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「関西☆しごと創生交流フォーラム」開催のご報告
~域外交流から始まる関西地方創生のセカンドステージ~
担当課室:企画課

最終更新日:平成28年7月1日

平成28年度は、関西各地の自治体による地方版総合戦略の本格的な取組が開始される、「関西地方創生のセカンドステージ」の年です。

近畿経済産業局では、各自治体のしごと創生・産業振興に係る施策実行に弾みをつけるため、全国各地で特徴的な取組を行う自治体等のキーパーソンの方々をお迎えし、関西で地方創生に取り組む産学官金等の関係者が一堂に「集い」、「学び」、「交流」することを目的に、「関西☆しごと創生交流フォーラム」を開催しましたので、当日の様子をご紹介します。

開催概要

項目 内容
日時 平成28年6月2日(木)13:30~17:45 (18:00~19:00 ネットワーク交流会)
会場 りそな銀行大阪本店地下2階 (大阪市中央区備後町2-2-1りそな大阪本社ビル内)
プログラム  
参加者数 251名
満員の会場
満員の会場

政策報告

政策報告を行う早田企画官
政策報告を行う早田企画官

内閣府大臣官房総務課企画官 早田 豪様より、「まち・ひと・しごと創生本部『地域しごと創生会議』の中間取りまとめ」と題し、政策報告をいただきました。

報告では、毎年、地方圏から東京圏へ約10万人の若者が流出する中、地域で新たなしごと作りを突き動かす「危機感の醸成の難しさ」、大都市圏と地方における賃金水準の大きな開きの要因となっている「低迷する生産性」等、地域の現状を紹介いただきました。その後、地域に対して、今後目指していただきたい分野、方向性を提示され、自治体に対しては、秋に予定されている地方創生推進交付金の第2回申請においても、地域しごと創生会議のとりまとめ資料を大いに参考としていただきたいとメッセージを送りました。

第1部 しごと創生・産業振興の特徴的な取組について

取手市長 藤井 信吾様、一般社団法人とりで起業家支援ネットワーク 理事 吉田 雅紀様より、「起業家タウン☆取手」と題し、講演をいただきました。

取手市長 藤井 信吾様 講演概要

講演を行う藤井市長
講演を行う藤井市長

・本年2月、地方創生先行型交付金を活用し、インキュベーションオフィス「Match−hako(マッチ箱)」をJR取手駅前にオープンし、起業家を積極的に応援する「起業家タウン宣言」を実施。町全体で起業を支援する全国初の取組がスタートした。

・本市には東京圏のベッドタウンとしての機能があり、地域内から起業家を生み出す施策を必要とする要素があった。

・起業を目指す人の動機はそれぞれに異なり、前職への不満、チャレンジ精神等、多岐にわたる。起業家を支援するためには、相対で内発的な動機を傾聴することから始め、カスタムメイドでの処方箋提供が必要となる。

・これから人生を切り開く人にとって、本市が縁のある土地となるよう、全力で起業家を応援したい。

インキュベーションオフィス「Match−hako(マッチ箱)」
インキュベーションオフィス「Match−hako(マッチ箱)」

一般社団法人とりで起業家支援ネットワーク 理事 吉田 雅紀様 講演概要

講演を行う吉田理事
講演を行う吉田理事

・起業家タウン構想は、起業でまちを元気にし、市民運動で起業環境と起業文化を変える試み。

・開業率を向上させるためには、政策のみならず市民運動が重要であり、起業を支援するためには、「場(インキュベーション)」と「情報発信(情報誌)」も必要。

・インキュベーションオフィス「Match-hako(マッチ箱)」の特徴は、スペースが114坪と非常に大規模であること。コワーキングとインキュベーションが合体し、チャレンジショップも併設する新しいタイプのオフィス。

・自社媒体での情報誌(フリーペーパー)は、地方創生加速化交付金を活用し、配布部数、配布先共に拡大傾向にあり、現在では6000部を印刷し、配布先も200か所。市内既存企業のインタビュー記事を掲載し、企業に起業家を支援してもらうためにも、まずは企業のPRから開始した。

・企業として、起業・創業に対する関心が潜在的には薄いのが現状であり、企業の宣伝をするかわりに、企業による起業応援メニュー(起業家割引)を提供いただいている。

・市民運動はすぐには達成できないが、平成31年度までに経常黒字化、自立運営を実現させたい。

起業応援団
起業応援団

続いて、飯田市産業経済部長 高田 修様(高ははしごだか)より、「飯田下伊那地域における航空機産業分野の人材育成と技術開発力の強化広域連携事業」と題し、講演をいただきました。

飯田市産業経済部長 高田 修様 講演概要

講演を行う高田部長
講演を行う高田部長

・2027年、リニア中央新幹線開通により、中京圏への時間距離が圧倒的に短くなるメリットをどう産業施策に活かすか考えたものが本事業。

・航空宇宙プロジェクトは、2006年以降、新産業創出の柱として取組んでおり、現在では14市町村から、38社が参加。

・航空宇宙産業を選択した理由として、本市が、我が国の航空機産業の中心である中京圏域に近いという位置条件に加え、地域内の航空機関連の中核企業の存在がある。中京圏域に部品等を供給するサプライチェーンの一角となることを目指し、地域が連携した取組をスタート。

