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最終更新日:平成30年11月1日
近畿経済産業局では、全国の経済産業局、パリのショールーム運営事業者SAS ENIS (サス・エニス)、日本貿易振興機構(ジェトロ)、中小企業基盤整備機構、自治体国際化協会及びクールジャパン機構等と連携し、「Challenge Local Cool Japan in Paris」事業を実施しています。
本事業は、フランス・パリにおいて、全国の優れたクールジャパン商品のテストマーケティングや販路開拓を支援するもので、平成27年8月に当局でスタートしました。平成29年度からは日本全国の商品に対象範囲を広げ、これまでのべ94点の商品を、パリ1区オペラ座とルーブル美術館の間に挟まれた日本人街、サンタンヌ通り近くのショールーム「maison wa」で展示・販売しています。現在(平成30年10月末時点)は32社の商品が展示・販売されています。
maison waには、毎月1,100人~1,200人(現地の方が8割程度《うち、8割強がフランス人》)の来客があり、フランスを中心としたEU各国のバイヤーも月に10名程度が訪れるショールームです。
本事業に参加すると、出品者には毎月、maison waの販売担当者から現地来客者等の商品に対する感想や購入目的、その他商品に対する意見やリクエストなどをまとめたレポートがフィードバックされます。
これまでの実績としては、商品が現地雑誌に紹介され、また、現地ディストリビュータを通じて他の店舗への納入が実現した商品が出てきています。
※本事業では、出品事業者とSAS ENISとの間で委託販売契約を締結して頂き、商品の展示に際し、費用が必要です。また、現地への輸送費、付加価値税等も必要となります。商品が売れれば、販売代金からSAS ENISが手数料を徴収し、残りの代金(展示のための費用等を相殺した後の代金)が、出品者に送金されます。
パリのショールーム「maison wa」
「Challenge Local Cool Japan in Paris」の実施スキーム
今回は、現在出品している関西の商品の一部を紹介いたします。
当社は、靴下を中心として大手メーカーのOEM生産を行っており、五本指ソックスにおいては、30年以上の生産実績をもつ創業90年の靴下メーカーです。
あるとき、自衛隊員から「100kmにも及ぶ厳しく激しい長距離の行軍訓練に耐えることができる靴下を作ってもらえないか」との要望があり、当社がこれまで培ったノウハウ、技術力を結集して開発に取り組み、誕生したのが高機能ストロング靴下「GUTS-MAN(ガッツマン)」です。
そして、その派生商品として開発したのが、本気でランニングに取り組む人のための靴下「GUTS-MANランニング五本指ソックス」です。
このような頑丈な靴下をはじめ、お客様の要望をカタチにする「必要とされる靴下づくり」に日々、取り組んでおります。
本事業には、3年連続で出品しています。試着をしていただくと販売数が増え、「五本指ソックス」の将来性を感じています。更に要望をいただいている(1)丈の短い5本指ソックス、(2)フランス語表記などの改善・改良に、今期は取り組んでおり、引き続き開発・販売に努めてまいります。
高機能ストロング靴下『GUTS-MAN(ガッツマン)』
GUTS-MAN(ガッツマン)シリーズ
GUTS-MAN(ガッツマン)ランニング五本指ソックス
maison waで陳列している『GUTS-MAN(ガッツマン)シリーズ』
フランス語表記の商品
maison waで陳列している商品と販売担当者
当社は、奈良の伝統産業として栄えていた蚊帳生地を製造し、染織から縫製までの一貫体制を構築しています。工業用資材などをはじめ、インテリアなどの生活文化雑貨を製造しており、2014年頃から北米・香港などにディストリビュータを設け、海外への販売展開を図っています。
蚊帳織り(平織)ふきんは、吸収性・通気性・速乾性に優れています。染色加工をした独自のカラフルな色合いのふきんや、自然そのままの風合いを大切にした素材(機能)にこだわった糸を使用しているふきんがあります。特に、紀州産の備長炭を独自の製法で繊維に織り込んでいるふきんは、消臭・防臭浄化という高機能性を備えています。
