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関西再生医療産業コンソーシアム(KRIC)登録企業紹介「テック・ワーク株式会社(京都府長岡京市)」
顧客満足向上を図るため、一貫生産システムを構築し、新規分野へ積極的に挑戦
担当課室:バイオ・医療機器技術振興課

最終更新日:平成29年2月1日

企業紹介

テック・ワーク株式会社は、田中社長が数十年の会社勤務を経て、板金加工を中心とした加工業として1991年に創業、1995年に設立された会社です。当時はバブル崩壊の影響やグローバル化の進展により経営環境が厳しく、数多くの同業者が廃業に追い込まれるといった荒波の中での船出でした。必死に顧客回りをする中で田中社長は、「メーカーも変革時期にある中、加工業者も従来のやり方に固執せずフレキシブルに対応しなければ生き残れない」ことに気付きました。アジア圏の企業との熾烈な価格競争に巻き込まれ、多くの同業者が脱下請けを目指す中、板金加工技術を核として、あえて下請けを極め、顧客ニーズに柔軟に対応することにより、顧客から必要とされる企業になろうと決心しました。

そこで、Q(品質)C(コスト)D(納期)面で顧客に最大限の付加価値を提供するため、他企業の協力も得ながら設計から部品加工、組立までの一貫したサービスの提供を始めました。煩わしい購買・発注を任せてもらうことで製造原価削減に貢献する仕組みは、少しずつ顧客に浸透し、現在は販売支援まで含めた独自の「ニュートータル生産システム(設計から完成品までの一貫した生産システム)」として、新しい生産体制の仕組みを積極的に提案しています。ベンチャー企業を中心に製造部門をそもそも持たないファブレス企業の増加もあり、「今後も加工業者の必要性はなくならない。但し、環境の変化に応じて積極的に変わっていく必要がある。」と田中社長は断言します。

(左から)小網健史設計部課長、田中丈夫代表取締役社長、和田松二郎氏(新商品企画室)

(左から)小網健史設計部課長、
田中丈夫代表取締役社長、
和田松二郎氏(新商品企画室)

テック・ワーク株式会社本社工場。様々な加工機が並ぶ。

テック・ワーク株式会社本社工場。
様々な加工機が並ぶ。

 

再生医療分野への挑戦

「ニュートータル生産システム」の導入により、これまで手薄であった設計部門が強化され、それまでの顧客からの設計図どおりのものづくりだけでなく、顧客への提案営業が可能になりました。そのような中、2012年に京都大学山中伸弥教授がノーベル生理学・医学賞を受賞されてから産業界における再生医療分野への関心が一気に高まりました。本社も京都に所在しており、再生医療分野で何かできないかとiPSアカデミアジャパン株式会社(当時。現在は株式会社iPSポータル)が主催する勉強会に参加し始めました。再生医療分野はまだ立ち上がったばかりであり、参入のチャンスがあると考えたからです。

(株)iPSポータルと共同開発したiPS細胞用ガス温度調節装置

(株)iPSポータルと共同開発した
iPS細胞用ガス温度調節装置

2013年にはiPSポータル社と、細胞の環境を一定に保つ「iPS細胞用ガス温度調節装置」を共同開発し、自社にとって初めての再生医療分野への挑戦となりました。自社だけでは大学や研究者がもつ課題やニーズを把握することは難しいため、iPSポータル社が双方の橋渡しを担う役割を果たしてくれたことは非常に助かりました。

 

再生医療分野は周辺産業も含めると裾野が広いため、自社単独では対応ができないことも多く、より多くの企業とのネットワーク構築を目的に近畿経済産業局が主催する関西再生医療産業コンソーシアム(KRIC)にも登録しました。

新発想!「引っかかりのない遠沈管ラック」の開発

KRIC事務局より某製薬メーカーからのニーズを解決できる企業の募集があり、チャレンジしたことが、新製品の開発に繋がりました。細胞培養の現場における滅菌・減菌管理は非常に重要であり、少しのコンタミ(コンタミネーション(contamination)」の略称。異物混入)で製造ロット全てが不合格になるリスクがあります。しかし、現場でよく使用される一般的なステンレス製のワイヤーラックは、切削・溶接加工した状態がそのままの製品も多く、作業者の手袋と接触することで手袋に穴が空いたり、作業後に消毒する際に不織布が引っかかってしまい、糸くずが残ってしまうなど、コンタミの原因の1つとなっていました。

一般的な製品では切断・溶接部分がむき出しでコンタミの原因に

メーカーからは、アイソレーターやクリーンベンチ内でも使用でき、コンタミのリスクを解消できる遠沈管ラックのニーズを寄せられ、担当者と何度もCADデータで図面をやりとりし、細かな調整を繰り返して完成したのが「引っかかりのない遠沈管ラック」です。最大のポイントはループ状のステンレス素材を使用し、使用点数も極力絞ったことで、作業中の引っかかりをなくし、コンタミリスクを回避できることです。機能面だけではなく、デザイン面にもこだわり、ユーザーに新たな価値を提供しています。

ユーザーニーズをもとに新たに開発された遠沈管ラック

横浜での再生医療JAPAN2016KRICブースに製品を展示

横浜での再生医療
JAPAN2016KRICブースに
製品を展示

「再生医療JAPAN2016」(平成28年10月12~14日 於パシフィコ横浜)へのKRICの共同出展にも参加し、本製品を含めた製品展示を行いました。再生医療分野の関係者が一堂に集まる展示会であったため、製品に対する様々な意見を聞けたことで、今後の製品改良や開発に繋がるヒントが多く得られました。また共同出展企業同士のネットワークが構築できたことも大きな収穫でした。今後多くの企業や研究機関、大学で利用してもらえるよう販売活動に力を入れていきます。

 

今後の展開について

自社にとって再生医療分野は新たなチャレンジの1つであり、今後も部品加工技術を核に、自社にしかできない付加価値を提供することで、顧客に選んでもらえる会社であり続けることが目標です。

掲載関連情報

企業名
テック・ワーク株式会社
所在地
京都府長岡京市勝竜寺八ノ坪1-6
電話番号
075-951-9531

関連施策へのリンク

関西再生医療産業コンソーシアム(KRIC)

このページに関するお問い合わせ先

近畿経済産業局 地域経済部バイオ・医療機器技術振興課

電話:06-6966-6163

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