トップページ > 広報誌・E!KANSAI > 平成26年 9月号 企業・地域の取組紹介

「日本の伝統的技術・技法を用いた商品」で「世界市場の開拓」へ
~伝統的工芸品産業の新市場開拓事例の御紹介~
担当課室:製造産業課

最終更新日:平成26年9月1日

 日本のものづくりの原点、文化の象徴として長年国民生活に潤いを与え、地域経済の発展に貢献してきた伝統的工芸品産業。時を経て、昨今はライフスタイルの変化による需要の低迷、後継者不足等さまざまな課題を抱えています。一方では、伝統的な技術・技法を活用し、時代の潮流や現代の生活様式に合った新商品が多数開発され、世界が共感するクールジャパンとして、日本の優れたものづくり技術が世界からも注目されています。

 今回は、伝統的工芸品の新商品開発による市場拡大に取り組む事業者を紹介します。

弘誠堂(京表具)

 弘誠堂は、古くから芸術や宗教が盛んであった京都を中心として発達してきた京表具の産地において、昭和28年(1953年)の創業以来、「掛け軸、額装、屏風、画帖、巻物」など美術工芸品や「襖、壁装」など日常生活に密着した実用的な分野の表装・修理修復を行っています。最近では、京表具の伝統的技術を活かした新しい分野の商品開発や市場開拓にも取り組まれています。

「京表具」とは

写真:以下に解説
作業の様子

 表装とも呼ばれる表具の歴史は古く、のり、和紙、裂地(布)を使用して裏打ちすることからはじまるその技術は、仏教の伝来とともに中国より伝わり、経巻の表装にはじまり仏教の広まりとともに仏画像の礼拝用として掛け軸等がつくられ始められたのが原型といわれています。

 表具は、それ自体が独立したものではなく、例えば演出家のように、常に書画を引き立たせるもので、さらには書画を「保存」する役割も担っています。

 このように表装の技術とは、目立たず控えめでありながら書画と一体となって品格のある調和をつくりだすことが要求されています。

 京表具の技術は、古くから伝わる作品でどうしても劣化が進み痛んでしまったものを修復することで今の世に蘇らせ、さらに後世に伝え残すことができるものです。二つとして同じ修理方法ではできない複雑で繊細な作業には、京表具師としての誇りや高い技術力だけでなく、ニュアンスを読み解く高い感性や強い熱意等が詰まっています。京表具は、かつて京都で繁栄した公家文化の美術的感覚と美意識に支えられ、また、湿度の高い日本の風土に適して発展し、日本家屋における床の間の発生や、茶道の興隆などと深く関わりあいながら発展し磨かれてきたのです。

 そして、「京表具」は平成9年に国の伝統的工芸品の指定を受け、地域団体商標にも登録されています。

表:以下に解説
修復前
表:以下に解説
修復後

異業種交流をきっかけにつかんだ新たな商品開発のヒント

 弘誠堂二代目代表の田中善茂氏は、京表具協同組合連合会の役員就任後、一般社団法人日本伝統的工芸品産業振興協会が主催した「伝統的工芸品活用フォーラム事業(デザイナーやプロデューサー等とのコラボレーションによる新商品づくり支援事業)」に参加したことをきっかけに、建築デザイナーの川口とし子氏と知り合い、伝統技術と和モダンを融合させた曲面の屏風「曲屏風(きょくびょうぶ)」を京表具協同組合連合会の10名のグループで開発しました。

 さらに、プロダクトデザイナーの前田均氏とのコラボレーションにより、様々なデザインの屏風を連ならせて活用する「恋屏風(れんびょうぶ)」(「連屏風」の「連」を「恋」にしゃれっ気を込め置き換え)として商品開発を行うなど、産地の新たな市場開拓にとりくみ、東京ギフトショー等において高い評価を受けています。


曲屏風<瞑想屏風>

曲屏風

恋屏風

「曲屏風」「恋屏風」の更なる展開と新たな市場としての海外展開

 「曲屏風」の用途開発を行い、バックライトを当てた間接照明や蛍光灯の傘としての活用、「恋屏風」の小型版「小恋屏風(これんびょうぶ)」の開発など、固定概念にとらわれない豊かな発想と柔軟な感覚で、海外バイヤーからも商談が来るなど、新たな市場開拓に積極的に取り組んでいます。

 京表具の技術を日本のみならず世界へ、そして未来へつなげていこうとする弘誠堂の存在はますます大きくなっていきそうです。

掲載関連情報

企業名
弘誠堂外部リンク
所在地
京都市中京区聚楽廻り中町27-12
電話番号
075-811-3394

関連施策へのリンク

製造産業

このページに関するお問い合わせ先

近畿経済産業局 産業部 製造産業課

電話:06-6966-6022

他の記事を読む