トップページ > 広報誌・E!KANSAI > 12月号TOPICS
最終更新日:平成28年12月1日
経済産業省は、民間企業の製品安全に対する積極的な取組を促進し、社会全体として製品安全の価値を定着させることを目的として、「製品安全対策優良企業表彰」を平成19年度より実施しています。
この度、平成28年度「第10回製品安全対策優良企業表彰」として、14社が決定しました。
このうち、近畿経済産業局管内(福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)から、経済産業大臣賞2社、商務流通保安審議官賞3社、優良賞(委員会賞)3社、計8社の受賞が決定しました。
消費生活用製品の製造事業者・輸入事業者及び小売販売事業者
企業の製品安全を確保するための体制を「4つの視点」から評価しています。
製品の企画・設計段階から製品の安全を確保するため、過去の不具合の要因を定量的に分析し、電源コードも含めた全ての製品を対象に、企画段階からリスクアセスメントを適用することで製品の安全性を向上している。さらに、リスクアセスメントの専門家の育成や認定する制度を構築し、海外も含めてリスクアセスメントについて社員への浸透・拡大と定着に取り組んでいる。
リスクアセスメント推進と連動し「リスクの見積・評価」および「妥当性検証」の質の向上を推進し、危害の程度を定量的に見積もることで、リスクの正確な評価を実現している。人間工学の面からも安全性向上の研究を進め、人共存ロボットの開発や、バーチャル空間での評価技術の開発に取り組んでいる。また、それらの技術を、国際規格への適合も考慮し、過去から蓄積された知見(過去不具合事例等)とともに社内技術標準化として取り組んでいる。
製品事故が発生した場合は、発生した事故の規模に限らず、軽微な傷害でも原因究明の実施や再現実験での確認等技術的検証により、事故の発生メカニズムを分析し、最大危害と発生確率の予測から経年劣化も考慮したリスクの検証や、根本的対策を検討するとともに、市場対応の体制も整備することで、社会的影響度も配慮した市場対応にも早急に取り組んでいる。
製品開発は、第一にユーザーの安全を確保、第二に使いやすさによる快適性、第三に利便性による作業の能率化・効率化を優先して、経営者を含め全従業員が取り組んでいる。壊れる場合でもユーザーの安全性を確保するという設計思想に基づき、製造上の工程、材料等を考慮し、工具に過大な力が掛かった場合には、あえて壊れる構造に設計するなど、ユーザーの安全確保を実施している。
SNSサイトや会員サイトの運営により、ユーザーと繰り返し何度も直接コミュニケーションし情報交換することで、工具を使用するユーザーのスキルアップを図っている。また、製品安全に関する理解を深めてもらえるよう、季節や地域の情報等も加えて、定期的に様々な情報を提供する等の工夫を行っている。
工具の安全な使用方法の教育と普及のために、ユーザーとのコミュニケーションスペースとして「KTCものづくり技術館」を設置し、様々な工具を展示するとともに、自動車の整備を体験できる研修用ピット等も備え、代理店や販売店を対象とした工具の使い方研修会や、学生やユーザーを対象とした使用体験会を実施する等、安全を学べる場所を提供することで、安全文化の発信に貢献している。
企画から生産まで一貫体制による安全・品質確保の取組や使用者の要望を積極的に調査し、使いやすい上に安全性が高い製品の開発に取り組んでいる。生産工程においては、より壊れにくくするために加熱する工程を追加するなどの工夫を加え、製品の安全性を確保している。製品に要求される機能を実現するために、法令・規制の要求を含め、国際規格も考慮した自社規格を制定し、製品試験で確認している。
刃物という使用にあたって危険を伴う製品であることから、使用者に対して使用上の注意情報を伝えるため、包装箱の裏面を利用し、イラスト等を工夫したわかりやすい情報提供を実施している。また、安全に使用するためには、使用する場所と対象物に応じた適切な製品を選択することが必要であることから、ホームページを利用して製品選択に関する情報提供を実施している。
刃物が取り付けられる機械のメーカーに対して改善提案を行い、製品全体の安全性向上を実現している。機械メーカーと協力して、刃物を取り付けた状態での安全確認を実施し、製品全体の安全性向上に取り組んでいる。
欧州からエスプレッソマシンを仕入れる際は、CEマーキングの取得を確認するとともに、トレーサビリティの確保のために日本国内での使用に問題ないかについても確認するプロセスを規定化し実施している。また、実際にサンプル品を取り寄せて、図面と実物とのチェックをはじめ、安全上の機能のチェック、食品を扱う機械として要求される検査を実施している。
出荷の際には自社規格(Daiichi品質)を設けて全品を試験しており、電気系統、水道系統、外観、異音、蒸気、味等についてチェックするとともに、耐久性や強度が不足している部品は交換して出荷している。取扱説明書は使用者目線で日本向けに作成し、正しい使い方を、わかりやすく詳しく説明している。また、安全に関する注意事項は必ず確認してもらえるよう、開封してすぐ目に留まるようにマシンに直接貼付している。
