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最終更新日:平成30年2月1日
明石市に本社を置く株式会社きしろは、1915年に船舶用エンジンの製造会社としてスタートし、エネルギー産業分野、航空機産業分野へと発展を続ける企業です。船舶用クランクシャフトの部品の製造については世界シェア40%の実績をもつなど、推進軸、中間軸、連接棒、ピストン棒といった船舶用エンジン周りの部品などで、世界から信頼を得ています。
製造は主に兵庫県内の播磨工場(加古郡播磨町)、土山工場(加古川市)、高砂工場(高砂市)3工場で行っており、船舶、重電、原子力、航空機、一般産業用等の超大型鋳鍛鋼品から中小型品までの機械加工及び、合金チタン、高合金、高強度ステンレスなどの難削材の機械加工を得意とする企業です。
大型クランクシャフト
これまで創業100年、機械加工専業となって60年、船舶用部品を主体に機械加工を行ってきました。世界的な民間航空機の需要増によって、航空機産業は今後20年間にわたる成長が見込まれることや、船舶用クランクシャフトの部品加工工場の設備を高砂へ移管したことによる空きスペースの活用の新規メニューとして、世界の海に続いて、世界の空へも活躍の場を広げるべく、航空機産業への参入に向けて取組を進めています。
まずはチタン製品の機械加工に取り組むべく、2014年から播磨工場内に設備導入を行うとともに、工場内の改装を重ねて、航空機部品製造の専用工場として播磨精機工場を開設しました。
また、加工技術の研究開発にも取り組んでおり、戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン補助金)を活用した「高強度チタン素材の機械加工」の研究開発を行い、それが大型降着装置の受注に繋がるなど、着実に成果が出ています。
更に、円高・エネルギー制約対策のための先端設備等投資促進事業費補助金により、次期主力エンジンに関する円筒形状品の仕上機械加工も可能な設備導入を行ったほか、ものづくり補助金や兵庫県の補助金等を活用して、放電加工機、ワイヤ加工機、細穴加工機等の新たな設備を積極的に導入するなど、これらに必要な資源の投入を進めています。
播磨精機工場内
仕上加工用5軸加工機
航空機関連企業や大手検査会社のOBに加え機械加工経験者を積極的に採用し、ここ数年で現場の社員を16人、生産技術スタッフを6名増員するなど、人材面の体制強化を行っています。
また、航空宇宙産業の品質マネジメント規格であるJIS Q 9100の認定を2014年8月に取得し、生産管理や品質保証の体制整備も進めています。
今後は、最新鋭の設備導入と同時に、長期的視野のもと、航空機用ジェットエンジン部品に対する加工経験がある大手企業OBの指導を受け、社内人材の教育による育成を強化し、目標としている航空機関連製品の仕上加工への体制を確立していくこととしています。
社内研修
現場でのOJT
このような取組を進める中、現在は、素材メーカーから航空機用チタン製品の粗加工(2mクラスで±0.2mmのレベル)を中心とした受注に加え、航空機エンジンと同じ加工精度が必要なガスタービンの仕上加工を行い、航空機部品の仕上加工への挑戦の礎としています。そのほか、ニッケル基合金なども含めた難削材に対しても高い加工技術をもって対応しています。
また、近畿経済産業局・兵庫県・中小機構が支援をしている航空機関連のクラスターの「ひょうご航空ビジネス・プロジェクト」に参加するとともに、取引企業のみならず、その他の企業と積極的に接触を図るようにしています。
更に、今年度は当局が進める「関西航空機プラットフォーム事業※」のマッチング事業にも挑戦をしており、さらなる技術力の強化や受注拡大に向けて積極的に取り組んでいます。
※参考(事業パンフレット)
近畿経済産業局 産業部 製造産業課
電話:06-6966-6022