・これまでの成果として、一貫生産体制の構築、愛知県を中心としたアジアNo1航空宇宙産業クラスター形成特区への参入等がある。

・「部品供給」から「航空機システム・装備品事業」へ事業展開するため、地方創生加速化交付金を活用し、「知の拠点」の核の形成に向けた技術力、付加価値の向上にチャレンジしているところ。

・地方創生交付金の対象事業として評価をいただいた要因として、広域連携の形成がなされていること、地方大学の活性化につながる産学官金が連携した取組であったことが考えられる。

産業振興に寄与する『知の拠点』の核の形成
産業振興に寄与する『知の拠点』の核の形成

第2部 しごと創生・産業振興の取組を強力にサポートするRESASの特徴的な取組について

内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局 ビッグデータチーム長代理 早田 豪様より、「パワーアップする地域経済分析システム(RESAS)の威力と関西への期待について」と題し、講演をいただきました。

内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局 ビッグデータチーム長代理 早田 豪様 講演概要

講演を行う早田ビックデータチーム長代理
講演を行う早田ビックデータチーム長代理

・RESASを活用した施策立案の手法については、現在も多くの質問が寄せられている。昨年度のRESAS政策アイデアコンテストの発表が非常に参考になるので、是非動画を見ていただきたい。(youtube内公式チャンネルにて公開)外部リンク 新しいウィンドウで開きます

・地域経済循環マップは、地域内の1年間の資金の流れを各種統計等に基づいて可視化したもの。地域の弱点がどこにあるのかを見極めることがRESAS分析のスタートとなる。

・産業マップの全産業花火図を活用することで、産業連関表がない自治体でも、地域に付加価値を生み出している産業が何かをデータとして見ることができる。

・限られた自治体の財源を何に充当するべきかを考える上では、KKO(経験、勘、思いつき)から脱却し、データに基づき、打つべき施策の優先順位を検討いただきたい。

・今後の施策検討においては、飯田市のように近隣自治体と如何に連携するかを考えることが重要。

・近隣自治体の特徴的な施策に目を配り、RESASを駆使することで連携のメリットを見出していただきたい。対象地域を追加することで、地域全体を牽引する産業が何かをデータで示すことが、連携に向けた議論のスタート。

・地域中核企業の特徴の1つとして、売上状況等の取引先への波及効果がある。限定メニューの中では、帝国データバンクの取引データをもとに、コネクターハブ企業の概念をRESASでも導入している。(域外から資金を稼ぎ、仕入れを通じて域内に資金を配分する)

・過去に実施したアンケートでは、補助金を活用したことがある企業は全体の約1割という結果になったものもあり、自治体が気づかない地域中核企業は多数存在する。中核企業候補をRESASで絞り込み、直接ヒアリングを行うことで支援ニーズを把握し、政策につなげていただきたい。

・地方創生において、地域金融機関が果たす役割は非常に重要。金融機関主導のもと、複数の自治体を対象としたRESAS勉強会を開催する動きが地域で起こっている。

・RESASは今後も様々なデータを拡充し、進化を続ける。今年度も政策アイデアコンテストを行うので、ぜひご応募いただきたい。

RESAS政策アイデアコンテスト2015
RESAS政策アイデアコンテスト2015

続いて、うきは市副市長 吉岡 慎一様より、「RESASを活用した新たな産業・観光振興策の構築と実践」について、講演をいただきました。

うきは市副市長 吉岡 慎一様 講演概要

講演を行う吉岡副市長
講演を行う吉岡副市長

・地方版総合戦略、人口ビジョンを策定する過程でRESASを積極的に活用し、分析結果を随所に使用している。

・もともとデータ分析は外部委託を予定していたが、実際には庁内でのRESAS活用に置き換えたことで、現況分析の効率化に繋がった。

・本市は林業が盛んな地域であり、RESASからも「木材、木製品製造業」が従事者数、事業所数において強みであることを確認できた一方、付加価値額ではマイナスと厳しい状況であることがわかり、新たな気づきにも繋がった。

・庁内におけるRESAS活用は、商工担当者を中心に進んでおり、まずは市の特徴を発掘することから始めている。

・創業支援を検討する上で、創業比率が県内でも極めて低調であることが確認できた。一方、本市においては「飲食・小売業」における若者の経営者が多いことや、地元のフルーツを原材料としたスイーツ店が多いことが特徴として以前から指摘されていたが、この点についてRESASの分析からも裏付けられたことから、そこに特化した支援を実施している。

