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月末金曜日はプレミアムフライデー
少し早めに仕事を終えてちょっと豊かな時間を過ごしませんか
担当課室:流通・サービス産業課

最終更新日:平成29年4月3日

1.プレミアムフライデーについて

(1)新たな消費文化の醸成

平成26年9月に経済政策「アベノミクス」の第二ステージである「新三本の矢」が打ち出され、その第一の矢として2020年頃に名目GDP600兆円を達成することが目標に掲げられました。この目標の達成に向け、GDPの6割を占め、消費税が8%に上がった平成26年4月以降停滞している内需の柱である個人消費を増やすことが喫緊の課題となっています。このことは、「日本再興戦略2016」(平成28年6月2日閣議決定)においても「官民連携による消費マインドの喚起策」を実施していくことが必要な旨盛り込まれています。

平成27年2月、経済財政諮問会議において消費喚起策の構築に向けた議論があり、これを受け経団連内に消費拡大に向けたプロジェクトチームが設置されました。経済産業省、経団連、業界団体が中心となり新たな消費喚起策の構築に向けた検討が始まり、デフレからの脱却を図るため、単なる安売りやセールではなく、豊かな時間を創出するという観点から、消費者が自分自身にとって価値があると感じられる商品・サービスに対して必要な対価を支払う新たな消費文化を醸成することで、消費の継続的な底上げをしようという提案がなされました。

平成28年12月には「プレミアムフライデー推進協議会」を設立し、全国規模・業種横断的な国民運動となるよう協議を重ねてきました。 平成29年2月の経済財政諮問会議において、安倍首相が新たな個人消費を喚起する取組であると述べられるなど、プレミアムフライデーの効果に期待を示されるとともに、政府としても消費喚起のためのこの取組を全面的に支援することが確認されました。

(2)プレミアムフライデー名前の由来

プレミアムフライデーとは、取組の名称でもあり、実施日である毎月月末の金曜日を示す名称でもあります。

近年の消費スタイルは、モノからコトへ、また、自分にとって「価値ある」モノ・コトに変化するなど、多様化しています。こうした中、本取組は、消費者が「豊かさ」を感じられる点において、普段よりワンランク上の消費・コト(サービス)を促すことを基本コンセプトにしているため、「プレミアム」と冠し、 また、給料日(一般的には、25日が多い)後の、月末金曜日に平均消費額が高い傾向にあることを踏まえ、月末の「金曜日(フライデー)」を実施日と決定したことから「プレミアムフライデー」としました。

(3)具体的な取組みとその目的

プレミアムフライデーのコンセプトは、国民一人一人が「特別な人(家族、友人など)」と「特別な時間」を過ごすことで、生活における「豊かさ」「幸せ」につながる充実感や満足感を感じることができる体験や時間の創出です。

具体的には、毎月月末の金曜日の午後は定時より早めに、できれば遅くとも午後3時までに仕事を終え、買い物や食事、旅行や趣味の時間などを楽しもうというものです。

消費者が「豊かさ」を感じられる商品・サービスへの消費を促すことで、消費の継続的な底上げを図るとともに、普段よりも満足度や付加価値の高い商品やサービスの消費を促す活動を通じ、消費マインドの刺激と新たな消費文化の醸成を図ることで、個人消費の底上げ、ライフスタイルの変革、デフレ的傾向からの脱却を目指します。

(4)取組みへの呼び掛けと働き方改革との連動

プレミアムフライデー推進協議会は、平成29年2月24日から始まるプレミアムフライデーに向け、実施への呼び掛けを内外へ行ってきました。経済産業省は、業界団体・企業・商店街等、まずはプレミアムフライデー当日に商品・サービスを提供する側の企業を訪問し、意見交換を行い、取組への参加を促してきました。また、関係府省庁にも訪問し、プレミアムフライデー当日における早期退庁を呼び掛けてきました。

また、平成28年12月には、経済産業省の委託事業として、プレミアムフライデー推進協議会事務局を起ち上げ、WEBサイトの開設やロゴマークの作成を行うとともに広報・PR事業を実施しています。 プレミアムフライデーは、月末金曜日は早めに仕事を終えるという点で「働き方改革」とも連動する取組です。

プレミアムフライデーを実施することが結果的に働き方改革に繋がるというもので、働き方改革を行うことを目的に実施する取組ではありませんが、長時間労働の是正や有給休暇の取得が進むことが期待されています。

平成28年12月には経団連から会員企業に向けて、平成29年1月には内閣官房内閣人事局から各府省に向けて、2月には総務省から各自治体に向けて、プレミアムフライデー実施日における柔軟な働き方改革の推進や年次休暇の取得を促す文書が発出されています。

