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最終更新日:平成30年7月2日
神戸市に本社を置くシン・エナジー株式会社は、1993年に電気工事業を営む洸陽電機エンジニアリングとしてスタート。2018年4月に現社名に変更、事業も拡大し現在、主に以下3つの事業を手がける「エネルギーの総合プロデュース&エンジニアリング企業」です。
「創エネ」事業において太陽光などの再生可能エネルギー発電事業を営む同社ですが、そこでは国土の約7割が森林である我が国の特性も考慮し、国内の木材を活用したエネルギーの開発に取り組んでいます。
その一つとして、2018年3月に宮崎県串間市に「大生(おおばえ)黒潮発電所」を開設しました。同発電所では地元で伐採した木材を併設する木質ペレット工場でペレット化し、それを燃料に発電しています。発電はバイオマス発電設備だけではなく、そこから発生する温水を用いてバイナリー発電※設備でも行います。温水はペレットの製造工程にも利用し、地域の資源をムダなく活用しています。発電した電気も固定価格買取制度を活用し、全て地域の電力会社に売電しています。
この発電所はペレットの製造から発電までのプロセスをパッケージ化したもので、全国各地へ展開が可能なモデルとなる発電所です。
なお、同社では岐阜県高山市にも地元で伐採した木材を用いて発電と熱供給を行う「飛騨高山しぶきの湯バイオマス発電所」を設置しており、電気は大生黒潮発電所と同じく地域の電力会社に売電し、熱は敷地内にある温浴施設に供給しています。
※バイナリー発電:地熱流体(熱水と蒸気の混合流体)の温度が低く、十分な蒸気が得られない時などに、地熱流体で沸点の低い媒体を加熱し、媒体蒸気でタービンを回して発電するもの。
大生黒潮発電所
手前がバイオマス発電設備。奥が木質ペレット工場。
飛騨高山しぶきの湯バイオマス発電所
手前白の建物がバイオマス発電設備。奥が温浴施設。
上述の「大生黒潮発電所」を含め、同社は国内で地熱発電所3か所(いずれもバイナリー発電)、小水力発電所1か所、バイオマス発電所2か所、太陽光発電所43か所と複数の再生可能エネルギー発電所を設置しています(2018年6月現在。いずれも稼働中のもの)。
また、2016年4月の電力小売全面自由化以降、地方公共団体が出資する小売電気事業者(いわゆる、地域新電力会社)が増えており、同社も千葉県成田市、香取市と共同し両市が所有する発電所(ごみ発電所、太陽光発電所)などから調達した電気を両市内の公共施設などに供給する株式会社成田香取エネルギーを2016年7月に設立しました。
さらに2018年2月には、同社のほか6社を発起人に、地域が中心となったエネルギー事業の構築を支援する、一般社団法人日本サステイナブルコミュニティ協会も立ち上げました。
同社の乾社長は、我が国のエネルギー自給率(2016年度:8.3%)が低く、海外にエネルギーを依存することが当たり前である状況に危機感をお持ちで、エネルギー自給率を高め、国としての競争力を高めていかなければならないとお考えです。
地域にある資源を使ってエネルギーを創り、地域で活用する仕組みを作ることはエネルギー自給率を高めることに資するものです。また、地域に雇用を生み、地域内でのお金の循環も生み出します。
同社はこのような「エネルギーの地産地消」、そしてその先にある「持続可能なコミュニティづくり」を実現するための取組を今後も強力に進めていくとされています。
岐阜県 奥飛騨第1バイナリー発電所(地熱)
岩手県 松川小水力発電所
大阪府 恩智川治水緑地
池島二期地区太陽光発電所
株式会社成田香取エネルギー設立調印式
シン・エナジー株式会社 乾 正博 代表取締役社長
近畿経済産業局 資源エネルギー環境部 エネルギー対策課
電話:06-6966-6043