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最終更新日:平成29年5月1日
ワックジャパンのワックは京都女性の会という意味です。私どもの会社が、外国の方向けに日本文化体験を提供し始めてから今年で20年になります。そのきっかけは45年前、当時私はパリに住んでいて、ヨーロッパ各地をよく旅行しました。個人の家に招いてもらったときの楽しい思い出を日本に来られる外国の方にも経験してもらいたい、何か国際交流の役に立ちたいと思っていました。
日本に帰ってからずっと専業主婦でしたが、40歳になって週2日、日本語学校で働き始めました。自分の力で初めて、お給料をもらったのもうれしかったのですが、何よりも、仕事で知り合った女性たちのすばらしい能力、仕事に対する真面目さと努力に感動しました。仕事仲間との友情は今も私を支えてくれます。
仕事を始めてから5年目、1995年の阪神淡路大震災の頃で、日本語学校が次々倒産したころでした。私は自分が日本語教師として働くより、すばらしい仲間のために、女性の能力を発揮できる会社を作ろうと思いました。ボランティアの組織ではなく、会社を作ろうと考えたのは、仕事の現場を見たからです。生活をかけた仕事をしている人の横で、同じ業種のボランティアをしてはいけないことを、自分が働いて初めて知りました。会社の運営によって周りの人々に利益をもたらし、それにより地元と国の繁栄のために貢献できればうれしいと思いました。「会社の作り方」という本を読んで、会社の登記をした後、これらの3つの思い、1つ国際交流、2つ女性の能力を活かせる仕事を創る、3つ地元及び国の繁栄のために貢献するを会社の理念と決めました。
ヨーロッパ滞在中一番心に残るのは、一般家庭での体験でしたから、会社を作ってまずホームビジットプログラムを創りました。幸い京都には長年お花やお茶を習っている女性が多いです。それらを教える能力が有り、かつ外国人をお招きできる家庭環境があるご家庭に受け入れをお願いしました。伝統文化を長年習っていて、しかも語学のできる女性には、アテンドとして、ホテルとご家庭の間の送迎、受け入れ家庭での通訳をしてもらうことにしました。
2009年からは拠点を、築100年の京町屋「わくわく館」に移しました。ホームビジットではアテンドとして活躍していた女性が、弊社の町家では英語を使って書道や折り紙、料理などの講師として、活躍できるようになりました。
20年間続けてこられたのは、裏方で頑張る社員と、表舞台に出る弊社の講師アテンド、引き受け家庭の方々のおかげです。皆はほとんどが主婦であると同時に、すばらしい才能を持つ日本文化の専門家です。
和装結婚式、武道体験、祇園お茶屋体験、 祇園で舞妓変身、非公開寺院訪問、生け花、折り紙、書道、茶道、日舞など、外国人観光客の様々な要望、目的に応じた130種類もの文化体験プログラムを提供しています。単一の提供だけでなく、複数プログラムを組み合わせた対応も可能です。利用者のバックグラウンドを考慮してプログラムをアレンジし、提供側も利用側も誇りを持って高め合うような文化体験の実現を目指しています。
茶道や書道等の先生のお宅を訪問する「ホームビジットプログラム」など、外国人観光客には難しい個人家庭への訪問や地元の人々との交流体験も可能であり、ハリウッドスターのほか、中東の王族、ロシアの富豪家族も利用しています。
利用客の約90%が訪日外国人であり、フランス、イギリス、北米、ロシアからの利用が多いです。日系企業による招待旅行・研修旅行では、書道によって仕事に必要な集中力を感じてもらうなど、日本文化の精神と企業理念を結びつけた文化紹介が好評を博しています。
拠点は、築 100 年の京町屋「わくわく館(高倉二条)」と、バリアフリー施設を備えた「京都和心館(大和大路七条)」。京都和心館は、高齢者やハンディキャップのある方を含むすべての人が安心して楽しめる施設となっています。2017年3月からは、利用が増加しているファミリー層向けに、「わくわく館」の東側にある酒蔵を修復し、ゆったりとしたプライベート空間を提供しています。
52 名の講師アテンドスタッフは全員英語対応が可能で、茶道、華道、着付け、料理など複数の分野で豊富なキャリアや資格を有しています。サービスに関する事務、準備をするスタッフは総勢 11名。うち 8 名が正社員で、全員が女性です。観光産業による雇用を創出し、地域に貢献しています。
文化体験に使う道具や素材は極力地元産のものを使用し、京都ブランドの知名度向上にも貢献しています。
近畿経済産業局 通商部 投資交流促進課
電話:06-6966-6033