フランスには「ふきんでテーブルを拭く」という習慣がなく、テーブルクロスを敷く「Dishcloth」の文化ですが、蚊帳織りの素晴らしい手触り、肌触りを実際に見て感じていただき、フランスにディストリビュータを設ける足がかりとして取り組んでいます。
備長炭を織り込んだ蚊帳織りふきん
カラフルな蚊帳織りふきん
maison waで陳列している商品と販売担当者
鎌倉時代の1267年(751年前)から奈良で刀鍛冶を営み、刀鍛冶から包丁鍛冶へと販売する商品は変わりましたが、1本1本手作りで、世界に通じる日本の和包丁の老舗ののれんを守り続けています。20年前から米国での販売を強化し、海外展開を充実させています。
本来、和包丁には錆びやすい鋼を使用するのが一般的でしたが、洋包丁で使用される「ダマスカス鋼」を使うことにより、美しい波紋の模様と共に機能性を大幅にアップさせました。包丁を使用する料理作りは世界共通なので、家庭用から本職用まで幅広く活用できます。
フランスでは、シンプルなデザインが好まれると聞いていますが、伝統工芸品ならではの繊細なシルエットとダマスカス鋼の鋭く滑らかな切れ味の包丁をご家庭で受け入れていただけるよう、欧州展開の足がかりとするために取り組んでいます。
45層磨きダマスカス鋼ローズ柄包丁
パリのお客さん
maison waで陳列している商品と販売担当者
国内、海外を問わず新しい市場への参入を考える時、テストマーケティング(市場調査)は必要不可欠とも言えるものです。特に海外市場の場合は需要側の視点を詳細に知ることが全てに優先すると言っても過言ではありません。
しかしながら、中小企業や個人事業主の間ではその重要性が十分に認識されていない、または十分な認識はあってもそのためのコスト負担を躊躇するケースが非常に多いというのが現状です。
このCLCJ( Challenge Local Cool Japan)は、正にそういった事業者のために準備されたプログラムです。
ゼロから海外市場開拓を始めようとする事業者にとって大変貴重な機会となりますので、是非ご参加の上、具体的なチャレンジ(挑戦)を始めるとともに、この機会を最大限に生かすべく、様々な営業活動を同時に進めるためのきっかけにしていただけると幸いです。
SAS ENIS (パリにおけるショールーム運営者)塩川代表
私共現地スタッフはChallenge Local Cool Japan プロジェクトを通し、お客様に日々、日本製品の品質の良さ・各事業者様の商品製造エピソード等を伝え、販売を行っております。また、今年は日仏友好160周年という節目の年であり、パリ中で日本文化に関するイベントが催され、当店におきましても日本文化・商品に関心のある多くのお客様に来店頂いております。来店頂くお客様はモダンな技術を使用した製品に対し関心を持っている一方で、品質の高い伝統的な日本の商品をお求めになられることが多く、具体的には、手ごろな感覚で購入できる和柄のタオル類・食器類・美容製品の需要が高い印象です。今後も1点でも多くの日本製品がフランスで認知されるよう努めてまいります。
ショールーム maison wa 販売担当者
2019年は、前年の日仏友好160周年を受けて、改めてフランス国内に日本文化に触れる方々が増えていることもあり、日本製品に非常に興味が高まっていると言えます。
maison waにお越しになる方も年々増加していることや、パリ市民の生活の中に溶け込んでいっていることもあり、よりライフスタイルや日常生活に即したマーケティングが可能となってきました。
上記コメント等にもあるとおり、maison waはパリ側・日本側共に日本人スタッフとフランス人スタッフが中心となって運営しているため、スムーズなコミュニケーションが可能です。
欧州での海外展開をお考えであれば、まずはテストマーケティングから開始し、その上で戦略を練って頂きたいと思います。
Challenge Local Cool Japan in パリ
近畿経済産業局 産業部クリエイティブ産業ユニット
電話:06-6966-6053