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最終更新日:平成29年2月1日
公設試とは、地方自治体が設立した公設試験研究機関の略称で、地域の中小企業の技術に関する相談窓口として、様々な支援を行っています。
工業系公設試では、ものづくり企業を支援するため、技術的なご相談に対応する「技術相談」、公設試にある機器を利用して試験研究や検査を行うことができる「機器利用」、成分分析等の「依頼試験」や、公設試の研究者とともに新技術の開発等を行う「共同研究」等、様々なメニューを用意しています。
近畿管内には10の工業系公設試があります。中にはすでに100年以上の歴史を持つ機関もあり、長年にわたって地域の産業を支えてきました。
今回は、今年度に創立100周年を迎えた近畿経済産業局管内の3つの公設試を紹介します。
和歌山県工業技術センター
食品や化学、繊維、機械、金属などに関わる企業の多い和歌山県。
近年は、IT・IoTを利用した「スマートプロセッシングラボ」、地元の繊維・皮革業界をサポートする「レザー&テキスタイルラボ」、地域農産物を市場ニーズにあわせた食品への加工を行う「フードプロセッシングラボ」をオープンラボ事業として整備しているところです。このように企業が保有する既存技術を軸にその技術の派生展開を担う「技術の接ぎ木」としての役割を担いながら、地域産業のコア技術の育成を行っています。
平成28年5月には100周年記念としてリニューアルセレモニーを開催、今後もさらに地域産業に対する中核的産業技術支援機関としての役割を果たせるように取り組んでいます。
地方独立行政法人 京都市産業技術研究所
高分子系・金属系・窯業系・製織システム・バイオ系・表面処理・デザイン・色染化学の8つの研究チームが、ものづくり企業への技術支援を行っています。
また、陶磁器、京友禅、漆工、西陣織など京都の伝統産業の職人を育成するほか、伝統技術と先端技術の融合など知恵産業を技術面から推進しています。
平成28年11月には100周年記念式典を開催、今後も京都におけるものづくり文化の継承と発展のため、進化を続けます。
地方独立行政法人 大阪市立工業研究所
化学、高分子、バイオ・食品、ナノ分野等に関する研究開発に取り組み、その成果を基盤に受託研究を中心とする技術支援と技術ノウハウを公開しています。
多様化する企業ニーズに応えるため、企画開発から製品化、産学官連携など、さまざまな支援メニューを用意し、地域企業の多彩な新技術開発を目指しています。
平成28年7月には創立100周年記念講演会を開催、平成29年4月には地方独立行政法人大阪府立産業技術総合研究所との組織統合により、地方独立行政法人大阪産業技術研究所として新たなスタートが予定されています。
今回ご紹介した以外にも、近畿経済産業局管内では、兵庫県立工業技術センターと奈良県産業振興総合センターが平成29年度に100周年を迎えられるほか、福井県工業技術センターや滋賀県東北部工業技術センターなど、すでに100年以上の歴史をもつ公設試もあり、長期にわたり技術で地域を支えています。
近畿経済産業局では、近畿管内の10の工業系公設試と国立研究開発法人 産業技術総合研究所関西センターで「近畿地域産業技術連携推進会議」というネットワークを構築し、地域における中小・ベンチャー企業の技術の向上を目的に、日頃の研究成果を紹介し、技術の橋渡しを目指す発表会「テクノリサーチコンファレンス」の開催や、イベント情報等を発信するホームページ「テクノインフォメーション」の運営、公設試研究者の研修会の開催等の取組を行っています。
公設試では、様々な技術的な相談を秘密厳守で応じていますので、公設試をご存じなかった方、まだ利用されたことがなかった方も、技術的な悩みや相談があれば、まずは一度近くの公設試に相談されてはいかがでしょうか?
課題解決のヒントや、新たなビジネスチャンスを得られるかもしれません。
公設試を活用したイノベーションの創出について(E!KANSAIバックナンバー)
近畿経済産業局 地域経済部次世代産業課産学官連携推進室
電話:06-6966-6164