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最終更新日:平成29年1月4日
平成28年11月24日の記念式典を皮切りに福井県で第33回伝統的工芸品月間国民会議全国大会(~11月27日)が開催されました。今回はその魅力に迫ります。
そもそも「伝統的工芸品」とは何でしょうか。日本には、歴史と風土に育まれ受け継がれてきた技術・技法を駆使して、私たちの日常生活に手作りの温もりを伝えてきた数々の工芸品があります。地域に根付いて地域産業・文化の発展に貢献してきたこれらの工芸品は、日本の「ものづくり文化」の象徴であり、世界に向けて日本らしいブランド発信を行うことができる日本の貴重な財産です。そういった素晴らしい工芸品を「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」に基づいて国(経済産業省)が「伝統的工芸品 ※」として指定しています。平成28年11月現在、222品目が指定され、そのうち45品目が近畿局管内にあります。
※伝統的工芸品として指定されるには、日常生活で使われ、100年以上の歴史を有し、伝統的技術・技法によって製造される等の要件を満たす必要があります。
伝統的工芸品の普及啓発のために、毎年11月を伝統的工芸品月間とし、伝統的工芸品の魅力を発信する様々な活動が行われていますが、その中心となるものが全国大会です。今回、鯖江市文化センターで開催された記念式典では、伝統的工芸品産業功労者(産地組合役員や伝統工芸士)等に対する経済産業大臣表彰、近畿経済産業局長表彰が行われました。
会場の様子
1万人の観客を収容できるイベントホール「サンドーム福井」では伝統的工芸品、匠の技を持つ職人が全国各地から集結し、伝統的工芸品の展示販売、職人の手ほどきによる伝統的工芸品の製作体験等様々な催しが行われました。また、今回はバスで産地を巡る工房ガイドツアーも開催されました。今回はその一部を紹介します。
会場に入るとまず目に飛び込んでくるのが、越前漆器の技を凝縮した越前塗山車。見上げると世界最大の手漉き越前和紙で作られた平成大紙の迫力に圧倒されました。
「日本伝統工芸士会作品展」では、全国の伝統工芸士から新作が発表されました。伝統工芸士の技量が存分に発揮された様々な作品が展示され、来場者は感嘆の声をあげていました。
TSUBOMIブランドの器等
「全国くらしの工芸展」では、北は青森県津軽塗から、南は鹿児島県本場大島紬まで、全国各地の38の伝統的工芸品が展示され、来場者は一流の職人から伝統的工芸品についての説明を受けつつ、商品を購入していました。
「若手職人の作品展」では福井県の7つの伝統的工芸品のこれからを担う若手職人と秋元さくらシェフがコラボして生まれた新しいブランド「TSUBOMI」の器等が展示されていました。長い歴史の中で受け継がれてきた技術・技法を用い、若者の感性と使い手の感覚を融合させた器は機能美に優れつつ、柔らかなデザインで、普段使いからおもてなしまで幅広く使用することができます。
製作体験の様子
「伝統工芸ふれあい広場」では25の伝統的工芸品の製作体験が用意されていました。ブースが多く、どの体験をしようか迷うところです。特に土日は盛況で、早々と用意していた材料がなくなってしまうブースもあったとのことです。
また、福井の7つの伝統的工芸品をイメージして作られたオリジナルのスイーツを越前焼の器で楽しめる伝統工芸とお菓子のコラボ等、伝統的工芸品をより身近に感じてもらうための様々な試みがあり、来場者は目で楽しみ、口で楽しんでいました。
また、会場内のステージでも様々なイベントが開催されました。
播州そろばんショーの様子
「播州そろばんショー」では播州算盤工芸品協同組合 副理事長の宮永さんが播州そろばんを紹介していました。ちょうど会場を見学に来ていた小学生が集まり、宮永さんの説明にも熱が入ります。説明の後は子ども達によるそろばんの玉入れ競争です。宮永さんのようにたくさんそろばんの珠を串に入れようとステージは大盛り上がり。子ども達がこれをきっかけにそろばんに興味を持ってくれることを願いつつ会場をあとにしました。
来年の全国大会は東京で開催(11月2日~6日)が予定されています。またひと味違った全国大会になりそうです。伝統的工芸品に触れる文化の秋、皆様も是非訪れてみてはいかがでしょうか。
近畿経済産業局 産業部 製造産業課
電話:06-6966-6022