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伝統的工芸品産業の新市場開拓事例の御紹介
~「京鹿の子絞」の技術・技法を活用し、現代のニーズに合わせた新商品開発~
担当課室:製造産業課

最終更新日:平成27年7月1日

 日本のものづくりの原点、文化の象徴として長年国民生活に潤いを与え、地域経済の発展に貢献してきた伝統的工芸品産業。時を経て、昨今はライフスタイルの変化による需要の低迷、後継者不足等さまざまな課題を抱えています。一方では、伝統的な技術・技法を活用し、現代の生活様式に合った新商品が開発され、世界が共感するクールジャパンとして、日本の優れたものづくり技術が世界からも注目されています。

 今回は、伝統的工芸品「京鹿の子絞」を製造する事業者が集まった組合「京鹿の子絞振興協同組合」の新商品開発についての取組を御紹介します。

「京鹿の子絞」とは

写真:以下に解説
京鹿の子絞 着物

 伝統的工芸品「京鹿の子絞」は伝統的工芸品産業の振興に関する法律により、昭和51年に経済産業大臣の指定を受けています。

 そもそも、絞り染めは千数百年も前から衣装の模様表現として用いられてきた技法です。絞り染めの技法の一つである「括り」の模様が子鹿の斑点に似ているところから「鹿の子絞り」といわれます。絞り染めの歴史は古く、インドの染織技術が仏教などとともに日本に渡来したのが始まりともいわれ、6~7世紀頃には我が国でも各地で行われていました。その後、各地で絞り技法が改良され、現在の京都市内を中心に「京鹿の子絞」の技法が考案され、江戸時代前期には全盛期を迎えました。

 代表的なものに「疋田絞り」があり、一般的に「鹿の子絞り」と言われています。絞り染めは友禅と異なり、糸で布地を強く括り、締めることにより染色されない部分を作り出し、その染色されない部分で模様を表現します。また括りによって布地に「しわ」や「括り粒」で立体感をもたせる独特の技法もあります。

絞るのは布だけじゃない!?革も和紙も絞ります!

 かつては着物地を絞ることが中心だった絞りの技術を活かし、組合では「麻織物」「鹿革」「和紙」といった様々な素材を活用するなど、柔軟な発想の転換により洋装でも使用できる新製品「絞りショール」「鹿革財布」「鹿革がま口」「のれん」「和紙小物」「和紙照明」を開発しました。それらを東京インターナショナルギフトショーに毎年出展し、職人の実演を通じて来場者に手作りの温かみと高い技術力をより強くアピールしています。日本独特の柄に現代のセンスを織りまぜ、一味違った感触と存在感のある小物は、幅広い層に受け入れられています。


和紙名刺入れ

絞りショール

和紙照明

和紙小銭入れ

和紙鞄

異業種交流をきっかけにつかんだ新たな商品開発のヒント

 こういった新製品開発は5年ほど前から活発に取り組んでいます。同じ組合の中だけを向いているのではなく、他産地と連携することで一層訴求力を高めることができます。

 今年度は特に「和紙」に注目し、京都府内の産地である黒谷和紙と丹後の織物産地及び大学とのコラボ商品の開発を進めています。和紙の吸水性、調湿性、軽量であるという特徴を活かし、和紙を使用した着物などを地元京都で製造し、オリンピックを視野に入れたこれまでにない高い機能性をもった夏用の振り袖の開発を目指しています。

海外へ展開!世界の京鹿の子絞りへ

写真:以下に解説
H26 ギフトショーにて実演
写真:以下に解説
H26 京鹿の子絞工芸展in フランス

 組合員の新たな製品開発への創作意欲と情熱により、新たな和装の可能性を探る製品を、2014年12月にはフランス・パリにあるルーブル美術館のある建物の地下で開催された、フランス国民美術協会が主催する展示会「SNBA2014」に出展しました。展示会場では疋田絞りの実演を行い、「ビューティフル」と感嘆の声があったそうです。日本独特の伝統的な技法と職人の手技の結晶の美しさが、日本のみならず海外にも通用することは大変誇らしいことではないでしょうか。このような地道な取組により、京鹿の子絞振興協同組合では国内外の継続的な販路を開拓していくことを目指しています。

これからの課題

写真:以下に解説
H26 ギフトショー出展
写真:以下に解説
京鹿の子絞振興協同組合 事務局 井本氏

 新しい素材を絞った新商品開発は、堅牢度や色落ちなどたくさんの課題の解決が求められます。専門家との度重なる研究の末、ようやく出来上がります。これらの新商品を活かすには、その商材にあった展示会を選んで出展することが大事だと同組合の事務局長の井本氏はおっしゃいます。

 また、後継者が不足している状況は京鹿の子絞振興協同組合も例外ではありません。若い人に魅力を伝えるため、学生や社会人等に各工程を体験してもらう研修会を実施しています。この中から後継者として未来の職人が誕生することを願い、「京鹿の子絞り」の認知度向上により需要が増えることで産地がさらに活性化することを期待しながら、地道に活動をしています。

 市場ニーズを的確に捉え、現代にも通用する商品を通じて、伝統的な技術・技法を未来にも残していけるよう、京鹿の子絞振興協同組合はこれからも止まることなく邁進していくと期待されます。

 

掲載関連情報

団体名
京鹿の子絞振興協同組合外部リンク 新しいウィンドウで開きます
所在地
〒604-8225 京都市中京区西洞院通四条西北角 京染会館5F
電話番号
075-255-0469

関連施策へのリンク

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このページに関するお問い合わせ先

近畿経済産業局 産業部製造産業課
電話:06-6966-6022

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