・企業誘致においては、誘致候補企業の取引情報を調べることで、優先的に誘致すべき企業を特定した上でアプローチを行うようにしている。

・今後のRESAS活用は、庁内職員に対しての働きかけのみならず、地域で開催するワークショップでの活用、全ての行政計画策定への導入等へと拡大を目指したい。

RESAS分析に取り組む職員
RESAS分析に取り組む職員

続いて、琴平町長 小野 正人様より、「RESASを活用した新たな産業・観光振興策の構築と実践」について、講演をいただきました。

琴平町長 小野 正人様 講演概要

講演を行う小野町長
講演を行う小野町長

・地方版総合戦略、人口ビジョンを策定する過程でRESASを活用し、主要産業の特定、産業構造の強み・弱みの分析を実施。

・観光を中心とした産業施策を検討する上では、RESAS分析により導き出された結果をどう活用するかが重要と考え、昨年8月にRESAS勉強会を開催し、翌月には分析事例をまち・ひと・しごと創生本部に提出。

・本町は古くから金刀比羅宮を中心とした門前町として発展し、現在においても、観光が主要産業。同じく門前町として有名な三重県伊勢市、島根県出雲市との比較分析を行った点がポイント。

・比較の結果、本町は「宿泊業、飲食サービス業」の労働生産性に強みがあり、その要因は宿泊施設の利用単価が高いことと分析。

・一方で「食料品製造業」の労働生産性は、全国平均の約0.7倍と低調であることがわかり、その要因は、他の2市と異なり、観光をいかした代表的な特産品がないことと分析。今後は新ブランドの開発や特産品の販路開拓を施策として戦略的に取り組むことが必要と判断。

・その後、まち・ひと・しごと創生本部、経済産業省主催のワークショップを12月に開催し、産業振興の課題をどう解決するかを有識者と議論するなど、建設的な意見交換を行うことが出来た。議論を踏まえた「新ブランド開発及び販路開拓・拡大戦略事業」は、地方創生加速化交付金の対象事業として採択された。

・ワークショップで浮き彫りになった課題は、本年3月に本町で開催した地方創生セミナーでも関係者と議論する等、解決に向けた取組を継続的に実施している。

RESASワークショップでの発表
RESASワークショップでの発表

発表者と会場参加者とのディスカッション

発表者と会場参加者とのディスカッションを行い、モデレーターとして、りそな総合研究所 リーナルビジネス部長 藤原明様に進行いただきました。また、経済産業省 地域経済産業グループ 地域経済産業調査室 山岡室長補佐がゲストとして登壇しました。

ディスカッションの主な概要

起業家と企業の交流に向けた今後の展望等について

吉田理事(一般社団法人とりで起業家支援ネットワーク)

・起業家と企業の交流に向けた取組が、後継者不足に悩む立地企業の事業承継に繋がるような流れも今後は期待したい。

藤井市長(取手市)

・町全体での起業の後押しにより、地域内における起業に対するマインドの変化も感じている。

航空機という先端分野における14市町村の広域連携、38社による共同受注の実現に向けた工夫等について

高田部長(飯田市産業経済部)

・14市町村の広域連携の実現は、地道に議論を重ねた成果。毎月1回、首長が集まる会議を開催し、分担金の負担等を議論する風土も醸成されている。

・38社の技術力はそれぞれ異なるが、信州大学、地域企業の協力の下、共同でバーチャル大学を運営し、人材育成に取組んでいる。分野毎に異なる各企業の強み、技術力を共有する仕組みづくりにも今後は注力したい。

庁内でRESASを普及させる手法について

吉岡副市長(うきは市)

・管理職会議にて、直接課長クラスの職員に対し、RESASの重要性や今後の機能追加等を説明するなど利活用に向けた働きかけを実施しており、その他の職員へも口コミ等で浸透している。アカウントを複数部署に割り振ることで、庁内全体がデータ分析に取組むことが出来る体制になっている。

・昨年8月に国主催のRESASワークショップを庁内で実施いただいたことは、職員のモチベーション向上にも繋がった。

ディスカッションを進行する藤原部長
ディスカッションを進行する藤原部長
会場参加者からの質問に回答する山岡課長補佐
会場参加者からの質問に回答する山岡室長補佐

第3部 近畿経済産業局の取組紹介

最後に、近畿経済産業局 総務企画部長の青木より、平成28年度以降重点的に取組む、(1)RESAS分析に頑張る自治体応援事業、(2)新規事業立案に頑張る自治体応援事業、(3)ローカル・イノベーション・クラスターの発掘・拡大の概要を説明しました。また、地域に縁やゆかり・愛着のある当局管理職で構成された「頑張る自治体応援隊」を紹介し、ネットワーク参加自治体に対しての積極的な活用を呼びかけました。

関連施策へのリンク

関西☆しごと創生交流フォーラム

関西自治体地方創生ネットワーク

地域経済分析システム(RESAS) ※Google Chrome外部リンク 新しいウィンドウで開きます

このページに関するお問い合わせ先

近畿経済産業局 総務企画部 企画課

電話:06-6966-6003

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