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最終更新日:平成29年12月1日
少子高齢化の進展に伴い、介護サービスに対する需要の増加や必要な介護職員の確保が困難になりつつあり、さらには、家計・企業における介護保険料や税負担の増加が見込まれています。このため、介護ロボットやIT等のテクノロジーを活用した効率化とサービスの質の維持・向上を同時に達成する介護サービスの生産性の向上が求められています。
こうした中、近畿経済産業局では、関西の介護関係の専門家やメーカー、介護事業者等による「関西介護サービスイノベーション研究会」を発足し、課題先進国としての同分野の解決のための様々なイノベーションの創出を図り、次世代型の介護サービスモデルの構築を目指した検討や取組を行っています。
我が国は人口減少局面を迎えており、2060年には総人口が9,000万人を割り込み、高齢化率は40%近い水準になると推計されています。
我が国の人口推計
(出典)国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」、総務省「人口推計」より経済産業省が作成
少子高齢化の結果、経済産業省の推計によると、要介護者は2060年には2015年の約1.7倍(約900万人)に増加し、介護費は2060年には2015年の2倍以上になると言われています。
我が国における介護サービス受給者推計
(出典)経済産業省「将来の介護需要に即した介護サービス提供に関する研究会 報告書」
介護サービス供給側の課題についても、介護需要の拡大に伴い、2035年には介護職員が68万人不足すると見込まれており、介護現場における人材育成、ロボット・IoT導入等による生産性向上の取組が求められています。
我が国における介護人材需要の推計
(出典)経済産業省「将来の介護需要に即した介護サービス提供に関する研究会 報告書」
上記諸課題を解決すべく経済産業省・厚生労働省が連携し、現場ニーズに対応した機器開発・導入支援等の取組が行われましたが、介護現場とメーカーとの乖離が依然強く、介護現場での本格的な介護機器導入は進んでおりません。
介護ロボット導入のためのこれまでの取組
当局では、関西の有する介護分野の産官学の集積を活用し、(1)課題先進国としての同分野での課題解決のための様々なイノベーション創出の仕組みの構築や次世代型介護サービスモデルのパイロットプロジェクト形成、(2)今後ますます拡大する在宅向けの新たなサービス等についての検討を目的とした「関西介護サービスイノベーション研究会」を発足しました。
関西介護サービスイノベーション研究会
当研究会において検討した結果、介護現場とメーカーとの乖離を埋めるべく、以下(1)~(4)について順次取り組んでいます。
※詳細は当局HPをご参照下さい。
関西介護サービスイノベーション研究会 検討内容
「未来投資戦略2017」(平成29年6月9日閣議決定)では、介護ロボットの開発において、自立支援等による利用者の生活の質の維持・向上と介護者の負担軽減の実現を目指すと同時に、介護ロボットの開発重点分野の再検証を行い、新たな開発支援対象に反映させることとしています。
また、平成28年度には、介護現場のニーズを反映したロボット介護機器開発の提案内容を取りまとめるニーズ・シーズ連携協調協議会が設置されたほか、コミュニケーションロボットに関する大規模実証試験を実施されました。
その他、平成29年10月には、経済産業省と厚生労働省が策定した「ロボット技術の介護利用における重点分野」が改訂され、重点分野は6分野13項目となりました。(*1)また、当該分野の介護ロボット等の開発を支援すべく、『平成29年度「ロボット介護機器開発・導入促進事業(開発補助事業)」』が国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)により公募されました。(*2)
(*1)経済産業省HP
(*2)国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)HP
ロボット技術の介護利用における重点分野(イメージ)※赤文字が改訂(追加)分野
(出典)未来投資会議 構造改革徹底推進会合「健康・医療・介護」会合(第1回)
このように、政府としては高齢者の自立支援や介護者の負担軽減に資する介護ロボットの開発を支援しています。また、当局としても、メーカーと介護現場が協力し、現地ニーズを多面的に分析するとともに見える化し、現場 の理解向上や人材育成を併せて行いつつ、介護ロボット等が介護現場で効果的に活用され、関西発のイノベーティブな介護サービスモデルの形成に繋がる取組みを展開していく予定です。
近畿経済産業局 地域経済部 次世代産業・情報政策課
電話:06-6966-6008