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最終更新日:平成29年2月1日
企業の製品安全対策意識の向上と製品安全に係る事業活動を応援するため、近畿地域(福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)で、経済産業省の「製品安全対策優良企業表彰 (※1)」を受賞した企業を紹介しています。今回からは第10回表彰(2016年度)の受賞企業を紹介します。
今回は、「大企業製造・輸入事業者部門 経済産業大臣賞」を受賞したパナソニック株式会社エコソリューションズ社の取組です。
(※1)製品安全対策優良企業表彰
経済産業省が実施する製品安全の取組に対して特に積極的な活動を行っている民間企業を表彰することで、事業活動や消費生活において製品安全が重要であるとする「製品安全文化」を定着させることを目的として、2007年度より実施している制度です。
2016年度製品安全対策優良企業表彰授賞式(右側が、パナソニック株式会社エコソリューションズ社品質・環境推進担当 大瀧 清 常務
製品安全対策優良企業のみ使用できるロゴマーク
パナソニック株式会社エコソリューションズ社は、照明器具、配線器具(コンセント等)、水廻り設備(システムキッチン等)、換気機器、介護器具などの消費生活用製品を取扱っている製造事業者として、消費者に安全な製品を提供するため、製品安全活動に取組んでいます。
製品の企画・設計段階からの製品安全確保の要としてリスクアセスメント(リスク特定、リスク分析、リスク評価を網羅するプロセス全体を指す(以下、RA))の推進を2006年度より開始し、2008年度には全新製品での実施を必須としています。
2009年度からは製品開発プロセスにおける品質確保のための設計サポートシステムとして「Q-TRADシステム」を開発・運用しており、この中にRAや品質評価データベースを組込んでいます。また全新製品で確実にRAが実施されるよう、承認システムも備えています。
Q-TRADシステム
またRAの専門家を育成し、社内認定するリスクアセッサ認定制度を2006年度より開始し現在も継続しています。リスクアセッサの役割は、RAのレビューの作成、技術者へのRA教育です。
2014年度より海外でもリスクアセッサ認定制度を開始し、現在304名(国内268名、海外36名)のリスクアセッサが活動中です。海外については中国、台湾、インドと続いて2018年度末までに設計機能を有する全ての海外連結会社にリスクアセッサを設置する計画です。
「品質評価技術」を「商品技術」や「生産技術」とならぶ3つの基幹技術の1つと位置づけており、先端技術の動向調査やクレーム情報から課題を抽出して計画的に技術開発に取組んでいます。成果は社内の技術標準としてまとめて活用することで、品質向上を実現しています。
最近の事例としては、頭部への落下衝撃における傷害レベルを推定する技術開発が行われており、これには2つの取組みがあります。1つは頭部傷害レベルのシミュレーションです。モデルを作成し、皮膚や頭蓋骨の物性データ等を活用して解析システムを開発、そこに落下してくる製品特性(質量や速度など)を設定することで傷害レベルを算出しています。もう1つは頭部の評価用ダミーです。実際に製品を落下させて荷重を評価することで、より精度の高い判定ができるようになっています。
いずれも計測された値をもとに傷害レベルの推定を行い、リスクアセスメントによる判定へと繋げています。
シミュレーションによる傷害レベル推定
頭部ダミー
2008年度より、製品事故の内、発生頻度の高い事象を「製品安全トラブル7選」としてまとめ、全技術者に事故の再現事例を映像で見せるなどの教育を実施し、製品事故を再発させない風土づくりに取組んでいます。また繰返し教育ができるようDVDと冊子を日英中の3ヶ国語で作成しています。
2016年度には最新情報に内容を刷新して全技術者に対して再教育を展開しており、「樹脂劣化」などの分野に特化した特別講義も同時に実施しています。
弊社ではリスクアセスメントを基軸とした製品安全確保の取組を推進しており、商品開発の源流からリスクアセスメントを実施し、お客様により安全な製品をお届けすることを心掛けています。
一方で、お客様にご迷惑をお掛けした場合は、早急に対処し、お客様のご迷惑を最小限にする体制構築にも取り組んでいます。
今後も製品安全対策優良企業として積極的に製品安全活動を推進して参ります。
品質・環境部 品質リスク管理課 担当部長 西浦 正孝 氏
近畿経済産業局 産業部 消費経済課 製品安全室
電話:06-6966-6098