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最終更新日:平成30年7月2日
エネルギーはあらゆる国民生活、産業活動を支える基礎であり、我が国ではそのエネルギー源のほとんどを海外に依存しています。このような中、将来のエネルギー利用、エネルギー源の選択、エネルギー技術開発を担う次世代の子供達に対して、エネルギーを巡る現状やエネルギー問題に関する総合的な見方や考え方を育成する「エネルギー環境教育」は大変重要です。
現在、学校教育の場だけでなく、民間企業や経済団体においても、教材の開発や体験学習など、工夫を凝らした取り組みが積極的に進められており、それらを「エネルギー環境教育の取り組み」としてシリーズでご紹介いたします。今回は、公益社団法人関西経済連合会です。
公益社団法人関西経済連合会(以下、関経連)は、主として関西一円において経済活動を展開している企業、団体、学校法人など約1300の会員で構成する総合経済団体です。
経済・財政、産業、雇用・労働政策など幅広い分野の諸問題を調査研究し、関西経済界の総意の表明とその実現を図るため、日々活動しています。
関経連では、経済政策や産業振興、インフラ整備など関西経済の発展に資する様々なテーマについて、議論・検討していく場として、複数の委員会を設置しており、エネルギー・環境分野については、経済成長の根幹を担う電力の低廉かつ安定的な供給と3E(Energy Security:安定供給、Economic Efficiency:経済効率性の向上、Environment:環境への適合)のバランスの取れたエネルギー政策、経済と両立する環境政策の推進に関する意見発信および具体的アクションの実施を基本方針とする「地球環境・エネルギー委員会」を設置しています。
エネルギー・環境政策は、経済活動・安全保障・環境問題と深い関連があるにもかかわらず、その重要性が世の中に十分に理解されているとは言い難い状況にあります。
そこで「地球環境・エネルギー委員会」では、政府等への意見発信や要望活動だけでなく、広く世の中にエネルギー・環境政策に関する理解を促進することを目的に、会員企業の社員などを対象としたエネルギーミックスをはじめとする基礎的な知識の理解促進のための機会の提供や、学生を対象としたエネルギー・環境政策関連の授業を実施しています。
また関西経済界において、将来、エネルギー・環境政策を担うプロフェッショナル人材を育成するため、キャリア形成に資するような、エネルギー・環境政策全般を理解・議論するプログラムも実施しています。
関経連では、エネルギー・環境問題への理解促進の入口として、これまで十分に情報が届いていなかった次世代(子供)・女性の方々を対象に、発電所の見学やゲーム形式でのワークショップなど、エネルギーに馴染みのない参加者でも理解しやすいプログラムを提供してきました。
引き続き、消費者目線でS(Safety:安全性)+3Eなどのエネルギーに関する基礎的内容を理解して頂く機会を提供していきます。
美浜町エネルギー環境教育体験館
「きいぱす」での灯篭づくり体験(2017.8.23)
来間蓄電池(沖縄県宮古島市)の見学
(2018.3.12-13)
またエネルギー・環境政策を担う次世代の人材を育成するため、大学生に対しエネルギー問題について考えるきっかけを提供しています。
これまで、資源エネルギー庁と共催し、立命館大学、京都外国語大学、和歌山大学、滋賀大学に出前授業として職員を派遣、大学側のニーズに合わせて講義内容をカスタマイズするなど、講義形式からワークショップ形式まで幅広く対応してきました。
今年度も引き続き、大学での講義を通じたエネルギー・環境政策の理解促進活動を実施し、自ら当事者意識を持って考えることのできる人材の育成を目指します。
立命館大学政策科学部での出前講義
(2017.10.25)
和歌山大学システム工学部での
出前講義とワークショップ
(2017.11.27,12.5)
次世代プロフェッショナルリーダー
育成プログラムでの
グループディスカッション
(2018.5.22)
エネルギー・環境政策の深い理解のためには、個別論点に精通すると同時に、大局的なマクロ視点での捉え方や多面的な見方を持つ必要があります。
そこで関経連では、今年度より企業のエネルギー・環境部門やコーポレート部門等に所属する社員を対象に、「2050年に向けた環境・エネルギー政策のあり方」を議論するワークショップ「次世代プロフェッショナルリーダー育成プログラム」を開催しています。
このプログラムでは、ダイバーシティ推進の観点から、女性の方や様々な業種の多様な専門分野の方々を対象としております。
今年の5月22日に開催された第1回のワークショップでは、幅広い業種から19社25名が参加し、積極的なディスカッションが行われました。
このような次世代のリーダー育成に向けての年間を通した取り組みは、経済団体としては関経連が初めてであり、このプログラムを通じて、エネルギー環境政策の諸問題について、幅広い視野で自らの意見を積極的に発信できる人材の育成を目指しています。
このように関経連では、幅広い層の方々に対して、エネルギー教育の機会を積極的に提供してまいりましたが、「エネルギー自給率」や「エネルギーミックス」といったエネルギー問題を考えるうえで重要な基礎知識について、これからもエネルギーの消費者に理解を深めて頂く必要があると実感しています。
今後も企画内容や広報手段の充実を図り、参加人数の拡大を狙っていくとともに、このような草の根的教育活動を展開することで、国民のエネルギー環境政策の理解促進、ひいてはエネルギー分野を支える人材の裾野の拡大に貢献していきます。
近畿経済産業局 資源エネルギー環境部 資源エネルギー環境課
電話:06-6966-6041