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最終更新日:平成28年10月3日
企業の製品安全対策意識の向上と製品安全に係る事業活動を応援するため、近畿地域(福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)で、経済産業省の「製品安全対策優良企業表彰(※1)」を受賞した企業(団体)を紹介します。
連載の6回目は、過去に受賞された企業や団体のうち、現在においても、特筆すべき活動を行っている兵庫県電機商業組合(以下「組合」)の取組を紹介します。
当組合は、兵庫県内の家電小売店805店(2016年7月31日現在)が加盟している組合で、加盟店の経営活性化や福祉に関する業務等様々なサポート、組合員への各法令関係の周知のほか、リコール製品の情報提供などの製品安全の取組を行うなど、組合員が「街の電気屋さん」としての活動を行っています。
その中で、2013年度には、以下のポイントが評価され、「第7回製品安全対策優良企業 特別賞」を受賞しております。
組合に窓口を設置し、組合員からの製品トラブルや商品クレームに関する情報を汲み取り、組合がトラブルやクレームに関する調整をメーカーと行う仕組みを構築し運用している。
兵庫県内各地の消費者団体と懇談会を定期的に開催し、家電製品の安全な使い方などの情報を提供するとともに、リコール情報をホームページや広報誌に掲載するなど、製品安全情報を積極的に発信している。
LED照明の取り付け時にトラブルが発生している状況を踏まえ、組合独自でLED照明の実証試験を行うとともに、消費者にわかり易いパンフレットなどを作成・配布し、全国電機商業組合連合会にも情報を提供している。
※1)製品安全対策優良企業表彰
経済産業省が実施する製品安全に対する特に積極的な取組を行っている民間企業(団体)を表彰し、事業活動や消費生活において製品安全が重要であるとする「製品安全文化」を定着させることを目的として、2007年度より実施している制度です。
2013年度製品安全対策優良企業表彰授賞式
(右側が、兵庫県電機商業組合理事長 高畑俊一氏)
製品安全対策優良企業のみ使用できるロゴマーク
当組合は、「製品安全対策優良企業表彰」受賞後も継続して製品安全の取組を行っており、その中から、「情報提供窓口の設置」、「高齢者や生活弱者への見守り活動」、「地域社会活動」など、特筆すべき活動について紹介します。
組合では、情報提供窓口を設置して、組合員からの製品トラブル・クレームに関する情報を汲み取り、製品の使用実態や不具合、事故情報の把握、分析を行い、その結果をメーカーに報告し、消費者にとって安全な製品が販売できるようフィードバックを行っています。
組合員から情報提供窓口に、消費者が電動ミキサーでピュレ(※2)を作ろうとして、果物の皮も入れて攪拌し、モーターに負荷がかかり、ミキサーから、発煙・発火の事故が起こった事例の情報提供がありました。
組合では、組合員からの情報をメーカーに報告し、「当該製品でピュレをつくらないでくださいという注意を取扱説明書へ入れるよう」要望した結果、メーカーが対応し同種の事故防止に繋がっています。
(※2)ピュレ
ピュレは、主に野菜もしくは果物の食材を生のまま、あるいは加熱し、電動ミキサーなどですり潰した後、細かな網状のピュレ用器具(裏ごし器)を通過させて、とろみのあるやや滑らかな半液体状にしたもの
取扱説明書にピュレをつくらないことを記載
消費生活用製品の製造・輸入事業者は、製品事故の発生又は事故の兆候を発見した段階で、新聞への社告やチラシの配布等を行ってリコール情報(※3)を消費者に通知していますが、リコール情報が所有者に届かない、所有者がリコール対応に係る手間を敬遠するなど、リコールは実施しているが、回収等が行われていないリコール未対策品による事故が多発しており重大な課題となっております。
