、女性の活躍を進めることの経営上の意義を理解し、

  • 女性の積極採用
  • 女性の少ない部署・職種への積極配置・登用
  • 上司層と女性対象のセミナー開催、ネットワーク構築のためのランチミーティング
  • 両立支援策(制度整備と制度を利用できる環境整備)

などの具体的な女性活躍推進施策に取り組んでいます。

(2)女性の採用比率を30%以上に

 女性活躍推進に取り組み始めましたが、そもそも社内の女性の絶対数が少ない状態では女性の活躍を推進することは難しいため、2008年度採用計画より、従来10~15%であった全採用者に占める女性の割合を30%以上とする、という方針を打ち出しました。

 会社説明会など、採用希望者と接する際の担当者の半数以上を女性とし、採用面接の担当者に女性営業担当者や子どものいる女性管理職を起用するなど、女性を前面に押し出した採用活動を展開してきました。現在では30%まで女性の採用者数を増やしていますが、10年くらい続けなければ社内に変化は起きないと考え、継続して取り組んでいます。

(3)女性の少ない部署・職種への積極的な配属

 以前は、女性は間接部門に配属されるケースが多かったのですが、現在では、女性活躍の場の拡大を目的として、分野に偏りなく配属し、営業職や工場技術職など現場への配属も積極的に行われています。

 男性のみであった部署に突然女性を配属しても、社員双方が戸惑うことが予想され、女性社員が定着しなくなる可能性もあることから、配属後の定着に向けたサポートにも力を入れています。

 女性が初めて配属される部署には、女性の直属の上司、あるいは所属長とトレーナー役の先輩社員を対象に、人事部門があらかじめレクチャーを行うこととしています。上司と女性社員のコミュニケーション不足を防ぐために気をつけてほしいこと、また、女性だからと言って男性社員と比較して特別扱いする必要はないといった内容です。

 女性が職場に慣れるために、年齢の近い社員等をトレーナー役の先輩社員に指名し支援しています。

 その他、女性部下を持つ上司を対象とした「女性部下マネジメントセミナー」も開催し、職場におけるマネジメント方法、飲み会での対応といった細かい点まで触れています。

 このような取り組みの効果もあり、育児休業後に復職する女性社員は、ほぼ100%となっています。

成果

写真:以下に解説
「ボウウインドウ」のある部屋の写真
写真:以下に解説
女性社員が企画した出窓
「ボウウインドウ」の外観

 社内公募制度で商品企画部門に登用された女性が新コンセプトの商品を企画し、製品化に至っています。女性を対象とした社内公募制度に応募し、九州の住宅販売部門から本社の商品企画部門に登用された女性社員が企画した出窓(商品名:ボウウインドウ)です。

 床の一部を半円形に外に張り出し、同じように半円形に外に張り出した天井との間をつないだ大きな出窓です。

 その特徴は、全体として曲面で構成されているため外光をより多く取り込め、また張り出した部分にテーブルやソファ等の家具を置くことができ、インテリアのバリエーションを増やせることですが、特に評価されたのは、外観に変化をつけられるという点でした。

 それまで住宅カンパニーでは、商品企画はほぼ男性社員が担っていました。「性能」や「コスト」といった数字で表すことのできる要素が重視され、「柔らかさ」、「華やかさ」といった感性的な価値は重視されていませんでした。しかし、顧客に多い家族連れにおいては、外観やインテリアを重視する傾向にあり、住宅展示場における集客等の観点からもこの発想は重要な視点でした。

 商品化されたボウウインドウは、「商品にバリエーションが出たことにより、お客様に提案しやすい」との声が上がるなど社内でも好評で、ボウウインドウを備えた住宅販売件数が販売開始から1年で20%にまで上昇しています。

掲載関連情報

企業名
積水化学工業株式会社外部リンク
所在地
大阪府大阪市北区西天満2-4-4

株式会社髙島屋

現場の常識を覆す女性シニアマネジャーの発案による販売手法で売上3倍増を実現

ダイバーシティ経営の背景

 大手老舗百貨店の髙島屋は、創業当時から女性が活躍する伝統があります。早期から女性が活躍し、現在も女性従業員によって支えられ、女性活躍の先進企業です。

 1981年に常務取締役に就任した石原一子氏は、東証一部上場企業初の女性重役であり、経済同友会初の女性会員として知られています。

 2013年9月には、肥塚見春氏が専務取締役(代表取締役)に就任しています。いったん家庭の事情により1985年に退職しましたが、その翌年に再雇用制度が創設され、制度適用第1号として1987年に再雇用された経緯のある方です。

 このように早期から女性が活躍する同社ですが、女性の長期的な活躍という面では大きな課題を抱えていました。1991年の時点では、女性正社員の平均勤続年数は6.2年であり、離職率は10%を超えていました。離職の最大の理由は、結婚・出産・育児です。

 百貨店は対面販売が基本であり、お客様が来店する営業時間に店舗に出勤するという制約は動かせません。このような制約があっても、家事や育児により長時間働くことが難しい女性に辞めることなく長い間活躍してもらうために、1991年から、勤務時間を短くかつ柔軟に変更できる先進的な育児勤務制度が導入されました。

取り組み内容

(1)8つのパターンから選べる柔軟な育児勤務制度

 勤務形態はシフト制で、店舗によって異なりますが、早番の場合は9時50分から18時55分です。始業も終業も一般の会社より遅く、子どもを保育園に送り迎えすることが難しいなどの意見が女性従業員から寄せられていました。こうした様々な要望を踏まえ、育児勤務(短時間勤務)制度が導入されました。個人によって通勤時間や保育園への送迎の時間帯も異なることから、多彩な選択肢を用意しました。

