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最終更新日:平成30年3月1日
関西経済の持続的な成長のためには、GDPの75%を占めるサービス業の生産性向上が非常に重要になっています。サービス業の生産性向上、すなわち業務効率化や売上、利益増加を実現するためには、IT導入が有効な手段として期待されています。
一方で、中小サービス事業者に話を聞くと、「効果的なITツールの活用方法や、そもそもどのようなITがあるのか分からない」という意見が多く、サービス事業者にIT導入に関する情報が十分に届いていないという課題が明らかとなりました。
そこで、近畿経済産業局は、中小企業の生産性向上につなが るIT導入事例や支援施策を紹介するフォーラムを平成30年2月6日(火曜日)に開催しました。
基調講演では、「中小企業の生産性向上とIT経営」をテーマに、明治大学経営学部の岡田教授より、「中小企業にとって、技術向上やイノベーションなどによる新たな価値創造が生産性向上の実現には必要であり、その手段としてIT投資が非常に有効である。さらに、他社の成功事例をただ真似るのではなく、自社の目指す姿・目標に向けた事業計画と戦略を持ち、経営戦略に合致したIT投資を行うことが重要である。」と全国の事例をまじえて、生産性向上につながるIT導入のポイントを紹介いただきました。
フォーラム会場の様子
IT経営の重要性を語る岡田教授
取組事例紹介として、関西で創業したChatWork株式会社より、社内外でのコミュニケーションを円滑にするビジネスチャットサービス「チャットワーク」を紹介いただきました。このサービスは、社員の多様な働き方に対応した社員同士また社外の取引先との新しいコミュニケーション方法を提供するものです。
実際にチャットワークを活用する株式会社ライフケアからは、社員の情報共有が円滑になり、残業時間の削減や社員の離職率低下につながった有効事例の発表をいただきました。
さらに、平成28年度補正予算によるIT導入補助金を活用したcolor studio A+STYLEと、同社を支援した株式会社ブルーオーキッドコンサルティングからは、IT導入にあたってのきっかけや効果、今後の課題について、サービス事業者とIT企業の両方の立場から紹介いただきました。
これまで懸案であった顧客情報の管理について、IT導入に対する補助金が後押しとなり解決の兆しが見えてきた一方、便利になったがゆえの情報セキュリティ対策など新たな課題についても紹介いただきました。
また、IT企業側も、サービス事業者の経営課題に向き合った伴走的な支援が重要であることを説明いただきました。
ChatWork(株) 山口氏の講演
color studio A+STYLE 林代表の講演
政府は、昨年12月に閣議決定した「新しい経済政策パッケージ」において、生産性向上に必要なIT・クラウド導入を強力に支援することなどにより、3年間で約100万社のITツール導入促進を目指すこととしています。
近畿経済産業局が今年度IT導入補助金の採択事業者に行ったアンケート調査では、大半の企業が業務効率化や売上増加などIT導入の効果を実感しているものの、どのようなITツールが実際に自社に適しているのか分からないという課題が判明しました。また、サービス事業者は、課題解決にあたり、商工会・商工会議所、金融機関、税理士、中小企業診断士、ITコーディネータなど様々な支援機関に相談していることも分かりました。
当局としては、サービス事業者にIT導入を促進するためには、こうした支援機関と一層連携した支援を行わなければならないと考えています。今回のフォーラムを契機に、IT導入の先進事例等に関する情報発信の強化など、中小サービス業の生産性向上に関する支援を進めていきます。
近畿経済産業局 産業部 サービス産業室
電話:06-6966-6053