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最終更新日:平成30年3月1日
大阪府箕面市にある株式会社ナオミは、ソースやクリーム、きな粉などの食品を瓶や袋、カップなどに定量詰めすることができる卓上の食品充填機の製造・販売を行っています。同社が手がける充填機は、コンビニの食品工場や中小食品メーカーなど女性が多い現場を中心に生産性向上に役立つ製品です。
今回は、2代目社長の駒井亨衣氏が、社長就任後8年間かけて、売上2.8億円から10億円、従業人数10人から55人へと企業を成長させていく中で大切にしてきた、「やりたいことができる」「幸せに働ける」会社づくりについてお話を伺いました。
株式会社ナオミ 駒井亨衣社長
主婦だった駒井社長は、父が社長を務めていた同社にパートとして入社しました。父は社員のやりたいことよりも利益を優先するタイプで、当時は社員の年齢層も高く、このままではやりたいことができないし、自分も含め社員が幸せになれないと感じていました。
駒井社長が2人の子どもの不登校で悩んでいた時、ありのままの子どもを認めることで自分自身が変わった経験から、人はありのままを認め、認められることで、生き生きと自発的に動けるようになる、それは会社も家族も同じであると考えるようになりました。そして、社員一人一人と向き合うことで、働く人が生き生き自発的に幸せに働ける会社を作りたいと思うようになり、2010年に父の後を継ぐ形で2代目社長に就任しました。
他社で経営者としての経験がある川田専務は、駒井社長の想いに共感し、右腕人材として社長とともに事業戦略を練り、社内改革に取り組んでいる人材です。同社の商品展開は、充填機の9割を小型タイプに絞って、ぶっちぎりのナンバーワンを目指す戦略です。
サラサラ・トロトロ・パラパラなど様々な食品を充填でき、女性も運びやすくコンパクトで感覚的に道具のように使える設計が食品事業者のニーズをつかみ、売上増加につながっています。定量ずつ充填する作業は手作業では大変ですが、機械化することで現場が楽になり大幅に効率が上がります。充填機の分野では、卓上の小さな機械は競合が少ないニッチ分野で、機器の販売のみならずアフターフォローも含めたサービスの提供に注力し、成長しています。
株式会社ナオミで働く皆さん
駒井社長は社員第一主義を掲げ、「人」を重視する経営を行っています。月1回社員と個人面談を実施し、社員の悩みを傾聴し、社員に寄り添い、社員がやりたいことができる会社づくりに向けた改革を進めています。
具体的には、社員からの発案で、平成25年に札幌に営業所を設立した結果、北海道地区の売上が3年で10倍以上に増加しました。また同社では、新卒1年目の新人からの強い要望でマーケティング・広報室という新部署を立ち上げることを承認し、活動をスタートさせました。マーケティング・広報室を担当する新入社員は、自らやり方を工夫することで、問い合わせ数やメディア掲載数を増やしており、ブランド化戦略に貢献しました。
社員がやりたいことに取り組めるようになることで、担当者たちのモチベーションが高まり、成果もあげています。人を生かす経営は、優秀な技術者や営業人材の確保にもつながっています。
駒井社長は、企業が働く人のための環境作りを行うことで、子育て中の母親など多様な人材を採用し、更なる社内活性化ができると考えています。このような取り組みを行う企業をもっと増やすことで、働きがいを求める人のサポートにも注力していきたいと考えておられます。
同社は、すでに社会貢献事業の一環で就活や働くことに悩みを抱える若者や母親が、働くことについて考えたり、不登校のお子さんを持つ母親が悩みを相談したりする「学び舎 傍楽(はたらく)」という町家を京都に設置しています。利益追求だけではなく、世の中を良くするような社会貢献も行っていきたいと考えておられます。
近畿経済産業局 総務企画部 中小企業政策調査課
電話:06-6966-6057