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最終更新日:平成29年9月1日
こんな「中途半端」はありませんか?
例えば、「昔から使用している機械の部品が一つ壊れてしまい、今では製造会社もわからない。部品の交換をどうすればいいのか・・・」、「試作品を作ることになったが、加工や熱処理の工程が複雑そうで、どんな業者に頼んでいいのかよくわからない・・・」などの中途半端な領域のモノづくりをサポートしているのが、京都府宇治市にある株式会社ナンゴ-です。
同社は、1973年に創業し、自社内に旋盤、MC、五軸加工機等を保有し、旋盤加工からマシニング加工まで一貫したモノづくり体制で、単品から小ロットの金属全般精密機械加工と、モノづくりの効率化に欠かせない各種治具・省力化装置の製作を行っています。
また、永年、自動車のエンジン製造にかかわるモノづくりで培った経験とノウハウを活かし、技術力と創造性をお客様にとっての価値あるものに活かしてきました。
2011年、切削加工ドリームコンテストで「ナンゴ-彫り(ステレオグラム立体造形物化)」の技術で金賞を受賞。2012年には国内特許(ステレオグラム表示体及びその製造方法)を取得し、2015年には「ナンゴ-彫り」が「関西ものづくり新撰2015」に選定されました。
「どうすれば展示会でお客様に足を止めていただけるのか」と考えていたところ、ステレオグラムに興味を持っていた同社の加工技術者が「金属でステレオグラムが作ってみたい」という思いから生まれたのが「ナンゴー彫り」の技術だそうです。
普段から、同社の加工技術者は、顧客の隠れたニーズを察知し、それをカタチにするため、日々挑戦的な加工を続けてきたからこそ、ものづくり技術を具体的に伝えるツールの開発や、他社と比べて目に見える差別化につながっているようです。
(※1)ステレオグラム
眼の焦点を意図的にずらして眺めることで、単なるパターンに見える模様からイラストなど全く別の絵が浮き上がってくる従来から世にある絵画手法の一つ、いわゆるトリックアート。
(※2)ナンゴ-彫り
同社が産み出したステレオグラムを立体造形で表現する技法。紙などの平面印刷物でのみ可能であったステレオグラムを、同社独自の技術であらゆる素材に凹凸をつけ再現している。イラストや文字などを隠し絵として仕込むことが可能。
現在、2代目の南郷社長が2011年に開設したのが、お客様にとって中途半端な領域(数・大きさ・内容)のモノづくりに特化したソリューションサイト「中途半端net」です。
技術力をアピールする「ナンゴ-彫り」以外に、「会社の強み」を考えていたときに思い浮かべた言葉が「中途半端」だそうです。お客様には、事業内容を伝える際、「微細等何かの加工に特化しているのでもなく」、「大物でもなく、小物でもない、中途半端なサイズや数量の加工をしている」と説明していたそうですが、その「中途半端」という言葉をポジティブに捉えて、会社の強みとして打ち出すことにされました。「中途半端net」という名前で最初は驚かれることも多いそうですが、インパクトがある分覚えてもらいやすいところも嬉しい点だそうです。
この「中途半端net」は、24時間受付を実施しており、工場稼働時間内の相談であれば、1時間以内に対応する体制が整えられています。
利用したユーザーからは以下のようなコメントが届いているそうです。
(中途半端net お客様の声より一部抜粋)
2014年には、「NC-Navi」を開始し、受発注情報・作業工程・原価管理等、受注から生産、納品に関するほぼ全てのデータをクラウド上に蓄積し、一括管理が行われ、情報は全従業員に共有されています。
また、Web上の専用サイトでは、お客様が発注した製品の進捗状況が「%」で表示される「見える化」サービス『NC-Navi Customer Service』を開始、更に、ほぼ全ての図面の電子データ化を行い、ローカルサーバーで保管しています。また、不具合発生時にもNC-Naviに不具合の内容を蓄積しています。図面管理体制と図面データ情報検索の容易化を同時に実現する「図面データ連携システム」も開始したことにより、効率アップと不良率削減に繋がったそうです。
同社では、スピーディな対応や「見える化」サービス、また、様々な分野で金属加工部品・試作品及び効率的な治工具・装置の設計製作を手がけるなど、日々信頼を高めており、北海道から沖縄まで全国から問合せが寄せられています。
今後も、日本全国のモノづくり産業の活性化へ貢献していただくよう期待します。
近畿経済産業局 産業部産業課
電話:06-6966-6021