2.第1回の実施状況と効果

 第1回のプレミアムフライデー当日は、キャンペーンのロゴマークを使用申請した企業等の数は4000社を越え、この日のために各企業が創意工夫し用意した特別な商品やサービスが多数提供され、都市部を中心に盛り上がりを見せ、メディアでは非常に多くの露出がありました。

プレミアムフライデーロゴ1
プレミアムフライデーロゴ2

従業員に早期退社を呼び掛けた企業は130社(2月24日時点で報道やプレスリリース等で確認できた限り)であり、これらの企業の従業員数は37万人。また世の中への率先垂範の意味で早期退庁を呼びかけた公務員は国と地方の合計338万人でした。国内の就業者数全体(6,466万人、昨年12月時点)からすれば少ないですが、経済産業省及びプレミアムフライデー推進協議会では第1回としてよい滑り出しができたとみています。その後も第2回に向け、早期退社を実施する旨を公表する企業は増えており、3月14日現在で265社です。

消費喚起の効果としても一部の企業等ではその成果も出ており、百貨店やレジャー施設等では、前年比や金曜日平均比 で売上げが1~2割増えた企業もあると報道されています。また、働き方改革との連動という面では、これまで半日単位でしか取得できなかった有給休暇を時間単位で取得できるようにした団体や月末金曜日の終業時刻を15時までと定めた企業など、プレミアムフライデーの実施に合せて就業規則を変えた事例も出てきています。

プレミアムフライデー推進協議会事務局が、全国の20~50代の有職者を対象(対象者数2015人)に実施したアンケート結果では、88.6%がプレミアムフライデーを知っていると回答し、55.3%が取組に賛成すると回答しています。また、プレミアムフライデーに早帰りした人は17.0%でしたが、早帰りした人のうち87.6%の人が豊かな時間を過ごすことができたと回答しています。

ロゴマークの申請件数:全国5836件、近畿2府5県861件、3月22日現在

写真:以下に解説

3.課題と今後の展望

プレミアムフライデーには、批判的な意見が出されていることも事実です。

業務の性質によっては早帰りできない業種(窓口業務、医療、福祉、インフ ラ関連等)も多い、中小企業は休めない、商品・サービスを提供する側は逆に業務量が増加する、早帰りしてもその分他の日にしわ寄せがくる、可処分所得が減少している現状では早帰りしても消費拡大にはつながらない等です。

プレミアムフライデーのコンセプトに賛同している人は多いですが、実際には早帰りに対応している企業はまだまだ少ないため休めない、プレミアムフライデーに回す家計の余裕がないといった実態もあります。

プレミアムフライデーは、あくまでキャンペーンであり、早帰りしたことで別の日の残業が増えるようでは本末転倒ですし、仕事と時間と家計に余裕のある人しか取り組めないということにもなりかねません。しかし、今回の取組によって、国民一人一人が少なくとも「ライフスタイルの見直し」や「豊かさ」、「幸せ」を感じる時間の創出という言葉を意識するようになり、その背景やさまざまな問題について、考えるきっかけにはなると期待されます。

まず実施できる人から始めることによって気運を高める、例えば大企業が徹底してやれば、その取引先の中小企業もやりやすくなるということも重要ですが、各企業が働き方改革につながる体制づくりを行うことも重要です。早帰りに向けて早くから仕事の段取りを考えて無駄が無いか点検するとか、担当者がいなくても対応できるようにするにはどうすればよいか等を検討し、休みやすい環境作りに努めるということです。

また、消費の拡大を端緒とした取組ですから、需要の先食いや「安売りセール」への消費、他の消費からの振替では目的を果たせません。プレミアムフライデーの目的を達成するためには、賃金が上がらない限り家計における一般消費支出以外の支出(たとえば預貯金)を削ることになりますが、この取組を消費者一人一人がどう捉えるかによると考えます。消費の拡大から始まる景気の回復、経済の活性化に繋がる自分への投資と捉えるのも一案だと思います。

今では当たり前となった「週休2日」も最初の頃は無理だという声も多かった中、時間を掛けて定着したため、プレミアムフライデーも粘り強く取り組むことが重要です。

プレミアムフライデー推進協議会事務局のHPには「日本中で、いろんな豊かさが始まります」とあります。今後毎月のプレミアムフライデーが世の中の雰囲気を少しずつ変えていき、プレミアムフライデーが、かつて土曜日が半ドンだったころのワクワク感が甦るような日、メリハリを付けた働き方でしっかり休む文化が多くの企業に定着し、人々の生活に「豊かさ」をもたらしてくれる日となるよう官民連携して取り組んで参ります。

関連施策へのリンク

プレミアムフライデー推進協議会事務局

このページに関するお問い合わせ先

近畿経済産業局 産業部 流通・サービス産業課

電話:06-6966-6025

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