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新・ダイバーシティ経営企業100選について
~多様な人材の活躍を、企業の成長力に繋げる~【富士電子工業株式会社】
担当課室:産業人材政策課

最終更新日:平成28年10月3日

本コーナー は、「新・ダイバーシティ経営企業100選」(経済産業大臣表彰)の平成27年度受賞案件の中から、近畿管内の企業を毎月取り上げており、今月はベストプラクティス集から富士電子工業株式会社の取組を紹介します。

※ダイバーシティ経営とは「女性、障がい者、外国人、高齢者など、多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営」のことです。

【富士電子工業株式会社】

3代目女性社長の改革でグローバルニッチトップに成長

ダイバーシティ経営の背景

富士電子工業株式会社(以下「同社」)は1960年創立、高周波誘導加熱装置の設計製造販売および受託加工を行っています。

以前は自動車業界からの受注が9割を占めていましたが、米国サブプライム住宅ローン危機を契機に、取引先を拡大し、現在は自動車業界以外にも工作機械や農業機械などの幅広い業界との取引を行っています。

現社長が同社の社員だった頃は、男性中心の社内慣習に強い問題意識を持っていました。当時は、女性は男性の補助的な業務を担当することが多く、女性の職域は限られていました。当時社員だった現社長は、自ら営業職を志願し、「女性には無理だろう」と言われてきた職域で実績を上げることで、男女に差はないことを自らの行動で示してきました。こうした実績を通じて、社内の雰囲気や社員の意識に徐々に変化が生じ始めたものの、男性社員中心の社風はなかなか拭いきれず、女性社員のモチベーション向上やスキルアップは難しい状況でした。加えて、入社3年目前後の社員は出産・育児のために離職率が高く、これから重要な戦力となる人材を失っていることに強い問題意識を感じていました。

一方、海外との取引についても、従来、海外顧客とのやりとりに係る翻訳・通訳業務は外部に委託していましたが、同社製品はオーダーメイドの機械であるため、顧客の要望を取り込み、提案しつつ仕様を詰めていく必要がありました。しかし、委託業者を介してのやりとりでは、顧客の本音を聞くことや同社からの提案をうまく顧客に伝えることが難しく、顧客満足をより高めていくためには、製品に関する知識を持ち、同社の思いを伝えられる人材の配置と顧客対応を専門に行う部門の整備が必要でした。

取組内容

1.ビジネス拡大の要となる「企画室」を新設、営業部門の体制強化

現社長は社長就任後、「企画室」(現在、米国人、日本人の男性各1名、中国人、日本人の女性各1名の計4名から成る)を新設し、課題となっていた貿易事務(海外顧客との打合わせや受注、入札業務、契約書作成、HP多言語化や広報など)の改善や人材の採用および育成などに注力しました。

加えて、産休に入る社員に対して自らの経験も踏まえた職場復帰に係るアドバイスの実施や、社内環境の改善などにより、出産・育児を迎える社員へ職場復帰を促し、営業事務担当の女性社員に対しては、「当社にとって非常に重要な部分を担ってもらっている。お手伝いの業務と思わないでほしい」との社長の叱咤激励により、意識向上に取り組んでいます。その結果社員が自発的に基幹業務ソフトを改造するなど、業務改善が進むようになりました。また総じて働く意欲の高いシングルマザーも積極的に中途採用し、専門知識の修得のための研修を実施するなど、人材育成にも力を入れています。

マーケットシェア8割を誇る同社主力製品、クランクシャフト焼入設備

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2.フレキシブルな勤務体制をはじめとした環境整備

性別や家庭環境など、業務以外の要素により活躍が制限されることなく、優秀な人材の定着率を高めるため、とりわけ女性社員の待遇改善に関しては、様々な改革が推進されました。その一つとして、社長自身の子育て経験も踏まえライフイベントをハンディにしないよう、短時間勤務制度を導入しました。この制度は子どもの発熱などの急な事態に30分単位で無給休暇を取得できるもので、子どもが小学3年生になるまで活用することができます。以前は、育児休暇を最大期間取得した社員が、休暇以前の勤務のリズムが取り戻せないという理由で退職に至るケースが多かったのですが、これを減らしていきたいと考え出産後の女性社員が、極力早目の職場復帰をする代わりに、子どもの体調などに合わせて柔軟に勤務時間を増減することで、徐々にペースを取り戻し、仕事と子育ての両立に慣れ、職場復帰への不安を解消できるよう、心を砕きました。その結果、同社では出産を終えた女性社員の多くは、3、4か月から半年で復職しています。この制度の活用は女性社員が中心でしたが、現在では幼い子を持つ男性社員にも活用されるようになりました。さらに、2013年から子ども手当の額を底上げしたところ、第四子を持つ社員も現れるようになりました。

また、上長の推薦や社長の面接を経て、非正規社員8割が正規社員に転換したほか、他社では敬遠されがちなシングルマザーについてもその高いモチベーションを評価し積極的に採用しています。

さらに、製造業界の中でも女性社員の割合が特に低い素形材産業業界において、女性社員に定着してもらうための取組として、清潔な女子トイレの整備とポーチ置場のある洗面所の設置も行っています。

3.「倫理委員会」の設置をはじめとする風土改革

社内風土の改革も積極的に推進しました。離職者の退職理由に占める割合の高かった「上司とうまくいかなかった」という意見を受けて2013年に「倫理委員会」を設置し、調査権限を女性も含む主任クラスに委譲して、何かあれば直接社長に報告する仕組みを作りました。また、2014年から2015年には、マネジメント層の意識改革や社員のスキル向上のために、社内に外部から講師を招いての管理職と管理職前段階における社員への全体研修を継続的に開催しました。

さらに、社長の進める様々な改革や経営理念の浸透のために、毎月実施している総合朝礼、年2回の懇談会と年3回の個人面談などの機会を捉えて、社員とのコミュニケーションを密に取っています。

成果

企画室、営業部門を中心とした社員の活躍により、社の意向をダイレクトに顧客に伝えること、顧客の生の声をスピーディに製品に反映すること、多言語での問い合わせにも即座に対応することが可能となり、海外取引先は20か国以上に広がり、海外売上比率は2008年時の30%台から現在は50%台まで上昇しています。

また、様々な取組により、上司からの指示待ちの傾向が強かった社員たちが、自ら考える体質に変わり、当初反応の薄かった研修制度の強化に対しても、現在では進んで参加する気運に変化しつつあります。

さらに5年前には主任職以上の女性は役員を除き1名だったが、現在では6名になり、女性の平均勤続年数も5年で約1.4倍に伸びました。新卒学生を対象とした会社説明会のアンケートでも、男女ともに「働きやすい職場で魅力的」という回答が増加しており、グローバルな場で活躍できることへの期待からも採用時の応募が増加しています。現在新卒採用についてはほぼ全員が大卒者となったほか、現社長以前は採用がなかった外国人材についても、累計で4名採用に至っています。

2014年、同社での優れた取組が評価され、「日刊工業新聞社優秀経営者顕彰 女性経営者賞」を受賞、同年経済産業省「グローバルニッチトップ企業100選」に選定されるなど、グローバル市場の中で存在感を高めています。

掲載関連情報

企業名
富士電子工業株式会社外部リンク
所在地
大阪府八尾市老原6-71
電話番号
072-991-1361

関連施策へのリンク

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このページに関するお問い合わせ先

近畿経済産業局 地域経済部 産業人材政策課

電話:06-6966-6013

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