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産地における地域ブランドを活かした取り組み第3回
地域ブランド『豊岡鞄』
~未来を見据えた豊岡産地の挑戦~
担当課室:製造産業課

最終更新日:平成26年11月4日

『豊岡鞄』とは

 男性にとって鞄とは、ビジネスシーンやプライベートなどのあらゆる場面において、「品格」や「格好良さ」を高めてくれる重要なアイテムであり、それゆえに、鞄選びにはその機能面はもちろん、品質とデザインの良さが大切なポイントとなります。そのような消費者の厳しい選別の中で認められている鞄ブランドが、Made in Japanの『豊岡鞄』です。『豊岡鞄』は兵庫県の豊岡市が産地であり、豊岡市は日本唯一の鞄産業の集積地です。

 豊岡の鞄は、明治初期のコリヤナギを編んだ3本革バンド締めの「行李鞄(コオリカバン)」をルーツとして、軽くて丈夫なファイバーを使用した「ファイバーケース」、ビニールレザーの使用により更なる軽量化を図った「スマートケース」、スーツケースの胴枠にピアノ線を使用した「オープンケース」など様々な素材へと進化しながら、紳士鞄を主流に成長してきました。

写真:以下に説明あり
行季鞄写真
写真:以下に説明あり
ファイバーケース
写真:以下に説明あり
スマートケース
写真:以下に説明あり
オープンケース

図:以下に解説
家紋・四つ目結と『豊岡鞄』ロゴ

 今でこそ鞄の産地豊岡の認知度は全国的にもかなり高いですが、その知名度向上の大きなきっかけとなったのが、2006年の「地域団体商標」の登録であり、当時、『豊岡鞄』が工業製品として全国第1号の登録を受けたことから話題となりました。『豊岡鞄』のロゴは、鞄のルーツとなる杞柳産業を発展させた但馬豊岡藩主・京極家の家紋「四つ目結(四菱)」から一つの「菱」を取り、鞄の持ち手をつけたデザインとなっています。

図:以下に解説
『豊岡鞄』仕組みと運営図

 『豊岡鞄』のブランドを使用するには、企業審査、製品審査の2段階の厳正な審査が必要であり、この審査を経て初めてブランドとしての製品展開が可能となります。まず企業審査においては、製造企業は兵庫県鞄工業組合(以下、組合)の組合員であるとともに、ブランドコンセプトを守るというマニフェストに署名して宣誓していることが前提であり、現在21社が認定企業として登録されています。また、製品審査においては、認定を受けた企業の製造する全ての製品がブランドとして認められる訳では無く、組合の『豊岡鞄』地域ブランド委員会による、素材から縫製、操作性、仕上げに至るまでの審査をクリアした製品のみがブランドとして認められます。

地域ブランド『豊岡鞄』の生い立ち

写真:以下に解説
2004年ファッション プロデュース ビジネスフェア(in東京ビックサイト)

 豊岡の鞄産業は、高度成長期を通じて拡大し、バブル絶頂期の1990年頃には年間生産高が約350億円で全国生産の約80%を占めるほどに成長しましたが、中国やASEAN諸国で生産された安価な輸入品の大量流入が追い打ちとなり、国内生産量は全盛期の1/3の100億円にまで減少するとともに、多くの鞄メーカーが倒産・廃業に追い込まれ、組合の会員数も200社から現在の64社にまで大きく減少してしまいました。

 産地においては発注元企業の名義やブランド名で販売される製品を製造するOEM生産が大半を占めていましたが、産地が衰退していく現状を目の当たりにして、「OEM生産だけでは産地として生き残れない」との強い危機感から産地の製造企業が組合を核として立ち上がり、新たな商品企画やデザイン開発に積極的に取り組みはじめました。

 豊岡ブランドの展開においては、2002年頃から、デザイナーを招聘して企業の企画力、デザイン力を向上させるとともに、展示会を通して産地のデザイン開発力をアピールし、2004年度からは「JAPANブランド育成支援事業」により、共同での試作品開発や、企画力、デザイン開発力の強化や底上げを図り、その成果の発信として国内最大規模のファッションフェアへの出展も果たしました。


 そして、2005年には組合として『豊岡鞄』の地域ブランド確立にむけて「豊岡鞄」地域ブランド委員会を設立し、地域ブランドとしてのコンセプトや製品の基準などの枠組みづくりをはじめ、2006年に『豊岡鞄』として地域団体商標に申請し登録されました。ブランドの製品基準などの設定においては、ブランドを多くの企業が幅広く商品に使用出来るような基準を設定する案もありましたが、伝統技法により生み出されるクオリティーの高さと洗練されたデザインが『豊岡鞄』のブランドイメージであり、それを保つためには、作り手の企業の意識の高さはもちろん、商品の品質についても消費者視点での厳しい基準が必要との考えから、現在の厳格な審査の形となりました。実際に製品認定審査会において認定申し込みがある商品のうちの半数が落ちるなど、ブランドの登録は狭き門となっていますが、逆に言えば、それが地域ブランド『豊岡鞄』としての商品の信頼と高い品質を支えていると言えます。

