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新・ダイバーシティ経営企業100選について
~多様な人材の活躍を、企業の成長力に繋げる~
担当課室:産業人材政策課

最終更新日:平成28年7月1日

経済のグローバル化や少子高齢化が進む中で、我が国の企業競争力の強化を図るためには、女性、外国人、高齢者、チャレンジド(障がい者)を含め、一人ひとりが能力を発揮して、イノベーション、価値創造に参画していく「ダイバーシティ経営(※)」の推進が必要です。

企業においても、そうした課題に対応するためには、ダイバーシティの推進が重要であると認識しつつも、取組がなかなか進まないという現状です。

そこで、経済産業省ではダイバーシティ推進を経営成果に結び付けている企業の先進的な取組事例と経営戦略上の意義を広く知っていただくために、様々な規模・業種の企業における「ダイバーシティ経営」を推進しています。

その一環として、平成24年度から「ダイバーシティ経営企業100選」事業(経済産業大臣表彰)を実施しています。平成26年度までの3年間で141社を表彰し、その積極的な取組をベストプラクティスとして発信しています。

平成27年度からは、新たなフェーズとして働き方改革・女性の職域拡大等の重点テーマを設定した「新・ダイバーシティ経営企業100選」を開始し、全国で34社、近畿経済産業局管内企業では9社を表彰しました。

今月から平成27年度のベストプラクティス集より、近畿管内の企業の取組を毎月当誌にて紹介します。

また、平成28年8月3日(水)に「ダイバーシティ経営企業フォーラム ~多様な人材の活躍=成長する企業のキーワード~」 を大阪市内で開催し、受賞企業のうち数社にご登壇いただく予定です。

開催についてはこちらをご覧下さい。 「ダイバーシティ経営企業フォーラム ~多様な人材の活躍=成長する企業のキーワード~

※ダイバーシティ経営とは、「女性、障がい者、外国人、高齢者など、多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営」のことです。

【ダイキン工業株式会社】

「人を基軸におく経営」でグローバルNo.1を達成した企業が全社的な人材戦略で成長加速化を図る。

ダイバーシティ経営の背景

ダイキン工業株式会社(以下「同社」)は1924 年に大阪府で創業、BtoB の空調事業を基軸に成長を遂げてきました。1990年代半ばから欧州などの海外へ積極的に販路を拡げるとともに、90年代末には家庭用エアコン「うるるとさらら」で大ヒットを記録し、現在では「冷媒開発から機器開発まで自社で行うことができる世界で唯一の空調総合メーカー」として、業務用40%超、家庭用約18%のシェアを誇っています。また、2000年代半ば以降の大規模M&Aを経て、海外事業比率は全体の7割超、海外の連結子会社は213社に上るグローバル企業へと成長してきました。

競合他社が常に同社の動向を窺う厳しい競争環境の中、「変化の予兆をいち早くつかみ、他社の半歩先を行く先進性」が勝ち残りの鍵との認識から、現在の空調事業を基盤に、周辺事業への拡張など、将来的なイノベーションを指向し事業の拡大を続けています。

このような同社の成長を支えてきたのは、創業以来の「人を基軸におく経営」でした。前向きなチャレンジを歓迎し、属性などにとらわれず個人の能力を活かす組織風土のもと、1990年代には60歳以降再雇用制度によるベテランシニア人材の活用や特例子会社の設置による障がいのある社員の積極採用など、多彩な取組がいち早く実施されてきました。

その中で、現在焦点が当たっているのが、「女性」と「外国人」です。「女性」については、90年代初頭より短時間勤務やフレックス制度などの柔軟な勤務制度を導入し、2001年には総合職と一般職の区分の廃止などが実施され、能力を発揮できる制度的な土壌は整えられてきました。しかし、管理職側の“優しさの勘違い”と女性社員側の消極性などにより、女性管理職比率は製造業平均より低い値となっていました。2011年にトップの指示によりトップ直下に女性活躍推進プロジェクトを発足し、全社を挙げて取組を本格展開することとなりました。

また、「外国人」については、事業の急速なグローバル化に対し、現地に即した事業をスピーディに展開できる人材、ダイキングループの理念を共有し、現地の経営を自律的に任せられる人材の育成が急務となっていました。

取組内容

(1)マネジメントと女性社員本人の双方に気付きを促し変革を後押しするための多様な仕掛け

女性活躍推進を全社の重要施策として位置付けるにあたり、まずはその目的として「さらなる成長に向けた『質的人材の確保』」と「多様性ある組織で多様な顧客に対応し、独創性ある発想やイノベーションを生み出す」ことが同社にとって重要である点を改めて明確に示しました。その上で、性差に関係なく積極的に“修羅場”を経験させて成長させながら登用を図るという取組方針を掲げ、女性管理職の育成の加速、男性管理職の意識改革、育児休暇復帰者のさらなる活躍に向けた支援、優秀な女性の積極採用の4点に取り組むこととしました。

とりわけ「男性管理職の意識改革」には力点を置いており、管理職としてのマネジメント力の向上を図る4 か月の「マネジメント道場」を2 年間で450人を対象に開催し、その中で男性管理職の“無意識の先入観”の払拭を狙いとした「女性部下育成セッション」を実施しています。例えば、女性部下への業務の与え方、育休明け社員への対応、長時間労働の弊害など、一つひとつ女性社員の現状の数値データや女性社員の声などを提示しながら丁寧に紐解き、女性部下をマネジメントする管理職層をサポートしています。セッション後の感想としては「女性部下を過剰に意識して遠慮や苦手意識が(部長層に)あると感じた」「部下一人ひとりと向き合い、本当の対話をすることが第一歩」「出産・子育ての時期にいかにモチベーションを下げずに仕事を継続できるかが課題」といった気付きが挙げられ、各現場での状況に応じたマネジメント変革につながっています。