育児勤務(短時間勤務)のパターン(正社員)の表
表:以下に解説

 1991年に導入された育児勤務の選択肢は2つでした。育児勤務Aは、1日の労働時間が5時間になり、休日は同じ、そして給与や賞与は労働時間に応じて減額されます。育児勤務Bは、1日の労働時間は6時間45分と通常勤務より短くなるりますが、休日が少なくなることで、年間労働時間が通常勤務者と同一となることから給与や賞与は同じ水準が維持されます。

 1994年には、育児勤務Cが導入されました。1日の労働時間は6時間45分と通常勤務より短く、休日も同じだけ取得できますが、年間労働時間が少ないため、給与や賞与はやや少なくなります。

 2003年には、育児勤務Dと育児勤務Eが導入されました。育児勤務Dの1日の勤務時間は6時間であり、育児勤務AとCの中間に位置します。育児勤務Eは「基本パターン 9時50分~18時25分」で始終業時刻が固定されるので、閉店までをカバーする遅番勤務になることがなく、保育園への送り迎えもしやすくなります。

 2013年9月からは、新たな選択肢を加えました。百貨店には勤務日シフト制があり、休日や祝日に出勤することもあります。これらの休日に配偶者が在宅している場合等、家庭での育児環境によっては、短時間ではなく、通常の勤務時間で勤務できる制度です。2013年4月現在の育児勤務利用者は、女性正社員が約400名、正社員以外の有期雇用の女性従業員についても約80名が利用しています。豊富な選択肢が用意されたことで、育児により勤務時間の制限を望む女性従業員が、家族の事情や自分の希望に応じて、柔軟な働き方を選ぶことが可能になっています。

(2)「入社後10年間育成プログラム」を導入、管理職種へのキャリアステップも明示

 2009年度からは新入社員に対する「入社後10年間育成プログラム」を導入し、各年次に応じた明確な育成目的および育成プログラムを設け、マネジャーやバイヤーを担う人材の育成を促進し、これらの職務へのキャリアステップイメージを提示しました。また、在等級の基準年数を満たすと進級(昇格)試験にチャレンジできるため、若手のうちから、結婚・出産のタイミングを考慮しつつ、キャリアアップへの計画を描くことができます。

(3)女性社員に対するモチベーション向上施策を強化

 女性活用に関して、部門長以上の経営層への登用をさらに促進する方針を掲げ取り組んでいます。課長以上の女性比率は現在22.2%ですが、女性正社員の比率に比べてやや少ない状況です。そこで、経営層として活躍できる中堅女性社員に対する育成の施策として、2013年に女性管理監督者養成研修を新設しました。係長級・課長級女性に対するモチベーションアップを目的とする研修です。

成果

(1)ライフイベントを経ても働き続けることが可能になり女性離職率1%を実現

 1991年の時点では、女性正社員の平均勤続年数は6.2年、平均年齢は26.3歳でしたが、2013年現在では、女性社員の平均勤続年数が21.9年にまで上昇し、平均年齢も40歳を超えるようになっています。離職率は1%程度にまで低下しています。結婚・出産・育児等のライフイベントによって辞める女性社員は皆無と言ってよいほど少なくなっています。

(2)管理職種・経営層における女性比率も拡大

 管理職種や経営層においても積極的な女性の登用・配置を行い、マネジャーとバイヤーの女性比率は、2009年から2013年で、マネジャー25.2%が28.0%へ、バイヤーが32.8%から38.1%と増加している。課長以上の女性比率は22.2%となり、部門長以上の女性(役員を除く)は23名(12.4%)にも達しています。

(3)女性シニアマネジャーの常識を覆す販売手法により売上3倍増を実現

 日本橋店のフェア「カシミアコレクション」において売上3倍増を実現した例があります。

 1万円を切る手頃な価格のホワイトカシミアによる衣料品を企画・販売しています。セーター、カーディガンなど、4サイズの約300種を取り揃え、全18店舗において秋に展開しています。

 2012年、日本橋店の売上は約3,000枚であり、その実績は他店と比べて小規模でした。日本橋店の来客数は1日約2.8万人であるため、1日に約8.4万人が来客する横浜店などの超大型店と比べると、売上規模が小さいのはやむを得ない面もあります。

写真:以下に解説 写真:以下に解説
2013年の日本橋店のカシミアコレクションの売り場

 しかし、2013年10月30日から開始された3週間の販売期間において、日本橋店の女性シニアマネジャーが日本橋店の常識を覆す販売方法を取り入れました。長い歴史を持ち、富裕層が多く来店する日本橋店では、売り場においても高級感を重んじる傾向があり、商品を棚に美しく並べるのが常識でした。しかし、前述の女性シニアマネジャーは、入口から目立つスペースにカウンターを設置し、高級感を損なわない程度に商品をぎっしりと並べる陳列手法を採用しました。その結果、2012年の売上3倍増を実現し、横浜店をも抜いて全店トップに躍り出るという記録を生み出しました。

 日本橋店の特徴は、富裕層のお客様が多いことです。そのため、売上枚数を伸ばすためには、一人のお客様に買っていただく枚数を増やすことが効果的です。ここで、その女性シニアマネジャーは、多くの商品をぎっしりと並べるという方法を考えついたのです。手頃な価格の商品が並べてあると、つい他の色も一緒に買ってしまう。こうした顧客の心理に着目した戦略は、日頃同じような経験をする女性だからこそ考えついたものであるともいえます。

掲載関連情報

企業名
株式会社髙島屋外部リンク
所在地
大阪府大阪市中央区難波5-1-5

関連施策へのリンク

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このページに関するお問い合わせ先

近畿経済産業局 地域経済部 産業人材政策課

電話:06-6966-6013

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