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自動車鍛造から宇宙産業スペースシャトル・水素ステーションまで
~サムテック株式会社~
担当課室:総務課

最終更新日:平成29年3月1日

サムテックの概要

サムテック株式会社は、1913年に創業した鍛造のメーカーです。自動車用鍛造品、フローフォーミング成形品、高圧ガス容器、薄肉ライナーの製造販売を行っています。「SAkaguchi Multi TECHnology」の頭文字をとったサムテックは、自動車向けの鍛造に特化して量産しているメーカーとしては、近畿内でも数少ない企業の一つです。水素ステーション向けの水素ガス容器の供給にも力を入れています。大阪府柏原市と羽曳野市に本社と7つの工場を構え、海外にも積極的に進出しており、アメリカ、タイに子会社を保有しています。

今回、同社を訪問し、技術の強みや積極的な海外展開、支援施策へのお考えなどについて、取締副会長 阪口 龍二様、代表取締役社長 阪口 善樹様、常務取締役 阪口 竜弥様にインタビューを行いました。

精密熱間鍛造

技術の強みについて

サムテックは日本初の技術を多くもっています。例えば、熱間鍛造プレスのトランスファー(自動搬送装置)や、ベアリング内外輪の親子取り鍛造法、フローフォーミング技術(注1)などが挙げられます。現在では多くの企業が行っている重油炉から電気炉(IH)への転換も実はサムテックが先駆けとなっています。

また、量産化を初めて行った例として、熱間鍛造の自動車用ホイールハブユニットなどがあります。熱間鍛造では、どれだけ材料の使用量を削減できるか、どれだけ後工程の加工が少なくできるかが重要です。本製品は、機械加工代を従来の半分にした精密熱間鍛造技術により材料費と後加工時間を削減し、コストダウンに大きく貢献しています。その後、さらなる材料削減の追究のため、閉塞鍛造技術をハブユニットの熱間鍛造に適用しました。これは、閉塞鍛造によりハブユニットの外バリ(注2)を削減するもので、量産化にはとても高い技術が必要でした。この技術により、材料費の削減と大幅なコストダウンが実現しました。

自動車はモデルチェンジ毎にベアリングのハイブリット化が進み、これらの技術により受注が増加し、自動車用部品のホイールハブユニットでは、全国トップクラスの生産量を誇っています。

(注1) フローフォーミングは、製造過程における工法の一つ。特殊な金型の上にカップ状の素材を乗せ、ローラーでしごきながら伸ばす塑性加工技術。

(注2) バリは、材料を加工する際に発生する素材の残材部分。

熱間閉鎖鍛造による異形品の外バリ無しの製品の量産化
熱間閉鎖鍛造による異形品の外バリ無しの製品の量産化

(熱間閉鎖鍛造による異形品の外バリ無しの製品の量産化)

さらに、自動車向けの鍛造品やフローフォーミング成形品の製造を行う中で得た技術やノウハウを活用して水素ステーション向けの高圧ガス容器を製造しています。輸送用、蓄圧用、車載用などの超高圧水素容器を製造しており、現在は蓄圧用がメインです。水素ステーション用の高圧水素容器(複合蓄圧器)の認可を日本で初めて取得し、日本の水素ステーションの約8割のシェアを占めています。

アルミライナー
アルミライナー

積極的な海外展開

アメリカへは、販路など、現地での仕事もあまりない状況で1996年に進出しました。進出のきっかけは、当時ドイツから導入したフローフォーミング技術でした。その新しい技術を使って、高圧容器用アルミライナーを製造販売したい、そのための市場が日本にはないためアメリカに進出しようと考えましたが、既に競合がいたこともあり、当初目論んでいた空気呼吸器(消防士が背中に背負うボンベ)用ライナーの売り上げは伸び悩みました。一方で、フローフォーミング技術の特長を生かした、薄肉で軽量なアルミライナーを開発し、航空宇宙産業への販路を開拓しました。その結果、この分野において、サムテックのフローフォーミング技術によるアルミライナーに競争力が認められ、現在のアメリカ工場では、アメリカ国内向けの売上が70%に上ります。

このアメリカ進出の経験から、その後の海外進出では、まず販路を充分に確認することを特に心がけています。タイに進出する際には、採算が取れる見込みが確認された上で、綿密な計画のもと進出をしました。阪口社長は、「お客様がおらず仕事が無いという状況は、絶対に避けなければならない。」と語ります。

また、狭い範囲に自動車業界が集積しているメキシコにも進出することを決め、現在はアメリカ、タイでの経験をもとに、進出の準備を整えています。

支援施策に対して

これまで、補助金や助成金、税制措置など数多くの支援施策を活用し、設備のいくつかに何らかの形で補助金や助成金等を使っています。

これからも設備投資や海外展開を積極的に行っていく中で、様々な公的な支援施策を活用していきたいと考えています。

 

※本ページは、当局若手職員の取材によるものです。

掲載関連情報

企業名
サムテック株式会社
所在地
大阪府柏原市円明町1000番18
電話番号
(072)-977-8851

このページに関するお問い合わせ先

近畿経済産業局 総務企画部 総務課

電話:06-6966-6001

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