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最終更新日:平成27年11月2日
世界では、シリア内戦にイスラエル、イスラム過激派組織(ISIL)が参戦し、ミサイル、爆弾など大量破壊兵器を使用してテロ行為等が行われ、日本人も巻き込まれる事件が発生しています。
テロ行為等に使用される大量破壊兵器は、先進国がもっている高度な機械や技術が、大量破壊兵器を開発等している国などに渡ることにより、テロ行為等に利用され、国際的な脅威となり、情勢の不安定化を招いてしまいます。
その脅威を未然に防止するために、先進国を中心とした枠組み(条約、国際輸出管理レジーム)が作られ、国際間で貿易管理を推進しています。
第二次世界大戦で日本に使用された核兵器やイラン・イラク戦争で使用された化学兵器や生物兵器など大量破壊兵器の国際間の移動を制限、特定技術内容について、各国代表者が話し合い、明確に取り決め、安全保障を図るため、国際的に協調して輸出管理を行うための条約や国際間において枠組みが形成されています。
※条約:核兵器不拡散条約(NPT)、生物兵器禁止条約(BWC)、化学兵器禁止条約(CWC)
※国際輸出管理レジーム:原子力供給国グループ(NSG)、オーストラリア・グループ(AG)、ミサイル技術管理レジーム(MTCR)、ワッセナー・アレンジメント(WA)
対外取引の正常な発展、我が国や国際社会の平和・安全の維持などを目的に、特定貨物の輸出入、特定国・地域からの輸入などを対象にして、輸出許可制、輸出入承認制などにすることにより貿易管理を行っています。
国際輸出管理レジームにおける合意に基づき、大量破壊兵器やその他の通常兵器の開発等に用いられるおそれが高い特定の機微な貨物や技術については、貨物の輸出や技術の対外提供に先立ち、政府が輸出管理を実施し、懸念のある用途に転用されるおそれがあるかどうかその国の政府が審査を行うこととなっています。許可が必要となる具体的な貨物、これらの技術については、参加国合意の下、各々の国際輸出管理レジームがそれぞれ公表する規制対象品目リストにおいて、貨物及び技術の種類・仕様(スペック)が具体的に定められており、これらのリストに基づき各国において規制が行われています。
我が国においては、外為法に基づいて定められた政令以下において規制対象品目リストが反映されており、輸出しようとする貨物が「輸出令・別表第1」の1から15項、又は提供しようとする技術が「外為令・別表」の1から15項の品目に該当し、かつ、「貨物等省令」に該当する仕様を有する場合は、経済産業大臣の許可が必要です。
リスト規制品以外であっても、輸出しようとする貨物や提供しようとする技術が、大量破壊兵器等の開発、製造、使用又は貯蔵もしくは通常兵器の開発、製造又は使用に用いられるおそれがあることを輸出者が知った場合、又は経済産業大臣から、許可申請をすべき旨の通知(インフォーム通知)を受けた場合には、輸出又は提供に当たって経済産業大臣の許可が必要となります。
以下の2つの要件の場合、許可申請が必要となります。
但し、ホワイト国向けの貨物や技術の提供については、キャッチオール規制の対象から外れています。
ワシントン条約(CITES:絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)は、野生動植物の国際取引の規制を輸出国と輸入国とが協力して実施することにより、採取・捕獲を抑制して絶滅のおそれのある野生動植物の保護をはかることを目的としています。
絶滅のおそれがあり保護が必要と考えられる野生動植物を附属書Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの3つに分類、区分し、必要性に応じて国際取引の規制を行っています。
渡航者等が渡航先等で購入等した生きた動植物又は加工品は、ワシントン条約対象物品かどうか十分調査、把握することが必要です。
もし、ワシントン条約対象物品であるにもかかわらず、現地の輸出管理当局の許可書を取得しないまま、輸入しようとした場合、通関時に税関において、輸入指し止めを受けることになります。
近畿経済産業局 通商部 通商課
電話:06-6966-6034