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最終更新日:平成30年3月1日
エネルギーはあらゆる国民生活、産業活動を支える基礎であり、我が国ではそのエネルギー源のほとんどを海外に依存しています。このような中、将来のエネルギー利用、エネルギー源の選択、エネルギー技術開発を担う次世代の子供達に対して、エネルギーを巡る現状やエネルギー問題に関する総合的な見方や考え方を育成する「エネルギー環境教育」は大変重要です。
現在、学校教育の場だけで無く、民間企業においても、教材の開発や体験学習など、工夫を凝らした取り組みが積極的に進められており、それらの取り組みを「E!KANSAI シリーズ:エネルギー環境教育の取組」として、ご紹介します。
エコソリューションズ社は、創業者である松下幸之助の「事業を通じて社会の発展に貢献する」という経営理念に基づき、CSR活動の一環である「社会文化活動」として、2008年頃から「新しい快適とエコの両立」をテーマにエネルギー環境教育を積極的に展開してきました。
同社のエネルギー環境教育は、強みとする「すまい、あかり、電気」の3つの事業分野を柱に、将来のステークホルダーである小中高生を対象に、教材開発、出前授業、体験教室を通じて、身近な生活における省エネやエコ活動の気づきを与える事業です。また、2015年頃からは、中高生向けに、「創エネ・蓄エネ・省エネ」や再生可能エネルギーも含めた「エネルギーミックス」などをテーマとした新たなコンテンツを開発するなど、その活動の幅を広げています。
同社は、「すまい、あかり、電気」に関する基礎教材を独自に開発するとともに、全国7ヵ所の営業拠点を中心に出前授業を展開しており、2017年度までの実施学校数は累計1,400校、受講者数は延べ約9万人に達する高い実績を誇っています。
同社の出前授業の取組で初期から実施している実績のある授業で、「省エネを考えたあかり」、「理科の好きな子供の育成」を目的に、オリジナルの手回し発電機や消費電力計を使って「白熱灯」、「蛍光灯」、「LED」の特徴や消費電力の違いを、実験を通して体験出来るカリキュラムです。子供たちが楽しく節電の大切さを学ぶことが出来る内容であるため、学校からの満足度も高く、リピート率は80%を超えています。また、2012年度には「大阪環境賞」大賞を受賞しています。
「子供たちへの環境教育」、「理科好きな子供の育成」を目的に、「電気の大切さ」と太陽光発電の仕組みや特徴を学ぶことができます。
あかりエコ教室の様子
エコと太陽光発電教室の様子
中学生を対象に、LEDの普及を地球環境やあかりの歴史から学ぶとともに、地球環境の問題を理解し、再生可能エネルギーの可能性や創エネの難しさ、自然エネルギーを活用する重要性を学べるカリキュラムです。
近年、同社が高校生を対象に新たな教材開発により力を入れている事業です。グローバルな視点での省エネ、エネルギー事情などの高度な内容に、実験を通じてコンテンツを身近に感じて貰う為の工夫を加えるなど、高校生自らが問題意識をもって考えるカリキュラムと授業づくりが大きな特徴です。
自然エネルギーの活用教室の様子
高校生を対象とした授業の様子
一般的にエネルギー環境教育は、授業を通して、エネルギー問題の重要性の「気づき」を与え、省エネに繋がる取組を自主的に行う「動機づけ」を目的とするため、事業の定量的な効果検証は大変難しいものとなります。
このような中、同社は事業当初から、授業後にも子供たちが自宅で1週間自主的に省エネにチャレンジするカリキュラムを組んでおり、その取組結果をCO2削減量として数値化することで、成果の見える化を実現しています。
また、自宅でのチャレンジは子供だけでなく、親も一緒にその取組みを見守る形となっているため、エネルギー環境教育をきっかけとして、子供だけでなく家族全体が省エネの意識を向上することが出来るなど、波及効果も高い仕組みとなっています。
さらに、同社が成果として算出したCO2削減量の数値は、子供たちの省エネに対する意識を向上させるだけでなく、事業の定量的な評価手法(※)の一つとして、同社の更なる事業発展に向けた検討材料として活用できる画期的なシステムとなっています。
※2016年の出前授業の効果であるCO2削減量:2,416, 306g-co2=サッカーボール414,976個分の体積に充当
エコソリューションズ社以外の社内カンパニーにおいても、独自のエネルギー環境教育事業に取り組んでおり、その一つであるアプライアンス社は、2008年から本部がある滋賀県草津市を拠点に環境教育活動「エコ体験学習」に積極的に取り組んでいます。
そのプログラムの一つである小学6年生向け理科の出張授業「電気の不思議★実験室」(同市内限定)では、学習指導要領の「電気と私たちのくらし」に準じながら、同拠点で製造する水素燃料電池を学び、子どもたちに水素社会の到来を伝えています。まず手回し発電実験で1日の中で変化する使用量に応じて発電する事の大変さを体感します。続いて日本の電源構成を学び、火力発電は温暖化の原因になる事や水素と酸素から家庭で電気を作る燃料電池のメリットを学びます。最後のワークショップでは簡易の自作燃料電池でLEDを点灯、大いに盛り上がって授業は終了します。
また、他の社内カンパニーであるオートモーティブ&インダストリアルシステムズ社においても、電池のしくみや構造を学習しながら乾電池の制作体験ができる「手づくり乾電池教室」を展開するなど、地域社会に貢献しています。
手づくり乾電池教室の様子
パナソニック(株)の社内カンパニーとして、エコソリューションズ社、アプライアンス社、オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社の3社は、それぞれの強みを活かしたエネルギー環境教育に取り組んでいます。
パナソニック(株)では、将来的に、開発した教材・ノウハウの共有や出前授業の合同実施などの、社内カンパニー同士のコラボレーションによる相乗効果を図り、グループ全体でエネルギー環境教育の発展に繋げていきたいと考えています。
近畿経済産業局 資源エネルギー環境部 資源エネルギー環境課
電話:06-6966-6041