また、女性社員の育休からの早期復帰支援にも重点を置いています。キャリアを諦めたくないと思っている女性社員の支援を目的とし、2014 年には生後6 か月未満での復帰を図る社員を対象とした、より柔軟な勤務形態(4 時間勤務など)や両立支援サービスの拡充(育児サービス費用を1 人最大年20万円補助する「育児カフェテリアプラン」を6 か月未満の早期復帰者に対しては60万円に増額)を実施しています。復帰のタイミングはあくまで個人に委ねられますが、選択肢を増やすことで、早く会社に戻りたいという女性社員を後押しする施策となっています。これは、会社側としても、優秀な人材には早く戻ってきてほしいという思いからです。

2015 年からは、さらに女性社員の育成を強化・加速化させています。とりわけ、女性登用のハードルが高かったポジションに向けて計画的に女性候補を決めて育成していく「女性フィーダーポジション」の設定や、若手10名を選抜、役員・部門長が育成責任者となり全社イノベーションテーマに関するプロジェクトへ登用し育成する「女性版 若手チャレンジプログラム」などを実施しており、より女性に特化した早期の能力開花と育成のためのプログラムを全社で展開しています。

(2)ダイキンフィロソフィを体感した人材による現地ビジネスチャンスの獲得

一方、二度の大型買収を経て、グループの社員数の約8割が外国人となっており、その効果的な育成やマネジメント、人材配置が極めて重要になってきています。従来、販売促進が海外拠点に求める主要な機能であった時代は、本社の日本人社員が現地へ赴き統括するスタイルでもコントロールが可能でしたが、事業のグローバル展開の加速に伴い、例えばマーケティングにおいては、現地ニーズを取り込んだ商品やサービスの開発・提供に際して各地の気候や慣習、文化的背景にまで精通した人材が、ユーザーのニーズを的確に把握しながら開発に関わっていくといった現地化が求められています。

そこで、グローバルに活躍できる優秀な外国人材にダイキンのフィロソフィーを身に付けてもらうことで、グループの全体戦略との整合を取りながら自律的にビジネスを進めていく仕組みが必要となっていました。

同社では2004 年から、外国人幹部向けのビジネススクールを開講してきましたが、2015 年からプログラムを刷新し海外拠点トップ24 名、部長層21 名を対象とした「グローバル経営幹部塾」や、各国・各事業を担う人材の育成を目的に海外拠点の若手社員8名を対象とした「グローバルトレーニングプログラム」を開始しました。また、各地域・各拠点の人事担当マネジャーと連携し、グループ幹部候補人材の把握を進めるとともに、国・地域を超えた再配置を拡大するなど、キャリアパス構築の仕組みづくりに向けて動き始めています。

(3)多様な人材の活躍推進を支えた地道な働き方改革の取組

一方、女性の更なる活躍には、同社が2003 年から取り組んできた長時間労働の是正などの働き方改革が奏功した面があります。2012 年からは、「働きの質の変革」の一環として、所定労働時間内で仕事をやりきるための変革を部門ごとに検討し、実行しています。例えば、国内の営業部門では、QCサークルを活用して職制や役職を問わず、ボトムアップで意見を出し合いながら、短時間で質の高い勤務へ転換する工夫が行われています。その中でも、日頃から時間的な制約の中で工夫して働くワーキングマザーの女性社員から「効率的な働き方」が提案され実現に至るような事例も現れてきました。

成果

前述のように、多様な制度の整備や運用改善を実施しながら、個の能力を活かしきるマネジメントが実現してきています。現在は、優秀な女性を積極的に登用、任用していく中で、営業や研究開発、製造現場のリーダーなど従来ではなかなか見られなかったキャリアパスで活躍する女性社員も多数現れています。

例えばかつて男性中心であった大型空調の提案営業で頭角を現した若手の女性社員を、全社プロジェクトへ登用し、マーケティングや商品企画に携わる機会を意図的に与えました。そこでの経験が顧客との信頼構築に極めて有益に作用し、大手の設計事務所の担当を任されるようになり、東京大手町の再開発物件を受注するなど、目覚ましい活躍を遂げています。

また、外国人についても、ブリッジ人材として母国の拠点で活躍する事例が多数みられます。例えば、現在急拡大している中国市場でも、事業立上げ当初から同社のフィロソフィーを体得し、「ダイキンファミリー」の拡大発展を率いてきた人材が、現在では経営幹部となって後進の指導に当たっています。

こうした人材の力を組織的に結集することで、北米空調事業への本格参入や新興国への事業拡大、空調周辺事業への展開など、新たな成長のステージへ踏み出しています。

若手女性社員が営業に携わった湿度コントロールシステム
若手女性社員が営業に携わった湿度コントロールシステム
※エコッツェリア(新丸の内ビル10 階オフィス、施設面積:422.95m2(輻射空調面積:80m2)、採用機種:DESICA × 1 台)

掲載関連情報

企業名
ダイキン工業株式会社外部リンク
所在地
大阪府大阪市北区中崎西 2-4-12梅田センタービル
電話番号
06-6373-4312

関連施策へのリンク

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このページに関するお問い合わせ先

近畿経済産業局 地域経済部 産業人材政策課

電話:06-6966-6013

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