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新輸出大国コンソーシアムが始動しました。
~中堅・中小企業のTPP活用戦略~
担当課室:通商部国際課

最終更新日:平成28年11月1日

平成27年10月5日、環太平洋経済連携協定(TPP)が大筋合意されました。

TPP交渉参加12カ国の経済規模は世界の約4割と、かつてない規模の経済圏をカバーした経済連携で、アベノミクスの「成長戦略の切り札」と言われています。

その巨大な市場を獲得すべく、海外へ市場開拓や事業拡大を目指す中堅・中小企業を、官民の支援機関が一丸となってお手伝いするのが「新輸出大国コンソーシアム」です。これにより、全国4000社の企業の海外展開を支援する計画です。

今回は、その「新輸出大国コンソーシアム」の概要と活用方法とあわせて、実際に海外展開して成功している企業の事例を紹介します。

新輸出大国コンソーシアム

本事業の特徴

1.複数機関による総合支援

「新輸出大国コンソーシアム」事業は、経済産業局、日本貿易振興機構(ジェトロ)、中小企業基盤整備機構、JICA(国際協力機構)、各地の商工会議所や商工会、金融機関など、全国約1000カ所の支援機関が連携し、海外展開を目指す中堅・中小企業に対して、機関の垣根を越えた支援をしています。

事務局は、日本貿易振興機構(ジェトロ)で、関西地域ではジェトロ大阪本部がとりまとめ機能を担っています。

「新輸出大国コンソーシアム」の仕組み

「新輸出大国コンソーシアム」の仕組み

2.企業ごとに担当専門家の支援による二人三脚での取組

各都道府県のジェトロ貿易情報センター又は自治体等に「新輸出大国コンシェルジュ」を配置しています。企業ニーズを受けて、コンシェルジュが必要な支援策、支援機関、専門家を選定し、その企業に合った支援方法を提案します。

特に集中的な支援が必要な案件については「パートナー」と呼ばれる専門家を企業に紹介し、指名を受けたパートナーが、海外展開計画の作成から販路開拓、立ち上げ、操業までを、「企業と専門家」の枠を超えた“同志”として寄り添った支援を一貫して行います。

専門家による支援体制

専門家による支援体制

支援サービス(一例)

  • ジェトロ:海外展示会支援、海外コーディネータによる相談サービス、海外ミニ調査、専門家派遣
  • HIDA:人材育成支援事業、ビジネスマッチング事業
  • 中小機構:海外戦略策定・調査支援、E-コマース支援
  • JICA:民間技術普及促進事業、中小企業海外展開支援事業
  • 大阪商工会議所:原産地証明書の発給・相談、海外バイヤーとの商談会

サービス利用までの流れ

サービス利用までの流れ

サービス利用までの流れ

「これは、どこに相談に行けばいいのか・・・。」
「いろんな機関に同じ説明をするのは面倒。」
そんなときは、まずはジェトロの専門家コンシェルジュにご相談下さい。
なお、サービスを受けるには会員登録が必要です。
登録はコチラから

「我に続け、海外展開!」応援隊

既に数多くの中小企業や小規模事業者が海外市場の開拓に果敢に挑戦し、成功を収めています。これらの経験にこそ、海外展開の夢を実現するための秘訣があふれています。

そこで中小企業庁では、TPPが持つ大きなチャンスを中小企業・小規模事業者にこそ掴んでいただくべく、『「我に続け、海外展開!」応援隊』と題した海外展開の成功事例集を作成しています。

既に海外展開に成功している企業事例の中から、今回は大裕鋼業㈱(大阪府堺市)をご紹介します。

大裕鋼業株式会社 ~ゼロからの挑戦~

企業概要

  • 代表者:井上浩行
  • 売上高:87億円、従業員80人、資本金1億円
  • 主力商品:レベラー、スリッター、シャーリング加工製品
  • 進出先国:ベトナム
画像タイトル

 同社は、最新鋭の設備と薄鋼板加工のノウハウを活かした高品質で高精度な薄鋼板加工を得意とする西日本有数のコイルセンターです。特に、最小板厚50マイクロメートルの電磁鋼板コイルを最小幅30mm以下にスリット加工する生産設備・技術を有するのは西日本では同社のみという、高い技術を誇っています。

 国内市場の縮小を目のあたりにして、井上社長はかねてから魅力を感じていたベトナムへの進出を模索し始めますが、何から始めていいのか分からなかったそうです。そんな中、たまたま相談した堺市役所から中小企業基盤整備機構のF/S支援事業(海外ビジネス戦略推進支援事業)を紹介され、公募締切が迫る中で申請し、採択を受けたことから、具体的な取組が始まりました。

 早速、F/S事業を利用して、同機構のアドバイザーの助言を受けながら、ベトナムの鋼板企業やエンドユーザーに関する調査を実施しました。その結果、一定の需要が見込めると判断。本格的にベトナムへの進出を決意し、平成25年7月にはホーチミン市内に事務所を設立しました。

 その後の展開は素早く、平成26年5月に商工中金の「グローバルニッチトップ支援貸付制度」を活用してピンズオン省で現地企業から工場を買収。同年7月にはホーチミン事務所を現地法人化して「Daiyu SteelVietnam」を設立し、9月より本格稼働に至りました。日系企業だけではなく、現地企業との取引も重視する戦略で、現在では販売先を50社(うち日系企業12社)まで広げ、着実に業績を拡大中です。

同社成功のポイント

  1. 公的支援機関の支援制度を活用し、自社100%出資でベトナムに現地法人と工場を設立。
  2. ニッチトップ技術を武器に、現地ローカル企業を中心としたユーザーの細やかなニーズに対応。

海外進出に躊躇されている経営者の方に向けた、井上社長からのメッセージを紹介します。

井上社長

井上社長

『18年前から海外進出を志していましたが、未知の世界へ飛び出す勇気も無く、不安がつのり、石橋を叩いても渡れませんでした。実際に進出すると、経済発展している国でビジネスを考えることは、日本で思っているよりはるかに可能性を感じる事が出来ます。悩んでいる方がいたら、日本国内で考えずにすぐに飛び出しましょうとお伝えしたいです。』

TPPを契機に、我が国は工業品だけでなく、農産品や食品、コンテンツ、サービスなども積極的に海外展開する「新輸出大国」となることを目指します。その実現に向け、重要な担い手となる中堅・中小企業が積極的に海外展開出来るよう、当局としても引き続き全力で支援してまいります。

中小企業庁HPでは、他にも多くの事例を紹介しています。
 TPPを契機に海外展開に挑戦する際のヒントとして、是非一度、ご覧下さい。
 海外展開の成功事例(「我に続け、海外展開!」応援隊)

掲載関連情報

団体名
日本貿易振興機構(ジェトロ)外部リンク
所在地
大阪市中央区安土町2丁目3-13大阪国際ビルディング29階
電話番号
06-4705-8650
メール
お問い合わせフォーム

このページに関するお問い合わせ先

近畿経済産業局 通商部 国際課

電話:06-6966-6031

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