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「有田川エコプロジェクト」の取組
~新エネ大賞受賞・次世代エネルギーパーク認定を中心に~
担当課室:有田川町 環境衛生課

最終更新日:平成29年4月3日

地球に優しい再生可能エネルギーやエネルギーの地産地消が注目されている中、全国的な先進例となった小水力発電所導入の経緯や官民が一体となったエネルギーのまち、エコのまちを目指す有田川町の姿を紹介します。

1.プロジェクト始動前

写真:以下に解説
有田みかん
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あらぎ島

有田川町は、平成18年に吉備町・金屋町・清水町が合併して誕生しました。国の重要文化的景観にも選出されている「あらぎ島」など豊かな自然が広がり、「有田みかん」や「ぶどう山椒」など全国的なブランドとなっている特産物が自慢のまちです。

そんな有田川町では、環境問題やエネルギー問題に早くから着目してきました。合併前の旧吉備町では特に環境行政に力を入れており、平成12年には近畿の自治体初の風力発電所(230kW)を設置し、まちのシンボルとなりました(故障により現在は撤去)。

また、明治時代から昭和28年の紀州大水害までは、町内に8ヶ所の小水力発電所があり、エネルギーの地産地消が早くから行われていた風土もありました。

そして、合併後の平成21年より本格的に「有田川エコプロジェクト」を立ち上げ、再生可能エネルギー関連事業に行政が取り組み始めました。

2.有田川エコプロジェクト始動

これまでに力を入れていた資源ゴミの分別徹底の成果もあり、削減できた処理費用を積み立てた「低炭素社会づくり推進基金」を原資に「住宅用太陽光発電設備」や「太陽熱利用設備」の導入補助制度を導入しました(廃棄物減量面では「生ごみ処理機購入補助」「コンポスト無償貸与」制度も有り)。

また、プロジェクトの目玉であった町営二川小水力発電所建設については、平成22年度に新エネルギー財団の「中小水力開発促進指導事業基礎調査」に採択、続いて23年度にも同財団の「新エネルギー等導入促進事業基礎調査」に採択されたことで、事前に調査・計画や測量等を町が財政負担することなく行うことができました。

一方で、本発電所は多目的ダム(治水・発電)の維持放流水を使った従属発電での計画でした。よって、治水は和歌山県、発電は関西電力が担っており、今回町が維持放流 水を利用した発電所を建設するにあたって、ダムと維持放流設備に掛かる持分負担(アロケーション)の解決が大きな課題となっていました。

特に、維持放流設備の持分負担割合については「流量比例とする」という省庁間の協議例に基づきそれが永年踏襲されてきました。本発電所計画では維持放流量と発電使用水量が同量であるため、50%の持分負担額を提示され、発電所建設に当たり最大の問題点でした。

3.二川小水力発電所完成

しかし、粘り強く県との交渉を続けた結果、平成24年8月に知事部局の判断により維持放流設備の費用負担割合についても「ダムと同等」との決定を受け、大幅な減額が実現。平成24年8月に実施設計等の委託契約を行い、平成26年9月に建設工事に着工。平成28年2月に発電所が完成しました。

また、小水力発電所のほか、町プラスチック収集場や廃校になった小学校校舎への太陽光発電設備の積極的な設置も行いました。

写真:以下に解説
二川小水力発電所
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旧峯口小学校太陽光発電所

これら発電所については、先述の資源ごみの分別徹底による基金が活用され廃棄物での住民・行政の努力も活かされています。

そして、町内にある官民それぞれの再生可能エネルギー設備を結びつけ、「ありだがわ次世代エネルギーパーク」として資源エネルギー庁の「次世代エネルギーパーク計画」へ応募し、平成28年度に認定されました。

写真:以下に解説
新エネ大賞授賞式
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次世代エネルギーパーク認定証交付式

さらに、「多目的ダムの維持法流水を活用した町営二川小水力発電所の取り組み」として応募していた新エネルギー財団の平成28年度「新エネ大賞」において、資源エネルギー庁長官賞を受賞することができました。

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ありだがわ次世代エネルギーパーク

4.「有田川というエコのまち」を目指して

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小中学生への環境学習

二川小水力発電所は年間に4,300万円の収入が見込まれており、売電収益は先述の基金を包括して新設した「循環型社会の構築と自然エネルギー推進基金」へと積み立て、これまでの補助制度に加え、小中学生への環境教育や公共施設への再生可能エネルギー設備設置等の温暖化防止事業へと活かしていく予定です。

また、次世代エネルギーパークについては、観光や視察、環境学習などと結び付けられるよう、PRを進めていく予定です。

このような再生可能エネルギー導入や廃棄物減量などの環境行政を横断した官民一体となった取組を実現できていることが、有田川町環境行政の強みです。

今後は、より一層「有田川というエコのまち」を目指して、エネルギー・環境の観点からまちづくりに取り組んでいきます。

掲載関連情報

団体名
有田川町役場 環境衛生課
所在地
和歌山県有田郡有田川町下津野2018-4
電話番号
0737-52-2111(代)

関連施策へのリンク

平成28年度新エネ大賞「資源エネルギー庁長官賞」

このページに関するお問い合わせ先

近畿経済産業局 総務企画部 広報・情報システム室

電話:06-6966-6009

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