毎日昼礼を実施し、必要な情報の共有を繰り返し実施している。また、社是、仕事の意義といった基本から、エスプレッソマシンの使い方など全従業員が参加する研修を実施している。全従業員がマシンを使えるようになることで、使う側の立場から、マシンの安全性についての意見が提案されるなど、製品安全に対する意識の向上を図っている。
自社品質基準を策定し、販売する全ての商品で、取引先に対して、品質基準を満たす安全な製品を納入することを求めている。新規取引先に対しては、事前に品質基準を提示し理解を求めている。カタログに掲載前の商品全てを品質管理室にてチェックし、品質基準を満たしていることを確認するとともに、初回入荷時には、物流センターにおいて、抜き取り検査を実施している。
下見サービスとして、電動車いすについては、必ず販売前に家族の立会のもとで試乗を実施した上で販売しており、玄米保冷庫についても、販売前に現地にて設置場所や電源・アース等の設備の確認を行った上で販売している。また、商品の不具合発生時は、画像で不具合部分を記録し、仕入先で具体的対策が行えるような画像情報の共有の仕組みを構築している。
製品を安全に使用することを目的に、消費者が製品安全に関する知識を少しでも高められるよう商品の販売カタログに製品安全に関する記事を掲載している。また、通販企業でありながら、顧客宅を訪問する専任担当者を用意しており、消費者とのコミュニケーションを図り、製品安全の情報を提供している。
全ての製品に関して適用する発火・感電・爆発に係る安全性基準を、全グローバル拠点で統一して守るべき基準として策定している。その中で、部品自体が発火しないような対策、発火しても延焼しないような対策、さらに発火部を囲う対策を行い、多重安全設計の考え方に基づく業界水準を超えた設計思想により安全性を向上している。
製品や製造工程で起こりうるトラブルの知識を体系化できるSSM(ストレス・ストレングス・モデル)を活用して、過去の不具合内容等をデータベース化している。全ての製品の設計開発の各段階でこのシステムを活用し、不具合の検証に用いるとともに、その結果を知識として蓄積して再利用する仕組みを用意し、製品の不具合等の未然防止に取り組んでいる。
全世界共通の製品の安全を確保するために、グローバル拠点の開発メンバー向けに、日本のスタッフが製品安全基準の内容を教育し、実際の製品で構造設計の方法を指導し、各拠点で製品安全基準に適合する製品を開発・製造できるように取り組んでいる。
身体に有害な「アゾ染料」について、法令施行に先駆けて自社規格を制定し、製品の安全性を確保している。また、身体の動きのサポートや、生地が肌に接触する際の身体への影響度について、社外専門家や試験機関とも連携し、安全性の確保について確認を行っている。
肌着等の生地に使用する資材の調達は、自社規格に適合した仕入先を選定し、素材毎の性能保証を個別に確認している。縫製工場内では、針、工具、ハサミ等の危険物の管理と検針の体制を整備するとともに、縫製工場・保管庫における、「ホルムアルデヒド」の調査を実施し、製品への移染防止を図っている。
資材の調達から縫製工場での生産、および出荷された製品にいたるまで、トレーサビリティを確保するための仕組みを確立し、製品に問題が発見された場合には、速やかに問題発生箇所を特定することを可能としている。また、日中共同開発のアゾ染料管理の仕組み「ホワイトリスト管理システム」を導入したことで、サプライチェーン管理とトレーサビリティ確保の強化に成功した。
全ての製品の開発時に「設計開発計画書」を作成し、要求される機能、安全性、該当法令・規格、自社規格を明確にしている。開発段階においては、製品レビュー、検証、妥当性確認を実施し、リスクの検証とエビデンス取得を実施している。歯ブラシのハンドル部を成形する金型の設計段階では、シミュレーションによる流動解析結果を3Dプリンタで具現化し、関係者で問題を共有することで、迅速な対策を可能にしている。
年間1500万本製造される歯ブラシの全品に製造番号を刻印しており、製造番号を検索することで、歯ブラシの種類、ハンドルの色、成形実施日、成形機械、包装機械等の情報が得られ、更に、問題の製品を製造した設備の絞り込みから、不具合が発生した場合の原因究明と対策を進めることが可能である。
製品の安全性に関係するJIS等の公的規格が存在しない場合には、複数の第三者試験機関と連携し自社規格を策定している。現在、歯ブラシだけでなく、食品保存容器、洗濯用品等、販売する全ての商品カテゴリーについて策定し、安全な製品開発に取り組んでいる。
第10回 製品安全対策優良企業表彰」受賞企業が決定しました~近畿から8社が選定されました!~
近畿経済産業局 産業部 消費経済課 製品安全室
電話:06-6966-6098