 地域ブランドを確立してからは、2009年に『豊岡鞄』とデザイナーとのコラボにより誕生した統一ブランド「マリオネットジョンソン」が、百貨店や専門店で販売され好評を博すなど、現在では、毎月、全国どこかの百貨店において『豊岡鞄』のフェアが開催されています。また、地域ブランドの効果として、『豊岡鞄』の認定企業も当初の10社から現在21社に増えているとともに、組合に新たに加入する企業も出てきています。

写真:以下に説明あり
『豊岡鞄』と「マリオネットジョンソン」とのコラボ商品
写真:以下に説明あり
大阪高島屋百貨店での『豊岡鞄』フェアの様子
写真:以下に説明あり
大阪高島屋百貨店での『豊岡鞄』フェアの様子

かばんを核とするまちづくり-Toyooka KABAN Artisan Avenue-

写真:以下に解説
Toyooka KABAN Artisan Avenue(内観)
写真:以下に解説
Toyooka KABAN Artisan Avenue(外観)

 豊岡の中心市街地にある宵田商店街の中に『豊岡の鞄』を象徴する「カバンストリート」がありますが、今年の4月に、そのカバンストリートに『豊岡製鞄』の拠点施設として「Toyooka KABAN Artisan Avenue」がオープンしました。アルチザンとはフランス語で「職人」の意味であり、本施設は、豊岡市の中心市街地活性化計画のリーディングプロジェクトとして計画されたもので、イタリア人デザイナーの設計のもと、3階建ての空き店舗を改装して誕生した施設は、3階にあるスクールでのモノづくりの音を階下に響かせる構造になっているとともに、1階、2階では『豊岡製鞄』やものづくりキットを中心とした100種類を越える鞄がラインナップされています。

写真:以下に解説
レディース鞄「BELCIENTO」
写真:以下に解説
レジャーバッグ「A&D27」

 また、「Toyooka KABAN Artisan Avenue」は豊岡市の第三セクター「豊岡まちづくり株式会社」が運営しており、本施設を核として、新たな商品開発、産地の新たな担い手を育てる人材育成、産地ならではの手法による情報発信や空間整備のトータルでの産地活性化に取り組む「かばんを核にしたまちづくり」事業に取り組んでいます。

 新商品開発としては、業界の強み・弱みを分析し、複数の企業による商品開発として、“強み”である「機能的な鞄」として、自転車に取り付ける機能性の高いレジャーバッグブランド「A&D27」を立ち上げ、また、長年紳士鞄を主流としてきたことよる“弱み”であった「レディース鞄」としてブランド「BELCIENTO」を立ち上げました。

写真:以下に解説
「豊岡市縫製者トレーニングセンター」の様子
写真:以下に解説
「Toyooka KABAN Artisan School」の様子

 また、人材育成としては、1年制の職人育成専門校「Toyooka KABAN Artisan School」を開講し、県内外から応募してきた若者に対して、製造から販売にいたるまで、現役の鞄職人が実践的なスキルやノウハウを指導する形で育成する専門校を運営しており、今年度1期生6人が学んでいるとともに、現在来年度の2期生を募集しています。さらに、2013年9月に発足した「豊岡市縫製者育成組合」が、深刻な人手不足が問題となっている縫製職人の育成事業として「豊岡市縫製者トレーニングセンター」を運営していることから、「Toyooka KABAN Artisan School」と本センターとの両輪により産地での人材育成が進められています。

写真:以下に解説
豊岡まちづくり株式会社 マネージャー林健太 氏
写真:以下に解説
2014年グットデザイン賞を受賞した
「かばんを核にしたまちづくり」事業

 この一連の事業を主導してきたのが、豊岡の若手鞄企業経営者有志と豊岡まちづくり株式会社のマネージャーの林健太氏であり10年先の産地を見据えた新たな仕掛けに常に挑戦されています。「Toyooka KABAN Artisan Avenue」を核とした産地活性化は、製造企業の意識向上や新製品開発、新たな担い手の輩出に大きな効果をもたらしていますが、今回、これらの取り組みが大きく評価されて、「かばんを核にしたまちづくり」事業が2014年のグットデザイン賞を受賞されました。

 ブランド化による認知度向上、強みを活かした商品開発や新たな製品開発の挑戦、将来を見据えた人材育成など、様々な取り組みの相乗効果により、産地全体として今後更に成長していくことが期待されます。

掲載関連情報

企業名
兵庫県鞄工業組合外部リンク
所在地
兵庫県豊岡市大磯町1-79
電話番号
0796-23-7833

企業名
Toyooka KABAN Artisan Avenue外部リンク
所在地
兵庫県豊岡市中央町18-10
電話番号
0796-22-1709(豊岡まちづくり株式会社)

企業名
Toyooka KABAN Artisan School外部リンク
所在地
兵庫県豊岡市中央町18-10
電話番号
0796-22-1709(豊岡まちづくり株式会社)

企業名
豊岡市鞄縫製者育成組合(豊岡市縫製者トレーニングセンター)
所在地
豊岡市元町11番1号
電話番号
0796-26-7300

関連施策へのリンク

このページに関するお問い合わせ先

近畿経済産業局 産業部 製造産業課

電話:06-6966-6022

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