2014年2月には、長崎県の高齢者用グループホームで、リコール中の加湿器を火元とする火災が発生して5名が死亡する事故が発生しています。
TDK株式会社が製造した加湿器のリコール(製品回収)の再周知
高齢化社会において、製品安全を守るためには、情報弱者の高齢者一人ひとりにリコール製品などの情報を確実に届けることが必要です。
そのことから、組合では、行政や関係団体と連携し、電気を安心・安全に使用してもらうために、高齢者や生活弱者への見守り活動を行っています。
2015年度は、9月を高齢者宅無料点検訪問強化月間として、見守り隊(組合員)417名が高齢者や一人住まいのお年寄りのご家庭5,507軒を巡回し、家電製品の点検、及び家電製品のリコール対象商品の使用がないか、確認作業を行いました。その結果、2件のリコール対象商品を見つけるなど実績がありました。
リコール情報ポスター
見守り隊ポスター
組合に加盟している家電小売店は、電化製品の配送や設置だけではなく、工事や修理、更に多くの店では、住宅設備の販売・施工やリフォーム等も手掛けるなど地道な訪問活動により、「街の電気屋さん」として、地域社会や消費者と密接な関係を築いています。
その中で、組合では、製品安全の取組だけでなく、組合員が「街の電気屋さん」として、地域社会に密着した活動を行っています。
2014年10月には、兵庫県警察本部と特殊詐欺(※4)の撲滅に関する協定を締結しました。
兵庫県警察本部が特殊詐欺の手口などの情報を組合に提供し、組合員である電気店が、家電製品の点検などで高齢者宅を訪問した際、被害防止策を伝えたり、不審な電話の有無などを聞き取ったりする活動を行うものです。
9月の高齢者宅無料点検訪問強化月間では、兵庫県や兵庫県警察と協働して、「電気の安心・生活の安全訪問実施中」のチラシを配付するなど活動に努めています。
啓発ポスター
(※4)特殊詐欺
面識のない不特定多数の者に対し、電話その他の通信手段を用いて、対面することなく被害者をだまし、不正に入手した架空または他人名義の預貯金口座への振り込みなどの方法により、被害者に現金などを交付させたりする詐欺
兵庫県電機商業組合理事長
高畑 俊一
我々は兵庫県全域の「街の電気屋さん」の集合体です。組合は、兵庫県や兵庫県警察とも協働し、日常業務としての訪問活動を通じて、消費者への「見守り活動」を推進しています。
又、省エネ・創エネ・蓄エネを総合した「スマートライフ(※5)」の情報を獲得し技術を磨き知識を増やす努力を重ねており、スマートライフ機器を消費者の皆さまに提案して、地球環境を守り、温暖化を防ぐための各種活動にも取り組んでいます。
業界団体の責務として、「製品安全」「生活安全」「スマートライフ機器提案」等の命題に総合的に取り組む事で、1店1店の小さな活動が、組合組織を通じて、線や面に発展し、互いに交差して立体的な姿となる事を理想としています。
今後も地味で真摯な取組を続け、我が業界の文化として定着して、社会に更にお役立ち出来る様に頑張って参りたいと考えています。
(※5)スマートライフ
「省エネ」家電に、太陽光発電などの「創エネ」機器と、蓄電池などの「蓄エネ」機器を組み合わせて、エネルギーを最適に利用する暮らし方。
理事長が経営する「びーんず株式会社」は、「第5回製品安全対策優良企業 中小企業小売販売事業者部門 経済産業大臣賞」(2011年度)を受賞しており、理事長である高畑俊一氏は、中小企業振興に功績があったとして、平成27年秋の褒章受章者に選ばれています。
組合は、「中小企業団体の組織に関する法律」に基づく『地域家電小売店』の商工組合で、各都道府県に一つのみ認可されている法定団体です。
所在地:〒657-0033神戸市灘区徳井町1丁目2-34
設 立:1959年5月
代表者:理事長 高畑 俊一
近畿経済産業局 産業部 消費経済課 製品安全室
電話:06-6966-6098