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最終更新日:平成28年8月1日
「父親が経営する工場を手伝う中で、工業製品の部品・電子部品の持つデザインの素晴らしさに魅了された」――それが、トーヨー電子製作所の田中 潤さんが「MASSANOVA ART(マサノヴァ・アート)」というロボットキャラクターを製作したきっかけです。
最初は知り合いの店の小さなスペースで細々と販売していましたが、それから22年たった今、数々のメディアに出演、月に数回の小学校等でのワークショップの実施、有名企業とのコラボも後を絶ちません。また、大阪府の「大阪製ブランド製品」の認定も受けています。田中さん曰く、「マサノヴァ・アートは、生活の中に必要ではないもの。“ちょっとホッコリ”する存在」だといいます。何が人々を惹きつけるのか、その秘密を探ってみました。
まず驚いたのが、製作現場で目の当たりにした職人の技です。0.4ミリの穴をドリルであけ、0.45ミリのネジ部品を組み込むところからはじまり、全ての工程を手作業で行っています。素人目には気の遠くなるような精緻な作業で、1年間に2万個以上を製作するという田中さんの超人さが垣間見えました。
マサノヴァ・アートは全て工業製品の部品・電子部品でできており、無機質なネジやプラグ、針金などが、田中さんの手にかかれば一瞬で表情を持つキャラクターになります。ワークショップでは、大人も子どもも釘付です。
また、全てのロボットキャラクターのデザインは田中さんが行っています。デザインから製作までを1人で行うことで、今までにはなかった、まさに人々を“ホッコリ”させてくれる独特の世界観を演出しています。
田中さんと近畿経済産業局との関わりは昨年8月に遡ります。「DISCOVER KANSAIプロジェクトinパリ」第1弾に選出され、SAS ENIS(サス・エニス)(※1)が運営するパリのショールーム「maison wa(メゾン・ワ)」で6箇月間、常設展示・テストマーケティングを行うことになりました。元々海外展開に興味を持っていた田中さんは、単独で行うよりも低価格で海外展開できる本プロジェクトに興味を抱き応募されました。売り上げは好調で、今春から始まった第2弾にも継続商品として選定されています。「パリに置いたら買ってくれるということが分かった。その事実が自信につながり、海外展開を本格化させるきっかけになった。」と言います。
中小零細企業が単独でパリに進出しようとすると、語学の壁や煩雑な輸出手続きなど、様々な問題が立ちはだかります。まずはテストマーケティングをしたい、それも数日ではなく長期間行いお客さんの反応をみたい、という企業はトーヨー電子製作所の他にもあると思います。本年秋からはじまる第3弾では商品募集の対象地域を関 東・中部(北陸含む)・九州地域にまで拡大し、選定商品数も増やします。
近畿経済産業局は、地域に埋もれたクールジャパン商品の掘り起こしと海外展開を、引き続き応援してまいります。
近畿経済産業局 産業部 クリエイティブ産業ユニット
電話:06-6966-6053