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最終更新日:平成28年2月1日
「生産性向上設備投資促進税制」は、質の高い設備投資の促進により事業者の生産性向上を図ることを目的に平成26年1月20日に創設された新しい税制です。同税制にはA類型「先端設備」、B類型「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備」の2種類の要件があり、何れかの要件に該当する設備を導入する際に税制上の特典を得られます。
今回は、生産性向上設備投資促進税制(B類型)を活用して設備投資を行った企業の中から、従来の建材加工業のみならず、多様な人材を活かした多角化経営で経営安定化を実現する「兵庫ベンダ工業」の熱き思いをご紹介します。
昭和57年4月に設立。
同社は大型建造物向けの建材曲げ加工を中心に、高度な冷間曲げの技術、曲げから組立までを一気通貫で行うことのできる技術力を持つ建材加工事業者です。
特に大型の建材補強リングについては業界内でも大きなシェアを占めています。
『鐵は国家なり』と戦後の復興と高度経済成長に欠かすことのできなかった鉄鋼業に付随する加工業として活躍をされていた同社ですが、生活基盤インフラとなる公共工事動向に業況が大きく左右されるため、リーマンショックを契機に、経営安定化を目的とした多角化経営に着手されました。
まず社内組織に「ものづくり研究所」を設置。様々な分野から多様な人材を外部から登用することで企業内の意識改革を図りました。
同研究所は、配属された社員の知識と同社が元々保有する鉄加工技術を礎に『鉄工所が作った鉄板』など面白みを持った製品から、『超小型EV』の試作、『エネルギーキャリアを用いたポータブル電力供給モデル』の開発など様々な事業に取り組んでいます。
それら新たな取組の中で新事業の柱となりつつあるのが、『4Kプロジェクト』です。
これは、牽引と着脱が可能な積載車両にマルチディスプレイを搭載、野外において4K映像を配信するための移動設備「4K/60P対応 可搬型9面マルチディスプレイ」を開発したものです。イベント会場等において車両から降ろせば屋内での設置となり、約60分と短時間で設置できる強みを実現した『サービスの提供事業』です。
同社の技術と工夫により短時間で設置できる体制が整いました。コストダウンを実現したことから、従来のフルハイビジョンマルチディスプレイに置き換わり、大阪モーターショーや東京モーターサイクルショー、神戸マラソンや姫路城マラソン、または大学の卒業式や学会など様々な場面で気軽に使ってもらえるツールとして活用される事例が広がっています。
※フルハイビジョン:207万3600画素
4K:829万4400画素
デジタルサイネージ市場調査によれば、今後の電子広告関連市場はさらなる拡大が予想されています。同社の高精細マルチディスプレイ貸出・運用の収益モデルは現在のイベント対応のみならず多層的な収益構造が期待できるため、さらなる技術革新を重ね、『可搬型8Kマルチディスプレイ』の開発にも成功しました。
また、人材面でも様々な取組に積極的に着手しています。
『テレワーク体制』を始め、『業績連動型仕出し弁当制度』や社員の子どものための『育児教育手当金制度』などワークライフバランスの充実を目指した取組の数々が評価され、平成27年9月に「ひょうご仕事と生活の調和推進企業」にも認定されました。
今後も『マルチディスプレイ事業』のみならず、働きやすい職場に集まる多様な人材を活かしたクリエイティブな視点でのさらなる事業拡大に期待します。
今回は既存事業の効率化投資及び新事業拡大のための設備投資に本税制をご活用頂きました。
近畿経済産業局 地域経済部 地域経済課
電話:06-6966-6065