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最終更新日:平成27年11月2日
「生産性向上設備投資促進税制」は、質の高い設備投資の促進により事業者の生産性向上を図ることを目的に平成26年1月20日に創設された新しい税制です。同税制にはA類型「先端設備」、B類型「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備」の2種類の要件があり、何れかの要件に該当する設備を導入する際に税制上の特典を得られます。
今回は、生産性向上設備投資促進税制(B類型)を活用して設備投資を行ったサービス産業の企業の中から、「神戸どうぶつ王国」をご紹介します。
神戸のポートアイランドに平成26年7月にオープンし、今年2年目を迎える「神戸どうぶつ王国」は、入園者数の伸びが著しく増加中の神戸の新たな観光スポットです。「神戸どうぶつ王国」は、以前、神戸花鳥園があった場所をリニューアルして開園しましたが、神戸花鳥園閉園時の年間入場者数25万人に対して、「神戸どうぶつ王国」1年目の来園者数は約2倍の48万人、そして2年目を迎える今年は70万人もの来園者が見込まれており、その成長が著しいサービス企業です。
今回は、「神戸どうぶつ王国」がなぜこれだけ入園者数を伸ばしているのか、他の動物園と何が違うかについて、同園のユニークな3つの取組をご紹介します。
他の動物園との1番の違いは、動物との距離が断然近いことです。他の動物園では、ガラス越し、もしくは、柵越しに動物を見ることが多いですが、「神戸どうぶつ王国」では手を伸ばせば届く距離で動物を見て、触れ合えます。鳥を腕に止まらせて近くで見たり、カピバラに餌をやってみたり、お昼寝中のカンガルーに触ってみたり、そして、ショーではタカやフクロウが頭の上を飛んで行ったり…と、動物との距離が近いことが他の動物園との一番の違いです。
動物の種類について、現在はゾウやキリンといった大型動物はおらず、一番大きな動物がラクダです。その他、ナマケモノやアルパカ、そして日本に14羽しかいないハシビロコウが同園に3羽もいるなど、どちらかというと中型~小型で珍しい動物、触れあえる動物に出会うことができます。
同園では、園内に多くのスタッフを配置することで、安全性を確保しながら、お客様に動植物との触れ合いを楽しんでもらう工夫をしています。
他の動物園では、飼育員がお客様に声をかける機会がそれほどありませんが、「神戸どうぶつ王国」の園内スタッフは、お客様への挨拶はもちろん、積極的にお客様に声かけを行っています。お客様と動物の架け橋になるため、例えば、動物に触れあいに来たお客様には、動物の名前や特徴を紹介したり、エサをやるときには「今からエサをあげますよ~」と周りのお客様に声をかけています。柵で区切られたエリアで、奥の方に動物が行ってしまった場合、動物をお客様の近くに呼んでくるなど、スタッフが日頃からホスピタリティを実践しています。
また、台湾出身のスタッフが、中国語で園内を案内するおもてなしを実践していたところ、ツアーガイド間で話題になり、台湾人観光客の呼び込みにもつながっているそうです。
そして、同園は子どものみならず、シルバー層を含む三世代をターゲットに設定しています。旧・神戸花鳥園時代に園内のバリアフリー化を進めていたこともあり、アニマルセラピー効果を狙った高齢者施設の遠足先としても選ばれています。
「神戸どうぶつ王国」では、急増する入園者に対応するため、そして、お客様にリピーターになっていただくために、積極的な設備投資を進めることで、飽きのこない、いつ来ても常に新しさのある動物園を目指しています。
平成27年4月には、それまでの1万6千平米の温室に加え、新たに1万平米の屋外施設を増設しました。アルパカやゾウガメ、ペンギンなどの動物を迎え、ドッグショー、ホースライドなどのスペースも新たに生まれました。そのほかにも、お客様に快適に過ごしてもらうために、ショーを座って見るスペースを増設したり、新たな動物が入るタイミングに合わせて継続的に設備投資を行っています。また、設備投資の意思決定から実行までの期間が、他の公立の動物園と比べて短期間です。例えば、お盆の時期に決めたリニューアルに係る設備をシルバーウィークまでに入れるなど、スピード感を持った経営により、お客様が再訪しても楽しめる動物園作りにつなげています。
園内における設備投資において、生産性向上設備投資税制「B類型」をご利用いただきました。
現在、「神戸どうぶつ王国」は単体でプロモーションを行っていますが、外国人観光客への対応などでは、地域全体でのプロモーションが重要です。今後は、神戸全体の観光振興においても、動物園の立場から参加することで、貢献できればと考えています。
また、世界でこれまで2例しか成功したことのない、ハシビロコウの日本初の繁殖を目指しており、社会的に意義のある動物園らしい取組にも挑戦し続けています。
最後に、入園者数については、5年で100万人を目標としています。多くの入園者が楽しめるよう、今後も、動植物の見せ方の工夫やホスピタリティの実践などのソフト面、そして、動植物の種類や設備などのハード面の双方への投資を通じて、ますます同園が成長されることを期待しています。
近畿経済産業局 地域経済部 地域経済課
電話:06-6966-6065